就職先選びの重視点

「Z世代の就職意識活動に関する調査」(n=29,750人)を実施した株式会社ペンマークからその結果が公表されました。今回の結果で、Z世代が就職先を選ぶ際に最も重視しているのは「スキルアップや成長の機会が多く、市場価値を高められるか」であることが明らかになりました。この傾向は政府が進めているリスキング政策の方向性に沿っていて、Z世代の視聴価値重視の姿勢は、政府が目指しているものと一致していると考えることができます。きぎょうが新卒採用市場において、Z世代の人材を獲得し長期的に活躍してもらうためには、スキルアップの機会や個人の市場価値を高める施策が必須になってくると思われます。成長意欲のあるZ世代にどんな制度やプログラムを提供できるかは、早期離職対策にもつながるものと思われます。就活で興味のあるカテゴリを教えてください(複数回答)の質問に対して、1位「メーカー」14.4%、2位「IT・通信」12.4%、3位「商社」7.5%となっていました。

昨年は1位「メーカー」12.2%、2位「IT・通信」11.2%となっていた上位2業界はZ世代に高い関心を持たれていることがわかります。特にIT分野は昨年から1.2pt増となっていて、今後もさらに高まって行くこと思われます。DX化の波に加え生成AI等技術の発展が加速する社会で、デジタル・ネイティブであるZ世代の新たな活躍の場や機会が増加することが推察されます。

就職先を決める上で、重要だと考える項目は何ですか?(複数回答)の質問に対しては、「スキルアップや成長の機会が多く市場価値を高めらえるか」が最も多い回答でした。この傾向は学年を問わず共通していて、大学1年生から4年生まで一貫して最も高い割合となっていました。一方、福利厚生、ワークライフバランス、企業の知名度は相対的に低い回答数となっていました。Z世代の働く環境や条件よりも自身のスキルアップを重視する姿勢が顕著に表れた結果となっていました。

学年別のデータでは、学年が上がるにつれて「社会貢献やインパクトのある仕事ができるか」「SDGsへの取り組みがあるか」といった項目の割合が低下する傾向が見られました。低学年の段階では社会へのインパクトを重視する傾向が強いが、就職が近づくにつれてその割合が低下し、より自身のキャリアアップに重点を置くようになる傾向が伺えました。

就職先を決める上で、重要だと考える項目を男女別で比較して見ると、「スキルアップや成長の機会が多く市場価値を高められるか」に関しては男女ともに最も重視する項目でしたが2位以降で違いが見られました。

男性では、2位「給与・待遇が良いか」15.5%、3位「職場の雰囲気・社風・コミュニケーションが良いか」8.6%と続きました。一方で女性は、2位「魅力的なサービス・プロダクトであるか」12.0%、3位「SDGsへの取り組みがあるか」10.7%と続いていました。

男性は自身のキャリアアップと経済的な側面により重点を置く傾向があり、女性は仕事内容そのものや企業の社会的責任に関心が高いことが伺えました。また、女性は「海外で仕事ができるか」8.7%や「尊敬する上司がいるか」5.1%といった項目の割合も男性より高いことが見え、グローバルな環境での働き方や職場の人間関係を注視していることが推察されました。

世代により価値観や志向の違いが、近年では小さくなっていることがある調査で発表されていましたが、そのように減少を「消齢化」といいます。学生の就職先の選択では、時代背景や時々の経済状況なども影響を与えますので、いま関心や人気が高い企業においても、2~3年先の状況も同様である保証はありません。今回の調査ではZ世代と謳っていましたが、「大学に在学中の」という枕詞が入ること確認しておきたいものです。

今後のAI技術や活用展開の変化によっては、今ある仕事の数パーセント、数十パーセントが消えてなくなる社会がいつ訪れても不思議じゃないのが現代であることを認知した目で再度データを見ますと、「スキルアップや成長の機会が多く、市場価値を高められるか」を就職先を選ぶ際に最も重視することも頷ける結果でした。

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