「ちゃんとしてから」は、永遠に来ない

動けないのは、やる気の問題ではない

こんにちは、あなたらしく輝ける未来を共に創造して、キャリア形成や就活の支援をおこなっている【あおラボ】です。

昨日は、情報には2つの種類があるという話をした。ネットにある加工済みの情報と、自分が直接手に入れた一次情報。決め手になるのは後者だ、という内容だった。

そして最後に、「30分以内に始められる半歩を、今週の予定に入れてほしい」とお願いした。入れられただろうか。

もし、まだ入れていなくても、まったく問題ない。むしろ、そこでつまずくのが普通だ。今日は、その「動けなさ」を解きほぐしていく。原因は、やる気ではなく、一歩の大きさにある。

Chapter 5 大きく踏み出そうとするから、動けない

やる気がある人ほど、動けない。おかしな話に聞こえるが、就活の現場では、これがよく起きる。この章では、なぜそうなるのかを見ていこう。原因がわかれば、対処はむずかしくない。

5-1 やる気があるほど、計画が大きくなる

「よし、この秋は動こう」。そう決めたときの気持ちは、たいてい高ぶっている。だから、計画も大きくなる。

「毎週1社、企業訪問をする」「業界のトップ企業に、話を聞きに行く」。決めた瞬間は、できる気がしている。でも、1週間後には手つかずになっている。これは、意志が弱いからではない。決めたときの自分と、実行するときの自分は、状態がちがうからだ。高ぶった気持ちで決めた計画は、平常心の自分には重すぎる。だから、実行されない。やる気が高いほど、この落差は大きくなる。

計画を立てるときは、「いちばん元気のない日の自分」を基準にしてほしい。その自分でも実行できる大きさなら、必ず動ける。志は高く、計画は低く。この組み合わせが、いちばん進む。

5-2 準備が終わるのを、待たない

もう一つ、動けない人に共通する考え方がある。「準備ができてから動こう」だ。

一見、まっとうに聞こえる。でも、この順番は、たいてい失敗する。なぜなら、何をどれだけ準備すればいいかは、動いてみないとわからないからだ。企業訪問の前に業界研究を完璧にしよう、と思っても、何を調べるべきかは、一度行ってみないと見えてこない。準備は、動きながら整えるものだ。むしろ、動いた後のほうが、準備の精度は上がる。順番を入れかえるだけで、進み方がまるで変わってくる。

準備が7割でも、行ってしまってほしい。足りない部分は、行った先で気づける。そのほうが、机の上で悩むより、ずっと早い。準備不足を、相手はほとんど気にしていない。

5-3 「ちゃんとしてから」は、永遠に来ない

真面目な人ほど、こう考える。「もう少し、ちゃんとしてから行こう」。相手に失礼のないように、恥ずかしくないように、と。

その気持ちは、とても誠実だと思う。ただ、はっきり言っておきたい。「ちゃんとした状態」は、待っていても永遠に来ない。基準は、自分の中にあるからだ。少し準備が進むと、基準もいっしょに上がる。だから、いつまでたっても「まだ足りない」と感じる。私も、若いころ同じことをしていたので、よくわかる。この仕組みに気づかないと、何年でも待ち続けることになってしまう。

「ちゃんとしてから」と思ったら、それは合図だと考えてほしい。基準が上がっているだけで、今のあなたで十分、動ける状態にある。学生に完璧を求める社会人は、まずいない。

5-4 小さく始めた人が、結局いちばん進む

大きな計画を立てた人と、小さく始めた人。半年後に進んでいるのは、どちらだろうか。

答えは、はっきりしている。小さく始めた人だ。理由は単純で、実行された回数がちがうからである。大きな計画は、実行されないので、回数がゼロのままになる。一方、小さな行動は、実行される。そして、一度実行すると、次のハードルが下がる。2回目は、もっと楽になる。この積み重ねが、半年で大きな差になる。速く進むコツは、大きく踏み出すことではなく、止まらないことだ。

