はじめに｜「一生懸命書いたのに響かない」志望動機の落とし穴
「ESはちゃんと書いたはずなのに、面接官の反応が薄い」
「“他の会社でもいいんじゃない？”と言われてしまった…」
こんな経験をした就活生は少なくありません。
その原因は、「自分の想い」だけで突っ走ってしまい、企業が本当に知りたいことに答えていないからです。
志望動機には、押さえるべき構成と論理があります。
今回は、面接官が求めている3つの視点と、それに基づいた伝わる構成の作り方・実例を、具体的に解説します！
第1章｜「熱意だけ」では、伝わらない理由
志望動機でよくあるNG例は、「好き」「共感」などの想いに偏った内容です。
たとえば…
• 「貴社の理念に感銘を受けました」
• 「説明会で社員の方の雰囲気が良かったです」
もちろん嘘ではないし、スタートとしてはOK。
でも、面接官から見れば「他の企業でも言えるよね？」という印象になりがちです。
志望動機は、“好きな気持ち”だけでなく、「なぜ」「どうして」「だからこそ」の論理展開が必要。
その裏に、自分なりの視点や接点が見えることが、選ばれる志望動機のカギになります。
第2章｜面接官が本当に見ている“3つの本音”
志望動機で企業が見ているのは、次の3つです。
① 自分と会社が“どこでつながっているか”がわかるか？
ただ「興味があります」ではなく、自分の経験・価値観・原体験と、企業の何が重なったのかを言語化できているか。
例：
「私は学生時代、地域で子ども向けのワークショップを運営してきました。社会と子どもをつなぐ活動にやりがいを感じ、教育事業に強みを持つ貴社の理念に深く共感しました。」
面接官は、“あなた自身の背景から導かれた動機かどうか”を見ています。
② 競合と比較して“なぜこの会社”なのかが語れているか？
同業他社でも似たことはできる。その中で、なぜこの会社なのか？を具体的に語れる人は信頼されます。
例：
「同じ教育業界でも、A社は集団指導が中心であるのに対し、貴社は個別最適化された教育サービスを展開しており、より個々の成長に伴走できると感じました。」
→ 比較を通じた“選んだ理由”があると、納得感が生まれます。
③ 入社後の“貢献イメージ”が描けているか？
志望動機のゴールは、「入社後どうしたいか」を語ること。
それが自分の強み・学びとつながっていることが重要です。
例：
「将来的には、地域の学校現場と連携しながら教育プログラムを開発し、子どもたちの“やりたい”を引き出す仕事をしたいと考えています。」
→ ここまで話せれば、「働く姿」がリアルにイメージできる＝面接官の記憶に残ります。
第3章｜伝わる志望動機の3ステップ構成【徹底解説】
では、どのように志望動機を組み立てればよいのでしょうか？
以下の3ステップで深く・わかりやすく伝えることができます。
■ ステップ①｜「原体験」×「興味関心」
まずは、自分の経験・価値観から、どんなテーマや仕事に惹かれるのかを語ります。
例：
「高校時代の被災地ボランティアで、人との関わりが持つ力を実感し、“人を支える仕事”に関心を持つようになりました。」
ここは「あなたらしさ」を出す部分。嘘のない等身大でOKです。
■ ステップ②｜企業との“具体的な接点”
次に、その関心がなぜこの企業に結びついたのかを、具体的に書きます。
• 説明会で聞いた社員の話
• OB・OGのエピソード
• HPやCSR活動からの気づき
例：
「貴社の『地域共生型』という考え方が、自分の大切にしてきた価値観と重なると感じました。」
企業と「自分」が“どこでリンクしているか”を明確に伝えることがポイントです。
■ ステップ③｜入社後の展望・貢献
最後に、自分がその企業でどう貢献したいかを語ります。
例：
「顧客対応を通じて現場の声を集め、サービス改善に活かすような仕事に挑戦したいです。」
→ 企業にとって、「未来を描ける学生」は期待値が高まります。
第4章｜志望動機を磨く3つのワーク
「うまく書けない…」という人も、この3つのワークで改善ができます。
1）“比較して言語化”ワーク
気になる企業3社を選び、以下の表を作ってみましょう。
| 項目 | A社 | B社 | C社 |
| 商品・サービスの強み | ◯◯ | ◯◯ | ◯◯ |
| 企業文化・雰囲気 | ◯◯ | ◯◯ | ◯◯ |
| 若手の働き方 | ◯◯ | ◯◯ | ◯◯ |
→ 「だからこそ、自分にはB社が合う」という理由が自然と見えてきます。
2）“感情を深掘る”5WHYワーク
「なぜその企業が気になるのか？」を5回繰り返して深掘り。
例：「◯◯なサービスに惹かれた」→ なぜ？ → 「◯◯を大切にしている自分に合うから」→ なぜ？…
→ 理由が明確になるほど、志望動機の軸が強くなります。
3）“過去→現在→未来”の時間軸ストーリー整理
以下の流れでメモにまとめてみてください。
• 過去：自分が影響を受けた経験や価値観
• 現在：企業に関心を持った理由
• 未来：入社後にやってみたいこと・成し遂げたいこと
→ そのまま志望動機の構成に活かせます！
第5章｜【業界別】志望動機の例文 5パターン
以下に、様々な業界別の「伝わる志望動機」例を紹介します。
■ 医療系サービス企業
大学時代に病院でのボランティア活動に参加し、「不安に寄り添うコミュニケーション」の大切さを学びました。
患者視点の医療を支える貴社の取り組みに共感し、医療と人をつなぐ存在として成長したいと考えています。
■ 金融業界
経済学部で学ぶ中で、お金の仕組みが人の人生に与える影響の大きさを実感しました。
なかでも貴社の「対話重視の営業方針」に惹かれ、相談者に寄り添うファイナンシャルプランナーを目指したいと考えています。
■ 総合商社
海外インターンを通じて、「価値の異なる人たちをつなげる仕事」の面白さを体感しました。
多様な産業・文化をつなぐ貴社のビジネスに魅力を感じ、グローバルな舞台で調整力を発揮したいと考えています。
■ 地方中堅メーカー
生まれ育った地域の伝統産業を支えるものづくりに関心を持ちました。
地場に根ざしながらも独自の技術を持つ貴社で、開発と営業の橋渡しとして地域の発展に貢献したいです。
■ 教育関連スタートアップ
教育ボランティアで感じた「一人ひとりの学びを支える面白さ」を、より多くの子どもに届けたいと思いました。
テクノロジーで教育を変革する貴社のビジョンに共感し、コンテンツ開発で力を発揮したいと考えています。
まとめ｜志望動機は、あなたの“未来の入り口”になる
志望動機とは、単なる「ESの一文」ではなく、自分のこれまでとこれからをつなぐ“キャリアの言語化”です。
うまく書けないときは、「伝えたいことがない」のではなく、
「まだ言葉にしていないだけ」かもしれません。
比較する。深掘る。時間軸でつなぐ。
それらを繰り返すことで、あなたらしい志望動機は必ず形になります。
伝えるために“整える”のではなく、“自分を知る”ために書いてみる。
そんな意識で取り組んでみてください。
きっと、あなたの本気は伝わります。
そしてそれが、未来の扉を開く力になります。