「入社」をゴールにしない――目標設定の4視点

目標が一つだけだと、入社した日に燃え尽きる

こんにちは、あなたらしく輝ける未来を共に創造して、キャリア形成や就活の支援をおこなっている【あおラボ】です。

昨日は、「どんな人生を生きたいか」を、自分の言葉にする話をした。憧れをそのまま目標にせず、材料として使う。書いて、寝かせて、書き直す。そんな内容だった。

今日は、その言葉を「目標」の形に落としていく。

ここで1つ、多くの人が落ちる穴がある。目標を「〇〇社に入る」の1つだけにしてしまうことだ。それだと、入社した日に、目標がなくなる。今日紹介する「目標設定の4視点」は、それを防ぐための考え方だ。一緒に見ていこう。

Chapter 9 なぜ、4つの視点が必要なのか

目標は1つでいいと思っている人が多い。でも、1つだけだと、あとで困ることになる。この章では、なぜ4つに分けるのか、その理由を確かめておこう。ここが腹落ちすると、次の章からの作業が、ぐっとやりやすくなる。

9-1 「入社」がゴールになってしまう問題

就活生に目標を聞くと、たいてい同じ答えが返ってくる。「第一志望の会社に入ることです」。真剣に取り組んでいる証拠だから、悪い答えではない。

でも、ここには問題がある。入社が目標だと、入社した瞬間に、目標が消えてしまうのだ。実際、入社直後に急に元気をなくす新入社員は、めずらしくない。それまで全力で走ってきたのに、ゴールテープを切った途端、次に走る方向がわからなくなる。目指していたものが「入ること」だったのだから、当然とも言える。入社は、本来ゴールではなく、スタートのはずだ。

自分の目標が「入ること」で止まっていないか、確かめてほしい。その先に何を置くかで、入社後の数年が、大きく変わってくる。入ってからのほうが、時間はずっと長い。

9-2 4視点は、「自分/自分以外」×「有形/無形」

そこで私が使っているのが、目標設定の4視点だ。これは、私がまだ若手だった頃に原田隆史先生から学んだメソッドを、自分なりに解釈したものである。

考え方はシンプルだ。2つの軸で、目標を4つに分ける。1つ目の軸は「主に自分のこと」か「主に自分以外のこと」か。2つ目の軸は「有形」か「無形」か。有形とは、目に見えて確かめられるもの。無形とは、状態や気持ちのように、形にならないものだ。この2軸を組み合わせると、4つのマスができる。そこに、それぞれ目標を置いていく。それだけである。

紙に、縦横の線を引いて、4つのマスをつくってみてほしい。上下が有形と無形、左右が自分と自分以外。この枠が、今日の作業の土台になる。線を引くだけなら、1分で終わる。

9-3 4つそろうと、目標が立体になる

なぜ、わざわざ4つに分けるのか。一言でいえば、目標が立体になるからだ。

1つだけの目標は、線のようなものだ。方向は示すが、厚みがない。でも、4つそろうと、面ができ、立体になる。「入社する」という有形の目標のとなりに、「仕事に誇りを持っている」という無形の目標が並ぶ。さらに「職場が活性化する」という自分以外への目標が加わる。すると、目指すものが、ぐっと現実的な姿になってくる。しかも、1つがうまくいかなくても、他の3つが残る。だから、折れにくい。

4つのマスを見ながら、「今の自分は、どのマスばかり考えているだろう」と確かめてほしい。偏りに気づくことが、最初の収穫になる。埋まっていないマスが、これから考えるべき場所だ。

9-4 抜けやすいのは、無形と「自分以外」

4つのマスを学生に埋めてもらうと、はっきりした傾向が出る。埋まりやすいのは、自分のこと、そして有形のものだ。

「〇〇社に入る」「TOEICで800点を取る」。ここはすぐ書ける。一方で、なかなか書けないのが、無形と「自分以外」だ。「自分はどんな状態でありたいか」「自分がいることで、まわりはどう変わるか」。これらは、ふだん考える機会がないので、手が止まる。でも、じつはここに、いちばん大事なものが入る。書きにくい場所ほど、その人らしさが出るからだ。だから、時間をかける価値がある。