「これでは小さすぎるかな」と思うくらいの行動から、始めてほしい。小さくても、動いた回数だけが積み上がっていく。半年後に効いてくるのは、計画の大きさではなく、回数のほうだ。

Chapter 6 ハードルの、下げ方

「小さく始めよう」と言われても、どう小さくすればいいかがわからない。ここでつまずく人は多い。この章では、行動のハードルを実際に下げる方法を、4つ紹介する。どれも、今日から使える。

6-1 行動を、動詞ひとつまで分解する

「企業訪問をする」。この言葉は、行動のように見えて、じつは行動ではない。中に、いくつもの作業が入っているからだ。

企業を探す。連絡先を調べる。文面を考える。送る。返信を待つ。日程を決める。当日行く。これだけの工程がある。だから、重く感じて動けない。そこで、動詞ひとつまで分解する。「企業を3社、名前だけ書き出す」。これなら、5分で終わる。行動が重いと感じたときは、たいてい分解が足りていない。分解しきると、たいていの行動は、驚くほど軽くなる。

やろうとしていることを、「~する」という動詞ひとつまで割ってみてほしい。割った最初の一つだけ、今日やればいい。残りは、明日以降の自分に任せる。それで進む。重いと感じたら、もう一段割ればいい。

6-2 場所と時間を、先に決める

分解したら、次は「いつ、どこで」を決める。ここを飛ばすと、やはり実行されない。

昨日も書いたが、予定に入っていない行動は、実行されないものだと思ったほうがいい。だから、「明日の3限の後、大学の図書館で、20分」と決めてしまう。場所まで決めるのがコツだ。場所が決まると、身体が動きやすくなる。逆に、「時間があるときに、家で」だと、まず動かない。家は、誘惑が多すぎるからだ。行動を変えたいときは、意志ではなく、環境を先に決める。

今日決めた半歩に、場所と時間を書き足してほしい。この2つがそろうと、実行される確率が、はっきり上がる。決めるのに、1分もかからない作業だ。自分の意志を、あまり信用しないほうがうまくいく。

6-3 「知っている人」から始める

人に会う、という行動は、とくにハードルが高い。知らない企業に連絡するのは、誰でもこわい。

だから、最初は「知っている人」から始めるといい。バイト先の社員さん。ゼミの先輩。親の知り合い。大学の職員の方。すでに関係がある人なら、断られる心配もほとんどないし、こちらも緊張しない。しかも、社会人と話す練習としては、十分すぎるほど役に立つ。いきなり見知らぬ企業に飛びこむ必要は、まったくない。近いところから、順に外へ広げていけばいい。

まず、身近な社会人を3人、名前を書き出してみてほしい。そこから始めれば、こわさは、ずいぶん小さくなる。書き出すと、思っていたより多いことに気づくはずだ。近い人ほど、快く応じてくれる。

6-4 一人で行かなくていい

もう一つ、見落とされがちな方法がある。誰かと一緒に行く、ということだ。

説明会でも、企業訪問でも、一人で行くと決めると、急に重くなる。でも、友人を誘えば、行きやすくなる。「一緒に行かない?」と声をかけるだけでいい。しかも、二人で行くと、後で感想を交換できる。自分が見落としたことを、相手が拾っていたりする。持ち帰る量が、単純に増えるのだ。一人で頑張ることが偉い、という思いこみは、いったん外していい。動きやすい方法を選ぶほうが、大事だ。

行きにくいと感じたら、誰かを誘ってみてほしい。誘われたほうも、じつは動くきっかけを探していることが多い。一人で背負わないほうが、結局は続く。誘うこと自体が、もう一つの半歩になる。

