「自信を持て」と言われても、困る
こんにちは、あなたらしく輝ける未来を共に創造して、キャリア形成や就活の支援をおこなっている【あおラボ】です。
昨日から、「志望企業で必ず活躍できる力」を、8つの要素に分けて見ていく連載が始まった。今日は、その1つ目、「自信」だ。
面接で「もっと自信を持って」と言われた。先生に「自信がなさそうに見えるよ」と言われた。でも、正直こう思わなかっただろうか。「その持ち方が、わからないんです」。
そのとおりだと思う。自信は、気合いで出るものではない。じつは、自信には3つの層があって、それぞれ育て方がちがう。しかも、いちばん大事なのは「根拠のない自信」だ。今日は、その意味と育て方を、一緒に見ていこう。
Chapter 5 なぜ「自信」が、8要素の1番目なのか
8つの要素の中で、なぜ自信を最初に置いたのか。それは、自信が、他のすべての力の土台になるからだ。どんなに能力があっても、自信がなければ、その力は外に出てこない。この章では、自信がなぜ土台なのか、そして企業がどこを見ているのかを、確かめておこう。
5-1 自信がないと、持っている力も出てこない
じつは力があるのに、面接になると縮こまってしまう。準備してきたことの、半分も言えずに終わる。こういう学生を、たくさん見てきた。
これは、能力の問題ではない。自信の問題だ。自信は、あなたの中にある力を、外に出すための「蛇口」のようなものだ。どんなに水(能力)がたまっていても、蛇口が閉じていれば、一滴も出てこない。逆に、自信という蛇口が開いていれば、持っている力が、そのまま相手に届く。だから、自信は8要素の1番目であり、すべての土台なのだ。
「自分には力がない」と思う前に、「力が、外に出せていないだけかもしれない」と考えてみてほしい。蛇口を開ける方法は、この後で話していく。そして、力が出せないと「やっぱり自分はダメだ」と思い、さらに蛇口が閉まる。この悪循環を止める鍵が、自信なのだ。
5-2 企業は「安定して力を出せるか」を見ている
企業が自信を重く見るのは、学生を励ましたいからではない。もっと現実的な理由がある。
会社の仕事には、うまくいかない日もある。ミスもすれば、きびしい指摘も受ける。そのたびに大きく落ちこんで、動けなくなってしまう人は、安定して成果を出せない。だから企業は、「この人は、浮き沈みの中でも、力を出し続けられるか」を見ている。これが、自信の中でも「情緒の安定」と呼ばれる部分だ。派手さより、安定感。それが、働く現場で信頼される条件になる。
「落ちこんだとき、自分はどれくらいで立ち直れるか」を、思い返してみてほしい。その回復力こそが、企業の見ている自信の一つだ。だから、面接で失敗しても、そこから立て直せる姿を見せられれば、むしろ評価は上がることもある。完璧さより、回復力が見られている。
5-3 自信には、3つの層がある
自信という言葉は、ひとまとめに使われがちだ。でも、分けて考えると、育て方が見えてくる。
自信には、3つの層がある。1つ目は「情緒の安定」。感情の波が小さく、落ちこんでも戻ってこられる状態だ。2つ目は「根拠のない自信」。うまくいく保証がなくても、「まあ、なんとかなる」と思える感覚。3つ目は「どこでもやっていけるという自信」。環境が変わっても、自分は適応できるという確信だ。この3つは、性質がちがう。だから、育て方も、それぞれちがう。
「自分には、どの層が足りないだろう」と、考えてみてほしい。分けて考えると、ぼんやりしていた課題が、はっきりした形になる。全部を一度に育てる必要はない。今の自分に、いちばん足りない層から手をつければいい。分けて考えることが、そのまま作戦になる。
5-4 自信は、性格ではなく「状態」
「自分は、生まれつき自信のないタイプだから」。そう思っている人は、多い。だから、あきらめてしまう。
でも、自信は、性格ではない。「状態」だ。同じ人でも、得意な場面では自信たっぷりに見え、苦手な場面では自信なさげに見える。つまり、自信は、条件しだいで変わる。ということは、条件を整えれば、育てられるということだ。生まれつきだと思っていたものが、じつは、育てられるものだった。これは、とても希望のある話だと思う。
