就活は、審査される場ではない
こんにちは、あなたらしく輝ける未来を共に創造して、キャリア形成や就活の支援をおこなっている【あおラボ】です。
ワークショップで、必ずと言っていいほど受ける質問がある。「志望する企業から選ばれるために、必要なものは何ですか」。
私の答えは、いつも同じだ。「その会社で、必ず活躍できるだけの力やスキルを持っていること」。
拍子ぬけしただろうか。面接のテクニックでも、エントリーシートの書き方でもない。もっと手前の、根っこの話だ。でも、ここが就活の結果を、いちばん大きく左右する。
そして、この力が本当に備わっていれば、就活の景色が変わる。「選んでもらう」のではなく、「選ばせる」くらいの気持ちで臨めるようになる。今日から10日間かけて、その「活躍できる力」の中身――8つの要素を、一つずつ見ていく。
Chapter 1 なぜ「活躍できる力」が結果を分けるのか
「選ばれるために必要なもの」と聞かれて、多くの人は、面接での受け答えや、志望動機の完成度を思いうかべる。もちろん、それも大切だ。でも、その手前に、もっと大きなものがある。この章では、なぜ「活躍できる力」こそが、就活の結果を分けるのかを、見ていこう。ここが腹落ちすると、準備の方向が、はっきり決まる。
1-1 企業が本当に見ているのは「入社後」
面接で、企業は何を見ているのだろう。「うまく話せるか」「感じがいいか」。そう思っている人が、多いかもしれない。
でも、企業が本当に知りたいのは、もっと先のことだ。「この人は、入社したあと、活躍してくれるだろうか」。それだけ、と言ってもいい。企業にとって採用は、大きな投資だ。だから、面接での受け答えも、あなたの経験も、すべては「入社後の活躍」を予想するための材料として見られている。今の見え方より、これからの可能性。そこが、評価の中心にある。
自分をよく見せる工夫より、「入社後に活躍できる力」そのものを、まず育ててほしい。見せ方は、その後でいい。中身があってこそ、見せ方が生きる。だから、面接で聞かれる過去の経験も、じつは「その経験から、うちで何ができそうか」を知るための質問なのだ。企業の視線は、いつも未来を向いている。
1-2 テクニックは、中身がないと空回りする
就活が近づくと、面接の答え方や、自己PRの型を、必死に覚えようとする。もちろん、準備は大切だ。でも、それだけに頼ると、あぶない。
なぜなら、面接官は毎年、何百人もの学生に会っているプロだからだ。借りものの言葉は、たいてい見ぬかれる。「よくできた回答だけど、この人自身の言葉ではないな」と。テクニックは、中身があって初めて生きる。逆に、活躍できる力がしっかりあれば、多少言葉がつたなくても、伝わるものは伝わる。中身が先、見せ方は後。この順番を、まちがえないでほしい。
面接対策の本を開く前に、「自分は、どんな力で貢献できるだろう」と考えてみてほしい。中身を育てる時間のほうが、じつは、ずっと効く。逆に言えば、力さえ育てておけば、面接対策にかける時間は、ぐっと減らせる。中身を育てることは、じつは、いちばん効率のいい就活対策でもあるのだ。
1-3 弱気になると、「受け身の就活」になる
就活の情報にふれるほど、不安になる。「みんなすごそう」「自分なんかが選ばれるだろうか」。そして、少しずつ、弱気になっていく。
弱気になると、思考も行動も、受け身になる。「選んでもらう」「採用してもらう」。この受け身の姿勢は、じつは、相手にも伝わってしまう。自信のなさは、言葉ではなく、態度ににじむからだ。しかも、受け身になると、自分から情報を取りにいったり、行動したりする勢いも、落ちてしまう。悪いほうへの循環に、入りこんでしまうのだ。
「選んでもらう」という言葉が、頭にうかんだら、要注意のサインだ。そこで、この連載を思い出してほしい。姿勢は、準備しだいで変えられる。しかも、受け身の人は、うまくいかなかったときに「自分はダメだ」と結論づけてしまいやすい。姿勢の問題なのに、能力の問題だと勘違いしてしまうのだ。
1-4 準備があれば「選ばせる」側に立てる
言葉はよくないかもしれないが、私は、学生にこう伝えている。「志望企業を、選ばせるくらいの気持ちで臨んでほしい」と。
