社会が求める“未来人材”とは?― 大学生活で伸ばしたい6つの力 ―

いま、社会は大きな転換点に立っています。

テクノロジーの進化、気候変動や人口減少、そしてグローバルな社会課題の顕在化。

こうした「正解のない時代」を生きる私たちに、これまでと同じ価値観や能力だけでは通用しないことは、もはや明らかです。

そんな中、経済産業省は2022年に『未来人材ビジョン』という報告書を発表し、「これからの時代に求められる人材とはどのような存在か?」という問いに真正面から向き合いました。

このビジョンには、Z世代の皆さんがこれから社会で活躍するうえで育てておきたい“根源的な力”が示されています。

この記事では、その全体像を読み解きながら、大学生活でどうすればその力を育てられるのか?という視点で一緒に考えていきたいと思います。

「未来人材ビジョン」が伝えていること

経済産業省の資料によると、これからの社会では次のような能力や姿勢を持った人材が求められるといいます。

• 常識や前提にとらわれず、ゼロからイチを生み出す創造力

• 夢中を手放さず、一つのことを深く掘り下げていく姿勢

• グローバルな社会課題を「自分ごと」としてとらえ、解決に向けて行動できる意欲

• 多様な背景を持つ他者と協働し、違いを力に変える力

つまり、「知識があること」や「勉強ができること」よりも、“どう考え、どう行動し、どう他者と関わるか”という根本の姿勢や能力が重視される時代になっているのです。

実際、企業の採用現場でも、「学生時代に学んだ専門性は入社後に伸ばせる」と考えるところが増えており、選考の場ではその人の“人間力”“思考の深さ”“視点の広さ”といった部分が問われています。

「未来人材に近づくために」大学時代にできること

では、このような力を育てるには、大学生活をどのように過ごすと良いのでしょうか?

ポイントは、“今すぐ行動に移せること”を意識することです。

この連載では、経済産業省のビジョンに沿って、6つの視点から「未来人材に近づく方法」を解説していきます。

本日はその全体像をご紹介します。

① 常識を越えて、ゼロから生み出す力

これまでの社会は「前例通りに進める」「過去の成功に習う」ことが重視されてきました。

しかし今、変化の激しい時代においては、“正解のない中で自分の答えをつくり出せる人”こそが価値を生む存在になります。

大学時代には、日々の授業でも、アルバイトでも、ボランティア活動でも、「このやり方で本当にいいのか?」「もっと良くする方法はないか?」と考えながら行動することで、創造的な力は育っていきます。

② 夢中を手放さず掘り下げる姿勢

「何かに夢中になれる力」こそが、自分の軸をつくり出します。

それは部活動でも、趣味でも、勉強でもかまいません。

大切なのは、一つのことを掘り下げる中で、自分なりの問いや視点が生まれてくる経験です。

「なんとなく面白い」で終わらせず、「なぜ面白いのか」「もっと知るにはどうすればいいか」と追求していくことが、未来の仕事にもつながる力をつくります。

③ 社会課題に対するまなざしと行動力

気候変動、ジェンダー、格差、教育格差、国際支援…。

社会には、見過ごされがちな課題がたくさんあります。

大切なのは、「それって社会の問題でしょ?」ではなく、「それって自分の問題かもしれない」と思える感受性です。

そして、身近な場所でアクションを起こす勇気。

地域活動に参加する、学内のイベントを企画する、SNSで発信する…。

あなたの関心は、行動に変えることで“生きた力”になります。

④ 多様性を受け入れ、他者と協働する力

大学には、本当にさまざまな価値観や背景を持つ人が集まっています。

「合わない人を避ける」のではなく、「違いから学ぶ」姿勢を持てるかどうかが、社会に出たときの成長を決めます。

グループワーク、ゼミ、サークル、バイト先…さまざまな場面で、「どうすればチームとして成果を出せるか?」を考え、実行できる力は、どんな職場でも歓迎されます。

⑤ 自分の軸を育て、未来を描く力

周りに流されず、「自分はどう生きたいのか」を考える時間を持つこと。

未来人材に共通するのは、“自分の人生のハンドルを自分で握っている”感覚を持っていることです。

大学生活は、自分と向き合い、自分の軸を見つけるのに最適な期間です。

キャリアセンターの面談、インターン参加、社会人との対話など、あらゆる機会を“未来の自分を育てる材料”として使っていきましょう。

⑥ 行動しながら学ぶ習慣

未来人材に必要なのは、知識よりも“行動して学ぶ力”です。

何かを読んだら「やってみる」、経験したら「ふりかえる」、失敗したら「学び直す」。

このサイクルを日常に取り入れることで、「自分で育つ力」が自然と磨かれていきます。

まとめ|未来をつくるのは、いまの自分の選択から

未来は、いつも“今”の延長線上にあります。

そして、“未来人材”という言葉は、決して一部の人だけの話ではありません。

今日どんな授業を選ぶか、どんな人と関わるか、どんな本を読むか。

その一つひとつの選択の先に、あなたらしい未来があります。

これからの6日間の連載では、上で紹介した6つの力を1つずつ深掘りしながら、大学生活でどんな具体的な行動をすればその力が育つのか、ていねいに解説していきます。

「なんとなく過ごしてきた自分を変えたい」

「これから社会で求められる力をちゃんと身につけたい」

そんな思いを持っているあなたにこそ、読んでほしい内容です。

“未来をつくる人になる”。その一歩を、いまここから踏み出してみませんか?

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