集団面接

早い企業だと4月に入ると集団面接・GDが始まります。集団面接やGDでは、一つのミスが致命傷となることが少なくありません。当日一緒に参加するメンバーや質問、提示されるテーマについても変動がよくあり、昨年と同じ質問やテーマで実施されるかどうかは分からないのが実情です。だからこそ、事前の対策が大切になります。

自己紹介

全員が着席すると「右(左)の方らか順に自己紹介をお願いします」と最初の質問を聞くのが一般的です。

基本形としては、大学・学部・氏名に挨拶を添えることになります。

Ex:「〇〇大学経済学部から参りました、青盛一郎です。本日はよろしくお願いします」

Plus oneとして、氏名と挨拶の間に、自分を売り込む一言や志望の想い一言添えることで、印象が違ってきます。

Ex:「1年生から学習ボランティアに取り組んでいて、いま副代表を務めています」

Ex:「第一志望の御社の選考なので、いつもよりも緊張していますが、自分の思いをしっかり伝えたいと思います」

ただし、長くなるとマイナス点につながりますので、ここではサラッと一言添える塩梅が大切です。さらに重要なことはこの質問に限らず、質問をよく聞くことです。自己紹介は基本形+plus oneを意識しすぎてしまうことで、準備してきたことを話すことに集中してしまいマイナス評価を受けることが珍しくないのです。

たとえば「右(左)の方らか順に手短に個紹介してください」とか、「大学名と氏名を名乗ってください」と言われた際には、plus oneを加えることを差し控えることが必要です。

一方で、前の学生が基本形のみでいかにもあっさりした応答だったとしてもその流れに呑み込まれることの内容にしましょう。質問をしっかり聞いたうえでplus oneを添える機会があると判断できるときはそうしましょう。あなたが場の空気を変える存在になれるかもしれません。

自己PR

ここでは「1分で自己PRしてください」と時間指定が入った質問になるケースが多いように思います。仮に時間指定がなかったとしても、一般論としては1分を目安にするのがいいでしょう。文字数だとおよそ300となります。ちなみにアナウンサーは1分300字のスピードで原稿を読む訓練を受けているそうで、私もスピーチトレーニングを受けたときに同様のトレーニングを積みました。

ここで大切なことは時間管理です。指定された時間を守ることが第一です。といって短すぎるのは良くありません。一方で10秒超えだと時間への意識が浅い、自己最優先思考などと評価されることにつながることもあります。

時間制限では他にも3分と指定されるケースも散見されますので、300字と600字の2種類のパターンで強みが伝えられるように準備するようにしておくことです。

自己PRではあなたの強み+その理由やエピソードを伝えるのがセオリーです。これを300字と600字に納めます。

あなたの自己PR内容が、他の学生とかぶっていても問題はありません。ただし、本質的にそれが事実であることが後々まで求められますので、嘘がない真摯な姿勢が問われます。ここではあなたが自信を持って伝えることができる強みをポジティブに伝えましょう。

最も大切なことは、あなたの話を聴いた面接官が、その強みが確かに備わっていると納得できる内容であることです。別の視点でいうと、自画自賛の披露では残念な学生としか見てもらえなくなるのです。

Ex:私は継続力に自信があります。(結論を先に述べる)小学1年から始めた初動は今も続け、中学・高校では陸上部で中距離を走り、今もサークルで続けています。(強みが培われた経験・理由を述べる)続いて、辛くて何度も辞めようとした葛藤を乗り越えたエピソードなどを添え、強みが備わっていることを補強。最後に強みを今後も伸ばしていきたい旨で話を結ぶ

集団面接では時間の制約がありますので、面接官から突っ込んだ質問をされることはほとんどありません。1話完結でちゃんと伝わる話をすることが大切です。

長所と短所

「長所と短所を教えてください」とセットで聞かれることが多い質問です。聴かれた順に、長所→短所と回答します。

長所は、性格上の強みを伝えます。自己PRは仕事で活かせるスキル・経験を伝えますので、それとの違いを理解して回答します。

基本形としては、長所は〇〇、短所は△△+フォローとなります。

フォローとは、短所を伝えた後に、その端緒の克服や改善のフォローを前向きな姿勢の言葉を添えることです。

自己PRと長所で同じ回答をする学生が少なくありませんので要注意です。質問の意図を汲むことができていないと、理解力が低いといった評価を受けることになります。

長所はポジティブなものがいいです。一方で短所は性格上の弱みを伝えます。ここで注意したいことは、短所を長所に置き換えることです。たとえば、「そそっかしい面があるが行動力の裏返しと考えています」といった表現です。

