25年卒就活準備実態調査(1月)の結果がマイナビから発表されました。今回の調査では就活の方向性が固まっている学生が64.1%と前年より7.7pt増加していました。今回注目した項目は、「就活の方向性について」と「就活におけるタイパに対する意識」です。本格的な活動を直前に学生の姿勢を垣間見た思いです。
まず恒例の1月時点のインターンシップ・仕事体験への参加割合は89.8%(対前年比3.7pt増)となっていました。大学によっては多少の違いがありそうですが、1月は授業以外にも後期試験やゼミ・研究室配属が始まるなどで学業が忙しくなる時期です。そのため、月次ごとの参加率は低下する傾向にありますが、累計参加率はほぼ9割と高い水準を維持していました。25年卒学生がインターンシップ・仕事体験に積極的に参加していることが見えてきます。

次に、「就活の方向性として、現在の状況はどうか」という問いに対して、「就活の方向性(志望業種や企業、職種、大事にしたい価値観など)が固まっている」と回答した学生は前年より7.7pt増加した64.1%となっていました。
25年卒は、インターンシップ・仕事体験のグラムでもわかるように、6月から前年よりも高い水準でインターンシップ・仕事体験への参加割合が推移していて、就活に向けての準備は前年よりも意欲的に進めていたと考えられます。
就活の方向性や軸が固まっていることは非常に素晴らしいことです。ただし要注意事項は、そこに至るまでに行ってきた自己分析の深さと正確性です。3月までまだ時間はありますので、これからは自分が取り組んだ自己分析とそこから導き出したものの総点検を入念にしておきましょう。これがしっかりできているだけでも自信につながります。たとえば、志望動機・強みと弱み・ガクチカ・自分の将来像などの言語化した内容を、できる限り実社会で仕事をしている大人に見てもらうことをお勧めします。

最後に、インターンシップ参加、就活準備、就活においてタイパを意識することのメリット、デメリットについてどのように感じているかを尋ねたところ、前年同様に「メリットとデメリットが半分半分だと思う」が最多で55.5%(前年比4.4pt増)でした。続いて「メリットの方が多い」が昨年比7.8減の38.0%、「デメリットの方が多い」は昨年比3.4pt増の6.5%となっていました。

メリットの方が多いと思う学生の理由
タイパ、つまり効率性を意識することは、多くの企業、そして多くの興味分野がある学生にとっては、必要不可欠といえるし、当然デメリットもあるとは思うが、力の配分、時間の配分に気をつけ、そういった側面についてもある程度の理解があれば、良い方向に働くと考えているため。
デメリットの方が多いと思う学生の理由
時短を望むあまり却ってそれが遠回りになっていることは往々にしてある。なにより就活はこれまでの人生の積み重ねを最大限発揮して一瞬の輝きを見せる場であるため小手先の策では到底通用しない。そのためたとえ時間がかかったとしても多くリソースを費やした方が今の為にも、ひいては未来の為になると思う。
両者の話をまとめると、「メリットの方が多い」と回答した学生は「時間配分に気をつけ、効率性を重視して動くこと」の必要性を感じていて、「デメリットの方が多い」と回答した学生は、「(将来について決めることは重要なことなので)多くの時間(リソース)をかけて決めること」の必要性を感じている様子が伺えました。
Z世代の価値観のひとつになっているタイパですが、メリットを感じる人が一定数いる一方で、半々だという人も含めると、デメリットを感じる人の割合も増えていることがわかります。メリット、デメリットについては回答が分かれましたが、理由を聞いてみると就職先を選ぶという活動の重さを感じている点が共通に伺え、時間の使い方に関するアプローチの違いが現れているだけだと捉えることができました。
25年卒の就活準備は、ここまで順調に進んでいるように伺えます。3月から本格的な活動が展開されるようになりますが、くれぐれもいち早く就職先を決定することが就活のゴールではないこと留意してください。これからは、自身と相手のフィット度合を充分に検討しながら進めていく段階です。勇み足に気をつけて、しっかり一歩一歩前進して参りましょう。