「得意なこと」を挙げても、強みは出てこない
こんにちは、あなたらしく輝ける未来を共に創造して、キャリア形成や就活の支援をおこなっている【あおラボ】です。
今週から、自己分析の中身に入っていく。テーマは「強みの正体」だ。
先週、志望企業もESも面接も、軸になるのは自分の強みだと書いた。では、その強みとは何なのか。ここを正確にしないまま進むと、探す場所をまちがえてしまう。
相談の場で「強みを教えてください」と聞くと、多くの学生が「得意なこと」を答える。パソコンが使える、英語が少し話せる、細かい作業が好き。けれど、そこには強みは入っていないことが多い。今日は、その理由から始めたい。
Chapter 1 「できること」と「強み」は違う
まずは、いちばん大きな混同から解いておきたい。できることと強みは、重なる部分もあるが、同じではない。ここを分けて考えられるようになると、探し方が変わる。この章では、その違いを4つの角度から確かめていく。
1-1 得意なことを挙げてみると、止まる
紙を出して「得意なことを書いてください」と言うと、多くの学生の手は3つか4つで止まる。
そして、書けた内容を見ると、たいてい何かができるという話になっている。資格を持っている、ある科目が得意だった、道具が使える。こうしたものだ。書けたこと自体は悪くない。ただ、ここで止まると、面接で語れる材料にはならない。なぜなら、同じことが書ける学生が何千人もいるからだ。しかも、これらは学び直せば誰でも身につく性質のものが多い。あなたでなければならない理由には、なりにくい。
得意なことのリストで止まらないでほしい。そこで止まるから、「強みがない」と感じてしまうのだ。探す場所を変えれば、必ず出てくる。資格の数を競う場所ではない。
1-2 できるけれど、疲れることがある
もう1つ、はっきりした見分け方がある。やっていて疲れるかどうかだ。
たとえば、数字を扱う作業が正確にできる学生がいるとする。けれど本人に聞くと「ずっとやっていると消耗する」と言う。これは、できることではあっても、強みとは言いにくい。逆に、時間がかかっても不思議と疲れない作業がある。人の話を聞く、調べものをする、誰かの段取りを組む。こういうものだ。できるかどうかより、続けていて自分がすり減らないかどうか。この基準で見ると、見え方が変わってくる。
自分の経験を、疲れるかどうかで分けてみてほしい。疲れないほうに、強みが混ざっている可能性が高い。得意かどうかより、続けられるかどうかを見よう。仕事は、毎日続くものだからだ。
1-3 強みは「自然にそうなる」もの
では、強みとは何か。いちばん短く言えば、意識しなくても自然にそうなってしまうことだ。
グループで話していると、いつのまにか進行役になっている。人が困っていると、気づいたら声をかけている。資料を見ると、まず全体の構成が気になる。こうした動き方には、本人の意図があまりない。だからこそ強みなのだ。頑張らなくても出るから、どんな場面でも出る。安定して出るということは、仕事の場でも同じように出るということである。企業が知りたいのは、まさにここだ。頑張ったときの姿ではなく、素のままの動き方を見ている。
自分が何も考えずにやってしまうことを、思い出してほしい。意図がないものほど、強みに近いところにある。無理をしていない動き方を、探してみよう。
1-4 だから、自分では気づきにくい
ここに、強みの厄介なところがある。自然に出るものだから、本人は価値に気づいていない。
「みんなやっていることでしょう」と言う学生は多い。でも、やっていない人のほうが多かったりする。人の話を最後まで遮らずに聞ける。頼まれた仕事の期限を必ず守る。初対面でも自分から挨拶できる。本人にとってはあたりまえでも、まわりから見れば際立っている。あたりまえだと思っているから、ノートにも書かない。こうして、いちばん大事な材料が抜け落ちてしまう。先週、束ねる段階で人の目が役に立つと書いたのは、この理由による。
