やることは多いけど、軸は1つでいい
こんにちは、あなたらしく輝ける未来を共に創造して、キャリア形成や就活の支援をおこなっている【あおラボ】です。
昨日は、自己分析が診断結果を知る作業ではないことを書いた。うまくいった場面を3つ、書き出せただろうか。
今日は導入部の後半になる。扱うのは、3つのこと。なぜ軸が1本でいいのか。自己分析でやる作業は具体的に何なのか。そして、どこで失敗しやすいのか。
就活は、やることが多い。説明会、ES、筆記、面接。数えるときりがない。けれど、そのすべてを支える軸は、たった1つでいい。今日はその理由から始めたい。
Chapter 5 軸が1本だと、なぜ強いのか
「軸を持て」とはよく言われる。ただ、なぜ持つと強いのかまでは、あまり説明されない。理由がわからないまま言われても、身が入らないものだ。この章では、軸が1本あることで何が起きるのかを、4つに分けて具体的に書いておきたい。
5-1 ぶれない、ではなく「説明がつながる」
軸があるとよい理由として、「ぶれないから」とよく言われる。間違いではないが、少し抽象的だと思う。
もっと実際的な効果がある。それは、説明がつながることだ。志望動機と自己PRと、学生時代に力を入れたこと。この3つを別々に用意すると、面接で並べたときに、どこか噛み合わない感じが出る。聞いている側は、それを敏感に感じ取るものだ。ところが軸が1本通っていると、3つが同じ人物の話として届く。「この人はこういう人だ」と、相手の中で像が結ぶ。これは、内容の良し悪しより大きく効く部分である。
自分の3つの話を、並べて読んでみてほしい。同じ人の話に聞こえるかどうかが、軸があるかどうかの答えになる。ちぐはぐに感じたら、まだ軸は立っていない。
5-2 企業ごとに言い換えるだけで済む
もう1つ、作業量の話をしておきたい。ここは冬になると、はっきり効いてくる。
軸がないと、企業ごとにゼロから考えることになる。10社受ければ、10回その作業をする。1社あたり何時間もかかり、しかも毎回浅い。一方、軸が1本あれば、書くべき中身は決まっている。企業ごとに変えるのは、どの場面を選ぶか、どの言葉を前に出すかという表現の部分だけになる。時間は3分の1以下に減る。そのぶん、企業研究や面接の練習に時間を回せる。この差が、そのまま結果の差になっていく。
今月は、企業ごとの対策を始めないでほしい。土台を1つつくるほうが、結果として早い。土台は1度つくれば、何社であっても同じも。使い回せる。しかも、使うほど磨かれていく。
5-3 深掘りに耐えられる
面接で怖いのは、用意していない質問が来ることだ。ここでも軸が効いてくる。
「なぜそう思ったのですか」「ほかの方法は考えましたか」「それは今も続いていますか」。面接官は、掘って確かめようとする。用意した答えを暗記しているだけだと、2つ目か3つ目で止まってしまう。けれど、軸が自分の中から出たものであれば、その場で考えて答えられる。なぜなら、答えの元になっている経験を、自分がいちばんよく知っているからだ。暗記ではなく、理解している状態になる。ここが、対策した人と掘った人の分かれ目になる。
想定問答を増やすより、軸を深くすることに時間を使ってほしい。深さは、どんな質問にも対応する。用意できる問答の数には、限りがある。
5-4 自分が納得して選べる
最後は、結果が出たあとの話だ。ここを見落とす学生が多いので、書いておきたい。
就活は、内定が出れば終わりではない。その会社で働き始めるところから、本当の話が始まる。軸がないまま受けて内定を得ると、「本当にここでよかったのか」という気持ちが残ることがある。実際、入社後に早く辞めてしまう人の話を聞くと、この感覚を抱えたまま入社していたケースが少なくない。一方、自分の軸で選んだ人は、たとえ大変なことがあっても、選んだ理由に戻ることができる。これは、働き始めてからの支えになる。