Chapter 7 断られることを、こわがらない

動けない理由の中で、いちばん根が深いのが「断られるのがこわい」だ。ここは、正面から扱っておきたい。この章では、断られることの意味を、正確に捉え直していこう。

7-1 断られるのは、あなたの否定ではない

依頼して断られると、自分が否定されたように感じる。この感覚は、とても自然なものだ。

でも、事実は少しちがう。相手が断る理由の大半は、あなたとは関係のないところにある。忙しい時期だった。会社の方針で対応できない。単純に、メールを見落とした。どれも、あなたの価値とは無関係だ。先月の連載でも書いたが、不採用が人格の否定ではないのと同じで、断りも人格の否定ではない。この区別ができると、断られたときの痛みが、ずいぶん軽くなる。

断られたら、「相手の事情だった」と考えてほしい。事実として、その可能性のほうがはるかに高い。自分を責める必要はない。そして、次の一件へ進めばいい。止まらないことが、いちばん大事だ。断りは、通過点にすぎない。

7-2 返事が来ないのが、普通

依頼のメールを送って、返事が来ない。これも、多くの学生が心を折られる場面だ。

でも、知っておいてほしい。社会人は、想像以上に忙しい。一日に何十通もメールを受け取り、その中で優先順位をつけて処理している。返事がないのは、拒絶ではなく、単に埋もれただけのことが多い。だから、1週間ほど待って返事がなければ、もう一度短く送っていい。しつこいと思われないか心配になるだろうが、一度の再送で嫌われることは、まずない。むしろ、丁寧に再送できる学生は、印象がいい。

返事がなくても、落ちこまないでほしい。1週間待って、一度だけ再送する。それが、ちょうどいい距離感だ。再送で返ってくることは、実際にかなり多い。沈黙を、拒絶と読まないでほしい。

7-3 数を出せば、確率は上がる

1件断られると、「自分には無理だ」と感じてしまう。でも、これは、数の問題として捉え直したほうがいい。

たとえば、5人に依頼して、二人から返事が来れば十分だ。つまり、断られるのは前提として組みこんでおく。そう考えれば、1件目の断りは、失敗ではなく通過点になる。しかも、数を出すうちに、依頼の文面も上手になっていく。最初の1通と、5通目では、まるでちがう文章になっているはずだ。断られた経験が、次の精度を上げてくれる。だから、数は正義でもある。

1件で判断せず、5件は出すつもりでいてほしい。断られる前提でいると、心が消耗しない。しかも、出すたびに文面が上手くなっていく。回数は、確実に味方になる。1件目で決めようとしないことだ。

7-4 断られた経験も、材料になる

意外に思われるかもしれないが、断られた経験そのものが、あなたの材料になる。

「10社に連絡して、3社から返事をもらった」。これは、行動量の証明だ。しかも、断られながら続けた、という事実がついてくる。企業が知りたいのは、うまくいったことだけではない。うまくいかないときに、どう動く人か。先月の連載でも扱ったが、失敗の経験は、隠す材料ではなく語る材料になる。だから、断られた回数も、そのまま記録しておいてほしい。数字は、あとで効いてくる。

送った件数と、返ってきた件数を、記録しておいてほしい。断られた数も、あなたが動いた証拠になる。数えておけば、後で自分を励ます材料にもなる。動いた記録は、消えずに残る。数は、うそをつかない。

Chapter 8 今週できる、4つの半歩

最後は、具体的な行動の提案だ。この章では、今週のうちに実行できる半歩を、4つ紹介する。どれも30分以内に始められる。全部やる必要はない。1つ選んで、今週中に済ませてほしい。

8-1 キャリアセンターに、顔を出す

いちばん手軽で、いちばん使われていないのが、大学のキャリアセンターだ。

多くの学生が、「相談することが決まってから行く場所」だと思っている。でも、そうではない。「何をしたらいいかわかりません」と言いに行っていい場所だ。しかも、あなたの大学に来ている求人や、卒業生の進路など、外には出ていない情報を持っている。無料で、予約なしでも入れることが多い。使わない理由が、正直見当たらない。それでも行かないのは、単に「行きにくい」という気持ちの問題だけだ。

