業界ではなく、仕事の中身で見る

同じ会社でも、やることはまるで違う

こんにちは、あなたらしく輝ける未来を共に創造して、キャリア形成や就職活動の支援をおこなっている【あおラボ】です。

昨日、強みを条件に変える作業をしてもらった。5つの条件は書けただろうか。

今日からは、その条件で企業を探していく。ただ、探し方にはコツがある。ここを押さえないと、せっかくの条件が使えない。

多くの学生は、業界から入る。メーカー、金融、商社、IT。けれど、この入り方だと条件が働かない。今日は、その理由と、代わりに使う見方を書いていきたい。

Chapter 5 業界で絞ると、何が起きるか

まずは、業界という区切りを見直したい。便利に見えるが、就活では落とし穴になりやすい。見逃しが起きる仕組みを、4つの角度から確かめたい。

5-1 同じ会社の中で、まるで違う仕事がある

いちばん大きな問題が、これだ。1つの会社の中に、性質の違う仕事が並んでいる。

食品メーカーを例に、1日の過ごし方で比べてみたい。営業の人は、午前に2社まわり、午後も3社まわる。1日の大半が、人と会う時間になる。研究開発の人は、実験室で数字を記録し、前回との差を調べている。生産管理の人は、工場の現場を歩いて段取りを組み直している。経理の人は、数字を締めて確認している。同じ社名の名刺を持っていても、やっていることは別の職業といっていいほど違う。だから「食品メーカーに行きたい」と言っても、自分に合うかどうかはまだ何も決まっていない。

会社名ではなく、職種で考えてほしい。同じ会社の中に、別の仕事が並んでいる。

5-2 業界をまたいで、同じ仕事がある

逆の見方もできる。業界が違っても、同じ中身の仕事が存在する。

たとえば「人を育てる仕事」を探すとしよう。メーカーの人事部にもある。小売チェーンの店長もそうだ。金融機関の研修担当、病院の看護部門の教育係、学校の教員。並べてみると、業界はまったく違うのに、やっていることは近い。「数字を分析して提案する仕事」も同じで、どの業界にも存在する。つまり、仕事の中身で探すと、候補は業界をまたいで広がっていく。9月の連載で書いたとおり、名前を知らない会社のなかに良い職場はある。業界で絞っていると、そこにたどり着けない。社名を知らないだけで、候補から外れてしまうのだ。

仕事の中身で、横に探してほしい。同じ中身の仕事が、別の業界にもある。

5-3 業界の人気は、自分には関係ない

3つ目は、情報の性質の話になる。業界単位の情報は、自分の判断には使いにくい。

「この業界は成長している」「この業界は人気がある」。こうした情報は、たしかに参考になる。けれど、それはあなたに合うかどうかとは別の話だ。成長している業界の中にも、自分の強みが活きない職種はある。逆に、人気がない業界にも、自分にぴったりの仕事がある。9月の連載で、知名度で選ぶと後悔すると書いた。業界の人気も、同じ構造をしている。判断の基準が、自分の外側にあるからだ。外側の基準で選ぶと、入社してから戻る場所がなくなってしまう。人気が落ちたときに、理由を失うことになる。

業界の評判を、判断から外してほしい。合うかどうかは、業界では決まらない。

5-4 業界研究が、作業で終わってしまう

4つ目は、時間の使い方の問題だ。業界研究は、やってもきりがない。

業界の構造を調べ、主要企業を並べ、市場規模を確認する。やることは無限にある。ノートが埋まっていくので、進んでいる感じもする。けれど、終わったときに何が残っているかというと、知識だけだ。自分の判断には、あまりつながっていない。これが、秋から冬の時間をいちばん消費する作業になっていることが多い。もちろん、志望先が決まってからの業界研究は必要だ。面接で聞かれるからだ。つまり、順番の問題である。先に自分の条件で絞り、残った会社について深く調べる。20社から5社に絞れば、調べる量は4分の1になる。

