「なぜ働くのか」に、どう答えるか
こんにちは、あなたらしく輝ける未来を共に創造して、キャリア形成や就活の支援をおこなっている【あおラボ】です。
昨日は、8要素の1つ目「自信」を見てきた。自信は性格ではなく状態であり、育てられる、という話だった。
今日は、2つ目の「価値観・人間力」だ。面接で、こんなふうに聞かれることがある。「なぜ、働くのですか」「なぜ、うちの会社なのですか」。
このとき、「安定しているから」「給料がいいから」だけで終わってしまうと、少し弱い。もちろん、それも大事な条件だ。でも、企業が知りたいのは、その先だ。今日は、「自分のため」を超えた視点、伸び続ける向上心、そして誠実さ。この3つを、一緒に見ていく。
Chapter 9 なぜ企業は「価値観」を見るのか
面接で、能力やスキルだけでなく、その人の価値観が問われるのはなぜだろう。じつは、そこには、企業側のはっきりした理由がある。この章では、価値観がなぜ重視されるのかを、確かめておこう。理由がわかると、何を準備すればいいかも、見えてくる。
9-1 能力より先に、方向が問われる
同じ能力を持った二人がいる。一人は、その力を、自分の得だけに使う。もう一人は、その力を、まわりのために使う。企業は、どちらを選ぶだろう。
答えは、はっきりしている。力の「大きさ」より先に、力の「向き」が問われるのだ。どんなに優秀でも、その力が自分の利益だけに向いていると、組織の中では、かえって扱いにくい存在になる。逆に、力がまだ小さくても、向きが良い人は、伸びるし、まわりも助けてくれる。価値観とは、あなたの力が、どこを向いているかを示すものだ。だから、能力より先に見られる。
「自分の力を、何のために使いたいか」。一度、言葉にしてみてほしい。その答えが、あなたの価値観であり、企業がいちばん知りたいところだ。
9-2 「自分のため」だけでは、弱い理由
「安定した生活のため」「自分が成長したいから」。働く理由として、まったく正しい。責められることは、何もない。
ただ、それだけだと、面接では少し弱い。なぜなら、企業は「自分の得だけを考える人」に、大きな仕事を任せにくいからだ。仕事は、だれかの役に立って、初めてお金になる。お客さんのため、仲間のため、社会のため。その視点がある人は、目の前の仕事にも、まっすぐ向き合える。「自分のため」に「だれかのため」が加わったとき、あなたの志望動機は、ぐっと強くなる。
「自分のため」を、否定しなくていい。そこに「だれかのため」を、一つ足してみる。それだけで、あなたの働く理由は、深くなる。しかも、この視点があると、仕事の選び方も変わってくる。条件だけで選ばず、「ここでなら、だれかの役に立てそうだ」で選べるようになる。
9-3 建前ではなく、本音の価値観を持つ
「社会に貢献したいです」。就活で、よく聞く言葉だ。でも、面接官は、それが本心かどうかを、すぐ見ぬく。
大切なのは、立派な言葉を用意することではない。自分の中にある、本当の思いを見つけることだ。「困っている人を見ると、放っておけない」「ものづくりで、人の生活を便利にしたい」「地元が好きだから、地域を元気にしたい」。どんな形でもいい。あなた自身の経験から出てきた思いなら、それは本物だ。借りものの言葉より、素朴でも本音のほうが、ずっと伝わる。
「自分が、心から『これはいいな』と思うことは何だろう」と、考えてみてほしい。立派でなくていい。本音であることが、いちばん強い。面接官は、その人の目の輝きや、話す速さの変化まで見ている。本音を語るとき、人は自然と前のめりになる。それは、作れないものだ。
9-4 価値観は、行動ににじみ出る
価値観は、面接で語るものだと思われがちだ。でも、じつは、語る前から、相手には伝わっている。
なぜなら、価値観は、日々の行動ににじみ出るからだ。人の話を最後まで聞くか。困っている人に、声をかけるか。約束の時間を守るか。こうした小さな行動の一つひとつが、その人の価値観を表している。面接官は、話す内容だけでなく、態度や振る舞いからも、それを読み取っている。だから、価値観は、言葉で作るものではなく、行動で育てるものなのだ。
「自分の日ごろの行動は、どんな価値観を表しているだろう」と、振り返ってみてほしい。行動を変えれば、価値観も、少しずつ変わっていく。言葉と行動がそろっている人は、それだけで信頼される。逆に、立派なことを言っても行動が伴わなければ、すぐに見ぬかれてしまう。