今週、キャリアセンターの前を通ってみてほしい。開いていたら、5分だけ入ってみる。それで、半歩は完了だ。何も相談できなくても、場所を知っただけで十分だ。二度目からは、ぐっと入りやすくなる。

8-2 学内の説明会に、1つ申し込む

2つ目は、学内で開かれる企業説明会やセミナーだ。これも、使いやすさのわりに参加率が低い。

学内開催の説明会は、移動がいらないので、いちばんハードルが低い。しかも、その大学の学生を採りたい企業が来ているので、相性がいいことも多い。「まだ志望が決まっていないのに行っていいのか」と迷う人がいるが、決まっていないから行くのだ。志望は、いくつか見比べて初めて定まる。1社だけ見て決めることのほうが、むしろ危うい。

今週、大学の掲示やポータルで、説明会の日程を1つ探して申し込んでほしい。内容は、何でもいい。参加することが目的だ。合わないと感じたら、それも一つの発見になる。行かなければ、その発見もない。まず1つ、押さえておこう。

8-3 バイト先の社員に、一つだけ質問する

3つ目は、いちばん身近な半歩だ。今の職場に、社会人がいる人向けである。

アルバイト先の社員さんに、質問を一つしてみる。「この仕事で、いちばん面白いと感じるのはどんなときですか」。休憩時間の雑談で十分だ。改まった場を作る必要はない。この1問で返ってくる答えは、どんな企業サイトよりも生々しい。しかも、相手はあなたを知っているので、本音に近い話をしてくれる。社会人に話を聞く練習として、これ以上に始めやすい機会はない。

次のシフトで、社員さんに一つだけ質問してみてほしい。答えは、その日のうちにメモしておく。それで、一次情報が一つ手に入る。しかも、交通費も時間もかからない。いちばん近い現場は、すでにあなたの手元にある。

8-4 気になる会社に、一通だけ送る

4つ目は、少しだけ勇気がいる半歩だ。でも、いちばん得るものが大きい。

気になっている会社に、問い合わせを1通だけ送ってみる。文面は、短くていい。「〇〇大学の〇〇です。貴社の仕事に関心があり、もし可能でしたら、社員の方に30分ほどお話をうかがえないでしょうか」。これだけで通じる。丁寧であれば、失礼にはならない。返事が来るかどうかは、相手の事情次第だ。でも、送った経験そのものが、あなたのハードルを一段下げてくれる。

今週、1通だけ送ってみてほしい。返事は期待しなくていい。送信ボタンを押した、という事実が、次の行動を軽くする。1通目が、いちばん重い。そこさえ越えれば、あとは楽になる。今日でも、明日でもいい。

今日のまとめ

動けないのは、やる気の問題ではない。一歩が大きすぎるだけだ。やる気が高いときほど計画が大きくなり、平常心の自分には重すぎて、実行されなくなる。

だから、計画は「いちばん元気のない日の自分」を基準に立てる。そして、準備が終わるのを待たない。準備は、動きながら整えるものだ。「ちゃんとしてから」は、永遠に来ない。基準が、自分といっしょに上がっていくからだ。

ハードルの下げ方は、4つある。行動を動詞ひとつまで分解する。場所と時間を先に決める。知っている人から始める。そして、一人で行かない。

断られることは、あなたの否定ではない。返事が来ないのは、埋もれただけのことが多い。5件は出すつもりでいれば、心は消耗しない。しかも、断られた回数も、動いた証拠として残る。

今週できる半歩は、4つ挙げた。キャリアセンターに顔を出す。学内の説明会に1つ申し込む。バイト先の社員さんに1つ質問する。気になる会社に1通だけ送る。1つでいいので、今週中に済ませてほしい。

明日は、この連載の最終回だ。せっかく外に出ても、行っただけでは残らない。何を見て、何を持ち帰り、どう次につなげるか。観察と記録の話をする。一緒に見ていこう。

小さく始めた人が、いちばん遠くまで行けると、あおラボは信じている。あなたの挑戦を、いつも全力で応援している。

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