内定のその先まで考えて、軸をつくってほしい。選んだ理由は、長く自分を支えてくれる。就活は、入社してからのほうがずっと長い。選ぶ基準を、自分の側に置いておこう。

Chapter 6 自己分析でやる作業は、4つしかない
軸をつくると言われても、何をすればよいかがわからない。ここが止まる原因になる。じつは、やる作業は4つしかない。この章では、その4つを順に紹介する。今月はこの順番で進んでいくので、地図として頭に入れてほしい。
6-1 1つ目、集める
最初の作業は、材料を集めることだ。自分の経験を、頭の中から出していく。
ここで大事なのは、選ばずに出すことである。「これは就活で使えるか」と考えながら書くと、手が止まる。しかも、判断しているあいだに、本当は大事な経験が落ちてしまう。だから、まずは全部出す。アルバイト、サークル、ゼミ、授業、インターン、家族との出来事。何でもいい。9月に記録をつけてきた人は、それがそのまま材料になる。つけていなかった人も問題はない。思い出しながら書けば、必ず出てくる。量が多いほど、あとの作業が楽になる。
集める段階では、良し悪しを判断しないでほしい。判断は、あとの工程でいくらでもできる。まずは、出せるだけ出してみよう。
6-2 2つ目、掘る
集めたら、次は掘る。1つひとつの経験について、「なぜ」を1度だけ考える作業だ。
8月の連載で扱った話が、ここで戻ってくる。「なぜ、それをやったのか」「なぜ、そのとき嬉しかったのか」「なぜ、あの場面ではうまくいったのか」。1度でいい。何度も掘る必要はない。1度掘ると、出来事の下にある自分の反応が見えてくる。たとえば「後輩に教えるのが楽しかった」の下には、「相手ができるようになる瞬間に立ち会いたい」という自分がいるかもしれない。この下の層が、強みの材料になる。表面だけでは、まだ足りない。
集めた経験それぞれに、「なぜ」を1つ足してほしい。1行増やすだけで、材料の質が変わる。答えが出なければ、それも書いておけばいい。
6-3 3つ目、束ねる
掘ったものが並んだら、今度は束ねる作業に移る。共通点を見つけていく工程だ。
ここが、自己分析でいちばん面白いところかもしれない。バラバラに見えた経験を並べて眺めると、同じような言葉が何度も出てくることに気づく。「教える」「まとめる」「つくる」「調べる」「つなぐ」。この繰り返しこそが、あなたの型だ。1つの経験だけでは、それはたまたまかもしれない。けれど3回、4回と出てくるなら、それは再現性のあるものになる。9月の連載で「くり返し出てくる言葉に印をつける」と書いたが、まさにこの作業になる。
並べて眺める時間を、必ず取ってほしい。束ねる工程を飛ばすと、材料のままで終わってしまう。同じ言葉が3回出たら、印をつけよう。
6-4 4つ目、言い切る
最後は、言い切る作業だ。束ねて見えてきたものを、1行にする。
「私の強みは、○○です」。この形にまで落とす。ここを曖昧なままにしている学生が、とても多い。曖昧なままだと、ESでも面接でも毎回ちがう言い方になり、相手に像が残らない。言い切るのは勇気がいる。「本当にこれでいいのか」と迷うと思う。けれど、仮でいい。今月の終わりに1行決めて、冬のあいだに磨いていけばいいのだ。完成させようとすると、いつまでも決まらない。
10月の終わりに、1行で言い切ってほしい。仮の1行でも、あるとないとでは大ちがいである。冬のあいだに、何度でも書き直せばいい。決めることを、こわがらないでほしい。仮でも決めた人から、前に進んでいく。
Chapter 7 よくある失敗と、その避け方
ここまでで、やることは見えたと思う。次は、つまずきやすい場所を先に知っておきたい。毎年、同じところで止まる学生を見てきた。この章では、4つの失敗と避け方を書いておく。先に知っておけば、避けられる。
7-1 過去をさかのぼりすぎる
