コンサルタント時代にクライアント企業様の新卒採用に携わったことがあります。当時は入社3~5年で退職する若手社員が話題になっていた頃です。この問題については、少し良い方向に改善が見られますが、本質的な構造や当事者の仕事観、事業観など、大きな課題テーマが残っていると考えます。
そのクライアント企業では、人事戦略に基づいてその年から4年間で、毎年15~20名を採用することになっていたのですが、ある会議で採用NGの評価基準が話し合われました。
さまざまな意見やアイデイが出された中で最終的に落ち着いたのが、次のような人材像でした。
- フリーライダーはNG
- 傭兵はNG
- お客様を愛せない人はNG
フリーライダーNG
フリーライダーとは、対価を支払わず利益を得る「ただ乗りする人」をする人のことです。つまり、どんな活動にせよそれなりに必要なコストがあります。そのコストを負担せずに利益だけを求める人のことを指します。
例えば、新入社員であれば、自社の製品の特性や魅力を理解したり、業務の流れを覚えたりする場面では、個人の理解する・覚えるという努力が求められます。多くの人は、その努力をちゃんと行い、一つひとつクリアをしながら社員としての自覚を高めていき、周りからの信用を得ていきます。
しかし、フリーライダーは覚えるという努力をしないのです。この努力をコストとして考えるときは、その能力だけでなく、そこに費やす時間も含まれます。
傭兵NG
仮にあなたの働く職場で、そういう人があなたのすぐそばにいたらどうでしょう。はっきり言って、そういう同僚は迷惑なのです。組織にいてもらっては困る人なのです。そのクライアント企業はその影響力と重要性を理解しておられました。
傭兵とは、お金で雇われた兵隊です。お金を得るために兵士として戦う人です。会社の中に傭兵志向の社員が一人いるだけで、企業文化が乱れてしまいます。このことについては、「お金でした物事が決まらず、人は動かない」組織を想像するだけでNGである理由を理解できると思います。
お客様を愛せない人NG
最後はお客様を愛せない人です。人間は十人十色、多様性であって当たり前です。なかなか難しいようにもおもわれますが、この会社では、敢えて、「お客様を愛せない人はNG」としました。
実は、これは入社後に求める社員像として、入社前からよくよく理解しておいて欲しい、といった願いが込められていました。クライアント企業の社員像には、「自社の製品を愛し、顧客を愛し、喜ばれるサービスを実践する」という文章がありました。自社の存在価値をわかりやすく示した社員像の文章はシンプルでしたがとっても温かみのある者でした。この会社に入ったらどうしたら良いのかを示したものでもあると今でも思います。
志望企業のNG情報も把握しておこう
就職活動では、自己分析結果を基にして、業界研究や企業研究をする中で志望する企業を決めていきますが、ぜひその際には、NG情報にも意識を向けてみると、その企業の本質的な部分に触れることができるかも知れません。
コロナ禍ですのでOBOG訪問が難しい状況かと思いますが、直接人事の採用担当者へ連絡を入れてみると、なかにはOBOGとして該当する社員はいなかったが、人事の方が快くできる範囲で対応してくれたといった話も実際にあるのです。もちろん企業の方針などがあるのですべてがすべて同じ対応をしてくれるものではありませんが、大事な志望企業への就活のワンステップとして真摯に誠実に実践する人が、結果的に欲しい成果を手にされているように見えます。