「このまま決めていいのだろうか?」
「本当にこの会社でいいのか、正直わからない……」
就職活動を進める中で、ふとそんな不安や迷いに立ち止まった経験がある方も多いのではないでしょうか。
内定が出たらそれで安心。でも、「なんとなく」で決めてしまうと、後々、「もっと考えて選べばよかった」と感じることにもつながります。
そんな不安を裏づけるような調査結果が、2025年卒採用をめぐる動向をまとめた『就職白書2025』(株式会社リクルート 就職みらい研究所)に掲載されていました。
「安易に決めてしまった」と感じる就活生が約4割
『就職白書2025』では、内定を得た後に就職先を決定した学生に、「安易に決めてしまったと感じるか」という問いを投げかけたところ、
• 「当てはまる」:10.8%
• 「どちらかというと当てはまる」:32.8%
という結果となり、実に約4割の学生が“納得しきれていない決定”をしたことが明らかになりました。
さらに、「就職先を決めるにあたって、自分が重視する基準がわからなかった」という問いには、65.8%の学生が「当てはまる」「どちらかというと当てはまる」と回答しており、多くの学生が“軸を持たないまま”選考を受け、内定を決めていた現実が浮き彫りとなっています。
これらのデータは、決して一部の人の特殊なケースではなく、「就活生の多くが不確かな気持ちのまま、重要な意思決定をしている」という現状を示しているのです。
納得感のある就活のために、まず持ちたい視点
では、26年卒・27年卒の学生が、こうした“選択の後悔”を避けるには、どうすればよいのでしょうか?
答えはシンプルです。
「自分が何を大切にして仕事を選ぶのか」という判断基準(=就活の軸)を、自分自身の言葉で持つこと。
そして、その軸をもとに、納得感のある選択ができるように行動を重ねていくこと。
就職活動とは、企業から「選ばれること」以上に、「自分が企業を選ぶこと」でもあります。
納得して就活を終えるためには、企業から評価される準備だけでなく、「自分がどう働きたいか」を考える準備も必要不可欠です。
自分軸を持たずに就活を進めると、どうなるのか?
では、なぜ多くの学生が「軸を持たないまま」就活を進めてしまうのでしょうか?
その背景には、
• 就活のスタート時点で「自己分析」や「価値観の整理」に十分な時間をかけていない
• 周囲が動き出すのを見て、焦って行動を始めてしまう
• 学生生活の中で「仕事」について深く考える機会が少ない
といった要因があります。
しかし、軸を持たずに就活を進めると、
• 自分にとっての“良い企業”の基準がわからない
• 面接で「志望理由」や「将来像」が語れない
• 内定が出ても、「ここでいいのか」と迷い続けてしまう
といった、さまざまな壁にぶつかることになります。
「就活を終える」ことはできても、「納得して終えられない」まま就職を迎えてしまう。
それが、先ほどの調査にある“安易に決めてしまった”という声に直結しているのです。
「納得して就活を終える」ための5つのヒントと具体策
ここからは、これから就活を本格化させる26年卒・27年卒の皆さんに向けて、「納得感ある就活」につなげるための進め方とノウハウをレクチャー形式でお伝えします。
① 自分の価値観を言語化する
「どんな働き方がしたいか」「どんな時にやりがいを感じるか」「何を大切にして生きていきたいか」
まずは、このような価値観に向き合う時間を持ってみてください。
おすすめは、過去の経験を振り返ってみること。たとえば、「部活やアルバイトで一番充実していた瞬間はいつだったか?」「どんな環境で、自分は力を発揮しやすかったか?」など、感情が動いた場面から、価値観のヒントが見えてきます。
② 「企業に入ること」がゴールになっていないかを確認する
就活が進んでくると、いつの間にか「内定獲得」が目的化してしまうことがあります。
でも、就活はスタートライン。大切なのは、「その会社で、どんな社会人になっていきたいか」というビジョンを描けているかどうかです。
内定が出たとき、「この会社で、こう働きたい」と自分の言葉で語れる状態が、本当の意味での“就活のゴール”だと考えてみてください。
③ 「仮の軸」でもいいから、まずは言葉にしてみる
完璧な軸をいきなりつくろうとする必要はありません。最初は、「チームで協力して成果を出すことにやりがいを感じる」「社会課題の解決に関わる仕事がしたい」など、自分なりの想いを言語化することから始めてみましょう。
そして、インターンやOB・OG訪問、説明会などの経験を重ねながら、軸を磨いていくイメージです。軸は就活を進める中で進化していきます。
④ 志望動機は「自分目線」と「企業目線」の両方で考える
企業を志望する理由を伝える際に、「社会貢献をしているから」「働きやすそうだから」といった表面的な理由だけでは、面接官の心には響きません。
自分の価値観・強み・経験を通じて、「なぜこの会社なのか」「どんな形で貢献できるのか」を語れるように準備しましょう。
「自分に合っているから選びました」だけではなく、「自分だからこそ、ここでできることがある」と言えるかどうかが大切です。
⑤ 就活のプロセスを、定期的に振り返る習慣を持つ
就活は情報もスケジュールも目まぐるしく動くので、気がつくと「なんとなく流されている」状態になってしまうことがあります。
そこで有効なのが、週に1度の振り返りタイムを設けることです。
• 今週の活動で、心が動いた場面はどこだったか?
• 自分の軸と企業の魅力に、ズレはなかったか?
• 次週、意識したいことは何か?
こうした問いに答えていくことで、就活の一つひとつの選択を、より“自分ごと”として捉えられるようになります。
まとめ:「なんとなく決めた」ではなく、「自分で選んだ」と言える未来へ
『就職白書2025』が示すように、就職先を「なんとなく」で決めてしまう学生が少なくありません。
しかしその裏には、「自分が大切にしたい軸が定まっていなかった」という現実があります。
就活において本当に大切なのは、**他人に評価される答えではなく、「自分自身が納得できる選択肢を見つけられるかどうか」**です。
誰かと比べて焦らなくて大丈夫。完璧な答えを持っていなくても大丈夫。
大切なのは、「自分の気持ちに向き合いながら、一歩一歩進んでいくこと」です。
就職活動は、あなたのこれからの人生の土台をつくる大切な時間です。
「ここに決めてよかった」と心から言えるような未来のために、今この瞬間の行動を、大切に積み重ねていきましょう。あなたの納得のいく就活を、心から応援しています。