「地頭がいい人」には、かなわないのか
こんにちは、あなたらしく輝ける未来を共に創造して、キャリア形成や就活の支援をおこなっている【あおラボ】です。
昨日は、8要素の2つ目「価値観・人間力」を見てきた。自分のためだけでなく、だれかのためという視点が、あなたの言葉を強くする、という話だった。
今日は、3つ目の「思考力」だ。この言葉を聞いて、少し気持ちが沈んだ人がいるかもしれない。「頭の回転が速い人には、どうせ勝てない」「自分は、そういうタイプじゃない」。
でも、そこは誤解だ。企業が見ている思考力は、生まれ持った頭のよさではない。論理的に考える力、判断の速さ、アイデアを出す力。この3つは、どれも型があり、練習で身につく技術だ。今日は、その中身と、今日から鍛える方法を、一緒に見ていく。
Chapter 13 なぜ企業は「思考力」を見るのか
面接で、答えのわからない質問をされることがある。「あなたなら、この課題をどう解決しますか」。あれは、意地悪をしているわけではない。企業には、思考力を見たいはっきりした理由がある。この章では、その理由を確かめておこう。ここがわかると、何を準備すればいいかが、はっきり見えてくる。
13-1 仕事の大半は、「正解のない問題」
学校のテストには、必ず正解があった。だから、正しい答えを覚え、正しく再現する力が評価されてきた。その世界で、私たちは十数年を過ごしてきた。
でも、仕事は、まるでちがう。「どうすれば、この商品がもっと売れるか」「このお客さんの不満を、どう解消するか」。こうした問いに、教科書的な正解はない。だから企業は、正解を知っている人ではなく、正解のない中で、自分なりの答えを組み立てられる人を求めている。これが、思考力を見る、いちばん大きな理由だ。知識の量ではなく、知識の使い方が問われている。
「正解を当てにいく」くせを、少しだけ手放してみてほしい。答えがない問いに、自分なりの答えを出してみる。その練習が、そのまま思考力の訓練になる。
13-2 思考力は、地頭ではなく「型」
「思考力が高い人」と聞くと、生まれつき頭の回転が速い人を想像する。そして、「自分とは、種類がちがう」とあきらめてしまう。もったいない話だ。
でも、仕事で使う思考力の大部分は、じつは型でできている。結論から話す。理由を三つに整理する。「なぜ」を掘り下げる。事実と意見を分ける。どれも、覚えて、繰り返せば身につく技術だ。頭の回転が速く見える人は、天才なのではなく、この型を身体に染みこませているだけのことが多い。地頭の差だと思っていたものは、多くの場合、練習量の差なのだ。
「自分は頭が悪いから」という言葉を、いったん置いてみてほしい。かわりに、「まだ型を知らないだけだ」と考える。それだけで、伸びしろが見えてくる。
13-3 面接は、思考力の見本市
面接では、志望動機や自己PRを準備していく。でも、面接官がいちばん本気で見ているのは、じつは準備してこられなかった部分だ。
思いがけない質問をされたとき、どう考え、どう答えるか。そこに、その人の思考力が、まるごと出る。話の筋道が通っているか。結論が先にあるか。根拠が示されているか。答えの正しさより、考え方のクセを見ている。だから、想定問答を丸暗記した人ほど、少し外れた質問で崩れてしまう。逆に、考え方の型を持っている人は、初めての質問にも、落ち着いて答えられる。
面接対策では、「答えを覚える」より「考え方を整える」ほうに、時間を使ってほしい。型があれば、どんな質問が来ても、まず落ち着いて構えられる。
13-4 考える力は、後からいくらでも伸びる
「思考力なんて、大学入試のときに決まってしまったのでは」。そう感じている人もいるだろう。学力のイメージと、重ねてしまうからだ。
でも、社会で使う思考力は、むしろ大学以降に伸びる。なぜなら、考える機会の量で決まるからだ。人は、考えた回数だけ、考えられるようになる。アルバイトで工夫を重ねた人、サークルの運営で悩み抜いた人は、確実に思考力を伸ばしている。学力とは、別のものさしだ。そして、この力に、締め切りはない。二十歳からでも、三十歳からでも、伸びていく。