「自分は自信のない性格だ」という決めつけを、いったん外してみてほしい。性格ではなく状態なら、変えられる。今日から、その方法を見ていこう。実際、環境が変わったとたんに、見ちがえるほど堂々とする人がいる。あれは性格が変わったのではなく、力を出せる状態に入っただけなのだ。

Chapter 6 「根拠のない自信」こそ、いちばん強い
3つの層のうち、いちばん大切で、いちばん誤解されているのが「根拠のない自信」だ。「根拠がないなら、ただの思いこみでは?」と感じるかもしれない。でも、これこそが、あなたを支える土台になる。この章では、その意味と、なぜ強いのかを、ていねいに見ていこう。
6-1 「根拠のある自信」は、意外ともろい
「実績があるから、自信がある」。一見、これがいちばん強そうに見える。たしかに、根拠のある自信は、心強い。
でも、じつは、意外ともろい。なぜなら、根拠が崩れた瞬間に、自信もいっしょに崩れてしまうからだ。「テストで一番だったから自信がある」人は、二番になった瞬間、自信を失う。「あの大会で優勝したから」も同じだ。根拠に支えられた自信は、その根拠がなくなると、支えを失う。就活は、うまくいかない場面も多い。だからこそ、崩れにくい自信が必要になる。
自分の自信が、何かの「結果」だけに支えられていないか、考えてみてほしい。結果に頼らない自信を、もう一つ持っておくと、心が折れにくくなる。もちろん、実績があること自体は、すばらしい。ただ、それだけを支えにすると、うまくいかない時期に、心が持たなくなってしまう。
6-2 「根拠のない自信」とは、何か
では、「根拠のない自信」とは何だろう。無責任な楽観や、思い上がりとは、まったくちがう。
これは、「うまくいく保証はないけれど、自分ならなんとかするだろう」という、静かな確信のことだ。結果が出ていなくても、経験が足りなくても、「やってみれば、どうにかなる」と思える感覚。これがあると、初めてのことにも、こわがらずに飛びこめる。そして、飛びこむからこそ、経験が増え、結果もついてくる。根拠がないからこそ、どんな場面でも持ち続けられる。それが、この自信の強さだ。
「できるかわからないけど、まあ、なんとかなるか」。この言葉を、心の中で使ってみてほしい。この、ゆるい確信が、あなたを前に進ませる。この自信を持つ人は、失敗しても「今回はダメだったけど、次はなんとかする」と考える。結果に、自分の価値をあずけないのだ。
6-3 小さな「できた」が、根拠のない自信を育てる
「根拠がないんだから、育てようがないのでは?」と思うかもしれない。でも、じつは、この自信にも育て方がある。
その方法は、小さな「できた」を積み重ねることだ。おかしな話に聞こえるかもしれない。でも、小さな成功体験をたくさん重ねると、一つひとつの記憶は薄れても、「自分は、たいていのことは、なんとかしてきた」という感覚だけが、残る。この感覚こそが、根拠のない自信の正体だ。個々の根拠は忘れても、全体の手ざわりが残る。だから、根拠がないように見えて、じつは経験に支えられている。
小さなことでいい。「やってみて、できた」を、意識して増やしてみてほしい。数が積み上がると、それは、根拠のない自信に変わっていく。だから、大きな成功を待たなくていい。むしろ、小さな成功を、たくさん重ねるほうが効く。回数が、感覚をつくるからだ。
6-4 自信がないときも、持っていられる自信
坂本さんが伝えている自信の中に、こういう表現がある。「自信のないときでも持っていられる、根拠のない自信」。少し、ふしぎな言い回しだ。
でも、これがいちばん実用的だ。人は、いつも自信満々ではいられない。落ちこむ日も、不安な日もある。大切なのは、そういうときにも、心の底のほうに「まあ、それでもなんとかなる」という感覚が、残っているかどうかだ。表面の自信は、揺れていい。でも、底のほうに、揺れない部分がある。この二層構造が、人を強くする。
不安なときに、「自信を持たなきゃ」と思わなくていい。かわりに、「不安だけど、まあ、なんとかなる」と思えれば十分だ。それが、底の自信になる。この底の自信があると、落ちこんでも「一時的なものだ」と思える。だから、必要以上に長く沈まずにすむ。心の底に、浮き輪を一つ持っておこう。