もちろん、おごりや、上から目線とは、まったくちがう。しっかり事前準備を整え、自分の力と可能性に、たしかな自信を持てていれば、堂々と、対等に向き合える、ということだ。「この会社で、私はこう貢献できます」。そう言い切れる人は、企業から見ても、魅力的だ。準備が、姿勢を変える。姿勢が、結果を変える。この順番なのだ。
いきなり自信は持てなくていい。でも、「準備をすれば、対等に立てる」ということだけは、覚えておいてほしい。それが、この10日間の、出発点になる。じつは、企業も、対等に向き合える学生を求めている。へりくだるだけの人より、自分の考えを持って話せる人のほうが、一緒に働く姿を想像しやすいからだ。

Chapter 2 「活躍できる力」を、8つに分ける
「活躍できる力を持て」と言われても、ぼんやりしていて、何をすればいいかわからない。だから、私は、その力を8つの要素に分けて考えている。分ければ、見える。見えれば、育てられる。この章では、8要素の全体像を、地図として示しておく。今日は、それぞれの名前と役割を、ざっとつかんでもらえれば十分だ。
2-1 まず、内側をつくる4つの力
8要素は、大きく2つのグループに分けられる。まずは、あなたの「内側」をつくる、4つの力からだ。
1つ目は、①自信。情緒の安定、根拠がなくても持てる自信、どんな環境でもやっていけるという感覚だ。2つ目は、②価値観・人間力。自分のためだけでなく社会のためにという思い、向上心、モラルや法を守る姿勢。3つ目は、③思考力。論理的に考える力、速さ、そしてアイデアを出す力。4つ目は、④人間関係構築力・リーダーシップ。だれとでも良い関係を築き、人を前向きにし、まとめていく力だ。この4つが、あなたという土台になる。
この4つは、今週(8/10~14)の各記事で、じっくり扱う。まずは「内側から固める」。そう覚えておいてほしい。
2-2 次に、外に発揮する4つの力
内側の土台ができたら、次は、それを「外に出す」力が必要になる。残りの4つが、それだ。
5つ目は、⑤文章力・面接力・センス。わかりやすく心を動かす文章、口頭での説得力、そしてビジネスの採算感覚。6つ目は、⑥容姿・雰囲気。存在感、印象、その会社の空気に合っているか。7つ目は、⑦実績。信念を持ってやりとげた経験、人がしていない経験、「これが私です」と言える事実。8つ目は、⑧スペック。学歴、TOEICスコア、海外経験など、数字や肩書きで示せるものだ。
この4つは、来週(8/17~21)の記事で扱う。内側でつくった力を、どう外に見せるか。その技術と準備の話になる。内側と外側、どちらか一方では足りない。中身があっても伝わらなければ届かないし、見せ方だけでは中身のなさが見ぬかれる。両方そろって、初めて力になる。
2-3 8つは、つながって働く
8つと聞くと、バラバラの項目に見えるかもしれない。でも、じつは、これらは深くつながっている。
たとえば、①自信があるから、④人と堂々と関われる。②価値観がはっきりしているから、⑦実績に一本の筋が通る。③思考力があるから、⑤文章や面接で、説得力が生まれる。一つを伸ばすと、他の要素も、いっしょに底上げされることが多い。だから、8つを別々にがんばる必要はない。つながりを意識すると、努力の効率が、ぐっと上がる。
8要素を、チェックリストとしてではなく、「つながった一つの力」として見てほしい。どこから手をつけても、全体が動き出す。それが、この8要素の面白いところだ。だから、「まずは、いちばん取り組みやすいものから」でいい。一つの要素を伸ばすうちに、気づけば、となりの要素も一緒に育っている。それが、この8要素の仕組みだ。
2-4 全部そろえる必要は、まったくない
8つも並ぶと、まじめな人ほど「全部できないと」と、あせってしまう。でも、はっきり言っておきたい。全部そろえる必要は、まったくない。
先週の連載でも話したとおり、大切なのは、強みで勝負することだ。8つのうち、自分の得意な要素を、思いきり伸ばす。弱い要素は、最低限を押さえておく。それで十分だ。全部を平均点にした人より、一つが飛びぬけた人のほうが、企業の記憶に残る。8要素は、全部を埋める採点表ではなく、「自分の武器を探すための地図」なのだ。
