自己と向き合う

人生には「運命」があり、その多くが既に定められている、といった捉え方があります。一方で、人生は「選択」の連続であり、その積み重ねが人生となる、という捉え方もあります。この二つで比べたとき、あなた自身はどちらの志向で生きてきた人でしょうか?

この問いに唯一解などありません。ですが個人としては、人生は選択の連続と考えています。サムシンググレートが与えてくれた自身の人生をどう生きるのかは、やはり自分で決めるしかないのだと思うのです。すると、後々何が起きても自責の立ち位置で反省ができ、そこから学びを得ることもできるようになると考えています。

勉強でも仕事でも人としてでも、自己を成長させたいと願うのならモノゴトは自分で意思決定をしている自覚を固めることが大切だと思うのです。

昔から「一寸先は闇」と言われていますが、今ではVUCAが、将来の予想が難しく不確実性が高い時代であることを指しています。先のことは誰にもわからないからこそ、誰かの知恵をお借りしてでも、最後は自分で決める自信や勇気が必要なのです。

自信や勇気というのは、残念ながら百貨店やスーパーで買うことはできません。幼児の頃は、両親や周りの大人から少しずつ刺激をもらい育んでもらいました。一人で歩けるようになってから今日までは、あなたが体験してきた中から学習した結果とも言えます。

自己効力感という言葉があります。アルバート・バンデューラ(スタンフォード大学教授)が提唱された心理学用語のひとつです。物事の考え方を少しずつ変えれば、「自分ならできる」という自信を持てるようになり、何事にもポジティブに取り組むことができるのです。このような自分の可能性を信じられる感覚を自己効力感と言います。

転じて、周囲の期待や要望に十分対応できている自身や確信のことを指すとも考えられています。自らの意志で、主体的に行動している確信の元に得られる感覚で、Self-efficacyと言われています。

困難な状況に置かれても、自分で切り抜ける可能性を信じ、結果を出すための適切な行動を選択して前進できる力を自分にはある、と思える感覚のことが自己効力感です。

自己効力感を高めることで目標達成する可能性を高めることができ、自分自身を肯定的に捉える(自己肯定感)ことにも役立ちます。

学生がこれまでに行ってきた大きな選択と言えば受験ではないかと思います。しかしその経験があまり役に立たないのが就活ではないかと考えています。(この点は後日詳しく触れます)

多くの学生にとっては、人生最初の大きな選択が就活で行う自身の進路先を決める、意思決定です。迷ったり、悩んだりすることは当然なのですが、如何せん初めての経験ゆえ、どうしていいものかと考え込んでしまうこともしばしばです。そのこと自体が悪いことではないのですが、そういうことで時間をムダに消費できるだけ就活の時間は潤沢にあるものではないのです。

なので、これから就活を迎える25年卒26年卒の皆さんには、今のうちに自分の自己効力感を正しく把握し、必要ならばそれを高めるトレーニングを積むことを始められることをお勧めしたいのです。

新卒学生の採用の現場ではリーダーシップを注視する企業が少なくありません。少し前まで、リーダーシップはある・ないで評価していましたが、今はそうではありません。人事界でも人間理解が進んできています。現在ではその人に合ったリーダーシップの取り方がある、の考えが中心で、どんな場面でどのように発揮したかを問う質問を使用します。

残念ながらこういったことを理解できていない学生がおられることも事実です。日本のキャリア教育の課題でもあると思いますが、ここはやはり自責で受容すると、学生自身が自分の人生やキャリアと真摯に向き合っていないことが根源にあるのではと思うのです。

もうすぐ長い夏休みになります。この機会を逃すことなく、自分は何者なのか、何に向いているのか、一度限りの人生をどう生きたいのか、と言った問いを自分に投げかけ、真摯に自分と向き合ってみてはいかがでしょう。

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