4つのうち、いちばん書きにくいマスを見つけてほしい。そこが、あなたがふだん考えていない領域だ。そこにこそ、掘る価値がある。すぐ埋まるマスより、時間をかけよう。

Chapter 10 有形の目標を立てる

まずは、埋めやすいほうから始めよう。有形の目標だ。目に見えて、達成したかどうかを確かめられるもの。ここは、多くの人がすでに考えている領域でもある。この章では、2つの視点を具体的に見ていく。

10-1 視点1:自分のことで、有形の目標

1つ目のマスは、「主に自分のことで、有形の目標」だ。いちばんわかりやすく、いちばん書きやすい。

例を挙げると、「私は、2028年4月1日に〇〇株式会社へ入社する」。このように、日付と対象をはっきり書く。「〇〇の資格を、2027年11月に取得する」も、ここに入る。ポイントは、他人が見ても、達成したかどうかが判断できることだ。あいまいさが残らない。これが有形の目標の強みである。だから、行動の起点として、とても機能しやすい。まずは、ここから書き始めるのがいい。

1つ目のマスに、日付を入れた一文を書いてみてほしい。会社名がまだ決まっていなければ、「〇〇のような仕事に就く」でも構わない。日付だけは、入れてほしい。

10-2 視点2:自分以外のことで、有形の目標

2つ目のマスは、「主に自分以外のことで、有形の目標」だ。ここから、少しむずかしくなる。

これは、自分の行動が、まわりにどんな形で表れるかを書く。例を挙げると、「売上への貢献度を、新入社員の中で上位一〇%に入る」。自分の成長だけでなく、会社や周囲に対して、目に見える形で何を残すか。ここを書けている学生は、正直かなり少ない。でも、この視点があると、面接での話に厚みが出る。「入って何をしたいか」に、具体的に答えられるようになるからだ。まわりへの影響を、数で示す練習にもなる。

2つ目のマスには、「自分がいることで、まわりに何が起きるか」を数で書いてみてほしい。想像でかまわない。書けなければ、後回しでいい。

10-3 有形の目標は、他人と確かめ合える

有形の目標には、もう1つ、見逃せない利点がある。人と共有できる、ということだ。

「2028年4月に入社する」と書いてあれば、家族にも、友人にも、そのまま伝わる。伝われば、応援してもらえる。相談もできる。逆に、無形の目標だけだと、人に説明しづらい。「誇りを持って働きたい」と言っても、相手はどう手伝えばいいかわからない。だから、有形の目標は、まわりを巻きこむための入口としても働く。一人でがんばるより、人と共有したほうが、達成率は確実に上がる。

書いた有形の目標を、信頼できる人に1つだけ話してみてほしい。口に出すと、自分の中でも輪郭がはっきりする。それだけで、前に進みやすくなる。話す相手は、一人でいい。

10-4 有形の目標が持つ、二つの弱点

ここまで有形の目標の良さを書いてきたが、弱点も、はっきり書いておきたい。2つある。

1つは、達成したときに終わってしまうこと。「入社する」は、入社したら消える。もう1つは、達成できなかったときに、まるごと否定された気持ちになることだ。第一志望に落ちたとき、目標がそれしかないと、立ち直りに時間がかかる。この2つの弱点を補うのが、これから見ていく無形の目標である。有形だけでは、もろい。無形と組み合わせて、初めて丈夫になる。ここが、4つに分ける最大の理由だ。

有形の目標を書き終えたら、そこで満足せずに、次の章へ進んでほしい。半分しか、できていない。むしろ、本番はここからだ。有形を支えるのは、いつも無形のほうである。

Chapter 11 無形の目標を立てる

ここからが、今日の本題だ。無形の目標、つまり形にならないものを書く。書きにくいが、いちばん長く効く。この章では、その2つの視点と、書き方のコツを見ていこう。時間をかけて向き合ってほしい領域だ。