8要素を読むときは、「どこが足りないか」より「どこで勝負できそうか」を探してほしい。地図の見方一つで、この10日間が、ずっと前向きなものになる。企業も、完璧な人を探しているわけではない。「この人の、この力なら、うちで生きる」と思える一点があれば十分なのだ。だから、そこを磨こう。
Chapter 3 この10日間の、読み方と使い方
これから10日間、8つの要素を、一つずつていねいに見ていく。長い連載だ。だからこそ、最初に「どう読めばいいか」を、共有しておきたい。読み方しだいで、得られるものが、大きく変わってくる。ここを押さえて、気持ちを軽くしてから、進んでいこう。
3-1 「理解」だけで終わらせない
こういう連載を読むと、「なるほど、そういう要素があるのか」と、わかった気になる。そして、それで終わってしまう。よくあることだ。
でも、知っているだけでは、何も変わらない。8要素は、理解するためではなく、育てるためにある。だから、この連載では、どの回も、必ず「高めるための実践アクション」まで書く。読んだら、一つでいいから、やってみてほしい。行動して初めて、その要素は、あなたの力になる。読むだけの10日間と、試す10日間では、夏の終わりの姿が、まるでちがってくる。
各回の最後に出てくる「今日からできること」を、一つでいいので、実際にやってみてほしい。読む人から、動く人へ。それが、この連載の目指すところだ。
3-2 自分の「現在地」を知ってから読む
いきなり8要素を読み進めると、情報が多くて、消化しきれない。どこが自分に効くのかも、わからなくなってしまう。
だから、まず、自分の現在地をつかんでおこう。8つの要素を見て、「これは、まあまあ得意かも」「これは、ちょっと弱いかも」と、ざっくり感覚でいい。点数をつける必要はない。今の自分の位置がわかっていると、これから読む記事が、「自分ごと」として頭に入ってくる。同じ文章でも、現在地を知っている人には、深く刺さる。
今日のうちに、8要素を見わたして、「得意そう」「弱そう」を、ざっくり分けてみてほしい。それだけで、明日からの読み方が、まるで変わってくる。それに、現在地がわかっていると、10日後に「ここが少し伸びたな」と、成長を実感できる。出発点を記録しておくことは、自分をはげます材料にもなる。
3-3 「今から間に合うのか」への答え
「もう3年生だけど、間に合いますか」「まだ1年生だけど、早すぎませんか」。どちらの声も、よく聞く。学年によって、不安の形はちがう。
答えは、こうだ。どの学年でも、今からで間に合う。ただし、学年によって、力の入れどころは変わる。時間のある1~2年生は、①~④の内側の力を、じっくり育てられる。3年生は、⑤~⑦の「見せる力」と、今ある経験の意味づけに、比重を置くといい。高校生や専門学生も、同じだ。大切なのは、いつ始めるかより、今日から始めることだ。
「もう遅い」「まだ早い」と考えるのを、やめてみてほしい。今日が、いちばん早い日だ。あなたの学年に合ったところから、始めればいい。むしろ、早く始めた人ほど、時間をかけて力を育てられるぶん、有利になる。今日この記事を読んでいることが、すでに一歩リードしている証拠だ。
3-4 10日間の地図を、先に見せておく
長い連載では、「今どこを走っているか」がわからなくなると、しんどい。だから、先に、全体の地図を示しておこう。
今週(8/10~14)は、内側の4要素だ。明日から順に、①自信、②価値観・人間力、③思考力、④人間関係構築力を扱う。来週(8/17~21)は、外に発揮する4要素。⑤文章力・面接力、⑥容姿・雰囲気、⑦実績、⑧スペックと進み、最終日にすべてを統合する。10日間で、8つの力を、一周する旅だ。全体像がわかっていれば、途中で迷子にならない。
この地図を、スマホにメモしておくといい。「今日はこの要素だな」と確認しながら読むと、頭に残りやすい。地図を持って歩けば、道に迷わない。もし途中で読めない日があっても、気にしなくていい。あとから追いつけばいいし、気になる要素だけ読む、という使い方でもかまわない。無理なく続けよう。

Chapter 4 今日から始める、最初の一歩
最終章では、今日のうちにやっておくと、この10日間がぐっと実りあるものになる準備を、紹介する。どれも、5分あればできることばかりだ。むずかしく考えず、気楽に手を動かしてみてほしい。この小さな準備が、10日後のあなたを、大きく変えている。
