27卒就活シリーズ |第5回
「自分がどんな仕事をしたいのか、まだピンと来ない」
「周りがどんどん進んでいて、置いていかれている気がする」
「“就活の軸を持て”と言われても、何から考えればいいのか分からない」
そんなふうに感じている27卒の皆さんへ。
就活が本格化し始めるこの時期は、「軸がないとESが書けない」「面接で何を話せばいいか分からない」と、不安になりがちなタイミングでもあります。
でも、“将来の軸”は、最初から明確である必要はありません。
この記事では、キャリアの軸を育てていくための3つの視点と、実践的な整理ステップを深く丁寧に解説します。
「まだ分からない」から「少し見えてきたかも」へ。
一歩ずつ、進んでいきましょう。
キャリアの「軸」って何? なぜ必要なの?
「軸」とは、仕事選びや人生の選択をするときに判断基準になる価値観やこだわりのことです。
たとえば…
• 「人と関わる中で力を発揮したい」
• 「安定した環境で、長く働きたい」
• 「常にチャレンジし続ける自分でいたい」
• 「地方に貢献できる仕事がしたい」
どれも立派な軸です。
これらは、自分の経験・感情・価値観の積み重ねから少しずつ形成されていくもの。
はじめはぼんやりしていても大丈夫。大切なのは、「育てていく姿勢」です。
キャリア観を育てる3つの視点
1|過去の経験から価値観の“種”を見つける
まずは、自分のこれまでの経験を振り返ってみましょう。
どんな瞬間に喜びを感じ、どんな場面でモヤモヤしたのか。
📌 自己分析で使える問い:
• 最も達成感を感じた経験は? なぜ?
• 「この時間、ずっと続いてほしい」と思えた活動は?
• 逆に、「もう二度とやりたくない」と思ったことは?
こうした問いから、自分の中にある価値観の“原石”が見えてきます。
2|今の自分の“感情の動き”をキャッチする
企業説明会やインターンに参加している中で、「なんとなく惹かれる」「ちょっと違和感がある」と感じる瞬間はありませんか?
その違和感や共感には、自分の本音が表れています。
📌 メモしておくべきこと:
• 「この会社の理念、いいな」と思った理由
• 「この働き方、自分には合わなさそう」と感じた瞬間
• 「この職種、やってみたいかも」と思ったときのきっかけ
感情の動きは、今の自分が何を大切にしているかを教えてくれます。
3|“未来の自分”から逆算してみる
「5年後、10年後、どんな社会人でいたいか?」をイメージしてみましょう。
明確な夢でなくても、「なんとなくこうなっていたら嬉しいな」という感覚でOKです。
📌 逆算の問い:
• どんな環境で働いていたい?
• どんな人と、どんな価値を生み出していたい?
• 自分は、誰に、どんな影響を与えられる存在でいたい?
未来の自分の姿を考えることで、「今、何を大切にして選ぶか」が見えてきます。
実践!自分の「軸」を育てる4ステップ【詳細版】
◆ ステップ1|思考の棚卸し:「モヤモヤ」を書き出す
▶ 目的:
頭の中の不安・焦り・混乱を言葉にして見える化することで、自分の“今の状態”を客観視できるようにする。
▶ やり方:
• ノートやメモアプリに、今の気持ちや悩みを15分間、制限時間を設けて一気に書き出す
• 「やりたいことがない」「人と比べて焦る」「親の期待が重い」など、まとまっていなくてOK
🧠 ポイント:
• 頭から出すだけでも、思考が整理され始める
• 見返すことで、“自分が何にひっかかっているか”が見えてくる
◆ ステップ2|経験棚卸し:「好き」と「嫌い」の分類
▶ 目的:
過去の経験を分析して、自分の価値観・得意な行動スタイル・モチベーションの源泉を見つける。
▶ やり方:
1. 中学~大学までの出来事から「印象的だった経験」を書き出す(例:部活、バイト、授業、旅行、トラブルなど)
2. 各エピソードに対して、「楽しかった or つらかった」理由を言語化する
3. その理由から、「自分が大事にしていること」を抽出する
✏️ 例:
• 楽しかった:学園祭のリーダー → 自分で考えて動けるのが嬉しかった
• つらかった:塾バイト → 教材通りに進める単調さにやる気が出なかった
→ ⇒ 大切にしたい価値観:「創意工夫」「自由度」「チームで成果を出す」
◆ ステップ3|未来想像ワーク:「理想の1日」を描く
▶ 目的:
自分が「どんな環境」「どんな働き方」「どんな人と関わりたいか」を可視化し、仕事選びの軸につなげる。
▶ やり方:
1. 5年後、理想の平日を“朝~夜まで”タイムラインで自由に書き出す
2. その中から、自分のキーワードを拾っていく
✏️ 例:
• 朝:自然光の入る静かなオフィスでリモートワーク → 心地よい働く空間
• 午前:社外のクライアントと提案ミーティング → 対人・企画型の仕事が好き
• 午後:チームでブレストしながらアイデアを練る → 協働、創造性を重視
• 夜:仕事が終わったら自己投資の時間 → 自己成長を大事にしたい
→ このように、“理想”を描くことで、軸の要素が言葉として浮かび上がってきます。
◆ ステップ4|軸の言語化:自分だけの“判断基準”を持つ
▶ 目的:
これまでの整理から見えてきた価値観や考え方を、実際の就活で使える形にまとめる。
▶ フレーム例:
• 「私は、〇〇という価値観を大切にして働きたいと考えています」
• 「△△な経験から、□□のような環境で力を発揮できると感じました」
• 「将来は、××のような役割で、人や社会と関わっていきたいです」
✏️ 例:
「私は、“自分のアイデアを活かして、人と協力しながら何かをつくる”ことにやりがいを感じます。大学ではイベント企画に没頭し、自由に発想しながらチームで達成する楽しさを経験しました。将来は、そんな創造と協働のある仕事を通じて、人に喜ばれるサービスを生み出していきたいです。」
大切なのは「答えを出す」より「問い続ける」こと
就活中に“軸”を決めきれなくても問題ありません。
重要なのは、「私は何を大切にしたいか?」を問い続ける姿勢そのものです。
軸は変化していきます。
• 新しい経験を通して変わること
• 就活を通じて気づくこと
• 社会に出てから深まること
だからこそ、今の自分なりの言葉で、“今の自分の軸”を持つことが、ブレない就活・後悔しない選択へとつながっていきます。
まとめ|キャリアの軸は「探すもの」ではなく「育てるもの」
• モヤモヤを可視化する → 自分の状態を整理する
• 経験を分析する → 価値観の種を見つける
• 未来を想像する → 判断基準の材料を言語化する
• 自分の言葉にする → 志望動機やESにも応用できる
「軸がない自分」を責める必要はありません。
むしろ、この記事をここまで読んだあなたは、もう「軸を育てるプロセス」に足を踏み入れています。
焦らず、自分のペースで、自分らしいキャリアを描く準備を始めましょう。