「今から伸ばせる力だ」と、まず信じてほしい。信じられると、日々の出来事が、すべて練習の機会に変わる。その視点の変化が、いちばん大きい。バイトの段取りも、サークルの調整も、すべて思考の訓練になる。特別な場所は、いらない。

Chapter 14 論理的に考える力を、型で身につける
思考力の一つ目は、論理的に考える力だ。「ロジカルシンキング」と呼ばれ、むずかしそうに聞こえる。でも、中身はとてもシンプルだ。この章では、その正体と、すぐ使える四つの型を紹介する。どれも、今日の会話から使える。むずかしい本を読む必要は、まったくない。
14-1 「論理的」とは、話がつながっていること
論理的、と聞くと、数学のような、かたい話を想像するかもしれない。だから、文系だから苦手だ、と思ってしまう人もいる。
でも、論理的とは、要するに「話がつながっている」ということだ。AだからB、BだからC。この、つなぎ目に飛躍がない状態を、論理的という。逆に、「なんとなくそう思う」で話が飛ぶと、聞き手は置いていかれる。頭のよさではなく、つなぎ目のていねいさの問題なのだ。だから、賢い言葉を使う必要はまったくない。むしろ、やさしい言葉のほうが、つなぎ目は見えやすい。
自分の話を、「だから」でつないでみてほしい。つながらない箇所があれば、そこが飛躍だ。埋めれば、それだけで論理的になる。人に話してみると、飛躍はもっとはっきりする。相手が「え?」と止まった場所が、つなぎ目の弱いところだ。
14-2 結論から言う、という最強の型
「えっと、まずですね、去年の夏に……」。話を、時間の順に話し始める。すると、聞き手は「で、何の話?」と迷子になる。よくある失敗だ。
だから、結論から言う。「私の強みは、粘り強さです。理由は三つあります」。この一言で、聞き手の頭に、話を入れる箱ができる。あとは、その箱に中身を入れていくだけだ。この型は、面接でもエントリーシートでも、仕事のメールでも通用する。しかも、結論から言おうとすると、話す前に「自分は何を言いたいのか」を考えることになる。つまり、この型自体が、思考の整理装置でもあるのだ。
明日から、話す前に「結論はひとことで何か」を、自分に問う習慣をつけてほしい。それだけで、伝わり方が、はっきり変わる。
14-3 「なぜ」を三回、掘り下げる
「その理由は?」と聞かれて、一つ答えて終わってしまう。すると、話が浅いまま止まる。面接官は、もう一段深いところを知りたいのに、届かない。
そこで使えるのが、「なぜ」を三回くり返す方法だ。「私は接客が好きだ」→なぜ?→「人に喜ばれるとうれしいから」→なぜ?→「自分の工夫が、直接、相手の反応になるから」→なぜ?→「工夫して何かを良くすることが、自分の喜びだから」。三回掘ると、表面の答えから、あなた自身の核にたどりつく。そして、この核こそが、他の人と重ならない、あなただけの言葉になる。
自分の答えに、「なぜ?」と三回、自分でツッコミを入れてみてほしい。最初は面倒でも、三回目に出てくる言葉は、はっとするほど自分らしい。
14-4 事実と意見を、きちんと分ける
「あの店は、接客がひどい」。これは、事実だろうか、意見だろうか。じつは、意見だ。事実は、「入店して五分、だれも声をかけなかった」のほうである。
この二つを混ぜて話す人は、思いのほか多い。そして、混ぜたまま話すと、話が主観的に聞こえ、説得力が落ちる。逆に、「事実はこうだ。だから、私はこう考える」と分けて話すと、同じ内容でも、格段に信頼される。仕事でも、この区別ができる人は重宝される。報告のとき、事実と解釈を分けて伝えられるからだ。地味だが、これは強力な武器になる。
自分の発言を、「これは事実か、意見か」と、一度点検してみてほしい。分けて話すだけで、あなたの言葉は、ぐっと信頼される。面接でも、経験を語るときは、まず起きた事実を述べ、その後に自分の解釈を置く。この順番を守るだけでいい。
Chapter 15 「速さ」と「アイデアを出す力」
思考力には、あと二つの顔がある。一つは、考える速さ。もう一つは、アイデアを出す力だ。どちらも「才能」だと思われがちだが、じつは、はっきりした仕組みがある。この章では、その仕組みと、鍛え方を見ていこう。ここを知ると、ずいぶん気が楽になるはずだ。
