25年卒予定の大学生、大学院生2,055名を対象に実施した就活準備実態調査(11月)結果がマイナビから発表されました。
11月単月のインターンシップ・仕事体験の参加割合は前年比3.2pt増の56.9%でした。推計参加割合は前年比4.8pt増の87.6%で、いずれも前年上回っていました。
今回の調査で注目したのは、「新卒で入社する会社で何年働きたいか」の問いです。
学生の回答は、「特に決めていない・わからない」が最多で34.3%(前年比2.6pt増)、次に「定年まで」が20.1%(前年比2.0pt増)でした。一方、最も少なかったのは「1~3年ぐらい」で3.9%(前年比1.0pt減)でした。
大学新卒者の入社3年以内の離職率は年によって若干の上下があるものの、1995年頃から約3割で推移していて、度々メディアでも話題となるネタです。しかし、就活前の段階では、3年以内での退職を考える学生が少ないことが分かります。
やはり、入社した後での環境や体験がトリガーとなり、3年以内で退職という選択をしていることが伺えます。キャリアの世界ではリアリティショックと呼んでいますが、ある調査によると、リアリティショックを感じる社会人は76.6%にも及んでいることが明らかになっています。こういう事態を避けるためには、自己分析と企業研究を徹底することが大切です。
リアリティショックが起きる要因としては個人差がありますが、主として次の要因が挙げられます。
- 仕事に関するギャップ
華やかなイメージで入社したものの、地味な仕事を任されることが多く、達成感が得られないというケースは珍しくありません。 また、学生時代の経験や資格を活かして、即戦力になれると思って入社したものの、実際は未経験者には難しく、何もできないと感じてしまうこともあるでしょう。仕事内容や自身の能力に関して、理想と現実のギャップが大きいことは、リアリティショックの要因となり得ます。
- 対人関係に関するギャップ
職場における対人関係は、その後の職業人生に大きな影響を及ぼします。また、離職理由の上位には対人関係が必ずあることも、その重要性を語っていると言えるでしょう。 実際に入社してみると、部署内の同僚と年齢差が大きく、ジェネレーションギャップを感じることもあるようです。上司や先輩社員が、無口でコミュニケーションの取りづらい人だったり、敢えて厳しく接してくる人だったりすると、職場環境に馴染めずに不安や喪失感に悩まされる場合もあります。
- 他者能力に関するギャップ
これは、同期や同僚のスキルと、自身のスキルに大きなギャップがあることで自信喪失してしまう場合があります。さらに、ミスを怒られてばかりいたり、フォローがされていなかったりすると、ショックはより大きなものになるでしょう。 その一方で、上司や先輩社員の仕事ぶりや勤務態度が悪く、尊敬できないというケースもあるようです。
- 評価に関するギャップ
これは新入社員よりも、ある程度勤続年数が経ってから、昇給や昇進に関して期待していたものと違う場合に起こると考えられます。 また、上司から褒められる機会が少ないため、自身の仕事が評価されていないように感じる場合があります。
就活生ができるリアリティショックを避ける対策としては、3つのポイントを紹介します。
- 実態に即した情報を得る
実態に即した情報を得ることが大切です。労働条件については不明確なことをそのままにして先に進むことはリスクとなることを理解しておきましょう。最近の新卒入社社員の1日の仕事の流れや給料などはリアリティ性をしっかり確認してみることも大切です。
- インターンシップやOB・OG訪問の機会を活用する
インターンシップ等の体験を通して、職場環境や人間関係を直接見て感じることは有益な経験となります。入社後のイメージがしやすくなりますし、現場で働く社員の生の声を聞くことや踏み込んだ質問ができる機会もあります。志望度の高い企業のインターンシップは参加することをお勧めします。
- 自身と企業の要望を相互に確認する
ESや面接では、自分のキャリアに対する考え方、仕事に求めることなどを正しく伝えることが切です。企業としても自社が求めている人物像に合致するかを確認することができます。お互いが求めているものを事前に確認しておくことで、入社後に「こんなはずではなかった」を避けることができます。
近年の就活生の多くが就職先に「安定性」を重視していますが、経済面だけではなく、自身の心身の健康や自分の強みを十分発揮できる環境であるか、といったことも含めて、総合的に就職先を選択することが、自分のキャリアを充実させるために重要であることを理解しておきたいものです。