20代の企業評価基準

24年卒業予定学生を対象にした企業の採用活動が本格的に始まりました。少子化により労働人口の先細りが明らかないま、若年社員の確保は企業の経営課題の一つです。就職先を決める就活生にとって有利と言える売り手市場の状況は今後もその勢いが強くなりそうです。

2020年から22年に「Open Work」に投稿された、22~29歳の口コミ約13万件から現職者のものを抽出して、若手人材が企業を評価する基準についての日経ビジネスの考察記事から気になった内容を紹介します。

20代に高評価の業界

  • インターンネット
  • コンサルティング・シンクタンク
  • 総合商社
  • 情報サービス・リサーチ
  • 監査法人・税理士法人

20代低評価の業界

  • 食品・飲料
  • 住宅設備
  • 印刷、紙・パルプ
  • 警備・メンテナンス
  • 受託製造

若手社員はどんな基準で企業を評価しているのかを見ていくと、高評価業界と低評価業界ともに共通して、社内での情報共有や意思疎通のしやすさを示す「風通しの良さ」「法令順守意識」「社員の相互尊重」といった項目の評価点が高かったようです。

これらの項目は、個人の能力やキャリアに関わるところというよりも、働く環境に対する評価となります。日本企業全体としてコンプライアンス意識が高まっている状況を踏まえると、「心理的安全性」の資質が大きな影響力を持っている理解してもよさそうです。

一方で高評価業界と低評価業界で大きな差が見られた項目は、「20代成長環境」でした。スコアの数値が大きいほど、若手のうちにスキルを身に付けられる環境があると投稿者が満足している。総合評価が高い業界はこの項目の評価点が軒並み高い。インターネット業界では評価点が3.61だ。対して、食品・飲料業界は2.62と、0.99ポイントの開きがありました。この業界差が高低いずれの評価になるのかの潮目のひとつと思われます。しかし、職業人となって間もない時期の意見であることを考慮に入れておくことも必要かと思います

 「人材の長期育成」のスコアは高評価の業界と低評価の業界、共通して低い。インターネット業界で2.64、食品・飲料業界で2.46。いずれも平均点の2.65を下回っている。つまり、20代20若年のうちに成長できる職場環境を欲していて業界によって評価がはっきり分かれていて、企業が長期的に人材を育成する姿勢には満足していないし、そもそも期待もしていないことが伺えます。

裏を返せば、「この会社に勤めれば将来こんな力を身に付けられる」「このようなキャリアを描ける」というビジョンや、長期育成の仕組みを企業は示せていないことが考えられます。あるいはそれが伝わっていないために、若手が長期的思考でキャリアを描けていないとも考えられます。併せて見ておきたいのが「人事評価の適正感」という評価項目だ。インターネット業界のスコアは3.30、食品・飲料業界では2.59で、0.71ポイントの開きがありました。「20代成長環境」「社員の士気」のポイント差に次いで3番目に大きな差となっています。20代の若手社員にとって、適切に評価されるか否かは、その企業を評価する分岐点の一つであることが伺えたデータでした。

このような少し先に社会人となった先輩方の情報を会社選びに活かさない手はないと思います。企業研究や選択時のエビデンスのひとつとして活用したい情報です。

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