今日は七夕ですね。天候にもよりますが、今夜は夜空の星々を眺めながら自身のキャリアに思いを馳せてみてはいかがでしょう。
24年卒採用予定者に対して内定出しがそろそろ終りになる頃です。複数の会社から内定を得た学生にとっては、最終的にどの会社に選択すべきか? と悩まれている人もおられるでしょう。
それぞれが持つ背景によっても選択基準は変わってきますが、JOBとLIFEを合わせて一度限りの人生を自分らしく豊かなものにするために、ファーストキャリアで失敗しないために、留意すべき点をご紹介します。
一つ目は、ごく当たり前ですが、その会社が事業を通して誰かの役に立つことに努力している健全な企業であることです。つまりホワイト企業であることです。あくまでも中身の話で規模の大小ではございません。
資本主義社会で営まれているビジネスを端的に言うと、どれだけ健全でホワイトな企業であっても、資本家が利益を得るために労働者は働いている、という構図は変わりません。この点を事実としてスマートに受容することも大切です。だからこそ、その会社で何をするか、の部分が重要になってくるのです。
以前にもお伝えしたように入社3年程で早期退職する若手社員が語る本音の退職理由は、「人間関係と自分に合わない」なのです。これはファーストキャリアのミスマッチであり、しくじりとも言えるひとつの結果なのです。
企業ブランドや収入、待遇面を選択基準にしたことが早期退職につながることは、これから社会に出る学生であっても想像がつくことでしょう。
そこで二つ目が生きてくるのです。
それは「あなたの強みを存分に発揮できる環境」の有無です。毎日の業務遂行で自分の強みを活かせることが重要なのです。ここが整っていると「自分に合わない」と言ったことが発生しません。
充実感ややりがい、成長欲が高まり、人間関係も良好に構築され、自学自走する人材と周りから評価されることでしょう。よって、早期退職につながるタネや芽を自ら持つこともないのです。
誤解のないようにお伝えしますが、一生一つの会社で働くことを善しとして勧める話ではございません。職業人として成長し更なる高みを目指すプロ職業人の転職はこれからも続くでしょう。
ただ、ネガティブな理由を胸の中に秘めて退職することはプロの職業人を目指すのであれば避けなければいけないと思うのです。
就活における会社選びは、自分のコンピテンシーや強みを活かせるたくさんの正解から1つの職能を選び、その職能を積める会社を選択することが最も大事なことだと考えています。
「最初は別の部署で組織人としての経験を積み、ゆくゆくは適正を診たうえで希望の部署にも異動できる…」などと言う会社よりも、職業人としてプロを目指す人にとっては、入社時に希望する部署への配属をしてくれる、或いはその可能性が高い会社のほうを選択すべきだと思うのです。
欧米のように個人主義の文化では、嫌でも自分という“個”について幼少期から自覚を促される教育を家庭でも学校でも受け続けます。しかしゼロから何かを生み出して全員で分ける農耕民族を長く続けてきた日本は違うのです。
全体として自分たちがどうあるべきか、集団の中で自分はどんな善良な構成員であるべきかという道徳律は教えるが、個の自覚を促す教育は伝統的に貧弱なのです。
昭和の時代ならば、レールがはっきり、しっかりしていたのでそれでも良かったのです。皆で勉強して、皆でいい大学を目指して競争し、皆で一流の大きな会社に入って、皆で一生懸命働いて、そうすれば皆を会社が一生面倒見てくれる。ややこしいことを言う個性の強い人間よりも、事務処理能力だけは高くてできるだけ従順な大量の歯車が必要な時代だったのです。
かつての日本では、個の覚醒など不必要だったのです。しかし、VUCA時代の日本では既に欧米と同様に個の覚醒なき者が職業人として勝者になれる道はほぼ無い状況と考えていいでしょう。
日本の今後を鑑みると、企業同士が小さくなっていくパイの中でシェアを激しく削り合う、質的な戦いの中で生き残っていかなければならない世界へとなるでしょう。そうなると、中途半端な人材を大勢抱え続けられる体力のある企業は激減するでしょう。
会社選択の際に避けたいのは、自分にどんな職能が身につくのか想像つかない会社です。会社から割り振られた仕事を黙々と行い、ローテーションされながら、広範囲を知るゼネラリストを育てる…と言われても惑わされないことです。
その真実は、どの領域においてもプロではない中途半端な人材を大量生産しているのです。結果、少し環境が悪くなったり、事業運営が厳しくなると、中途半端な人ほど放り出されるリスクが増加しているのは企業の大小に違いがありません。
「餅は餅屋」のように、ナスビにはナスビに適した土壌があり、トマトにはトマトに適した土壌があるのです。ナスビをトマトに適した土壌に植えても美味しナスビは収穫できないでしょう。まして、ナスビがトマトになろうとしても残念なナスビになるだけです。
自分がナスビなら目指すべきは立派なナスビになることです。あなたがトマトなら立派なトマトを目指すのです。そして、そのための努力をコツコツ積み重ねることが、一度限りの人生を自分らしく豊かに生きる秘訣だと考えています。