言葉を考察

ビジネスの現場では、3Mといってムリ・ムダ・ムラを省き、コストを意識した意思決定や行動が求められます。ムリとは負荷が能力を上回っていること、ムダはその逆で負かが能力を下回っていること、ムラはムリとムダの両方が混在していることを指すと言われています。トヨタ生産システム(TPC)では、ムリ・ムダ・ムラを徹底的になくして合理化を進めました。たとえば、ムダについては、造り過ぎのムダ、手持ちのムダ、運搬のムダ、加工のムダ、在庫のムダ、動作のムダ、手直しのムダの7ムダをなくすことを考えたのです。

若者のなかでは「タイパ」が定着しているようで、よく聞く言葉となりました。当初は3Mと類似する考えが若者のなかでもフォーカスされているように考えておりました。

先に個人的な価値観をお伝えしますと、命の次に大事なものはズバリ時間だと考えております。タイバ=タイムパフォーマンスと知ったときはポジティブに捉えていたのですが、しばらく過ぎた頃から「タイパ」に妙な違和感を持つようになったのです。

傾向として、対象の物事に費やされる時間の性能・機能・効果(パフォーマンスの意の一部)ではなく、単に短ければ短いほど、「良し」、「善」という価値観が優先されているように思えるのです。つまり、タイムパフォーマンスは、費やした時間の質を問うことではないだろうか、という疑問なのです。

何かを上達したいと思えば、一生懸命に練習をします。その積み重ねた時間がベースとなり金メダルを得ることだって可能とするのではないでしょうか。ならば、その積み重ねた時間は年の単位にもなるものでしょう。この時間をタイパで評価するとどう表現するのか、知的好奇心がくすぐられる問いなのです。

先日何かの記事だったと思いますが「就活はタイパ優先・・・」といった見出し記事を読みました。上述した問いを持っていましたので、そのまま読み進めてみましたが、やはり単に4年の6月末までに活動を終えることを目的としたものでした。6月に進路が決定することが早いかどうかもありますが、就活の目的はそこではないだろう、と考えるのですがあなたはいかがでしょうか。

一度限りの人生を生きる私たちは、それぞれ自分が持つ時間をムリ・ムラ・ムラなく使うことが大切だと思います。これを若者が使うコスパで表すと、それぞれ自分が持つ時間をコスパよく使うことが大切・・・となるかと思われるのですが、ちょっと違和感がないでしょうか。

時間の有効活用は長短ではなく質だと思うのです。なので、就活においても、私たちは早く決まり終えることよりも、あなたが心から納得して終えることが大事であると考え、セミナーなどの支援を行っているのです。

ここまでお読みいただいた人にはお気づきでしょうが、今回は「タイパ」という単語を使わせていただきましたが、要するに言葉の定義を共有していることがコミュニケーションにしろ、こうした文書にしろ、とっても大事なものであることにお気づきいただけたら幸いです。

たとえば、ビジネスの現場では頻出して使われている「問題」と「課題」ですが、社内で統一の定義を確り認知している会社ってそれだけでもレベルが高いことがわかります。それと、コミュニケーションといいましたが、「会話」と「対話」や「聞く」と「聴く」と「訊く」などもこのブログでは使い分けているのですが、お気づきでしたでしょうか。

ご自身が日常使っている言葉に意識を向けてチェックしてみることで、新しい発見がきっと得られると思います。

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