15-1 速さは、才能ではなく「準備」
会議で、すぐに意見が出る人がいる。それを見て、「あの人は頭の回転が速い」と感心し、自分と比べて落ちこむ。よくある光景だ。
でも、速さの正体は、多くの場合、準備だ。その人は、その場で一から考えているのではない。前もって考えたことのある問題だから、引き出しから取り出しているだけなのだ。将棋の棋士が一瞬で手を指せるのも、過去に何万回も考えているからである。つまり、速さとは、過去の思考の蓄積だ。その場の閃きではなく、事前の積み重ねの結果なのだ。
「速く考えよう」とがんばるかわりに、「先に考えておこう」と切り替えてほしい。準備した数だけ、あなたは速くなる。しかも、この考え方なら、今日から取りかかれる。才能を嘆く時間を、準備の時間に変えればいいだけだ。
15-2 引き出しの数が、速さをつくる
とはいえ、「先に考えておく」と言われても、何を考えておけばいいかわからない。だから、多くの人が、準備を後回しにしてしまう。
準備とは、引き出しをつくることだ。面接なら、想定される質問に、自分なりの答えを用意しておく。業界のニュースに、自分の意見を持っておく。バイト先の課題に、改善案を考えておく。こうして考えた回数が、そのまま引き出しの数になる。そして、本番では、その引き出しの中から、近いものを取り出して組み合わせる。ゼロから作るのではなく、あるものを組み合わせるから、速いのだ。
日ごろ気になったことに、自分なりの答えを出しておく習慣をつけてほしい。使わずに終わっても、引き出しは、確実に増えている。
15-3 アイデアは、ゼロからは生まれない
「アイデアマンになりたいけど、何も浮かばない」。そう悩む人は多い。そして、自分には発想力がない、と結論づけてしまう。
でも、アイデアは、ゼロから生まれるものではない。既にあるもの同士の、新しい組み合わせだ。有名な例で言えば、消しゴムと鉛筆を組み合わせたのが、消しゴム付き鉛筆だ。まったくの無から発明されたものは、ほとんどない。つまり、アイデアを出すために必要なのは、才能ではなく、材料の数と、組み合わせる回数なのだ。ここが腹落ちすると、発想力は、努力の対象に変わる。
「思いつかない」ときは、才能を疑うより、材料を増やしてほしい。本、経験、人との会話。材料が増えれば、組み合わせは自然と増える。ふだん行かない場所に行く。読まない分野の本を開く。そうした寄り道が、じつは発想の元になる。
15-4 まずは「質より量」から始める
いいアイデアを出そうとすると、かえって何も出てこない。頭の中で、出す前から自分で採点してしまうからだ。この自己検閲が、いちばんの壁になる。
だから、最初は質を捨てて、量から入る。「くだらなくていいから、十個出す」と決める。くだらないものを九個出すうちに、十個目にいいものが混じる。それがアイデアの現実だ。プロほど、大量に出して、そこから選ぶ。最初から一発で当てようとしないのが、うまい人のやり方なのだ。だから、質を高める最短の道は、じつは量をこなすことにある。
アイデアを考えるときは、「まず十個」と決めてほしい。質は、後から選べばいい。出すことと選ぶことを、分けるのがコツだ。出している最中は、絶対に評価しない。この一点を守るだけで、出てくる数が、驚くほど増える。

Chapter 16 今日から始める、思考力の鍛え方
最後に、思考力を鍛えるための、具体的なアクションを紹介する。思考力は、本を読んで理解するだけでは伸びない。実際に考えた回数だけ、伸びていく力だ。どれも、一日五分あればできるものばかりだ。気楽に、一つ選んでみてほしい。
16-1 ニュースに、自分の意見を一つ持つ
ニュースを見て、「へえ」で終わってしまう。情報は入ってくるが、思考は動いていない。これでは、いくら見ても、力にはならない。