自己分析を始めると、多くの学生が幼少期から振り返ろうとする。いわゆる自分史というものだ。
ただ、これには注意がいる。幼稚園から順に書いていくと、それだけで何日もかかってしまう。しかも、小学校の記憶は曖昧で、掘っても出てくるものが少ない。時間を使ったわりに、材料が集まらない。おすすめは、高校以降に絞ることだ。記憶が鮮明で、自分で選んだ行動が多い時期にあたる。就活で語る経験も、たいていここから出てくる。それでも足りなければ、あとから範囲を広げればいい。
まずは高校以降に絞って集めてほしい。範囲を狭めたほうが、密度は上がる。大学の4年間だけでも、材料は十分にある。足りなければ、そのとき広げよう。無理に子どもの頃まで戻らなくていい。
7-2 きれいにまとめようとする
もう1つの失敗は、最初からきれいな文章にしようとすることだ。ここで手が止まる人は多い。
ノートに書くとき、整った言葉で書こうとすると、1行書くのに何分もかかる。そして疲れて、翌日にはノートを開かなくなる。集める段階では、単語でいい。「バイト クレーム対応 焦った」。これで十分である。文章にするのは、束ねたあとの工程だ。順番を守れば、それぞれの作業は軽くなる。逆にすると、どの工程も重くなってしまう。9月の連載でも書いたが、完璧を求めると止まるのだ。
集める段階は、単語で書いてほしい。整えるのは、ずっとあとの作業でいい。そのほうが数も集まり、結果として早く終わる。読めれば、字が乱れていてもかまわない。誰かに見せるのは、ずっと先のことだ。
7-3 1人でやりきろうとする
自己分析は1人でやるもの、と思われている。半分は正しいが、半分はちがう。
自分の中を掘るのは、たしかに1人の作業だ。けれど、束ねる段階では人の目が役に立つ。自分ではあたりまえすぎて気づかないことが、他人には見えるからだ。「あなた、いつも人の話を最後まで聞くよね」。こう言われて、初めて気づくことがある。7月の連載で、外の目が本当の自分を映すと書いた。友人でも、家族でも、大学のキャリアセンターの人でもいい。書き出したものを見てもらうだけで、発見がある。
束ねる段階で、一度誰かに見てもらってほしい。1人では見えない部分が、必ずある。頼むのは、5分あれば済むことだ。相手の一言が、思わぬ気づきになる。自分ではあたりまえすぎて、気づけない部分があることを知った行動がとれる賢い就活生になろう。
7-4 途中でやめてしまう
最後は、いちばん多い失敗だ。始めたのに、続かない。
理由ははっきりしている。負荷が高すぎるからだ。「今日は2時間やるぞ」と決めた日は進むが、翌日には疲れて開かない。2日空くと、そのまま止まる。これは意志の問題ではなく、設計の問題である。昨日書いたとおり、1日10分と決めてしまえばいい。10分なら、疲れていてもできる。そして止まった日があっても、翌日からまた始めればいい。抜けた日は数えなくてかまわない。続いた日のほうを数えてほしい。
負荷を下げて、毎日続けてほしい。続けた人だけが、10月末に軸を持てる。1日10分を、先に予定として決めておこう。自分の意志を、あまり信用しないほうがうまくいく。仕組みで続けるほうが、確実だ。

Chapter 8 今月を走り切るために
導入は今日で終わる。来週からは中身に入っていく。この章では、今月の地図と、走り切るための心構えを書いておきたい。ここを押さえておけば、途中で迷わずに進める。
8-1 22日分の地図を、頭に入れる
今月は、22日(回)の記事をお届けする。全体の流れを、もう一度確認しておきたい。
今日までの2日が導入部だ。来週は、強みの正体を正確に知る。スキルとの違い、コンピテンシーという考え方を扱う。再来週は、実際に書き出す週になる。ここが山場だ。その次の週で、書き出したものを分類して読み解いていく。そして最終週に、企業選びやESにどうつなげるかを扱う。集める、掘る、束ねる、言い切る。先ほどの4つの作業が、この順番で進んでいくことになる。