「これはみんなやっている」と切り捨てないでほしい。切り捨てたものの中に、あなたの強みが混ざっている。あたりまえだと思うことほど、書き留めてほしい。

Chapter 2 強みには、3つの特徴がある
自然に出るもの、と言われてもまだ曖昧だと思う。もう少し見分けやすくしたい。この章では、強みが持つ特徴を3つ挙げ、最後にもう1つ大事な性質を加える。この4つで見れば、かなり絞りこめるはずだ。
2-1 1つ目、くり返し出てくる
いちばんわかりやすい特徴が、これだ。強みは、いろいろな場面でくり返し顔を出す。
アルバイトでも、サークルでも、ゼミでも、同じような役割になっている。同じような場面で嬉しくなる。同じようなことでつまずく。この繰り返しが、強みの証拠になる。1回だけなら、たまたまかもしれない。けれど、環境がちがうのに同じことが起きるなら、それは環境ではなくあなたの側にあるものだ。先週、束ねる作業について書いたが、探しているのはこの繰り返しである。だから材料は多いほどいい。
経験を並べたら、同じことが起きていないか探してほしい。3回以上出てくるものには、必ず印をつけよう。環境がちがうのに同じなら、それはあなたの側にある。だから材料は、多いほどいい。
2-2 2つ目、やっていて消耗しない
先ほども触れたが、これは重要な基準なので、あらためて書いておきたい。
強みを使っているとき、人はあまり消耗しない。むしろ、やり終えたあとに充実感が残ることが多い。逆に、強みではないことを頑張っているときは、うまくできていても疲れが残る。この違いは、就職先を考えるうえで決定的になる。仕事は毎日続く。数か月なら我慢できても、数年は続かない。だからこそ、疲れない領域を知っておく必要がある。これは能力の高さとは別の話だ。できるかどうかではなく、続けられるかどうかを見ている。
やり終えたあとの感覚を、思い出してほしい。充実していたか、ただ疲れていたか。ここが分かれ目になる。この感覚は、想像では出てこない。実際にやった経験からしか拾えない。
2-3 3つ目、まわりから、よく言われる
自分では気づきにくいと書いた。だからこそ、外からの言葉が手がかりになる。
「いつも丁寧だよね」「話を聞くのがうまいね」「まとめるの早いね」。こうして何度か言われたことがあるなら、それは強みの可能性が高い。1人から言われたなら、その人との相性かもしれない。けれど、別々の場面で、別々の人から同じことを言われているなら、それはあなたの側にあるものだ。7月の連載で、外の目が本当の自分を映すと書いた。過去に言われた言葉を思い出すだけでも、材料は増える。褒め言葉だけでなく、頼まれごとも手がかりになる。
これまで人から言われた言葉を、3つ書き出してほしい。頼まれることが多いものも、あわせて書いておこう。頼まれるのは、相手がそこに期待しているからだ。
2-4 4つ目、状況が変わっても、ついてくる
最後にもう1つ、大事な性質を加えておきたい。強みは、場所が変わっても持ち運べる。
高校から大学に移っても、アルバイト先が変わっても、同じ動き方をしている。これは偶然ではない。あなたの中にあるものだから、どこへ行ってもついてくる。そして、これは就職してからも同じである。会社が変わっても、職種が変わっても、持ち運べる。だから強みなのだ。逆に、その場所でしか通用しないものは、強みとは呼びにくい。この違いについては、明日くわしく扱いたい。持ち運べるかどうかが、1つの判断基準になる。
環境が変わっても続いていることを、探してほしい。持ち運べるものだけが、この先も使えるものになる。会社が変わっても、職種が変わっても残るものだ。
Chapter 3 強みが顔を出す場面を、見分ける
特徴がわかったら、次はどこを見ればよいかだ。強みは、特定の場面で顔を出しやすい。この章では、その4つの場面を紹介する。今日の集める作業は、この4つを手がかりにしてほしい。
