弱みを直しても、そこは平均にしかならない
こんにちは、あなたらしく輝ける未来を共に創造して、キャリア形成や就活の支援をおこなっている【あおラボ】です。
今週は、強みの正体を扱ってきた。できることとのちがい、スキルとのちがい、そして3つの円。ここまでで、掘るべき場所は見えたと思う。
今日は、その手前にある問いに答えたい。なぜ、強みなのか。
私は学生にも職業人にも、よくこう伝えている。「キャリアの成功は、自分の強みからしか生まれない」。かなり断定的な言い方だ。今日は、なぜそう言い切れるのかを書いていく。今週のいちばん大事な回になる。
Chapter 13 弱みを直す努力は、なぜ報われにくいのか
まずは、逆側から考えたい。多くの人は、弱みを直そうとする。真面目な人ほどそうだ。けれど、その努力は思ったほど報われない。理由がある。この章では、4つに分けて書いていく。
13-1 努力の量に対して、伸びが小さい
弱みを直す努力には、はっきりした特徴がある。時間をかけても、伸びが小さいのだ。
苦手なことを人並みにするには、得意なことを伸ばすより何倍も時間がかかる。これは、実際に多くの人を見てきて感じることだ。人前で話すのが苦手な人が、練習を重ねて人並みになったとする。そこまでに費やした時間で、もともと得意だった「資料をまとめる力」を伸ばしていたら、どこまで行けただろうか。同じ時間で、たどり着ける場所がまるでちがう。就活までの時間は限られている。どこに投じるかは、慎重に決めたほうがいい。
自分の時間を、どこに投じるかを考えてほしい。同じ努力でも、置く場所で結果が変わる。就活までの時間は、限られている。慎重に決めたい。
13-2 直しても、平均にしかならない
もう1つ、見落とされやすい事実がある。弱みを直した先にあるのは、平均である。
苦手なことは、どれだけ努力しても、その分野で抜きん出るところまでは行きにくい。たいていは「人並みにできる」で止まる。そして、人並みでは選ばれる理由にならない。企業は、平均的な能力を持つ人を探しているわけではないからだ。一方、もともと自然に力が出る領域を伸ばせば、平均を大きく超えられる。超えたところに、はじめて「この人に頼みたい」が生まれる。仕事は、そうやって任されていくものだ。
だから平均を目指す努力を、やめたほうがいいと思うが、どうだろうか。
13-3 消耗するので、長く続かない
3つ目は、続けられるかという問題だ。ここが、いちばん現実的な理由かもしれない。
月曜日(/strength-is-not-in-what-you-can-do)に、強みを使っているときは消耗しないと書いた。逆に言えば、弱みの領域で頑張っているときは消耗する。数か月なら我慢できる。けれど、仕事は何年も続く。毎日消耗する場所に身を置き続けると、いつか力尽きてしまう。これをバーンアウトといって、近年、ビジネスの世界でも留意されている課題の一つでもある。実際、入社して数年で辞めてしまう方の話を聞くと、この状態になっていることが少なくない。能力が足りなかったのではなく、合わない場所で頑張り続けた結果なのだ。これは、本人にとっても企業にとっても不幸なことである。
続けられるかどうかを、基準に入れてほしい。短期で頑張れることと、長く続くことは別である。数年で力尽きるのは、本人にも企業にも不幸なことだ。
13-4 ただし、致命的な弱みは別
ここまで読むと、弱みは全部無視していいように聞こえるかもしれない。そこは、正確にしておきたい。
例外が1つある。仕事の前提を壊してしまう弱みだ。約束の時間を守れない。報告を忘れる。感情のまま人にぶつかる。こうしたものは、強みがどれだけあっても打ち消してしまう。これは「弱み」というより、社会人としての土台にあたる部分だ。ここだけは、平均まで引き上げておく必要がある。逆に言えば、それ以外の苦手は放っておいていい。全部を平均にしようとするから、時間が足りなくなるのだ。
土台に関わる部分だけ、確かめておいてほしい。それ以外の苦手は、気にしなくていい。全部を平均にしようとするから、時間が足りなくなる。整えるのは、土台の部分だけでいい。

Chapter 14 強みに集中すると、何が起きるか
弱み側の話が済んだので、今度は強み側を見たい。強みに時間を集めると、実際に何が起きるのか。この章では、4つの変化を書いておく。ここが、冒頭の言葉の根拠になる。
14-1 伸びが早く、深くなる
いちばんはっきりしているのが、伸びの速さだ。もともと力が出る領域なので、少しの努力で大きく進む。
しかも、伸びた先がちがう。弱みを直しても平均で止まるが、強みを伸ばすと平均をはるかに超えられる。そして深さが出る。昨日(/three-circles-value-competency-skill)書いた段階の話を思い出してほしい。意識すればできる段階から、考えなくてもできる段階へ。さらに、その型で人を助けられる段階へ。この深まり方は、合っている領域でしか起きない。合っていない場所では、意識してできる段階を超えるのに、膨大な時間がかかってしまう。
自分が早く進める領域を、見つけてほしい。速さは、合っていることのしるしになる。合わない場所では、最初の段階を超えるだけで膨大な時間がかかる。