Chapter 7 「情緒の安定」と「どこでもやっていける自信」
残りの2つの層も、見ておこう。「情緒の安定」は、心の波を小さく保つ力。「どこでもやっていける自信」は、環境が変わっても大丈夫だと思える感覚だ。どちらも、企業が重く見るところであり、しかも、育て方がはっきりしている。この章で、その方法を確かめよう。
7-1 情緒の安定とは、感情がないことではない
「情緒が安定している」と聞くと、いつも冷静で、感情を出さない人を想像するかもしれない。でも、それは少しちがう。
情緒の安定とは、感情がないことではない。感情の波はあっても、それに振り回されず、戻ってこられる力のことだ。うれしいときは喜び、くやしいときは落ちこむ。それでいい。大切なのは、落ちこんだあと、自分で立ち直れるかどうかだ。企業が見ているのも、そこだ。ミスをして落ちこまない人ではなく、落ちこんでも、次の日には切りかえて動ける人。それが、安定した人だ。
感情が動くこと自体を、責めないでほしい。大切なのは、戻る力。落ちこんだあとの、切りかえ方に目を向けよう。むしろ、感情を無理におさえこむ人のほうが、あとで大きく崩れることがある。感じることは自然。戻ることを覚えれば、それでいい。
7-2 安定は、生活リズムからつくられる
心を安定させる、と聞くと、考え方や心の持ちようの話だと思いがちだ。でも、じつは、もっと物理的な部分が大きい。
睡眠、食事、運動。この3つが乱れていると、心は、かんたんに不安定になる。夜ふかしが続けば、些細なことで落ちこむ。逆に、よく眠れているだけで、同じ出来事も「まあ、いいか」と思える。心の安定は、気持ちの問題である前に、体の問題なのだ。就活の時期こそ、生活リズムを整える意味がある。地味だが、これがいちばん効く。
心が不安定だと感じたら、まず、睡眠時間を確かめてみてほしい。考え方を変えるより、先に、体を整える。その順番が、じつは近道だ。面接前に不安が強いときも、まず前日にしっかり眠ること。それだけで、当日の落ち着きが変わる。心の準備の半分は、体の準備だ。
7-3 「どこでもやっていける」は、経験でつくる
「新しい環境でやっていけるだろうか」。就職を前にした人が、いちばん不安に思うところだ。この不安は、自然なものだ。
この「どこでもやっていける自信」は、頭で考えても育たない。環境が変わる経験を、実際に重ねるしかない。新しいバイトを始める。知らない人が多い集まりに行く。行ったことのない場所へ旅をする。そのたびに、最初は不安で、でも慣れていく。この「最初は不安 → でも慣れた」という体験の記憶が、次の新しい環境でも「今回も、たぶん慣れるだろう」という予測を生む。それが、この自信の中身だ。
今年の夏、一つでいいから、「新しい環境」に飛びこんでみてほしい。慣れた経験が、次の環境への自信になる。積み重ねが、あなたを強くする。
7-4 「なんとかなった」を、記録しておく
新しい経験をしても、時間がたつと、そのときの不安も、乗りこえた感覚も、忘れてしまう。それでは、自信として残らない。もったいない。
だから、「なんとかなった経験」を、記録しておくといい。「初めてのバイト、最初は緊張したけど、二週間で慣れた」。この一行でいい。書きためておくと、不安なときに読み返せる。「あのときも不安だったけど、大丈夫だった」。過去の自分が、今の自分を、はげましてくれる。自信は、記憶からつくられる。だから、記憶を残す工夫が、そのまま自信づくりになる。
スマホのメモに「なんとかなった記録」をつくってみてほしい。不安を乗りこえるたび、一行足す。それが、あなただけの自信のノートになる。しかも、この記録は、就活の自己PRの材料にもなる。乗りこえた経験は、そのまま「私はこういう人間です」という証拠になるからだ。

Chapter 8 今日から始める、自信の育て方
最後に、自信を育てるための、具体的なアクションをまとめておく。今日から、実際に手を動かせるものばかりだ。自信は、考えて生まれるものではなく、行動の積み重ねから生まれる。気楽な気持ちで、一つ選んで試してみてほしい。
