10月の内定式まで半月となり、来春社会人となる学生の就職活動はいよいよ終盤をむかえました。「内定(内々定)獲得後の就職活動」に関する調査結果から、学生優位の新卒採用市場の現状が見えてきました。
23年卒の8月末時点での内々定率は86.4%となり、前年同期の83.5%を2.9pt上回っていました。企業の採用出しが進んでいることがわかります。その中で、内々定獲得後の就職活動は、約4割が内々定獲得後も就活を継続していたことがわかりました。
内々定獲得後も就活を継続した理由についての回答では、最も多かったのが「就活で後悔したくないから」53.3%で、2位が「志望している企業の選考旅程が入っていたから」、3位が「内々手を得た企業に決めていいか分からなかったから」でした。就職活動を納得して終えたい、という思いはよく理解でます。ただ、内々定を受けるまでに納得できないと思われるような企業の選考を受けていることに疑問が残ります。就活準備として自己分析を深め自身のキャリアについて考察を行っていれば、返ってくる回答ではないと思われるものが上位になっていることからも、多くの23年卒学生が自己分析不足のまま就活を行っていたことがわかります。
内々定承諾を1社に絞ったタイミングを尋ねた質問に対しては、「選考中の企業の、選考参加が終了したとき」29.5%が最多でした。続いて2位が「第一志望の企業から内定を得たとき」28.6%、3位が「稼働や友人に相談し決心がついたとき」23.2%でした。
ここでは、フリーコメントとして、「OB/OGと面談する機会を作ってもらい、企業理解をより深めることができたタイミングで承諾を決めた」、「家族や友人、キャリアセンターの方に相談し、自身の気持ちや考えを整理できたタイミングで承諾した」「内定者と交流し、入社後のイメージを持てたときに決めた」「事態を先延ばしにすると企業に迷惑がかかるので、8月末までには決めようと思っていた」といった声が紹介されていました。
自身の針路、キャリアのスタート場所を決めるに際して、決め手となる軸がない、若しくは弱いことが伺えます。自己理解と仕事・企業研究は、その質が、就活を進めるにつれて問われるものです。ごまかしやでまかせは面接官や採用担当には通用しないことを理解しておく必要があります。