23年度 新入社員に訊いた

「働きたい職場の特徴は?」の問いに対しては、以下の結果になりました。

働きたい職場の特徴のトップは昨年に続き「お互いに助け合う」で66.4%でした。ここで注目したいのは、「お互いに助け合う」「お盥に個性を尊重する」が、他の選択肢よりも高い結果となっていることです。今のビジネス界では心理的安全性無くして働きたい職場にはならないという意識が表れていると思われます。選択肢トップ2は、10年前から13.2pt・21.8ptと増加していることが時代の変化を象徴しているようです。

個性を尊重することで能力を伸ばす教育方針や、SNSの普及で自己表現が日常的に可能となった背景となり、自己への意識や関心が高まっていることが伺えます。

「働く上で大切にしたいことは?」の問いについては、以下の結果になりました。

働く上で大切にしたいことのトップも昨年に続き「仕事に必要なスキルや知識を身につけること」で48.5%でした。

「任された仕事を確実に進めること」38.9%、「新しい発想や行動で、職場に刺激を与えること」13.8%が過去採用となっていました。一方で、「何事も率先して真剣に取り組むこと」が13.8%と過去最低となっていました。

自律を苦手とする若年層の特徴を反映している結果ではないでしょうか。自身のキャリア形成にも影響を与える学びの基本は自修自得です。大切に思うことをその通り行動に移すことが、成長する大人の姿です。自らが源となって学びを止めないLIFEを創造することが大切です。

「任された仕事」に対する意識の高いことがわかりましたが、ここには失敗に対しての不安や恐怖が隠れているようにも伺えます。とにかく、ミスや失敗なく現実に仕事をしたい意識が表れていないことを願います。

仕事で失敗は、あって当然のものです。恐らくその経験から多くの学びが生まれ、成長をすることができます。結果を恐れて存分に力を発揮しないことです。プロセスを真摯に積むことが大切です。そして、結果からしっかり学びを得る習慣を身につけることです。学びを続けるとキャリア開発は正比例するものです。

「上司に期待することは?」の問いについては、以下の結果になりました。

上司に期待することは、「相手の意見や考え方に耳を傾けること」49.5%が昨年に続きトップでした。わずかな差で次点となった「一人ひとりに対して丁寧に指導すること」49.1%は、10年前より16.3pt増で過去最高でした。一方で、「仕事に情熱を持って取り組むこと」19.6%が過去最低でした。また、「いうべきことは言い、厳しく指導すること」17.5%が10年前と比べ20.6pt減となっていて、厳しいフィードバックへの苦手意識が伺えました。

近年の若者の共通した傾向のひとつではないかと思うのですが、相手に心を許すまでには一定の距離を置く傾向が見られますので、情熱や熱血というワードが入った選択肢は敬遠される傾向があるのかも知れません。

サラリーマンになるのか、プロ職業人を目指すのか、によっても個人の立ち居振る舞いが変わってくると思います。飛躍した言い方になりますが、前者は事なかれ主義で言われたことを言われただけしかできない人になるでしょう。一方で後者は、業務のなかで挑戦をしながら経験学習を積み、言われなくても動ける自走する人になるのです。

自律自走できる人材になるためには自身の内側の情熱や熱血も必要なものだと思いますがいかがでしょう。

個人として働く(well-working)を考えると、星の数ほどの多様性が広がっています。例えば、好きな事を仕事にしたい人、社会的な意義を感じたい人、仕事と暮らしのバランスを保ちたい人、昼夜問わず仕事に熱中したい人、ライフステージが変わっても継続して働きたい人など、それこそ多様の世界です。

働く(well-working)を主軸にした、皆が共有できる特定の理想はないのです。だからこそ、自分で考え、時代や社会、組織とすり合わせる仕方を学習しておく必要性が高くなりつつあるのが今の日本社会ではないでしょうか。

上述した自分で考えるファーストステップはSelf-awareness(自己認識)です。個人が働くという営みは労働、賃金といっただけではなく、その人の人生や在り方を体現するものであることの理解度が深まる程、就活での体験は楽しみへと昇華していくのです。

学生の皆さんにとっては、人生はとっても長く感じるのかも知れません。また、そのなかでも多くの時間を費やす働くことをどう考えるのか、1年次・2年次にこの問いと真摯に向き合うことが自身のファーストキャリアを成功に導く必須課題なのです。

進路先を確定された24年卒の皆さんはホッとする間もなく、卒論に全集中モードで頑張られている方もおられるでしょうから時間配分が厳しいこともあるでしょうが、学業と並行されて、自身のファーストキャリアの在り方についてもじっくり思いに馳せる時間を確保されることもしてみてください。例えば、「お互いに助け合う」「お互いに個性を尊重する」組織の一人として自分は何ができるのか、を明瞭にしてみるとか、良好な人間関築くためノウハウや一般常識や社会人としてのマナーを学ぶ機会をもつことで、ファーストキャリアのスタートダッシュに繋げられるかと思います。勿論、学生生活を大いに楽しむことも大切です。特に心友との関係性をさらに深く強いものに育てておくことも大事なことです。

社会では、個々が自立した大人であると相手を認識します。だから、その人の主体性や好み、意思決定を尊重する姿勢と態度で大人たちはあなたと関わることになります。少しドライに思われるかも知れませんが、きめ細かい高級ホテルや旅館のサービスを求めるのなら、ちゃんとその費用を支払うことが今の時代の普通です。

ですから、自分で決める、そのために自分の手足を使って調べるといった基本を今のうちに少しでも習慣化しておかれることもお勧めします。周りの人を自立した個人として捉える、意見に耳を傾ける、わからないことは人に訊く。こうした姿勢が、自分の人生を自分らしく生きる在り方につながるのだと思います。

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