8-1 「小さな約束」を、自分と守る
自信がない人の多くは、じつは「自分との約束」を破りつづけている。「明日から早起きする」と決めて、守れない。その小さな失敗が、静かに自信を削っていく。
だから、逆をやろう。自分と、とても小さな約束をして、それを守る。「今日は、10分だけ勉強する」「今日は、9時前に起きる」。守れる大きさにするのがコツだ。守れたら、自分への信頼が、少し増える。この「自分は約束を守れる人間だ」という感覚が、自信の土台になる。他人との信頼と同じで、自分との信頼も、小さな約束の積み重ねでできている。
今日、守れそうなくらい小さな約束を、一つだけ自分としてみてほしい。そして、必ず守る。小さくていい。守れた事実が、あなたを支える。
8-2 生活リズムを、一つだけ整える
情緒の安定は、生活リズムからつくられる。でも、「規則正しい生活を」と言われても、全部を一気に変えるのは、まず無理だ。
だから、一つだけ選ぼう。「寝る時間を、30分早める」でもいい。「朝、カーテンを開けて日光を浴びる」でもいい。「一日一回、外を歩く」でもいい。どれか一つ。それだけで、心の安定感は、けっこう変わる。しかも、体の習慣は、気持ちよりも変えやすい。心を直接なんとかしようとせず、体から入る。これが、安定をつくる、いちばん現実的な方法だ。
今週、生活リズムを整える行動を、一つだけ決めてほしい。小さくていい。体が整うと、心は、あとからついてくる。一つが定着したら、また次を足せばいい。焦らなくていい。整った日が増えるほど、心の波は、自然と小さくなっていく。
8-3 少しだけ、居心地の悪い場所へ行く
「どこでもやっていける自信」は、慣れた場所にいるかぎり、育たない。安全な場所は、心地よいが、成長はしない。
だから、少しだけ、居心地の悪い場所へ行ってみてほしい。知らない人が多い集まりに参加する。行ったことのないお店に、一人で入る。学外のイベントに顔を出す。大冒険は、いらない。「ちょっと緊張するな」くらいが、ちょうどいい。そこで「案外、大丈夫だった」と感じる経験が、次の新しい環境への自信になる。この夏は、そのチャンスがたくさんある時期だ。
この夏、一つだけ「ちょっと緊張する場所」に行ってみてほしい。行って、帰ってくる。それだけでいい。その経験が、確実に、あなたの自信を厚くする。うまくいかなくても、まったく問題ない。「行ってみた」という事実だけで、あなたの経験は増えている。結果ではなく、回数が効く。
8-4 自信がないまま、動いてしまう
最後に、いちばん大事なことを言っておきたい。多くの人は、「自信がついたら、行動しよう」と考える。でも、その順番だと、いつまでも動けない。
じつは、順番は逆だ。行動するから、自信がつく。自信がついてから行動するのではない。だから、自信がないまま、動いてしまっていい。むしろ、それが正しいやり方だ。不安なまま応募する。緊張したまま発言する。そして、終わったあとに「できたじゃないか」と気づく。この繰り返しでしか、自信は育たない。準備万端を待っていると、夏が終わってしまう。
「自信がないから、やめておこう」と思ったら、そこが、いちばんのチャンスだ。自信がないまま、動いてみる。動いた先に、自信が待っている。不安なまま動いた人だけが、「不安でも動ける自分」を手に入れる。それは、就活本番でも、社会に出てからも、あなたを支える力になる。
今日のまとめ
今日は、8要素の1つ目、「自信」を見てきた。
自信には3つの層がある。感情の波から戻ってこられる「情緒の安定」、保証がなくても「なんとかなる」と思える「根拠のない自信」、そして環境が変わっても大丈夫だと思える「どこでもやっていける自信」。この中でいちばん強いのは、結果に左右されない「根拠のない自信」だ。
そして、自信は性格ではなく、状態だ。だから、育てられる。自分との小さな約束を守り、生活リズムを一つ整え、少しだけ居心地の悪い場所へ行く。そして何より、自信がないまま、動いてしまうこと。
明日は、8要素の2つ目、「価値観・人間力」を扱う。「自分のため」だけでは、なぜ足りないのか。一緒に考えよう。あなたの一歩を、あおラボはいつも全力で応援している。