3-1 時間を忘れて没頭したとき
1つ目は、いちばん見つけやすい場面だ。気づいたら時間が経っていた、という経験を探してほしい。
課題に取りかかったら、いつのまにか3時間経っていた。友人の相談に乗っていたら、終電の時間になっていた。こうした瞬間には、必ず強みが働いている。なぜなら、強みを使っているときは負荷が小さく、意識が対象に向き続けるからだ。ここで大事なのは、内容ではなく状態のほうを見ることである。「何に没頭したか」だけでなく、「そのとき自分は何をしていたか」を思い出す。調べていたのか、話していたのか、つくっていたのか。動詞で捉えると、はっきりしてくる。
没頭した経験を思い出したら、そのとき何をしていたかを書いてほしい。動詞で書くと、材料になりやすい。
3-2 2つ目、人から感謝されたとき
2つ目は、他者の反応が手がかりになる場面だ。ありがとう、と言われた経験を集めてほしい。
感謝されたということは、相手にとって価値があったということだ。そして、自分が自然にやったことで相手が助かったのなら、そこに強みが出ている。小さくていい。授業のノートを見せた。集合場所を決めてあげた。困っている後輩に声をかけた。こうした場面を並べていくと、自分がどういうときに人の役に立っているかが見えてくる。就職とは、結局のところ誰かの役に立って対価を得ることである。だから、この材料は志望動機にも直結する。
感謝された場面を、思いつくだけ書き出してほしい。小さなものほど、数が集まって傾向が見えてくる。感謝された理由まで考えると、さらに深くなる。
3-3 3つ目、思ったより早く終わったとき
3つ目は、見落とされやすい場面だ。予想より早く片づいた経験を探してほしい。
「3時間かかると思ったのに、1時間で終わった」。こういうときは、自分の得意な進め方がはまっている可能性が高い。人より速いということは、その作業に対して自分のやり方が効率よく働いているということだ。速さは、才能の表れというより、合っていることの表れである。逆に、まわりと同じ量なのに自分だけ時間がかかった作業もあるはずだ。それは合っていないサインになる。どちらも材料として価値がある。
早く終わった経験と、時間がかかった経験を、両方書いてほしい。比べると、自分の型が浮かび上がってくる。速さは才能ではなく、合っていることのしるしだ。合っていない作業を知ることにも、同じだけ価値がある。
3-4 4つ目、面倒だと思ったのに、始めたら進んだとき
最後は、少し意外な場面だ。やる前は気が重かったのに、始めたら止まらなかった経験である。
これは見逃されやすいが、とても強い手がかりになる。なぜなら、意欲ではなく適性が働いている証拠だからだ。やりたいと思っていなかったのに進んだということは、その作業自体が自分に合っているということになる。就活では「やりたいこと」を問われることが多い。けれど、やりたいことと、できることと、続けられることは別である。この3つが重なる場所を探すのが自己分析だ。だから、意欲がなかったのに進んだ経験は、貴重な材料になる。
気が重かったのに進んだ経験を、探してみてほしい。意欲がなくても動けたなら、それは適性のしるしだ。やりたいことと、続けられることは別である。

Chapter 4 今週の、集める作業
考え方が整ったところで、手を動かす段階に入りたい。今週は「集める」週になる。この章では、今日から何をどう書けばいいかを、具体的にお伝えする。
4-1 今日から、材料を集め始める
先週お伝えした4つの作業のうち、1つ目が「集める」だった。今日から、これを始めてほしい。
やり方は単純だ。ノートを開いて、さきほどの4つの場面を手がかりに、経験を書き出していく。時間を忘れたとき。感謝されたとき。早く終わったとき。気が重かったのに進んだとき。この4つを順に思い出しながら、出てきたものを書く。1日10分で構わない。今週の5日間で、まずは20個を目標にしたい。20個あれば、来週の作業に入れる。多ければ多いほどいいが、まずはこの数を目指してほしい。