Chapter 10 「社会のため」という視点を持つ
価値観の中でも、いちばん大切なのが、「自分のためだけでなく、社会のため」という視点だ。とはいえ、大げさに考える必要はまったくない。この章では、この視点の正体と、無理なく育てる方法を見ていこう。じつは、あなたの日常の中に、そのタネはすでにある。
10-1 「社会のため」は、大げさな話ではない
「社会貢献」と聞くと、ボランティアや、国際問題のような、大きな話を想像するかもしれない。「自分には、そんな立派なことは無理だ」と感じてしまう。
でも、社会のためというのは、そんなに大げさな話ではない。バイト先で、お客さんが気持ちよく過ごせるように工夫する。それも立派に、だれかのためだ。仕事とは、そもそも「だれかの困りごとを解決すること」でできている。だから、働くこと自体が、社会とつながっている。大きな志を持つ必要はない。目の前のだれかの役に立つ、という感覚から始めればいい。
「自分の行動は、だれの役に立っているだろう」と、身近なところで考えてみてほしい。その視点が、社会のためという感覚の、第一歩になる。
10-2 「だれの役に立ちたいか」を、はっきりさせる
「社会のために働きたい」。この言葉は、間違いではないが、ぼんやりしている。だから、面接でも印象に残りにくい。
もう一歩、具体的にしてみよう。「だれの、どんな困りごとを、解決したいか」。子どもの学びを支えたい。高齢の方の暮らしを楽にしたい。地元の小さな会社を元気にしたい。相手が具体的になるほど、あなたの思いは、リアルになる。そして、その相手が、志望する企業の顧客と重なっていれば、志望動機は、自然と強くなる。「社会のため」を、「あの人のため」まで、絞りこむのだ。
「自分は、どんな人の役に立ちたいだろう」と、顔が思いうかぶくらい具体的に考えてみてほしい。相手が見えると、言葉に、力が宿る。しかも、相手が具体的だと、企業研究もしやすくなる。「この会社は、その人たちに何を届けているか」という目で見られるからだ。
10-3 自分の経験から、思いを掘り起こす
「だれかのため」と言われても、思いつかない。そういう人も多いだろう。それは、思いがないのではなく、まだ掘り起こせていないだけだ。
思いは、自分の経験の中に眠っている。だれかに助けられて、うれしかった経験。理不尽なことに、腹が立った経験。夢中になって、人に喜ばれた経験。こうした記憶をたどると、「自分は、こういうことを大事にしているのか」と気づく。無理に立派な思いを作るのではなく、自分の中から掘り出す。掘り出した思いは、本物なので、語るときにも力がある。
これまでの人生で、「うれしかったこと」と「許せなかったこと」を、思い出してみてほしい。その2つの中に、あなたの価値観のタネが、隠れている。掘り起こした思いは、忘れないうちに書きとめておこう。就活の時期になって、その一行が、あなたを救ってくれることがある。
10-4 「社会のため」は、自分も幸せにする
「社会のためなんて、自分を犠牲にするみたいで、なんだかしんどい」。そう感じる人もいるかもしれない。でも、それは誤解だ。
じつは、だれかの役に立っていると感じられる人ほど、仕事が長く続き、満足度も高い。人は、自分のためだけに働くと、意外と早く、力がつきる。でも、だれかの喜ぶ顔が見えると、もうひとがんばりできる。「社会のため」は、自己犠牲ではなく、自分を支える燃料でもあるのだ。人のためが、めぐりめぐって、自分の幸せにつながる。そういう仕組みになっている。
「だれかの役に立てた」と感じた日のことを、思い出してみてほしい。あのときの気持ちよさが、あなたを長く支える力になる。だから、これは道徳の話ではなく、長く働き続けるための、現実的な知恵でもある。人のためは、自分のためにも、ちゃんと返ってくる。
Chapter 11 向上心と、モラルという土台
価値観・人間力には、もう2つの柱がある。一つは「向上心」。もっと良くなりたい、という前向きな力だ。もう一つは「モラル・倫理・法の尊重」。地味だが、これが崩れると、すべてが台無しになる。この章では、この2つを見ていこう。どちらも、今日から育てられるものだ。
11-1 向上心とは、今の自分に満足しないこと
「向上心を持て」と言われても、どういう状態かわかりにくい。がんばり屋であること? 上昇志向が強いこと?