業界研究を、先にやらないでほしい。絞ったあとに、深く調べるほうが効く。

Chapter 6 仕事の中身を、どう見るか

では、何を見ればいいのか。この章では、仕事の中身を測る4つの観点を紹介する。昨日つくった条件と照らし合わせながら読んでほしい。

6-1 誰と、どれくらい関わるか

1つ目の観点は、人との関わりの量になる。これが、いちばん差が出るところだ。

見るべき点は3つある。1日のうち、人と話している時間はどれくらいか。相手は社内の人か、社外の人か。そして、1人の相手とじっくり関わるのか、多くの人と短く接するのか。先週のT・C・Lでいえば、Cの条件に直結する部分だ。同じ「人と関わる仕事」でも、中身はかなり違う。1日に20人と短く話す仕事と、1人のお客様と2時間向き合う仕事では、必要な力が別になる。Cが多い人は、どちらが自分に近いかを確かめたい。逆にCが少ない人は、関わりが多すぎると消耗する。1日の流れを読めば、だいたいの量はつかめる。

人と関わる量を、確かめてほしい。Cの条件に、いちばん直結する部分になる。

6-2 どれくらい、自分で決められるか

2つ目は、裁量の大きさになる。ここは、Lの条件に関わってくる。

決まった手順どおりに進める仕事か、自分で進め方を決められる仕事か。判断を上に上げるのか、自分の範囲で決めるのか。先週書いたとおり、Lが多い学生は職種ではなく環境で選ぶ必要があった。その環境とは、まさにこの裁量のことだ。ただ、ここは募集ページだけでは読み取りにくい。だから、説明会や面接で聞いてほしい。質問の文はこうだ。「入社して1年目は、どこまで自分で決められますか」。この1問で、かなりわかる。答えに詰まる会社もあれば、具体的な例を挙げてくれる会社もある。その差そのものが、答えになっていることも多い。

裁量の大きさを、聞いてみてほしい。募集ページだけでは、読み取れない部分になる。

6-3 考える時間が、確保されているか

3つ目は、Tの条件に関わる観点だ。腰を据えて考える時間があるかどうか。

同じ職種でも、会社によってまるで違う。次々に対応に追われる環境なのか、調べて組み立てる時間が取れるのか。Tが多い人は、ここが確保されていないと力が出ない。確かめ方は、仕事の単位を見ることだ。1件あたり数分で終わる仕事が多いのか、数日かけて1つを仕上げる仕事なのか。これは、募集ページの業務内容からある程度わかる。「対応件数」という言葉が出てくれば前者だ。「企画」「設計」「分析」といった言葉があれば、まとまった時間がある可能性が高い。1日に何件こなすかの記述も、手がかりになる。

仕事の単位を、見てほしい。1件が長いほど、考える時間は確保されている。

6-4 どんな環境で、働くか

4つ目は、能力とは別の観点になる。先週書いた、環境の好みの部分だ。

1日中デスクにいるのか、外を動くのか。静かな職場か、にぎやかな職場か。1人で進める時間があるのか、常に人がいるのか。これらは能力の話ではないが、何年も勤めるかどうかに直結する。確かめるには、実際に見るのがいちばん早い。9月の連載で、情報は現場にあると書いた。説明会でも会社見学でも、職場の空気を見てきてほしい。机の間隔、話し声の量、人の表情。この3つを見るだけで、かなりわかる。静かすぎる職場も、にぎやかすぎる職場も、合わない人には続かない。ページの写真は選ばれた1枚なので、実際とは違うことがある。

