中小企業で働く20代のリアル

就活生のなかには大企業に絞った就活を進める傾向にあります。中小企業庁から公表されているデータでは、大企業は1万364社あります。一方、中小企業は336.5万社で、企業数の割合としては99.7%ガ中小企業となります。

先日、株式会社あしたのチームから「中小企業で働く20代のキャリア形成に関する意識調査」(全国の中小企業(社員数300名未満)に1年以上勤続する20歳~29歳の正社員300人)の結果が公表されました。

特に地元就職を志望されている学生にとってはリアルな情報だと思います。中小企業故の厳しい環境が浮き彫りになった側面も見られる結果ですが、人と人の距離が近いことを背景にした良さも見出すことができる内容だと思います。

調査の結果、6割声が現在勤めている会社で「自身のキャリアビジョンが見えていない」と回答していたことが明らかになりました。また、「社内にキャリアの参考になる先輩社員や上司が一人もいない」と答えたのが最も多かったことも驚きました。

正直言って驚きました。残念ですが就活がまずかったのではないかと思われます。つまり、自身の就活のゴールをどこに設定していたかということです。

一方で、「自身のキャリアビジョンが見えている」と回答した人の役に立ってモノ・コトに「上司との面談」が最多であったことも事実です。

中小企業の組織再構築のヒントが見える調査結果でした。これから第一志望群選定をされる26年卒以降で中小企業を検討される際には、今回の結果を活かされるといいでしょう。

あなたはお勤めの会社でのキャリアビジョンが見えていますか?

現在、勤めてる会社で数年先までの職務経験や役職の希望、ありたい姿などが見えているかを聞いた質問に対して、「ほとんど見えていない」32.0%、「全く見えていない」28.3%と、20代社員の6割超が数年席の字スンのキャリアビジョンが見えないと感じていることが明らかになりました。一方、「はっきり見えている」と回答したのはわずか6.3%でした。「ぼんやりと見えている」33.3%を合わせても、キャリアビジョンを見据えて働いている20代は3人に1人程度の結果でした。

キャリアビジョンが見えていない理由をお答えください

自分のキャリアビジョンが見えていない理由の1位は「自身のライフプラン(移住・留学・結婚・出産・子育て・介護などの予定・計画)が見えていないから」28.7%でした。個人のライフイベントを念頭においてキャリア設計したい人が多いことが伺えました。20代はワーク・ライフ・バランスを最優先軸にせず、「人生の一部として仕事がある」、「自分らしく生きるために自分らしい働き方を選ぶ」といったワーク・イン・ライフを軸にする考えを好むのかも知れません。またこの項目は男性に比べ女性の回答割合が多くなっていました。(男性23.8%、女性32.7%)。

2位は「先輩社員や上司を見て希望が持てないから」24.9%でした。先輩や上司の姿を見て、この会社で明るい未来が拓ける期待ができないという人が4人に1人にのぼっていることに驚きました。

続いて「キャリアについて相談相手がいないから」22.1%、「自社のキャリアパスが公開されていないから」20.4%と、キャリアビジョンを描くための情報を得にくいと感じていることも示唆されます。この辺りは、これから就活される学生は要チェック事項とされるといいでしょう。

キャリアビジョンを描くのに役立ったもの・ことを教えてください。

自分のキャリアビジョンが見えている人が、キャリアビジョンを描くのに役立ったモノ・コトの回答1位は「上司との面談」32.8%でした。上司に相談したり助言をもらったりして、自らのキャリアの可能性や選択肢を見いだせた人が多いと推察されます。上司との関係性の重要性がここでも明らかになっていると思います。

お勤めの会社内にキャリアの参考や目標にできる先輩社員や上司はどのくらいいますか?

社内に参考や目標にできる先輩社員や上司が「1人もいない」30.0%が最多であったのには、衝撃です。会社研究のまずさがあったのではないかと推察されます。この点については、あおラボで開催している「トビラ塾」内の企業選択・面接対策のなかで触れていますので、関心がある方はぜひご活用ください。

それにしても、20代社員のおよそ3人に1人が参考や目標になる人物が身近の環境になりことはとても残念なことです。

お勤めの会社内にキャリアの参考や目標にできる先輩社員や上司はどのくらいいますか?

「自身のキャリアビジョンが見えていない」と回答した人は「1人もいない」の割合が44.2%と大きく上昇していました。参考や目標にできる先輩社員や上司がいる場合も、回答割合を比較すると、キャリアビジョンが見えている人に比べてその人数は少ないことが明らかとなっていました。

社内に参考や木業となる人物がいない、または少なくことから、自便のキャリアビジョンを創造するのが難しいことが推察されます。

20代のキャリアビジョンの前提として「自身のライフプラン」があること、生き方・働き方のダイバーシティが世間に広まって以降の社会人世代であることなどから考えると、社内のロールモデルはもはや機能しないのかも知れません。先輩社員や上司は市況や価値観が異なるためそもそも参考にならないものとして、生き方に憧れたり共感したりするような存在はSNS等の社外にいて、社内には求めないという考えもあるのかも知れません。

お勤めの会社では、キャリア形成に役立つ制度や体制が整備されていると思いますか?

「自身のキャリアビジョンが見ている」人は「整備されている」21.8%、「多少整備されている」46.2%で7割近くが整備されていると回答していました。一方で、「自身のキャリアビジョンが見ていない」人は「あまり整備されていない」44.2%、「整備されていない」38.1%と制度や体制整備が不十分と感じている人が8割を超えていることがわかりました。この点も企業研究や面接でクリアできる項目になると思います。

就活では「どこにするか」ばかりにフォーカスされがちですが、どの少し前の段階の選択肢として、共に働く人や働く環境をしっかりチェックできるように「選ぶ」ことについての理解と考察が就活では大切になることを知っておくといいでしょう。この点は7月のラーニングカフェで詳しく掘って参ります。

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