向上心とは、「今の自分に、心地よく満足しきってしまわない」ということだ。今のままでも悪くはない。でも、もう少し良くなりたい。そう思い続けられる力のことだ。企業がこれを重く見るのは、社会が変わり続けるからだ。学び続ける人だけが、変化についていける。逆に、「もう十分」と思った瞬間に、成長は止まる。向上心は、才能ではなく、姿勢の問題だ。
「今の自分より、少しだけ良くなりたいところ」を、一つ思いうかべてみてほしい。その気持ちがあれば、あなたには、もう向上心がある。ただし、今の自分を否定する必要はまったくない。今も悪くない、でももっと良くなれる。この両立が、健やかな向上心のかたちだ。
11-2 向上心は、比べる相手を変えると育つ
向上心を持とうとすると、つい、まわりと自分を比べてしまう。そして、優秀な人を見ては落ちこむ。これでは、続かない。
おすすめは、比べる相手を変えることだ。他人ではなく、「昨日の自分」と比べる。昨日より、少しできるようになった。先月より、少し詳しくなった。この比べ方なら、落ちこまずに、前に進める。しかも、成長を実感できるので、続けやすい。他人と比べる向上心は、しんどい。自分と比べる向上心は、健やかだ。同じ前進でも、心の消耗が、まるでちがう。
「昨日の自分より、何か一つできるようになったか」を、寝る前に振り返ってみてほしい。この習慣が、健やかな向上心を育てる。他人の活躍は、参考にすればいい。でも、比べる相手にはしない。刺激としては受け取り、ものさしは自分に置く。この使い分けが、心を守る。
11-3 モラルは、地味だが決定的
モラル、倫理、法を守る。当たり前すぎて、わざわざ言うことでもない、と感じるかもしれない。実際、就活でアピールするような話でもない。
でも、これは決定的に大切だ。なぜなら、ここが崩れると、他の要素がどれだけ優秀でも、すべてが無価値になるからだ。どんなに能力が高くても、うそをつく人、約束を破る人、ルールを軽んじる人は、信用されない。企業にとって、信用は命だ。だから、採用でも、ここは絶対に譲れない一線になる。目立たないが、土台の中の土台。それがモラルだ。
「これくらい、いいか」と思う小さな場面こそ、大事にしてほしい。締め切り、約束、正直さ。地味な一つひとつが、あなたの信用をつくっていく。そして、信用は、築くのに長い時間がかかり、失うのは一瞬だ。だからこそ、小さな場面でこそ、ていねいでありたい。
11-4 人間力は、「一緒に働きたいか」で決まる
「人間力」という言葉は、つかみどころがない。でも、企業の中では、とても具体的な意味を持っている。
それは、「この人と、一緒に働きたいか」だ。能力が同じくらいなら、最後はここで決まる。あいさつができる。感謝を伝える。人の話をちゃんと聞く。困っている人に手を貸す。約束を守る。こうした、あたりまえのことの積み重ねが、人間力だ。特別な才能はいらない。むしろ、あたりまえのことを、あたりまえに続けられる人が、いちばん信頼される。
今日から、あいさつ・感謝・約束の3つを、少していねいにしてみてほしい。人間力は、そこから育つ。地味だが、いちばん確実な道だ。しかも、これは面接の場だけの話ではない。日ごろの振る舞いが、そのまま出る。だから、日常こそが、いちばんの練習の場になる。

Chapter 12 今日から始める、価値観の育て方
最後に、価値観と人間力を育てるための、具体的なアクションを紹介する。価値観は、生まれ持ったものではなく、日々の行動と振り返りから育っていく。どれも、今日から始められるものばかりだ。気楽に、一つ選んでみてほしい。
12-1 「うれしかった」「許せなかった」を書き出す
自分の価値観を知りたくても、直接「私の価値観は何か」と問うても、なかなか答えは出てこない。抽象的すぎるからだ。