働く環境を、見てきてほしい。写真では、空気までは伝わらない。見るべきは、机の間隔、話し声の量、人の表情だ。

Chapter 7 募集ページの、読み方

観点がわかったら、実際に読んでいきたい。この章では、募集ページから中身を読み取る方法を4つに分けてお伝えする。5分で読める情報から、かなりのことがわかる。

7-1 「業務内容」の動詞を、拾う

いちばん効く読み方が、これだ。業務内容の欄から、動詞を拾ってほしい。

具体的にやってみたい。「お客様に提案し、契約後のフォローまで担当します」と書かれていたら、拾える動詞は「提案する」「フォローする」だ。「市場データを分析し、新商品の企画を立案します」なら、「分析する」「企画する」になる。この動詞を、自分が書き出した50個と照らし合わせる。重なっていれば、条件に合う可能性が高い。重なっていなければ、合わないかもしれない。今月ずっと動詞で作業してきた理由が、ここにある。企業側の情報も動詞に変えれば、同じ単位で比べられるようになる。

業務内容から、動詞を拾ってほしい。自分の50個と、照らし合わせられる。

7-2 「1日の流れ」を、必ず読む

次に見てほしいのが、1日の流れが書かれた部分だ。ここが、募集ページでいちばん情報量の多い場所になる。

多くの企業が、社員の1日を紹介している。9時に出社して何をするか、午前中は何に使うか、昼をはさんで午後はどうか。ここを読むだけで、さきほどの4つの観点はほとんど判断できる。人と関わる時間の量も、まとまった時間があるかも見えてくる。しかも、これは募集要項よりずっと正確だ。募集要項は抽象的に書かれているが、1日の流れは具体的だからである。「幅広い業務」という言葉より、「午前は資料づくり」のほうが判断できる。もし載っていなければ、説明会で聞いてほしい。「入社1年目の方の、1日の流れを教えてください」と頼めばいい。

1日の流れを、必ず読んでほしい。ここに、いちばん具体的な情報がある。

7-3 社員紹介は、複数人を読む

3つ目は、社員紹介の読み方になる。1人だけ読んで終わらせないでほしい。

社員紹介には、たいてい複数人が載っている。そして、職種が違う人が並んでいることが多い。これを読み比べると、会社の中にどういう仕事があるかがわかる。さきほど書いたとおり、同じ会社の中に別の仕事が並んでいるからだ。もう1つ、見てほしい点がある。何年目の人が載っているかだ。入社2年目、5年目、10年目の人が並んでいれば、キャリアの流れが見える。何年目でどんな仕事をしているか。これは、自分の先を想像する材料になる。2年目の人の話がいちばん近いので、そこは丁寧に読みたい。

社員紹介を、3人以上読んでほしい。会社の中の仕事の幅が、見えてくる。

7-4 書かれていないことも、情報になる

最後に、少し高度な読み方をお伝えしたい。載っていないことに、意味がある場合がある。

たとえば、若手社員の紹介が1人も載っていない。あるいは、具体的な仕事の中身がどこにも書かれていない。こうした場合、何か理由があることが多い。ただし、決めつけてはいけない。単にページの更新が遅れているだけ、という場合もある。少人数の会社では、採用ページに手が回らないことも普通にある。だから、気になったことは説明会で聞いてほしい。「若手の方のお話をうかがえますか」。この頼みに、どう答えるかにも情報がある。すぐ呼んでくれる会社と、言葉をにごす会社に分かれる。

気になった点は、質問してほしい。載っていないことを、決めつけなくていい。

Chapter 8 今日の作業と、明日の予告

最後に、今日やることをお伝えする。昨日つくった条件を、実際に使う日になる。

8-1 今日は、5社だけ読んでみる

今日の作業は、5社の募集ページを読むことだ。それ以上はやらなくていい。

選び方は、昨日の条件に合いそうなものから。就活サイトで職種から絞って、上から5社でいい。読むのは、業務内容、1日の流れ、社員紹介の3つだけにする。1社10分ほどで読めるので、合わせて50分になる。そして、拾った動詞を書き出して、自分の50個と重なるかを見る。5社やると、読み方の感覚がつかめてくる。どこを見れば判断できるかが、体でわかるようになる。感覚がつかめたら、あとは数を増やすだけだ。今日は、練習だと思って取り組んでほしい。5社読み終えたころには、見る順番が決まってくるはずだ。