今日から、1日4つを目安に書いてほしい。5日続ければ20個になる。無理のない量のはずだ。多く出せる日は、多く書いてかまわない。書けない日があっても、翌日に戻ればいい。
4-2 就活で使えるかは、考えない
書きながら、必ず頭をよぎることがある。「これは就活で使えるだろうか」という判断だ。
この判断を、今週はしないでほしい。理由は2つある。1つは、判断しながら書くと手が止まること。実際、選びながら書く学生は、3つか4つで止まってしまう。もう1つは、使えるかどうかは今の自分には判断できないことだ。束ねたあとに、思わぬ経験が中心になることがよくある。地味だと思っていたアルバイトの話が、いちばん語れる材料になった学生を何人も見てきた。だから今は、判断せずに出す。選ぶのは来週の作業になる。
使えるかどうかを、今は考えないでほしい。判断を止めるだけで、書ける量が倍になる。選ぶのは、来週の仕事だ。今は、ひたすら出す時期である。
4-3 書く欄は、2つでいい
書き方も決めておきたい。細かい形式は不要だが、2つの欄だけは分けておくと、あとが楽になる。
左に「場面」、右に「そのとき自分は何をしていたか」。この2つだ。たとえば左に「文化祭の準備」、右に「役割分担を決めた」。左が出来事で、右が自分の動き方になる。ここで大事なのは、右を動詞で書くことである。「頑張った」ではなく「決めた」「聞いた」「つくった」「調べた」。動詞で書いておくと、来週の作業でそのまま使える。じつは、この形には理由がある。再来週に紹介する分析の方法と、直接つながっているのだ。
右の欄は、必ず動詞で書いてほしい。この形が、来週からの作業を楽にしてくれる。「頑張った」ではなく「決めた」「聞いた」「つくった」。この書き方を、今日から試してほしい。
4-4 明日は、スキルとの違いを扱う
最後に、明日の予告をしておきたい。今日の話を、もう一段はっきりさせる回になる。
明日扱うのは、スキルと強みの違いだ。就活では「スキルを身につけよう」とよく言われる。資格を取る、語学を勉強する。どれも悪いことではない。けれど、スキルと強みは性質がまったくちがう。そして、この2つを混同したまま進むと、遠回りになってしまう。持ち運べるものと、持ち運べないもの。今日の最後に触れた話を、明日はきちんと分けていく。ここがはっきりすると、集める材料の質も上がってくる。
今日のうちに、4つだけ書き出してほしい。明日の話が、ずっと入りやすくなる。手元に材料があるかどうかで、読み方が変わってくる。10分もあれば終わる作業だ。
今日のまとめ
できることと強みは、同じではない。得意なことのリストで止まるから、「強みがない」と感じてしまう。探す場所を変えれば、必ず出てくる。資格の数を競う場所ではない。
見分け方は、疲れるかどうかだ。できるけれど消耗することは、強みとは言いにくい。逆に、時間がかかっても不思議と疲れないことがある。そこに強みが混ざっている。
強みとは、意識しなくても自然にそうなってしまうことだ。頑張らなくても出るから、どんな場面でも安定して出る。企業が知りたいのは、頑張ったときの姿ではなく、素のままの動き方である。
強みには4つの特徴がある。くり返し出てくる。やっていて消耗しない。まわりからよく言われる。そして、場所が変わっても持ち運べる。
顔を出す場面も4つある。時間を忘れて没頭したとき。人から感謝されたとき。思ったより早く終わったとき。そして、気が重かったのに始めたら進んだとき。
今週は集める週だ。1日4つ、5日で20個。就活で使えるかは判断しない。左に場面、右に自分がしたことを動詞で書く。明日は、スキルと強みの違いを扱っていく。一緒に見ていこう。
強みは、身につけるものではなく、すでに自分の中にあるものだと、あおラボは信じている。あなたの挑戦を、いつも全力で応援している。