14-2 まわりが、その役割で見てくれる
2つ目は、人との関係に起きる変化だ。これは、働き始めてから大きく効いてくる。
強みを使い続けていると、まわりが「この人はこういう人だ」と認識するようになる。「相談ごとなら、あの人に聞こう」「資料の整理は、あの人が早い」。そうなると、その仕事が集まってくる。集まるから、さらに経験を積む。経験を積むから、さらに深まる。よい循環が回り始める。一方、弱みを直そうとしている人は、この循環に入れない。人並みになったところで、誰も頼んでこないからだ。役割が生まれるのは、抜きん出た部分にだけである。
自分が頼まれることを、思い出してほしい。頼まれるところに、あなたの役割が生まれている。役割が生まれるのは、抜きん出た部分にだけだ。
14-3 自信が、内側から出てくる
3つ目は、気持ちの面での変化だ。ここは、就活のあいだにも効いてくる。
就活では、落ちることがある。何社も続くと、自分を否定された気持ちになる。このとき、強みがはっきりしている人と、していない人では、立ち直りの速さがまるでちがう。強みがある人は、「この会社には合わなかった」と処理できる。自分の価値は、相手の判断とは別のところにあると知っているからだ。一方、軸がない人は、落ちるたびに自分そのものが否定されたように感じてしまう。8月の連載でも書いたが、この差は秋から冬にかけて大きく出る。
自分の強みを、早めに言葉にしておいてほしい。それが、冬のあなたを守ってくれる。落ちることと、価値がないことは別である。
14-4 選ぶ基準が、自分の側に立つ
4つ目は、企業選びに起きる変化になる。ここが、来週以降につながっていく。
強みがはっきりすると、企業を見る目が変わる。「この会社は人気があるか」ではなく、「この会社で自分の強みは活きるか」で見るようになる。基準が、相手の側から自分の側に移るのだ。この差は大きい。相手の側に基準を置いていると、選考の結果に振り回される。自分の側に基準があれば、合う合わないを自分で判断できる。9月の連載で、インターンは確かめるためにあると書いた。確かめる基準が、まさにこれにあたる。
基準を、自分の側に置いてほしい。自分で選んだ会社は、入ってからの支えになる。相手の側に基準を置くと、結果に振り回されてしまう。合う合わないを、自分で判断できる状態にしたい。
Chapter 15 「強みからしか生まれない」の意味
ここまでで、強みに集中する理由は見えたと思う。では、冒頭の言葉に戻りたい。なぜ「強みからしかうまれない」と言い切れるのか。この章では、その意味を4つに分けて書いておく。
15-1 成果は、強みの延長線上にしか出ない
まず、成果という観点から考えたい。仕事で結果を出すとき、何が働いているのか。
これまで多くの職業人を見てきたが、成果を出している方には共通点がある。自分の得意な型で仕事を組み立てていることだ。人と話すのが得意な人は、関係をつくることから始める。分析が得意な人は、まず数字を見る。同じ課題でも、入り方がちがう。そして、自分の型で入った人のほうが、早く深く進む。無理に他人の型を真似た人は、たいてい途中で止まる。だから、成果は強みの延長線上にしか出ないのだ。
自分の型で仕事に入る、という発想を持ってほしい。真似た型では、遠くまで行けない。同じ課題でも、入り方は人によってちがっていい。自分の型で入った人のほうが、早く深く進む。
15-2 続けられるのは、強みの領域だけ
次に、時間という観点で考えたい。キャリアは、短距離走ではない。
仕事は何十年も続く。その長さを考えると、短期的な成果より、続けられるかどうかのほうが効いてくる。強みの領域なら、消耗が少ないので長く走れる。長く走れば経験が積み上がり、積み上がるほど深くなる。この積み重ねが、キャリアの差をつくる。この複利が、キャリアの差をつくる。一方、合わない場所では、どこかで走れなくなる。走れなくなった時点で、それまでの積み上げも止まってしまう。だから、続けられる場所を選ぶことが、そのまま成功の条件になる。
短距離ではなく、長距離だと考えてほしい。走り続けられる場所を、先に決めておきたい。長く走れば経験が積み上がり、積み上がるほど深くなる。この積み重ねが、キャリアの差をつくる。
15-3 「成功」の中身も、人によってちがう
もう1つ、言葉の意味をはっきりさせておきたい。ここで言う成功とは、出世や年収のことではない。
8月の連載で、目標設定の4つの視点を扱った。自分のことと、自分以外のこと。有形のものと、無形のもの。この4つの組み合わせで考えるという話だった。成功も同じで、人によって中身がちがう。誰かの役に立てている実感かもしれない。納得して働けている状態かもしれない。どれを取るにしても、自分の強みが活きていることが前提になる。強みが活きていない場所で、納得や実感が生まれることは、まずないからだ。
自分にとっての成功を、一度考えてみてほしい。どんな形でも、土台は強みになる。強みが活きていない場所で、納得が生まれることはまずない。
15-4 だから、掘る価値がある
