ゼロから書く必要は、ありません
こんにちは、あなたらしく輝ける未来を共に創造して、キャリア形成や就職活動の支援をおこなっている【あおラボ】です。
昨日、5社の募集ページを読んでもらった。重なった動詞は、書き留められただろうか。
今日からは、書く作業に入る。エントリーシートだ。
ESと聞くと、身構える人が多い。何を書けばいいかわからない、という相談を毎年たくさん受ける。けれど、今月の作業をしてきた人の手元には、必要な部品がすでに揃っている。今日やるのは、それを並べ替えるだけだ。
Chapter 9 ESの材料は、すでに手元にある
まずは、何を持っているかを確認したい。今月つくってきたものが、そのままESの部品になる。この章では、4つの材料を順に確かめていく。
9-1 一行が、自己PRの柱になる
1つ目の材料は、先週決めた一行だ。これが、自己PRの柱になる。
多くの学生が、自己PRの冒頭でつまずく。原因ははっきりしている。何から書き始めるかが決まっていないからだ。経験から書くのか、性格から書くのか、志望動機とつなげるのか。選択肢が多いと、1文目で手が止まる。けれど、柱が決まっていれば迷わない。冒頭に一行を置き、そのあとに根拠を書く。この構造にすると、読む側もすぐ理解できる。先週書いたとおり、一行があると相手の中に像が残る。ESでも、同じことが起きる。選択肢を1つに固定しておくと、書き出しの迷いがなくなる。実際、冒頭が決まると残りは流れで書けることが多い。
一行を、自己PRの冒頭に置いてほしい。柱が決まっていれば、迷わずに書ける。
9-2 200字が、そのまま下書きになる
2つ目の材料は、先週つくった200字だ。これが、自己PRの本体になる。
一行を、意図・事実・変化の形で膨らませたものを書いてもらった。ESの自己PRは、たいてい300字から400字で書くことになる。つまり、200字あれば半分以上できている。ここで知っておいてほしいのは、ゼロから400字を書くのと、200字を400字にするのでは、かかる時間がまったく違うということだ。前者は2時間かかることもある。後者は40分で済む。しかも、200字の段階で中身が詰まっているので、薄くならない。先月から積み上げてきたものが、ここで効いてくる。10社受けるなら、この差は16時間になる。
200字を、下書きとして使ってほしい。足すだけで、ESの長さに届く。
9-3 重なった動詞が、志望動機になる
3つ目の材料は、昨日書き留めたものだ。企業の業務内容と重なった動詞になる。
「○○社/提案する・フォローする」。こう記録してもらった。これが、志望動機の核心部分になる。文にするとこうだ。「私は人に提案することで力を出せます。御社の業務には、まさにその提案とフォローが含まれています」。これで骨格ができる。ここで大事なのは、この言葉が自分の側から出ていることだ。会社のページを読んで取ってきた言葉ではないので、掘られても答えが続く。9月の連載でも、志望動機は探すものではないと書いた。探さなくても、昨日の記録の中に答えがある。昨日5社ぶん書いたなら、5社ぶんの志望動機の核ができている。
昨日の記録を、志望動機に使ってほしい。探さなくても、もう手元にある。
9-4 50個の動詞が、ガクチカの素になる
4つ目は、第3週に書き出した50個だ。これが、学生時代の経験を書くときに使える。
「学生時代に力を入れたこと」は、たいていのESで聞かれる。ここで何を書くか迷う人が多い。けれど、50個の動詞には、それぞれ元になった経験がある。だから、印をつけた動詞から経験をたどればいい。とくに「好きでしかもうまくいった」の印がついたものは、そのまま使える。8月の連載でも書いたが、経験の大きさは関係ない。企業が見るのは過程である。アルバイトでも、ゼミでも、家族の手伝いでも構わない。50個の中から、過程を語れるものを選べばいい。印がついた動詞を上から見ていけば、候補は3つか4つに絞られる。
印のついた動詞から、経験をたどってほしい。50個の中に、必ず材料がある。

Chapter 10 自己PRの、組み立て方
材料がわかったところで、実際に書いていきたい。この章では、自己PRの組み立てを4つの段階に分けてお伝えする。400字を、4つの部分に分けて考える。
10-1 冒頭に、一行を置く
まず、最初の一行だ。ここに、先週決めた言葉をそのまま置く。
「私の強みは、調べて整理したことを、相手に合わせて伝えられることです」。これで1文目になる。長さは40字ほどだろう。ここで注意したいのは、先週挙げた避けたい表現を使わないことだ。「コミュニケーション力があります」のような抽象的な言い方は避け、動詞で書く。なぜ1文目が大事なのか。読む側は、ここで「この人はこういう人か」とつかむからだ。採用担当者は何百枚ものESを読む。1文目がぼやけていると、あとを丁寧に読んでもらえない可能性がある。1枚にかける時間が、1分という会社もある。だから、最初の40字にいちばん時間をかける価値がある。
冒頭の1文に、一行をそのまま置いてほしい。ここで、像が決まる。
10-2 次に、根拠となる経験を置く
