自己決定能力の5段階

自分でモノゴトを決める力(自己決定能力)を高めておくことも就活前に取り組んでおきたいことのひとつです。

自己決定理論では、自律性、有能感、関係性という3つの心理的欲求を満たすことが行動を起こすうえで重要だと考えられています。この3つの欲求は人間が生まれつき持っているもので、所属している文化には影響されないとされます。

自律性の欲求:自分の行動は自分で決めていると感じたい

自律性とは、自分の行動は自分自身が自発的に行なっているものであり、他者から強制されているのではないと感じられることです。

有能感の欲求:自分には能力があると感じたい

有能感とは、自分には能力があり、社会の役に立っていると感じられることです。

関係性の欲求:他者と精神的な関係を築きたい

関係性の欲求とは、他者と尊重し合う精神的な関係を築きたいという欲求です。

3つの欲求の中でも自律性が最も重要視されており、「行動を自ら決定した」とより強く感じられると心理的な満足感が高まります。報酬や罰則が与えられて外発的動機づけが行なわれると、その与え手にコントロールされているように感じるために自律性が低下し、自発的に行動しづらくなります。

自己決定能力は次の5段階で解説されています。

図を簡単に説明すると、1段階は「自立していない」状態、2段階は「まだ自立していない」状態、3段階以降が「自立した」状態と言われています。

1段階:誰かに言われたから、ヤル

外的要因による動機づけの状態です。報酬の獲得や罰則の回避といった外的要因によって意思決定される状態です。

子どもが親からご褒美をもらうためにお手伝いをするのは、外的要因による動機づけ行動と言えます。また、就社したばかりの新入社員の状態。何もわからないこの段階では、人から言われないと動けない状態です。

2段階:やらなければならないから、ヤル

取り入れ的調整で意思決定される状態です。誰かに言われたわけではありませんが、羞恥心や罪悪感、義務感から行動する状態です。自己決定は僅かにあるものの、行動は外的要因によって調整されます。

遅刻をすると面目が潰れたり、恥ずかしかったりするので時間通り行動するのは、取り入れ的調整と言えます。

自分のやるべきことを理解して指示されなくても動ける状態です。会社でもチームでも大半の人がこの段階です。多くの場合、それが自立した状態だと捉えているのですが、実はそうではありません。まだまだ上があるのです。

3段階:自分にとって重要だから、ヤル

同一化的調整で意思決定される状態です。楽しいわけではないが、そこに価値を見出しているために行動する段階です。外発的行動付の一部ではあるものの、自分の価値観、目標達成などにとって必要だと感じているために行動する状態です。

試験に合格するために勉強を頑張るのは同一化的調整と言えます。また、自分にとって価値あることを見いだせる状態でもあります。

4段階:やりたいと思うから、ヤル

この段階は統合的調整で意思決定される状態です。自分らしさのために行動する状態で、周りからの期待や要求に価値を見出すだけでなく、それを自分の他の側面と統合して意思決定します。そのため、自分の価値観や目的、欲求と行動の価値が一致していて、無理なく行動を続けることができます。

志望企業から内定を得るために面接で伝える自己PRの内容を深化することは、統合的調整と言えます。

自分にとって価値のあることをするための行動ができる段階です。この段階で初めて、自分で決めたことに対して成功・失敗の評価を下すことができるようになります。更にその結果を楽しんで次のチャレンジにつなげていくことができるのが第5段階です。

5段階:楽しいから、ヤル

内発的動機づけから意思決定される状態です。やりがいや楽しさ、好奇心を基に行動する状態です。内発的動機づけがベースとなっているので多少困難が伴う状況に遭遇しても行動を継続することができ、成果を上げる機会に恵まれます。

3段階以降が「自立した」状態と前述しましたが、同一化的調整と統合的調整は動機づけが内在していることが、内発的動機づけと同様の効果があると考えられています。そこで、この3つの段階を「自律的動機づけ」と言われています。

就活を進めていくと「意思決定」「自律」「動機づけ」といったワードがあちらこちらから聞こえてきます。言葉に踊らされないためにも、自分が「今ここ」ではどの状態なのかを客観視して把握できるようになることが大切です。そのための力がSelf-awareness(自己認識)となります。

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