だから、具体的な記憶から入ろう。紙に、2つの欄をつくる。左に「うれしかったこと」、右に「許せなかったこと」。思い出せるだけ書き出す。人に感謝されたこと、理不尽だと感じたこと。何でもいい。書き出したら、共通点を探してみる。「人の成長に関わることが好きらしい」「ごまかしが嫌いらしい」。そこに、あなたの価値観が、はっきり形を現す。
今週、30分だけ時間をとって、この書き出しをやってみてほしい。自分でも気づいていなかった、価値観の輪郭が見えてくる。うまく共通点が見つからなくても、気にしなくていい。書き出した記憶そのものが、面接で語るときの、生きた材料になる。
12-2 バイトで「だれの役に立てたか」を意識する
「社会のため」という視点は、頭で考えるより、実際に体験するほうが早く身につく。そして、その場は、すでにあなたの日常にある。
アルバイトが、いちばんの練習場だ。次のシフトで、「今日、自分はだれの役に立てたか」を、一度だけ意識してみてほしい。お客さんが笑顔になった。忙しい先輩の手が、少し空いた。それでいい。この視点で働くと、同じ仕事が、まったくちがって見えてくる。作業ではなく、貢献になる。そして、この感覚こそが、面接で語れる本物の言葉になる。
次のバイトのあと、「今日、だれの役に立てたか」を、一行メモしてみてほしい。積み重ねると、あなたの価値観の記録になる。この意識があると、仕事へのやる気も自然と上がる。だれかの役に立っている実感は、いちばん強い燃料になるからだ。
12-3 「昨日の自分」と比べる習慣をつくる
向上心は、大きな目標より、日々の小さな比較から育つ。しかも、比べる相手を、他人ではなく自分にすると、心が消耗しない。
だから、寝る前に、ひとこと自分に聞いてみてほしい。「今日、昨日より少しでも良くなったことはあるか」。何もない日があっても、まったく気にしなくていい。それでも、この問いを続けること自体が、向上心を育てる。人は、意識を向けたものを、探すようになるからだ。「良くなったこと」を探すくせがつけば、成長は、自然と加速していく。
今夜から、寝る前に一つだけ、「昨日より良くなったこと」を思い出してみてほしい。小さくていい。この習慣が、健やかな向上心をつくる。寝る前の1分でいい。手帳でも、スマホのメモでも構わない。続けるほど、自分の変化に気づく目が、するどくなっていく。
12-4 小さな約束を、ていねいに守る
モラルや人間力を高める、と言われても、大きなことをする必要はない。むしろ、逆だ。日常の、小さなところにこそ、本質がある。
だから、小さな約束を、ていねいに守ることから始めよう。友だちとの待ち合わせ時間。提出物の期限。「あとで送るね」と言ったメッセージ。どれも、破っても大したことがないように見える。でも、こうした小さな約束を守り続ける人は、まわりから、静かに信頼を集めていく。信用は、大きな行動ではなく、小さな積み重ねで育つ。就活も、社会に出てからも、それは変わらない。
今週、自分がした小さな約束を、一つ残らず守ってみてほしい。地味だが、これが人間力を育てる、いちばん確実な方法だ。守れそうにないときは、早めに正直に伝える。それも、りっぱに約束を大切にする姿勢だ。ごまかさないことが、信用を守る。
今日のまとめ
今日は、8要素の2つ目、「価値観・人間力」を見てきた。
企業は、力の大きさより先に、力の向きを見ている。「自分のため」は否定しなくていい。そこに「だれかのため」を一つ足すと、あなたの働く理由は、ぐっと深くなる。そして、社会のためという視点は、大げさな話ではなく、目の前のだれかの役に立つ、という感覚から始まる。
もう2つの柱は、向上心とモラルだ。向上心は「昨日の自分」と比べることで健やかに育つ。モラルは地味だが、崩れるとすべてが無価値になる土台だ。そして人間力とは、「この人と一緒に働きたいか」に尽きる。あいさつ、感謝、約束。あたりまえの積み重ねが、いちばん強い。
明日は、8要素の3つ目、「思考力」を扱う。論理・スピード・アイデア。社会で本当に効く頭の使い方を、一緒に見ていこう。あなたの一歩を、あおラボはいつも全力で応援している。