だから、一日一つでいい。ニュースを見たら、「自分は、これをどう思うか」を、一言だけ言葉にする。「この値上げは、仕方ないと思う。なぜなら~」。正しさは、まったく必要ない。大事なのは、事実に対して、自分の立場を決める練習をすることだ。これを続けると、意見を持つことが、こわくなくなる。そして、面接で「最近気になるニュースは」と聞かれたとき、慌てずにすむ。
今日のニュースを一つ選んで、自分の意見を一行、メモしてみてほしい。一日一行。三か月で、九十個の意見が、あなたの中にたまる。しかも、書いたものは残る。後から読み返すと、自分の考え方のクセまで見えてくる。
16-2 「結論から」を、日常会話で練習する
結論から話す型は、面接の直前に覚えても、まず使えない。緊張した場面では、練習していないことは出てこないからだ。
だから、日常で練習しておく。友だちに何かを話すとき、「まず結論から言うと」と、口に出してみる。バイト先の報告でも、「結果から言いますと」と始めてみる。最初は、少し不自然に感じるだろう。それでいい。二週間も続ければ、意識しなくても、結論が先に出てくるようになる。日常の会話が、そのまま面接の練習になる。しかも、まわりからは「話がわかりやすい人」だと思われる。一石二鳥だ。
今日から、「結論から言うと」を、一日一回だけ使ってみてほしい。たった一回でいい。回数が、あなたの話し方を変えていく。うまく言えなくても、まったく気にしなくていい。言おうとした時点で、頭は結論を探し始めている。
16-3 「なぜ」を三回、ノートに書く
「なぜを掘り下げよう」と頭で思っていても、実際にやるのはむずかしい。頭の中だけでは、二回目くらいで、ぼんやりしてしまうからだ。
だから、書く。ノートに、上から順に書き下ろしていく。テーマは何でもいい。「なぜ、このバイトを続けているのか」「なぜ、あの授業が好きなのか」。一つ答えたら、その下に「なぜ?」と書き、また答える。三段まで掘る。書くと、逃げられない。そして、三段目に出てくる言葉が、あなたの本音であることが多い。就活の自己分析も、じつはこの作業の積み重ねでできている。
今週、一つだけテーマを決めて、「なぜ」を三段、書いてみてほしい。十分もかからない。でも、出てくる答えは、意外と深い。そして、そこで出た言葉は、面接でそのまま使える。借りものではない、自分の言葉になるからだ。
16-4 アイデアを、毎日三つ出す
発想力を鍛えたいと思っても、鍛える機会は、待っていても来ない。だから、自分で機会をつくるしかない。
おすすめは、「毎日三つ」だ。お題は、身のまわりから探す。「このコンビニの売上を上げる案を三つ」「この授業をもっと面白くする案を三つ」。実行する必要は、まったくない。出すだけでいい。くだらなくてもいい。この習慣を一か月続けると、九十個のアイデアが出る。そして何より、「自分は、出そうと思えば出せる」という感覚が育つ。この感覚こそが、発想力の正体だ。
今日、身のまわりのお題を一つ決めて、アイデアを三つ出してみてほしい。三分でいい。続けるほど、頭は、勝手に回り始める。やがて、街を歩いているだけで、改善案が浮かぶようになる。そうなれば、しめたものだ。
今日のまとめ
思考力は、生まれつきの地頭ではない。論理的に考える力も、判断の速さも、アイデアを出す力も、すべて型と回数で伸びる技術だ。
論理的とは、話がつながっていること。結論から言い、「なぜ」を三回掘り、事実と意見を分ける。この四つの型を持つだけで、あなたの言葉は、格段に伝わるようになる。
速さは才能ではなく、事前に考えておいた量で決まる。アイデアも、ゼロから生まれるのではなく、材料の組み合わせから生まれる。だから、どちらも、努力が素直に効く領域だ。
そして、鍛え方はシンプルだ。ニュースに意見を持つ。結論から話す。「なぜ」を三段書く。アイデアを毎日三つ出す。一日五分の積み重ねが、三か月後のあなたを、まるでちがう場所に立たせている。
明日は、内側の力の四つ目、「人間関係構築力・リーダーシップ」を扱う。だれとでも良い関係を築き、人を前向きにし、まとめていく力だ。じつは、リーダーシップは、リーダーだけのものではない。そのあたりを、一緒に見ていこう。
考える力は、いくつからでも伸びていくと、あおラボは信じている。あなたの挑戦を、いつも全力で応援している。