決める=意思決定

就活支援をする際にご本人(学生)と共有するものに就活のゴールがあります。  あおラボでは、「本人が納得して就活を終える」こと考えています。

近年の就活生の傾向の特徴として、企業から内定を得た後も、就活を継続している学生が少なくないのです。その理由はさまざまな視点から語られておりますが、「充分な納得感をもって就活を終了したい」と考える学生が増えているからだと私たちは考えています。

たとえば、今年6月1日時点で24卒の内定率はほぼ8割(79.6%)でしたが、3割が内定取得後も就活を継続すると回答していました。因みに8月1日時点での24卒内定保有企業数は平均1.06社で、複数の企業から内定を得ている学生の内定辞退数は増加しているようです。

個人差はありますが、第一志望群だけでも10社を超えている学生も珍しくありません。社会課題として少子化が謳われるようになったころから、新卒採用市場は「売り手有利」と言われていますが、就活当事者となった学生にとっては、第一志望群の企業のうちいったい何社から内定がもらえるのか、就活の神のみが知ることで先の見えないトンネルを走っているような感覚にもなるでしょう。

就職先の候補をどのようなオプションから選択したのか、そのプロセスにもよりますが内定を得てから本当の選択と意思決定が行われるのが今の就活の姿です。

たとえば、第一志望群のA社とB社から内定を取得することができたものの、他の第一志望群企業からは得ることができなかったとしましょう。そして今日は8月22日。10月には内定式等があるし、卒論も佳境、そろそろ就職先を決めないと、自分でもそう強く思っているとしましょう。つまり、A社とB社から就職先を決めるということです。

もし、あなただったらどうやって決めるでしょうか?

A・Bそれぞれに入社した自分を想像し、有形無形問わず得られるものを比較したり、企業の規模や制度、文化などを比べてみるのかも知れません。

でも、第一志望群であるだけに甲乙つけがたいことが殆どではないかと思うのです。だからこそ、悩むことになるのです。24卒の傾向で目立ったものに、「決める前に、配属先(職種・勤務地・勤務エリアなど)の確約を望む」という声も多くありました。ある調査では内定を得た8割の学生が配属先の確約を望んでいることが明らかになりました。一方で民間企業への就職確定者のうち約1/4が入社前に配属先が確定いていることもわかりました。

今日はこの「決める」ことについて、少しだけ掘ってみます。

ここで気づいていただきたいことは、いずれかの企業に就職先を決めようと意思決定をする場面で、私たちは情報を集め、整理をしますが、その行為は、「調査なのか、思考なのか、決断なのか」をしっかり認識することです。当然今回は決断になります。

調査は世の中で答えが既にわかっているものに対しては効果があります。一方で、答えが出ていないものに対してはいくら調査をしても結論を出すことは困難です。世の中に答えが出ていないことは、いくら調べてもムダなので、自分で「思考」する必要があるものです。

逆に、世の中に既に明確に答えが出ていることを自分で考えることは、車輪の再発明そのものです。コスパもタイパも悪くてムダな労力です。これは「調査」すべきものなのです。

さらに見落としがちなのが、答えが存在しないこともあるということです。例えば、トランプのババ抜きで、相手のカード10枚から1枚を選ぶ際にどれがジョーカーかを考えても解を得ることはできないものです。その場面では考えているのではなく迷っているのですから、いずれかのカードに「決断」するしかないのです。

このように、調査・思考・決断を知っておくだけでも情報の扱い方が随分変わるものですし、タイパもコスパも良くなります。ビジネスの世界では、考えてもムダなことがよくあります。例えば、AとBのデザインがあり、どちらかを選ぶ際に、どちらが100%売れるか、はどんなに考えても答えが出ない問いです。調査や統計からの68%の確率でAの方が売れるだろう、くらいまではたどり着くことができるものの100%の解はありません。最後は決断なのです。考え尽くした末に決めることができないのは、考えているのではなく、迷っている/悩んでいる状態なのです。

まとめると、

世の中に答えがわかっているもの:調査すべきもの

世の中に答えが出ていないもの:思考すべきもの

複数から1つを選択する(迷っている):決断すべきもの

賢い実務家は、迷ったときにどうするかを、平時に決めておく習慣にしている人が多いものです。その際に欠かすことができないものが「根拠」をしっかりしておくことも大切です。根拠がない、或いはあやふやだと後々説明責任をしっかり果たすことができないことになりますので、明確な根拠を掴んでおくことは重要なことです。

若者のタイパを重視志向と、動画の倍速視聴などを関連づけ揶揄する話がありますが、どうしたものかとおもうのです。変化対応スピードが競争力を生む環境はビジネスの世界にはたくさんあります。「考えているつもりで、迷い、悩む」、「判断に必要ない、重要性が低い情報を集める」といったことに時間を使っている職業人が実は少なくないのです。

迷ったらどうするのかを決めておくには、軸を持つことに他なりません。そこには、理論的な知の集積も必要ですが、それ以上に自分の仕事観やキャリア観、人生観などの価値観や哲学的思考を土台にした二度とない人生をどう生きたいのか、と言う志向に影響を受けるものだと思います。勿論、年齢を重ね経験を積むことで、変容するものでもありますが、学生生活のなかでどのくらいこういうことを考えたかは後々まで大きく反映するものではないかと考えています。

就活を継続されている24卒にとっては、まさに正念場となる8月でしょう。多少の焦りもモチベーションの燃料として今まで進めてきた自身の活動の総仕上げを悔いなく仕上げることが大事かと思います。

今年の夏は特別感はありますが、夏は暑いものです。あなた自身が充分納得してファーストキャリアの場所を意思決定するまで熱い就活でまいりましょう!

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