Ex:「長所は、誰とでもすぐ打ち解けられることです。子供の頃、父の仕事の関係で転校を4度経験しました。その度に自分から周りに声をかけるなど、なじむ努力を繰り返しました。そうするうちに、誰とでもうまくやれる自信を持てるようになりました。一方でこういった面接のように、厳粛な場では緊張してしまうのが短所です。少しでも緊張感を減らすために、普段から事前準備を徹底するように努めています。この面接に臨む前も、自分なりに準備してきたつもりです。この場はこうした準備を発揮する絶好の機会ですので、きちんと出し切って後悔のないようにしたいです」この回答で259字です。

理由やエピソードを長々語る時間は与えられていないと考えて、ほどよい塩梅にまとめることがミソです。

ガクチカ

コロナ禍では就活生が難儀していると取り上げられたガクチカ、企業によっては質問から外したケースも多々ありました。しかし24年卒からの就活では最頻出質問に戻っているようです。

他の学生とかぶったら、すごい話をしたいが経験がない、と悩む学生はコロナ禍と変わりなく多数おられます。ここでも質問の意図、その本質をちゃんと理解することが大切です。

「学生時代に力を入れて取り組んだことは何ですか?」の質問には、他の学生とは違う行動経験をしましたか? でもなければ、何か特別感のある経験や評価を受けましたか? と聞いているのでもないのです。

スポーツや音楽などのサークル活動、飲食店や塾のバイトといった学生時代の日常的な内容であっても、あなたが力を入れたと自信を持って語れることなら、何をテーマにしても良いのです。すごい活動や体験をする学生は僅かな人です。集団面接はすごさだけを評価しているのではありません。

回答の基本型としては、「テニスサークルの活動です。(最初に結論を述べます)次に春秋の学内大会に向け週3回練習しています。(その団体の活動内容を伝える)そして、2年次はイベント係リーダー、3年次は幹部として約60名のメンバーをまとめています。(自信の活動概要を語る)」と順に伝えます。その後、自身がぶつかった困難や、克服したエピソードを話し、そこで得たこと、学んだことで締めます。ここでも1分を目安に回答するといいでしょう。

Ex:「サッカーサークルの活動です。入部時、全くの未経験で、体力にも自信がありませんでした。最初は皆と同じ練習量をこなせませんでした。そこで毎日5キロのランニングと筋トレを自らに課しました。雨の日も風の日も続けたおかげで、半年後には10キロまで距離を伸ばし、練習にもついていけるようになりました。そこで満足せず徹底した自主練を続け、3年秋のリーグ戦ではベンチ入りでき、引退前のリーグ戦ではスタメン入りできました。『努力は報われる。だから怠らない』これが経験から得た私の信条です」(230字)

この質問で注意する点は、チームや組織とあなた個人の活動を混在させないことです。たとえば団体競技なら「去年は地区リーグで優勝しました」は、チームの成績です。そこにスポットを当てるのではなく、あなたがどのような努力や貢献をしたのか、に焦点を当て伝えることが大切です。また、「学生時代」とは「大学時代」を指し高校以前のことを聞いているのではありません。ここも1話完結で回答しましょう。

志望動機

学生が志望動機を考える情報源は、ホームページ・会社説明会・セミナー・参加したインターンシップと、同様又は似たようなものになります。ですから、他の学生とその内容がかぶってもそれは仕方がないことです。それよりも、まだ志望が十分に固まっていないにもかかわらず、集団面接で「御社が第一志望です」などと発言しないようにすることです。面接官は口先で語っているのか、真意を話しているのか、当然お見通しです。個人的には「真摯さ」があるかどうかは、面接官の心象に影響大だと思います。

回答の基本型としては、応募企業に興味を持ったきっかけや企業研究、会社説明会などで得た情報を差し込んで、1分を目安の時間として端的に伝えるようにします。

注意点として、働く環境として充実した福利厚生は魅力的なものであることは間違いありません。ですが、それは副次的なものです。あなたが志望企業のひとりとして働きたい、その本質をしっかり伝えることが必要です。一方で毎年多くの残念な志望動機を聴くことになります。その内容を一言でいうと稚拙すぎるのです。「御社の製品・サービスのファンで…」「私もこれまでのヒット商品のような商品を企画したい…」「御社の若手社員が生き生きと働いている姿を拝見し私もそうなりたい…」「小さい頃から体を動かすのが好きなので、スポーツクラブの法人会員制度も利用できる御社で是非働きたい…」といった話しが珍しくないのです。

ここでの回答は面接官にとっては、応募学生の自社への率直な思いや考えを聞く項目です。キャリアのある面接官は、この回答を聞いて、「この若者と一緒に仕事がしたい」と感じ取ることができるかどうかで、採点はできるとまでいいます。

真摯さをベースに志望企業への想いを熱心に伝える準備はおそらく、これを読んでいるあなたが考えている以上に手間暇をかけなければいけない対策の一つだと思います。

あおもりHRラボでは、ゴールデンウィークを挟む4月・5月に面接対策をテーマにしたラーニングカフェを開催予定です。詳細は後日ご案内させていただきます。

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