4-1 8要素を、スマホにメモする
明日から、一つずつ要素を扱っていく。でも、全体を覚えていないと、「今日はどの要素の話だっけ」と、迷子になりやすい。
だから、今日のうちに、8要素を、スマホのメモに書き写しておこう。①自信 ②価値観・人間力 ③思考力 ④人間関係構築力 ⑤文章力・面接力 ⑥容姿・雰囲気 ⑦実績 ⑧スペック。これだけでいい。手を動かして書くと、それだけで頭に入る。そして、この10日間、毎日そのメモを見ながら読める。地図を、手元に置いておくのだ。
今、5分だけ時間をとって、8要素をメモしてほしい。書き写すだけでいい。この小さな準備が、10日間の学びを、しっかり支えてくれる。紙のノートに書いても、もちろんいい。大切なのは、いつでも見返せる場所に置いておくことだ。目に入る回数が、記憶と行動を、静かに変えていく。
4-2 「◯」「△」で、ざっくり自己採点する
自分の現在地を知る、と言われても、細かく点数をつけるのは、大変だし、気が重い。まじめにやろうとするほど、手が止まる。
だから、ざっくりでいい。メモした8要素の横に、「◯(まあできてる)」「△(ちょっと弱いかも)」を、直感でつけてみよう。1分もかからない。正確さは、まったくいらない。大切なのは、自分の中で「得意」と「弱い」を、ざっくり分けておくことだ。この作業をしておくと、明日からの記事が、自分の話として読める。
今、直感で、8要素に◯と△をつけてみてほしい。深く考えないほうがいい。最初の感覚が、意外と当たっている。そして、この採点は、あとで何度でも変えていい。10日後、もう一度つけてみると、印象が変わっているかもしれない。今は、あくまで出発点の記録だ。
4-3 「◯」の要素に、注目して読む
自己採点をすると、まじめな人ほど、「△」ばかりが気になってしまう。そして、また落ち込んでしまう。それでは、もったいない。
この連載は、ぜひ「◯」に注目しながら読んでほしい。「ここは自分の武器になりそうだ」という目で読むと、同じ記事から得られるものが、まるでちがってくる。もちろん「△」の回も、最低限を押さえるヒントとして役に立つ。でも、主役は「◯」だ。弱点を埋める10日間ではなく、武器を磨く10日間にしてほしい。そのほうが、楽しいし、伸びる。
「◯」をつけた要素の日が来たら、いつもより少しじっくり読んでみてほしい。そこに、あなたが勝負できる場所が、隠れている。「△」の回は、「最低限、これだけ押さえよう」という軽い気持ちで読めばいい。全部を全力で受け取ろうとすると、10日間はもたない。力の入れどころを、選ぼう。
4-4 夏の終わりの「なりたい自分」を書く
今連載を、なんとなく読み流して終わらせないために、もう一つ、おすすめしたいことがある。
それは、この夏の終わりに、「どんな自分になっていたいか」を、一言、書いておくことだ。「自分の強みを、はっきり言えるようになっている」「人前で、堂々と話せるようになっている」。何でもいい。ゴールが決まると、10日間の読み方が、変わる。ただ読むのではなく、「なりたい自分に近づくために読む」ようになる。目的地があると、道のりに意味が生まれるのだ。
今日、「夏の終わりの自分」を、一言だけ書いてみてほしい。それが、この10日間の、あなたの目的地になる。そこに向かって、一緒に歩いていこう。書いた言葉は、10日後にもう一度読み返してみてほしい。近づけていたら、うれしい。まだなら、続ければいい。どちらにしても、その言葉が、あなたを前に押してくれる。
今日のまとめ
今日は、今連載の入り口として、大切な考え方を共有した。
志望企業から選ばれるために必要なのは、面接のテクニックではなく、「その会社で必ず活躍できるだけの力」だ。その力を8つの要素に分けて、これから一つずつ育てていく。そして、しっかり準備ができていれば、「選んでもらう」受け身の就活から抜け出し、志望企業を「選ばせる」くらいの気持ちで、堂々と臨めるようになる。
8つ全部をそろえる必要は、まったくない。強みで勝負し、弱い要素は最低限を押さえる。その姿勢で読み進めてほしい。
明日は、8要素の1つ目、「自信」を扱う。じつは、根拠なんて、いらないのだ。その意味を、一緒に確かめよう。あなたの10日間の旅を、あおラボはいつも全力で応援している。