26年卒でインターンシップ・オープンカンパニーを終えた学生のなかには、志望する企業/業界の具体的な考察に入っている人もおられるでしょう。アレもコレも捨てがたいと迷ったり、そもそも自分に合う企業かわからないと悩んだりする時期でもあります。
ターゲットを明確にすることは、これからの活動を具体的な行動へと導く役割と、ゴールがどこにあるのかを示してくれます。ですからこの考察には、ある程度の時間を費やして熟考されることが大切です。近年の就活で学生が重視するものの上位にタイパがあることは理解していますが、活動の本格稼働前の準備では、話は別です。たとえば、料理でいうと「下ごしらえ」を丁寧にしたかどうかで、その仕上がりは全く異なる料理と思えるほどに、味だけでなく見た目にも差異が現れるのです。そこでフォーカスされるのが自己分析となるのです。
自己分析については多くの情報をキャッチすることができるでしょう。しかし、お勧めする自己分析とは、手法や手段を知ることでも、適性を心理テストやWEB分析で行った結果を知ることでもないのです。キャリアや人生という文脈で考えると、その本質は自分と真摯に向き合うプロセスが重要なのです。
ここまで理解していただけると「でも、どうやって自分と向き合ったらいいのか」という新しい問いがあなたにも生まれたのではないだろうか。
ここでカギとなるのは「自信」です。つまり、自分自身を心の底から信じてあげられることです。
そうなるためには、どうしたって真摯に自分と向き合う他に方法はないのです。見たくないものから目をそらさず、誤魔化さず、向き合うことです。具体的には、自分にだけ矢印を向けることではありません。「深い愛情と強い信頼で結ばれた父性愛/母性愛を知る」ことや、あなたを「叱咤激励し支え協力し合った交流関係から心友を持つ」ことも重要なことです。さらに、自信と共に我が身に育てる必要があるのが「自分の旅を続けることができる勇気」を養うことです。
もう、お気づきかもしれませんが、自己分析は就活のためだけに取り組むことではなく、これからの長い人生のさまざまな場面で求められる自己認識と同様なものだととらえた方がいいでしょう。特に地方では働くと生活のパイプが短いこともあり、熟考しておくといいでしょう。
就活の文脈でもう少しお伝えします。
自己分析を文章や言葉にして伝える活動となるのですが、ここで重要なことはファクトです。ESであればおよそ8割はファクトとなる数値や自分が実践したことを問いのテーマに沿って事実を記載することになります。
人事はESに書かれているファクトから能力や性格、価値観を見立てるわけです。逆に、「私は責任感のある人間です」といった主観による人柄アピールが書かれていても、それはファクトベースとは捉えにくいので、ほとんどが読み飛ばしされるのです。人事は仕事で届いたESを読むのですから、そうした傾向があることは理解しておいた方がいいでしょう。
面接の場面でも同様です。具体的な事実ベースで話をしているか否かは、採用のプロが聴けばよくわかるのです。残念ながら企業によっては、人事以外の人が一次面接の面接官を担当するケースもあるます。一概には言えませんが、応募者の学生が抽象的な話を続けていても、面接官から深掘りして具体的な内容を聞き出してくれる質問をしてくれるスキルを持った面接官は少数派であることを知っておくといいでしょう。
面接では質問にどう話すかではなく、何を伝えるかが重要なのです。ですから、面接では「スムーズに進んだ」、「話が盛り上がった」ことがイコール、うまくいったと勘違いすること割と多いのです。逆に、面接官からしつこく質問を受けたときは、あなたのことをしっかり理解しようとしている証拠だと捉えていいでしょう。
面接に不慣れである学生の話ですから、話の解像度に難があるのも当然です。そういう場面で、ESに書かれていた情報やそれまでの面接での印象から不明確な部分を憶測で埋められてしまうこともあります。そうではなく、一つひとつのファクトを確認しながら解像度を高めるやり取りをおこなってくれるのは、その企業の誠実さや人材に対する考えが現れていると考えていいでしょう。
仮にあなたを合格と評価したときは、その説明責任を面接官は負っているのですから、しっかり責任を果たそうとしてあなたを知る努力をされているのかも知れません。つまり、仕事をちゃんとしている人が面接官を務めているのです。働くのなら後者の面接を実施している企業の方が断然いいと思います。