【実践ワーク】好きなこと(動詞)リストから「3つのコンピテンシー」を炙り出す
就活生の皆さん、こんにちは!皆さんが自分らしく輝けるキャリアを見つけるお手伝いをしています。
昨日の記事で、皆さんの「強み」は、特別な成功体験ではなく、「成果に繋がる再現性のある行動特性(コンピテンシー)」として捉え直すことが重要だとお伝えしました。今日はいよいよ、そのコンピテンシーを明確に発見するための実践的なワークに入ります。
多くの学生が自己分析で失敗するのは、「私はどんな人ですか?」という抽象的な問いから入るからです。そうではなく、私たちは「何をしている時が一番楽しいか?(動詞)」という、皆さんの内発的動機に直結した問いからスタートします。
今回ご紹介するのは、私が研修で最も効果を上げているワーク、「好きなこと(動詞)のコンピテンシー仕分け」です。このワークを通じて、皆さんが無意識に発揮している「考える力」「伝える力」「人を巻き込む力」というビジネスで必須の3つのコンピテンシー軸を炙り出します。このワークを実践すれば、皆さんの「強み」は一気にブレない自信へと変わるでしょう。さあ、ポストイットとペンを用意して、一緒に始めましょう!
1. なぜ「好きなこと(動詞)」から強みを見つけるのか?
自己分析の出発点として「好きなこと」を選ぶのは、心理学とドラッカーの教えに基づいた、最も効率的で効果的な方法だからです。
このセクションでは、動詞リストを作成する科学的な根拠を解説します。
1.1. 好きなことは「内発的動機」の源泉である
心理学において、人は内発的動機(心からやりたいと思う気持ち)に基づいた行動をしている時、最も高い集中力とパフォーマンスを発揮するとされています。皆さんが「好き」「楽しい」と感じて無意識に選んでいる行動には、皆さんの能力が無理なく発揮されている証拠、つまりコンピテンシーのヒントが詰まっています。「強み」とは、苦手なことを頑張ってできるようになったことよりも、「努力だと感じずにできてしまうこと」の中にあるのです。
1.2. 「動詞」で書くことで行動特性を抽出する
自己分析で「優しい」「明るい」といった形容詞で自分を表現すると、抽象的すぎてビジネスの強みになりません。しかし、「教える」「整理する」「交渉する」「調べる」といった動詞で書くことで、それは具体的な「行動特性」へと変換されます。企業が知りたいのは、「あなたが何者か」ではなく、「あなたが入社後、どんな行動を起こし、成果を出すか」という未来の行動だからです。
1.3. ドラッカー流:「成果」は強みを活かした行動から生まれる
ピーター・ドラッカーは、知識労働者(働く人)が成果をあげるためには、まず「自分が何が得意か(強み)」を知る必要があると説きました。この「得意」は、人から褒められたことだけでなく、「自分が一番簡単に、自然とやってしまう行動」の中にあります。まずは自分の好きな行動をすべて書き出すことで、自分の無意識下の「強みの習慣」を意識上に引き上げましょう。
2. 実践ワーク:好きなこと(動詞)リストの作成と仕分け
それでは、具体的なワークに入ります。ポストイットとペンを用意してください。ワークの目標は、皆さんが普段無意識に発揮しているコンピテンシーの核を見つけ出すことです。
2.1. ステップ1:「好きなことリスト」(動詞)を5分間でひたすら書き出す
時間を5分間に区切り、「あなたがこれまで、学業、アルバイト、趣味、友人関係など、どんな場面でもいいので『夢中になったこと』や『人より楽にできたこと』を動詞で」ポストイットに一枚一枚書き出してください。
- NG例(形容詞): 「優しい」「明るい」
- OK例(動詞): 「教える」「分析する」「計画する」「まとめる」「説得する」「提案する」「謝る」「聞き出す」「記録する」など。
思考を止めず、出てくるものをすべて出し切りましょう。最低でも30枚以上(ワークショップでは100枚を目標にしています)を目指してください。
2.2. ステップ2:ビジネスコンピテンシーの3つの軸で仕分ける
書き出した動詞リストを、以下の3つのビジネスコンピテンシー軸(TCL軸)に仕分けしてください。この3軸は、多くの企業が若手社員に必須と考える汎用的な能力です。