今日は、5社だけ読んでほしい。読み方の感覚をつかむのが目的になる。

8-2 重なった動詞を、記録する

読みながら、必ずやってほしいことがある。重なった動詞を書き留めることだ。

書き方は決めておきたい。企業名の横に、重なった動詞を書く。「○○社/提案する・フォローする」。これだけでいい。5社やると、よく重なる会社とあまり重ならない会社が出てくる。この差が、絞りこみの材料になる。しかも、記録しておくと別の使い道がある。明日扱うESで、そのまま使えるのだ。「御社の○○という業務は、私が力を出せる部分です」と書くときの根拠になる。書いておかないと、明日また探し直すことになる。5社ぶんを探し直すと、それだけで30分かかってしまう。読みながら書けば、手間はほとんど増えない。

重なった動詞を、企業名の横に書いてほしい。明日のES作成で、そのまま使う。

8-3 合わない会社も、記録に残す

もう1つ、やってほしいことがある。合わなかった会社も、消さずに残してほしい。

「この会社は、条件に合わなかった」。これも情報だ。そのとき、なぜ合わなかったのかを一言書いておく。「人と関わる時間が短そうだった」「決められた手順が多そうだった」。こうした記録が5件、10件と積み上がると、自分の条件がより正確になっていく。じつは、自分では気づいていなかった条件が見つかることもある。9月の連載で、合わないと感じたら理由まで書くと書いた。企業選びでも、同じことが起きる。たとえば「転勤がありそうだった」と3回書いたなら、それは隠れた条件だ。

合わなかった理由も、一言書いてほしい。条件が、だんだん正確になっていく。

8-4 明日は、ESの書き方を扱う

最後に、明日の予告をしておきたい。明日から、書く作業に入る。

明日扱うのは、エントリーシートの書き方だ。といっても、ゼロから考える必要はない。今月つくってきたものを並べ替えるだけで、骨格はできる。材料は3つある。先週決めた一行、その一行を膨らませた200字、そして今日記録する重なった動詞だ。この3つを使って、自己PR、学生時代に力を入れたこと、志望動機を順に組み立てていく。今月の作業が、形になる回になる。ここまで積み上げてきた人は、明日が楽になるはずだ。400字の自己PRを、40分ほどで書けるようになる。ゼロから考えると、2時間はかかる作業だ。

今日の5社を、済ませておいてほしい。明日のES作成で、そのまま材料になる。

今日のまとめ

同じ食品メーカーでも、営業は1日に5社まわり、研究開発は実験室で数字を記録し、生産管理は工場を歩いている。同じ社名の名刺を持っていても、やっていることは別の職業といってよいほど違う。

逆に、「人を育てる仕事」はメーカーの人事にも、小売の店長にも、病院の教育係にも、学校の教員にもある。業界は違うのに、中身は近い。だから中身で探すと、候補は横に広がっていく。

仕事の中身を測る観点は4つある。誰とどれくらい関わるか。どれくらい自分で決められるか。考える時間が確保されているか。そして、どんな環境で働くか。T・C・Lの条件と、そのまま対応している。

募集ページでは、業務内容から動詞を拾う。「提案し、フォローまで担当します」なら「提案する」「フォローする」だ。1日の流れは必ず読む。社員紹介は3人以上読んで、何年目の人が載っているかも見る。

今日の作業は、5社だけ読むこと。1社10分で、合わせて50分になる。重なった動詞は企業名の横に記録し、合わなかった理由も一言残しておく。

明日は、エントリーシートの書き方を扱う。今月つくってきたものが、そのまま材料になる。一緒に見ていこう。

合うかどうかは業界では決まらず、仕事の中身で決まると、あおラボは信じている。あなたの挑戦を、いつも全力で応援している。

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