マイナビが実施した24年卒の就活を終えた、または活動中の子どもを持つ保護者を対象に実施された「就職活動に対する保護者の意識調査」の結果がマイナビから発表されました。採用担当者のやりとりの中で頻出する「オヤカク」の調査結果も明らかになっています。
子どもの就活に対する保護者の関心度合いについて「関心があった(高い関心があった+関心があった)」が全体で71.3%となっていて年々比3.3pt減でしたが、前年同様高い関心度となっていました。
世帯状況(二親世帯:両親か・単親世帯:ひとり親か/片働きか/子どもと同居か・同居でないか)別にみると、「関心があった」が最も高かったのは「単親・同居」世帯(81.5%)で、「高い関心があった」の割合は22.2%と他の世帯と比べても高かった。次いで「片働き・非同居」(74.4%)、「単親・非同居」(74.2%)、「片働き・同居」(74.1%)、「共働き・非同居」(72.7%)と続き、最も低かったのは「共働き・同居」(66.6%)となっていました。
単親世帯で保護者1人が子供を養育している場合や、二親世帯でも保護者の一方が家にいる場合などが特に関心度が高く、概ね、単身世帯 > 片働き世帯 > 共働き世帯 の順に関心が高い傾向となっていました。
子供の就活に対して「不安になったことがある」と回答した割合は56.0%(前年比4.0pt減)で、直近3年間で減少傾向となっていました。
就活環境についてのイメージも「厳しい環境」(「大変厳しい環境と「多少厳しい環境」の合計)の回答は減少傾向が見られ、売り手市場と言われている近年の新卒採用市場の状況を把握してか、保護者の不安感も少なくなっていると伺えます。
子どもとの日常のコミュニケーションにおいて、就活を含めてその行動に「Z世代らしさ」を感じたポイントを聞いたところ、最も多かったのは「分からないことは誰かに聞かずにすぐにスマートフォンで調べる」40.0%で、ついて「就活含め日常的にSNSを活用している」37.9%、「オンラインでの活動に慣れている(面接など)」30.4%などの回答が並びました。
一方、保護者が就活をしていた当時の風潮として当てはまると思うものを聞いたところ、最も多かったのは「転職は今ほどまだ一般的ではなかった」46.1%で、「長時間労働や休日出勤などは当たり前だった」44.8%、「結婚や参加・育児のタイミングで退職する人が多かった」42.4%、「一つの会社に勤めあげキャリアアップを目指すことが当たり前だった」41.5%などの回答が並びました。
終身雇用を前提としたキャリア形成が当たり前だった時代に就活を行っていた保護者からは、1つの会社に長期で勤続する前提でない、あるいは出世を望まない、姿勢をZ世代である子供の就職観から感じ、ギャップを感じているように伺えます。
子供が入社する企業についてどのような特徴があると良いかを聞いたところ、最も回答が多かったのは前年度と同様「経営が安定している」(48.6%)でした。「企業の成長性が見込める」(16.4%・前年比2.8pt増)や「休日・休暇が多い」(6.4%・前年比2.0pt増)などが増加し、「福利厚生が充実している」(16.2%)が前年比減ながら順位を上げるなど、勤務先の成長性だけでなく、ワークライフ・バランスに関わる関心の高さが伺えました。
子供に働いてほしい企業を1社だけ自由記述で記入してもらったところ、1位は今年も「公務員」となり、保護者の安定志向がうかがえる結果となった。企業としての1位はトヨタ自動車となり、伊藤忠商事、ソニー、NTTなど、前年に引き続き上位10社に入る企業もいくつか見られました。外資系企業で前年もランクインしたグーグルに加えて今年はアマゾンもランクインしていました。
子供の内定企業から「内定確認の連絡」いわゆる「オヤカク」を受けたという回答は52.4%と半数以上となっていて増加傾向が見られました。
24年卒の学生を対象にした調査では、内定先に関する意思決定の際に助言や意見を聞いた相手として最も多かったのは「父親・母親」61・9%で、学生の意思決定に保護者の影響が大きいと言え、こうした背景から内定学生の保護者に対して同意の確認を行う企業が増えていると考えられます。
就活生の保護者から自身の経験を踏まえたアドバイスとして、「子どもの就職環境に関する情報収集が必要である」といったコメントがありました。子供が分から進路や将来について助言や支援を求められた際に適切なアドバイスができるように、世代間ギャップを認識しながら、子供を取り巻く環境に対する知識・情報を把握しておくことが大切だと思います。
最近は、親と子の関係が非常に仲がいい、と言われています。基本的には時代に合った関係性が築かれていると思います。子どもはやがて自分の人生を歩むためにあなたの手元から巣立つのです。その境界にあるのが子どもの就職ではないでしょうか。
我が子の就活については、支援できることはどんなに小さなことでも精一杯してあげてください。そのためには、親世代が経験した就活をベースに考えるのではなく、今の時代と子供が生きる時代を鑑み、親として伝えられることはすべて伝える姿勢でいたいものです。親の経験談やそこからの学びも大切な情報ですが、くれぐれも時代背景が今とは大きく異なることを忘れないことが大切です。
子どもから、社会の一人、自分の人生を歩む大人へと旅立つ支援は、親として、手を差しのべる機会もそれほど多くないことを教えるイベントなのかもしれません。