今月の流れを、1度頭に入れておいてほしい。地図があると、途中で迷わずに済む。今どの段階にいるかがわかると、焦りも減っていく。この記事を、ときどき開き直してもらえるとうれしい。全体が見えていると、安心して進める。
8-2 手は動かす、答えは急がない
進め方について、1つだけ大事なことをお伝えしておきたい。手は毎日動かしてほしい。ただ、答えは急がなくていい。
自己分析をしていると、早く結論を出したくなる。「自分の強みはこれだ」と決めてしまいたくなる。けれど、材料が少ないうちに決めると、たいてい浅いところで止まる。そして面接で掘られたときに崩れる。だから、今月の前半は決めなくていい。ひたすら集めて、掘る。結論は月末でいい。焦って決めた1行より、迷いながら集めた50個のほうが、最後には強い1行になる。
結論を急がず、材料を増やしてほしい。答えは、材料が揃えば自然に見えてくる。急いで決めた1行は、面接で崩れやすい。今は、ひたすら集める時期だと考えよう。
8-3 迷ったら、うまくいった場面に戻る
途中で何をすればいいかわからなくなることがある。そのときの戻り場所を決めておきたい。
戻る先は、「うまくいった場面」だ。昨日、3つ書いてもらったあれである。自分が自然に力を出せた瞬間には、強みが必ず顔を出している。だから迷ったら、そこに戻って、もう1つ書き足せばいい。「うまくいった」の基準は低くていい。人に喜ばれた、時間を忘れた、思ったより早く終わった。こうした小さな手ごたえでも十分に材料になる。むしろ、小さいほうが数が集まる。
迷ったら、うまくいった場面を1つ足してほしい。それだけで、手が止まらなくなる。戻る場所を決めておくと、途中でやめずに済む。基準は低くていい。人に喜ばれた、時間を忘れた。それで十分に材料になる。
8-4 来週から、強みの正体に入る
最後に、来週の予告をしておきたい。ここからが本題になる。
来週扱うのは、強みとは何かという問いだ。多くの学生が、強みを「得意なこと」や「持っている資格」だと思っている。けれど、それは正確ではない。強みには、もっとはっきりした定義がある。そして、その定義を知ると、探す場所が変わる。あわせて、スキルと強みの違いも扱う。この2つを混同したまま就活を進めると、遠回りになってしまう。来週の5日間で、そこをはっきりさせたい。
今週末のうちに、集める作業を始めておいてほしい。材料があるほど、来週の話が自分ごとになる。10個でも20個でもいい。書き出してから月曜を迎えよう。手元に材料があると、来週の内容がぐっと入ってくる。準備といっても、それだけでいい。
今日のまとめ
就活はやることが多いが、軸は1つでいい。軸があると、志望動機と自己PRと学生時代の経験が、同じ人の話として届く。相手の中に、像が結ぶ。
作業量も変わる。軸がないと企業ごとにゼロから考えることになるが、軸があれば変えるのは表現の部分だけで済む。しかも、面接で掘られたときに耐えられる。暗記ではなく、理解している状態になるからだ。
自己分析でやる作業は、4つしかない。集める、掘る、束ねる、言い切る。集める段階では判断しない。掘るのは1度でいい。束ねて共通点を見つけ、最後に1行にする。
つまずきやすい場所も4つある。過去をさかのぼりすぎる。きれいにまとめようとする。1人でやりきろうとする。そして、途中でやめてしまう。どれも、先に知っていれば避けられる。
今月の前半は、結論を急がなくていい。手は毎日動かし、答えは月末に出す。迷ったら、うまくいった場面に戻って1つ書き足す。
来週からは、強みの正体に入っていく。多くの学生が誤解している「強み」という言葉を、正確にしていきたい。月曜日に、またお会いできることを楽しみにしています。
やることは多くても、支える軸は1つでいいと、あおラボは信じている。あなたの挑戦を、いつも全力で応援している。