コミュ力改善

若年者の就職能力に関する実態調査(厚生労働省)で、企業が人材採用を行う際、最も重視する能力として「コミュニケーション能力」が挙げられたのが2004年ですから19年前となる。IT化、DX化と社会全体で進むなかで、ますます個々人のコミュニケーション能力が求められていると思います。

厚労省の資料を見ると、大卒レベルでは「コミュニケーション能力」、「基礎学力」、「責任感」、「積極性・外向性」、「ビジネスマナー」が上位でした。参考までに、高卒レベルに求められる能力は「コミュニケーション能力」、「基礎学力」、「責任感」、「積極性・外向性」、「資格取得」が上位でした。

コミュニケーション能力が高い人とは、話がうまい人と考えている人もおられます。ですが、それでは片手落ちです。コミュニケーションは、話すと聞くがセットとなっているものです。極端な言い方ですが、話す力がとっても高くても、聞く力に至ってははしゃぎまわる園児並ではいただけません。

その人の伝える力は、それまでの人生における傾聴経験と相関すると考えています。研修などの機会でもお伝えるのですが、「今日は少し喋り過ぎたな」と反省する人はおられますが、「今日は聴き過ぎた…」と自省するのは一部職業人を除いて、私たち一般人は滅多にない行動だと思うのです。

これをお読みのあなたも「聴く」ことの大切さはこれまでにもたくさんの情報に触れてきたことと思いますが、ご自分の聴く力向上にどのくらい役立ててこられたでしょうか。多くの人は、ノウハウとしての知識を持っても、それをできるようになるまで自主トレをされる人は少ないようです。

その背景にあるのは、真剣に自分の話を聞いてもらった経験がないことではないかと考えられています。しかし、経験しかことがないのだから仕方がない、とは言えないのです。未就学児ならともかく、知識としてはちゃんと知っていることであっても活かせていないことが問題となることがあるのです。

傾聴もその一つです。相手の話を最後までしっかり聴く、ことは大切なことです。だから話の途中で口を挟むことは慎むことが必要です。時と場によってはマナー違反として厳しいフィードバックを受けることさえあります。

コミュニケーションの改善のヒントとして紹介しているものに「利他心」があります。京セラの創業者稲盛和夫さんは、「利他の心を判断基準にする」とのこされていますが、コミュニケーションにも活用することができます。

最後にコミュニケーションの改善のポイントを幾つか紹介します。まず、相手の話を聞く側のときは、自分の価値観を軸にした判断は一切せず、相手の話を最後まで真摯に聴くことです。そして、相手が話し終えたら、聴いた内容を言語化して内容を整理し、情報を相手と共有します。

あなたが話す側のときは、相手のために言葉を使う意識を持ち、相手に合わせてわかりやすく伝えることが大切です。また、相手が求めている結論を考えてから話すことも押さえておきたいポイントです。

特に仕事におけるコミュニケーションでは、語彙力が豊富な人ほど有利なポジジョンに立つことができるのも事実です。特に私たちが使う日本語には、同じモノゴトを示す言葉も豊富にありますし、とても美しい表現になる言葉もあります。その人が持つ語彙はその人の生き方や思想を語ることさえあるように思えます。

就活を機に、コミュニケーションの改善や向上に取り組まれる際は、利他心や語彙にポイントを置いた実践を積む自主トレも取り入れてみてください。

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