2つ目の部分は、経験になる。なぜそう言えるのかを示す部分だ。
ここで使うのが、第3週の50個からたどった経験になる。1つだけ選んでほしい。2つ以上入れると、どちらも説明しきれずに終わる。選び方は、一行の内容がいちばんよく出ている場面にすること。先週、主と従の両方が出ている経験を選んでもらった。それを使えばいい。長さは150字ほどだ。何をした場面かが伝わればそれで足りる。細部は、面接で聞かれたときに話せばいい。ここで書きすぎると、次の過程の部分が入らなくなってしまう。背景の説明は、2文で足りる。「サークルで」「アルバイト先で」と場面がわかれば十分だ。
経験は、1つだけ選んでほしい。複数書くと、どれも浅くなってしまう。
10-3 そのうえで、過程を書く
3つ目の部分が、いちばん大事になる。何をどう工夫したかだ。
8月の連載で扱った形を使う。事実に、意図と変化を足す。アルバイトで新人の指導を任された経験を例にしてみたい。「新しく入った人が早く独り立ちできるようにしたくて(意図)、手順を3つの段階に分けて、できた段階に印をつけてもらう形にした(事実)。その結果、質問の回数が減り、2週間で1人で入れるようになった(変化)」。意図があり、具体的な行動があり、変化がある。ここに、あなたの考え方が出る。先週書いたとおり、企業が見るのは成果の大きさではなく過程だ。段階に分けたという工夫そのものが、読まれる部分になる。
過程を、いちばん丁寧に書いてほしい。意図、行動、変化の順に並べればいい。
10-4 最後に、仕事とつなげる
4つ目の部分で、締める。この強みを、どう使うかを書く。
「この力を、御社の○○という業務で使いたいと考えています」。50字ほどで足りる。ここで、昨日記録した重なった動詞が使える。企業の業務内容から拾った動詞を入れると、具体的になるからだ。注意してほしいのは、大きなことを言わないことだ。「御社に貢献します」だけでは、何も伝わらない。どの業務で、どう使うのか。この2つが入っていれば十分である。先週書いたとおり、等身大のほうが信じてもらえる。大きく書くほど、面接で確かめられることになる。書いた分だけ、説明する責任が増えていく。身の丈で書くほうが、話すときも楽になる。
最後に、どの業務で使うかを書いてほしい。具体的なほど、信じてもらえる。
Chapter 11 ガクチカと志望動機、2つの欄
自己PRができたら、残りの2つに進みたい。この章では、学生時代に力を入れたことと、志望動機の書き方を扱う。どちらも、自己PRと同じ材料から組める。
11-1 ガクチカは、自己PRと別の経験を選ぶ
まず、学生時代に力を入れたことの欄だ。ここで1つ、注意点がある。
自己PRと同じ経験を書かないでほしい。同じ経験を2か所に書くと、読む側は「この人は、ほかに何もないのか」と感じてしまう。3年以上の学生生活で、語れることが1つだけという印象になるからだ。だから、別の経験を選ぶ。選び方は、自己PRで使った強みが別の場面でも出ているものを探すことだ。そうすると、2つの欄が同じ軸でつながる。先週書いたとおり、軸が通っていると説明がつながる。別の経験を書きながら、同じ人の話として届く形になる。50個のリストを見れば、同じ動詞が別の場面でも出ているはずだ。
ガクチカは、別の経験を選んでほしい。ただし、同じ軸が出ているものを選ぶ。
11-2 ガクチカも、過程を中心に書く
書き方は、自己PRとほぼ同じになる。中心に置くのは、やはり過程だ。
何に取り組んだかを短く書き、どこでつまずき、何を変えたかを厚く書く。結果は、最後に一言添えるだけでいい。ところが、多くの学生が逆をやってしまう。結果を大きく書いて、過程を薄くするのだ。「売上が20パーセント上がりました」。この一文だけでは、何をした人かがわからない。数字が大きいほど、かえって中身が見えなくなることもある。先週も書いたが、企業は過程を見ている。うまくいかなかった時期に何をしたか。ここがいちばん読まれる部分になる。結果は、最後の一文に収めるくらいでちょうどいい。
つまずいた部分を、厚く書いてほしい。そこに、あなたの考え方が出る。
11-3 志望動機は、条件から書く
次に、志望動機の欄だ。ここが、今月の作業がいちばん効くところになる。
書く順番は決まっている。まず、自分が力を出せる条件を書く。次に、その条件がこの会社にあることを書く。最後に、何をしたいかを書く。文にするとこうだ。「私は、調べたことをかみくだいて伝える場面で力が出ます。そのためには、調べる時間と、専門外の聞き手がいることが欠かせません。御社の○○という業務には、その両方があると感じています」。月曜に条件をつくり、昨日その条件に合う会社を記録した。その2つが、そのまま入る形になっている。だから、書く前に探す作業が発生しない。
志望動機は、条件から書き始めてほしい。会社の説明から始めないほうがいい。
11-4 企業ごとに変えるのは、一部だけ
最後に、作業量の話をしておきたい。企業ごとに、全部を書き直す必要はない。