11-1 視点3:自分のことで、無形の目標

3つ目のマスは、「主に自分のことで、無形の目的目標」だ。自分が、どんな状態でありたいかを書く。

例を挙げると、「私は、仕事に誇りを持ち、大きな達成感を得ている」。数値では測れないが、本人にははっきりわかる状態だ。「毎日、自分の成長を感じられている」「困っている人に、まっすぐ向き合えている」。こういうものも、ここに入る。書くときのコツは、実現した後の状態を、現在形で書くことだ。「~したい」ではなく「~している」と書く。そのほうが、頭の中に像が結びやすい。

3つ目のマスに、「自分が、どんな状態でありたいか」を現在形で書いてみてほしい。数値はいらない。あなたが納得できる言葉かどうかだけが、基準になる。うまく書けなくても、まず1行置こう。

11-2 視点4:自分以外のことで、無形の目標

4つ目のマスは、「主に自分以外のことで、無形の目的目標」だ。4つの中で、いちばん書きにくく、いちばん効く場所である。

例を挙げると、「職場が、さらに活性化する」「家族を、安心させる」。自分の行動が、まわりの人の状態に、どんな変化を生むか。ここを書ける人は、多くない。なぜなら、ふだん自分のことで手一杯だからだ。でも、この視点を持つと、目標がぐっと粘り強くなる。自分のためだけだと、疲れたときに手を止められる。でも、誰かのためが入っていると、もうひとがんばりが効く。ここが、この視点の力だ。

4つ目のマスに、「自分がいることで、誰の、どんな状態が良くなるか」を書いてみてほしい。家族でも、友人でも、まだ見ぬ同僚でもいい。

11-3 無形こそが、長く効く

4つのマスを並べると、有形のほうが立派に見える。日付があり、数字があり、はっきりしているからだ。でも、長く効くのは無形のほうである。

理由は単純で、無形の目標には終わりがないからだ。「仕事に誇りを持っている」は、達成して消えるものではない。ずっと目指し続けられる。だから、入社しても、転職しても、年をとっても、生き続ける。有形の目標が節目ごとの目印だとすれば、無形の目標は、ずっと同じ方向を指し続ける方位磁針のようなものだ。目印は通り過ぎるが、方位磁針は、いつまでも使える。

無形の目標を、いちばん大事なものとして扱ってほしい。書きにくくても、時間をかける価値がある。ここが定まると、有形の目標も、自然と決まってくる。

11-4 無形の目標は、「状態」で書く

無形の目標を書こうとして、手が止まる人は多い。原因は、たいてい書き方にある。

コツは、行動ではなく「状態」で書くことだ。「毎日努力する」は行動なので、無形の目標には向かない。「毎日、成長を実感できている」と状態で書くと、しっくりくる。もう一つのコツは、その状態にいる自分を、映像で思いうかべること。どこにいて、どんな表情で、まわりに誰がいるか。映像が浮かべば、言葉は、あとから出てくる。逆に、映像が浮かばない言葉は、まだ自分のものになっていない証拠だ。

書いた無形の目標を読んで、その場面が映像で浮かぶか、確かめてほしい。浮かばなければ、もう少し具体的に書き直すといい。映像が浮かぶ言葉は、行動にもつながりやすい。

Chapter 12 4視点を、実際に書いてみる

考え方はここまでだ。最後は、実際に手を動かす章になる。この章では、書く順番と、学年ごとの進め方、そして書いた後の扱い方を紹介する。今日のうちに、4つのマスを埋めてしまおう。

12-1 書く順番は、1→3→4→2 がいい

4つのマスを、番号順に埋めようとすると、途中で止まりやすい。おすすめの順番がある。

まず、視点1(自分・有形)を書く。ここは書きやすいので、助走になる。次に、視点3(自分・無形)へ飛ぶ。「その会社に入って、自分はどんな状態でいたいのか」と考える。そして、視点4(自分以外・無形)へ進む。「そのとき、まわりはどうなっているか」。最後に、視点2(自分以外・有形)を書く。無形を先に考えておくと、有形の貢献目標が、具体的に出てきやすいからだ。この順番だと、流れが自然になる。

