「やりたい仕事」はどう選ぶ?|強みを活かす職能を知る、納得就活のヒント

「この仕事、本当に自分に合っているのだろうか?」

「やりたいことがわからないまま、就活が進んでしまいそう……」

そんな不安を抱えながら、企業選びやエントリーに迷っている方も多いのではないでしょうか。

選考スケジュールがどんどん前倒しになる中で、「早く動かなきゃ」という焦りが出てくる一方、「そもそも自分にとって“やりたい仕事”ってなんだろう?」という問いに、しっかり向き合えないまま進んでしまう人も少なくありません。

そうした現状を裏づけるような興味深い調査結果が、リクルートマネジメントソリューションズによって発表されました。

「2025年新卒採用 大学生就職活動調査」によると、学生が内定・内々定を受諾する際の決め手の第1位は、「やりたい仕事(職種)ができる」ことでした。これは2023年卒以降、3年連続でトップとなっています。

一方、「社員や社風が魅力的」「企業理念・ビジョン」「その企業ならではの強み」など、いわゆる“企業の特徴”に関する項目は軒並み選択率が低下し、「働く中身」への関心が一層高まっていることが明らかになりました。

では、その「やりたい仕事」とは、どのように見つけていけばよいのでしょうか?

本記事では、就活における“やりたいこと探し”の本質に迫りながら、自分の「強み」が活かせる職能(職種)を見つけるためのヒントと方法を解説します。

データが示す「仕事内容・キャリア・働き方」重視の時代へ

今回の調査で注目すべきもうひとつのポイントは、「やりたい仕事」以外にも、以下のような項目が選択率を伸ばしていたことです。

• 入社後のキャリアを具体的にイメージできる

• 労働時間や勤務スタイルに魅力を感じる

• 育成に力を入れている

これらはすべて、「自分が安心して働けるかどうか」「成長実感を持てるかどうか」を重視している傾向を表しています。

つまり、学生たちは「やりたいことができる会社で、長く働き続けられるか」を冷静に判断しようとしているのです。

ただし、これらの判断は一朝一夕にはできません。だからこそ、自分にとって「やりたいこと」とは何かを、時間をかけて言語化することがとても重要になります。

「やりたいこと」とは、夢ではなく“職能”である

ここでひとつ、就活生によくある誤解を取り上げたいと思います。

それは、「やりたいこと=夢や憧れ」と捉えてしまうことです。

もちろん、夢を持つことは素晴らしいことです。でも、就職活動においては、より現実的に「自分の強みが活かせる職能(職種)」という視点で考えることが、結果として納得のいくキャリア選択につながります。

職能とは、特定の仕事において必要とされる能力や役割のこと。たとえば、「情報を整理する」「人に教える」「説得力のある提案をする」「段取りを組む」など、実際の仕事で求められる力を指します。

つまり、「やりたいこと」=「自分の強みが活きる職能」だとすれば、まずは“自分の強み”を知ることが、やりたい仕事を見つける出発点になるのです。

成果は“強み”からしか生まれない──だからこそ、強みにフォーカスを

私はこれまで数多くの学生・若手社会人と接してきましたが、共通して感じるのは、成果を出し続けている人は、みな“自分の強みを理解し、それを発揮できる場所で働いている”という点です。

逆に、苦手なこと(弱み)を克服しようと努力しても、そこから大きな成果が生まれるケースはまれです。

それは、「成果は強みからしか生まれない」という原則があるからです。

就活の選考では、あなたの「得意なこと」や「過去の成功体験」が問われます。それは企業が、「この人はどんな職能を持っていて、どの仕事で活躍してくれるのか」を見極めようとしているからです。

そしてこの問いは、就活生である皆さん自身にも向けられるべき問いです。

「私は、自分のどんな強みを、どんな仕事に活かしていきたいのか?」

この問いに答えられるようになることが、「やりたい仕事」に出会うための最大の鍵なのです。

強みから職能を見つける3つのヒント

ではここで、実際に「自分の強みが活かせる職能」を見つけるためのヒントを、具体的に3つご紹介します。

① 成功体験を棚卸ししてみる

これまでの学生生活で、「うまくいったこと」や「人に褒められた経験」を書き出してみましょう。

たとえば、サークルでイベント運営を成功させた経験があるなら、そこにあったのは「計画性」「調整力」「周囲を巻き込む力」かもしれません。バイト先で売上を伸ばした経験があるなら、「顧客のニーズを読み取る力」「提案力」「コミュニケーション力」が発揮されていた可能性があります。

成功体験には、必ず「強み」が潜んでいます。

② 他者視点でフィードバックをもらう

自分の強みは、自分では気づきにくいことがあります。

「自分にとっては当たり前の行動」が、実は周囲から見ると「すごい」「助かる」と感じられていることも多いのです。

友人や家族、アルバイト先の先輩などに、「私の強みって何だと思う?」と聞いてみてください。思いがけない気づきが得られるはずです。

③ 強みと職種の関係を調べてみる

強みが見えてきたら、それがどんな職種で活かせるのかを調べてみましょう。

たとえば、「傾聴力」が強みなら、営業・カスタマーサポート・人事などの職種がマッチしやすいかもしれません。「論理的に考える力」があるなら、企画・分析・技術職といった選択肢が見えてきます。

近年では、各企業の採用サイトやキャリア支援サイトに、職種ごとの特徴や必要なスキルが詳しく掲載されています。「この強みは、どんな仕事で活きるのか?」という視点で職種研究を進めてみてください。

まとめ:「やりたい仕事」は、自分の中にある強みから見えてくる

「やりたい仕事」と聞くと、特別な才能や大きな夢が必要だと思ってしまいがちです。

でも、本当にやりたい仕事とは、「自分の強みを活かして成果を出し、誰かの役に立てる」と感じられる仕事のことではないでしょうか。

今回の調査が示したように、多くの学生が「仕事内容・キャリア・働き方」に注目しながら、自分にとって納得感のある就活を目指しています。

ただし、焦って進んでしまうと、肝心な「自分の強みと仕事との接点」が見えなくなってしまうこともあります。

だからこそ今、立ち止まって問いかけてみてください。

「私は、どんな仕事なら、自分の強みを活かせるだろう?」

「私は、どんな職能を持ち、どんな貢献ができるだろう?」

その答えを少しずつ言葉にしていくプロセスこそが、“やりたい仕事”に出会うためのいちばんの近道です。

あなたの中にある強みが、未来の仕事と出会い、誰かの役に立つ日がきっと来ます。自分らしい納得のいくキャリアを、ぜひ自分の手で選び取ってください。心から応援しています。

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