自己PRは、ほぼ共通で使える。一行も、経験も、過程も変わらないからだ。ガクチカも同じである。では何を変えるのか。志望動機の後半だけだ。どの業務で使うのか、どこに条件が揃っているのか。この部分を、企業に合わせて書き換える。慣れてくると、1社あたり15分ほどで済むようになる。10社受けるなら、150分だ。もし全部を書き直していたら、10時間以上かかってしまう。先週書いたとおり、軸があれば変えるのは表現の部分だけになる。浮いた時間は、企業研究と面接の練習に回せる。
変えるのは、志望動機の後半だけにしてほしい。1社15分で書けるようになる。

Chapter 12 今日の作業と、明日の予告
最後に、今日やることをお伝えする。今日は、実際に書く日になる。
12-1 今日は、自己PRを1本書く
今日の作業は、自己PRを400字で1本書くことだ。企業は決まっていなくてもいい。
手順は、さきほどの4段階どおりになる。冒頭に一行を40字。次に経験を150字。そのあと過程を150字。最後に、使い方を50字。合わせて400字だ。先週の200字があるので、足す部分は200字ほどになる。時間は40分ほど見ておいてほしい。最後の「どの業務で使うか」の部分は、昨日読んだ5社のうち、いちばん条件が合った会社を想定して書けばいい。1本書けば、あとは企業ごとに末尾を変えるだけで使い回せる。今日の40分が、冬の何時間かを節約することになる。
今日、自己PRを1本書いてほしい。先週の200字があれば、40分で書ける。
12-2 書いたら、声に出して読む
書き終えたら、必ず声に出して読んでほしい。ここは、先週と同じ手順になる。
黙読では気づかないことが、声に出すとわかる。言いにくい言葉、長すぎる文、自分の言葉ではない表現。詰まったところに印をつけて、そこを直す。しかも、この作業には別の効果がある。声に出して覚えた文章は、面接でも出てくるのだ。明日、面接での語り方を扱うが、その準備にもなっている。ESと面接は、別の対策ではない。同じ材料を、形を変えて使うだけである。だから、今日の音読が明日に直結する。3回読めば、だいたい頭に入るはずだ。暗記ではなく、要点が残る状態を目指したい。詰まった箇所は、言葉を入れ替えればいい。
書いたら、声に出して読んでほしい。詰まるところが、直すべき場所になる。
12-3 400字が埋まらないときは
書いてみて、400字に届かないことがある。そのときの対処をお伝えしておきたい。
足りないのは、たいてい過程の部分だ。何を工夫したかが薄いのである。このときは、第3週の50個に戻ってほしい。その経験のときに使った動詞を、いくつか拾い直す。「まず全員の予定を聞いた」「順番を決めた」「終わってから確認した」。こうした具体的な動きを足すと、自然に増えていく。やってはいけないのは、抽象的な言葉で埋めることだ。「一生懸命取り組みました」「全力で努力しました」。これでは字数は埋まるが、中身は増えない。読む側にも、埋めたことが伝わってしまう。
足りないときは、具体的な動きを足してほしい。抽象的な言葉で埋めないこと。
12-4 明日は、面接での語り方を扱う
最後に、明日の予告をしておきたい。明日は、話す側に移る。
扱うのは、面接での語り方だ。書けたことと話せることは違う、という話を先週もした。明日は、その差をどう埋めるかを具体的に書いていく。内容は3つある。短く答える練習。深掘りへの備え。そして、緊張して答えられなくなったときの対処だ。今日書いた自己PRが、そのまま材料になる。400字を、20秒の形と1分の形に作り分けていく。だから、今日のうちに1本書いておいてほしい。書いていないと、明日は読むだけになってしまう。削る作業なので、材料がないと始められない。400字があれば、明日は20分で終わる。
今日の1本を、必ず書いてほしい。明日の内容が、自分の話になる。
今日のまとめ
ESをゼロから書く必要はない。今月積み上げてきた4つが、そのまま部品になるからだ。一行が自己PRの柱、200字が本体、昨日の記録が志望動機、50個の動詞がガクチカの素になる。
ゼロから400字を書くと2時間かかることもあるが、200字を400字にするのは40分で済む。この差は、材料があるかどうかから生まれている。
自己PRは、4つの部分で組み立てる。冒頭に一行を40字。根拠となる経験を150字。過程を150字。最後に、どの業務で使うかを50字。いちばん丁寧に書くのは、過程の部分だ。
ガクチカは、自己PRと別の経験を選ぶ。同じ経験を2か所に書くと、語れることが1つだけという印象になってしまう。ただし、同じ軸が出ている経験を選ぶ。
企業ごとに変えるのは、志望動機の後半だけでいい。10社なら150分で済む。全部を書き直すと、10時間以上かかる計算になる。
明日は、面接での語り方を扱う。書いた400字を、20秒と1分の形に作り分けていく。一緒に見ていこう。
ESは、ゼロから生み出すものではなく、積み上げたものを並べ替えるものだと、あおラボは信じている。あなたの挑戦を、いつも全力で応援している。
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