4つのマスを、1→3→4→2の順で埋めてみてほしい。書きやすいところから始めて、だんだん深くしていく。それがコツだ。今日じゅうに、粗くていいので4つとも埋めよう。

12-2 まだ会社名が書けなくても、問題ない

1・2年生や高校生は、ここで困るかもしれない。「入りたい会社が、まだない」からだ。

でも、まったく問題ない。視点1は、会社名でなくてもいい。「2028年春に、人の学びを支える仕事に就いている」でも十分だ。むしろ、この段階では、具体的な社名より、方向のほうが大事になる。会社は、これから知っていけばいい。逆に、視点3と4は、学年に関係なく書ける。「どんな状態でありたいか」「まわりがどうなっていてほしいか」は、今の自分でも考えられるからだ。だから、書ける場所から埋めればいい。

会社名が決まっていなければ、空欄のままにせず、方向だけ書いておいてほしい。空欄のままだと、進まない。仮でいいから、置いておこう。

12-3 4つのつながりを、確かめる

4つのマスが埋まったら、最後に、大事な確認作業がある。4つが、つながっているかどうかを見ることだ。

たとえば、視点3に「仕事に誇りを持っている」と書いたのに、視点1が「とにかく大きな会社に入る」だと、少しちぐはぐだ。誇りを持てるかどうかは、規模では決まらないからである。四つを並べて読んでみて、違和感があれば、どれかを書き直す。この作業をすると、自分の中の矛盾に気づける。そして、書き直したあとの4つは、一本の筋が通ったものになる。この筋こそが、志望動機の芯にもなる。

4つを並べて、声に出して読んでみてほしい。ちぐはぐに感じる箇所があれば、そこが直す場所だ。整えば、方向がはっきりする。この確認は、書くのと同じくらい大事な工程になる。

12-4 書いたら、見えるところに置く

最後は、書いた後の話だ。せっかく書いても、ノートを閉じてしまえば、忘れてしまう。

だから、見えるところに置いてほしい。書いた4つのマスを、写真に撮ってスマホの壁紙にする。あるいは、紙に清書して机の前に貼る。方法は何でもいい。大切なのは、毎日目に入ることだ。目に入る回数が多いほど、選択の場面で思い出せるようになる。しかも、しばらく眺めていると、「この表現は少しちがう」と気づく日が来る。そのときに直せばいい。目に入る場所に置くことは、見直す機会をつくることでもある。

書いた4つを、今日中に、目に入る場所へ移してほしい。しまいこまないこと。それだけで、この作業は生き続ける。見える場所にあるものだけが、日々の判断に効いてくる。

今日のまとめ

目標が「〇〇社に入る」の一つだけだと、入社した日に、目標がなくなってしまう。入社は、ゴールではなくスタートだからだ。

そこで使うのが、目標設定の4視点だ。「主に自分のこと/主に自分以外のこと」と「有形/無形」の2軸で、4つのマスをつくる。私が30代に原田隆史先生から学び、自分なりに解釈してきた考え方である。

4つそろうと、目標は線ではなく立体になる。1つがうまくいかなくても、他の3つが残るので、折れにくい。

いちばん書きにくいのが、無形と「自分以外」だ。でも、そこにこそ、あなたらしさが入る。無形の目標は達成して消えることがないので、いちばん長く効く。方位磁針のように、ずっと方向を指し続けてくれる。

書く順番は、1→3→4→2。会社名が決まっていなくても、方向だけ書けば進める。書き終えたら、四つのつながりを確かめて、目に入る場所に置いてほしい。

明日は、この目標を動かす「エンジン」の話をする。期限や数値化より、じつは大事なものがある。「なんのため」という動機の解像度だ。原田先生のメソッドについても、明日もう少し詳しく触れる。一緒に見ていこう。

4つのマスは、あなたの未来の設計図になると、あおラボは信じている。あなたの挑戦を、いつも全力で応援している。

関連記事

人事パーソン向け

学生向け

TOP
TOP