| 軸 | 名称 | 行動の特徴(発揮される場面) |
| 軸1 | 考える力 (Thinking) | 課題を発見し、情報を論理的に整理・分析し、解決策を導く。 (例:分析する、計画する、調べる、原因を特定する) |
| 軸2 | 伝える力 (Communication) | 自分の意見や情報を、相手に合わせて説得力を持って伝えたり、相手から正確に情報や本音を引き出す。 (例:話を聞く、交渉する、説明する、質問する) |
| 軸3 | 人を巻き込み引っ張っていく力 (Leadership) | チームや集団の目標を設定し、メンバーを鼓舞し、目標達成に向けて行動を促す。 (例:動かす、決断する、責任を取る、励ます、提案する) |
| その他 | 3つの軸に当てはまらない、より専門的な動詞や具体的な行動 (例:料理する、プログラミングする) |
2.3. 最も枚数の多い軸=「核となる強み」を発見する
3つの軸のうち、最も多くのポストイットが集まった軸こそが、皆さんが最も無意識に、そして高頻度で能力を発揮している「核となるコンピテンシー」です。例えば、「分析する」「調べる」「計画する」に集中してポストイットが集まった人は、「考える力」が核となり、複雑な問題解決を得意とするタイプだと明確に分かります。この発見が、皆さんの就活におけるブレない軸となります。
3. 仕分け後の分析:動詞を「行動原理」として深掘りする
単に枚数を数えるだけで終わらせてはいけません。集まった動詞をさらに深掘りすることで、皆さんの「行動原理」、つまりその強みを支える価値観を明らかにします。
3.1. 集中した軸で「似た動詞のグルーピング」を行う
最も枚数が多かった軸のポストイットを取り出し、「教える」と「説明する」のように意味が似ている動詞をグループ化します。このグループの共通項こそが、皆さんの強みのより具体的な特性です。例えば、「伝える力」の中でも、「聞き出す、質問する、共感する」といった動詞が多ければ、皆さんの強みは「傾聴を通じた問題解決型コミュニケーション」だと定義できます。
3.2. 「逆の行動」を振り返り、強みの裏側にある価値観を探る
なぜ、あなたは「計画する」ことが好きなのか? その動詞の「逆の行動」を考えてみましょう。「無計画で進める」ことです。あなたは「無計画で進むことにリスクを感じる」という価値観があるからこそ、「計画する」という行動を選んでいるのです。この「価値観」こそが、皆さんの強みを支える内発的な根拠となります。強みの裏側にある価値観まで言語化することが、面接での深い納得感に繋がります。
3.3. 「その他」の動詞を「専門性」として活かす戦略
「その他」に分類された動詞は、3つの汎用コンピテンシーとは異なる、皆さんの専門的なスキルや特異な行動を示しています。これらは汎用性こそ低いものの、特定の業界や職種(IT、デザイン、医療など)にとっては決定的な武器になります。就活では、この「その他」の強みを活かせる企業をピンポイントで狙うという戦略も有効です。

4. まとめ:強みの「核」を見つけ、就活に自信を持とう
今日のワークを通じて、皆さんは自分の「好き」という感情の裏側に隠された、ビジネスで通用する「行動特性(コンピテンシー)」の核を発見しました。
4.1. あなたの強みは無意識の「行動パターン」の中にあった
強みとは、難しいことを頑張って成し遂げたことではなく、あなたが「自然と、無意識のうちに」高い頻度で繰り返してしまう行動の中にあります。この無意識の行動パターンを意識上に引き上げたことが、今日最大の成果です。
4.2. 3つの軸があなたの強みの骨格を明確にした
「考える力」「伝える力」「人を巻き込む力」という3つの軸で自分の行動を仕分けしたことで、皆さんの強みがどのカテゴリーに属し、企業でどのように活かせるのかという強みの骨格が明確になりました。
4.3. 明日は「強みを貢献として言語化する」ステップへ
明日はいよいよ、今日発見した「核となるコンピテンシー」を、採用担当者が「ぜひ自社で活かしてほしい」と感じる「成果」と「貢献」に昇華させる言語化のステップに入ります。この言語化の技術こそが、皆さんの自信を確信に変える鍵となります。自分の強みを活かす就活は、あなた自身を輝かせます!