最後に、今月の作業の意味を確かめておきたい。なぜ、これだけ時間をかけて掘るのか。
ここまでの話をまとめると、こうなる。成果は強みの延長線上にしか出ない。続けられるのも強みの領域だけ。そして、どんな形の成功も、強みが活きていることが前提になる。つまり、強みを知らないまま進むことは、地図を持たずに歩くようなものだ。歩けはするが、どこへ向かっているかわからない。今月の22日間の記事は、その地図をつくる時間である。就職してからの何十年を考えれば、1ヶ月は決して長くない。
今月の時間を、惜しまないでほしい。この1ヶ月が、その先の何十年を左右する。強みを知らずに進むのは、地図を持たずに歩くようなものだ。歩けはするが、どこへ向かっているかがわからない。

Chapter 16 今日の作業と、明日の予告
考え方の話が続いたので、最後は手を動かす話に戻りたい。この章では、今日やってほしいことと、明日の内容をお伝えする。
16-1 弱みの欄を、つくらない
今日の作業に入る前に、1つだけやめてほしいことがある。弱みを書き出すことだ。
自己分析というと、長所と短所を両方書くものだと思われている。就活の本にも、そう書かれていることが多い。けれど今月は、短所の欄をつくらないでほしい。理由は2つある。1つは、時間が限られているからだ。もう1つは、短所を書くと、そちらに意識が引っぱられるからである。人は、弱いところのほうが気になる生き物だ。面接で短所を聞かれたら、そのときに考えればいい。今は、強みだけに時間を使おう。
16-2 書きためた材料を、数えてみる
次に、ここまでの材料を確認したい。今日で今週の4日目になる。
月曜から1日4つを目安にしてきたので、16個が目安になる。数えてみてほしい。足りていなくても構わない。大事なのは、材料の中身のほうだ。見てほしいのは、「そのとき、どう動いたか」の行が書かれているかどうかである。火曜日に足してもらった3行目だ。ここが抜けていると、来週の作業ができない。書かれていない項目があれば、今日のうちに足しておいてほしい。10分あれば、5個は埋められる。数より、中身のほうを見てほしい。
3行目が埋まっているかを、確かめてほしい。ここが来週の材料そのものになる。抜けている項目があれば、今日のうちに足しておこう。10分あれば、5個は埋められる。数より、中身のほうを見てほしい。
16-3 明日で、今週の最後になる
明日は、今週の5日目にして最終回になる。テーマも決まっている。
扱うのは、企業から先に探すと遠回りになる、という話だ。多くの学生が、まず企業を探し、そこに自分を合わせようとする。けれど、この順番だと、たいてい苦しくなる。なぜそうなるのかを、明日はていねいに書きたい。そして、正しい順番はどうなるのかも示す。今週ずっと扱ってきた「強み」を、企業選びにどうつなげるか。来週以降の作業に向けた、橋渡しの回になる。
明日で、今週の話が1つにまとまる。ぜひ最後まで読んでもらえるとうれしい。今週ずっと扱ってきた強みを、企業選びにどうつなげるか。来週以降に向けた、橋渡しの回になる。正しい順番も、あわせて示したい。来週の作業が、ぐっと進めやすくなるはずだ。
16-4 週末に、まとめて見返す時間をつくる
最後に、今週末の過ごし方をお伝えしておきたい。ここを押さえると、来週が楽になる。
土曜か日曜に、30分だけ時間を取ってほしい。やることは、今週書きためた材料を最初から読み返すことだ。書き足す必要はない。ただ読むだけでいい。9月の連載でも扱ったが、点を並べて眺めると線が見えてくる。「同じような場面が多いな」「この言葉、何度も出てくるな」。こうした気づきが、来週の作業をずっと楽にする。読み返しながら、気になったところに印をつけておけば十分だ。
週末に30分、読み返す時間を取ってほしい。カレンダーに入れておくと、実行できる。書き足さなくていい。ただ読むだけで、見えてくるものがある。気になった行に、印をつけておけば十分だ。
今日のまとめ
弱みを直す努力は、報われにくい。時間をかけても伸びが小さく、たどり着く先は平均である。そして平均では、選ばれる理由にならない。
さらに、弱みの領域で頑張り続けると消耗する。数か月なら我慢できても、仕事は何年も続く。合わない場所で頑張り続けた結果、力尽きてしまう方を何人も見てきた。
ただし、例外はある。時間を守れない、報告を忘れるといった、仕事の前提を壊す部分だ。ここだけは平均まで引き上げる。それ以外の苦手は、気にしなくていい。
強みに集中すると、4つのことが起きる。伸びが早く深くなる。まわりがその役割で見てくれる。自信が内側から出てくる。そして、選ぶ基準が自分の側に立つ。
「キャリアの成功は、強みからしか生まれない」。成果は強みの延長線上にしか出ず、続けられるのも強みの領域だけだからだ。どんな形の成功でも、土台はここにある。
明日は今週の最終回になる。企業から先に探すと、なぜ遠回りになるのか。今週の話を、企業選びにつなげていく。一緒に見ていこう。
強みは、平均を目指す努力からではなく、抜きん出られる場所への集中から育つと、あおラボは信じている。あなたの挑戦を、いつも全力で応援している。