「人生は運命だ」とおっしゃる人もおられますが、私は「人生は選択だ」と考えています。なので、これまでに行った無数の選択の結果として、今のあなたがいると考えているのです。
どの大学に入るのか、誰と交流をするのか、何を大切/大事(価値観)にするのか、といったことも、幼少期は両親や周りの大人からの影響も受けることはあったでしょうが、大体10歳くらいからは、それなりに意思決定をして自分で選択してきたのです。
でも、自分が選択したと思っていることですら、じつはそう導かれたということも多々あるのです。
たとえば昼食時に友達と街中華店に行ったとしましょう。ランチメニューに書かれていたのは、エビチリ定食、麻婆豆腐定食、餃子定食、回鍋肉飯、炒飯、数種類のラーメン、どれも美味しそうです。さて、どれにしようか…となるのが自然な流れです。
今回は、この場面を少し違った視点で考えてみたいのです。この場面の基軸は街中華店となります。それでランチメニューに書かれた品々が選択肢となります。ごく普通に考えると、そのお店に入ったのだから、メニューのなかからどれを食べるかを決めることになります。でも、本当は、友人に強く押し切られて街中華についてきたのですが、あなたはボンゴレかバジリコのパスタが食べたいと思っていたとしましょう。もちろん、街中華では食することができません。どうしてもパスタを食べたいのなら街中華店を出るほかにありません。
「私はパスタを食べたいので別の店で昼食を済ませます。その後で再会しよう・・・」と友人に言えるかどうか、自分の意志に沿った一貫性のある言動ができるか。あたなならどうでしょうか。
二度とない自分の人生を生きる姿勢として考えて欲しいのです。
今回はイメージしやすいと思い、昼食をテーマにしました。本来はもっと複雑に絡み合った状況下にあることは重々承知しております。
その日のあなたは、ボンゴレかバジリコのパスタが食べたかったのに、友人に押し切られて来た街中華で妥協することも、お茶を濁すことも可能です。そして、そうした経験をしたことはない人は限りなくゼロではないかと思います。
二度とない自分の人生のなかで、時々刻々どのように生きるのか、自分が大切にすべきものは何か。普段はあまり考えることがないコトかもしれません。
ですが就活までには、そのコトをある程度はっきりしておくことが必要なのです。人によっては、「そういうことは社会人になってからじっくり考える」とおっしゃる学生がおられますが、正直いってそれでは遅いのです。
自分を大切にする、と言うことを否定する人は少ないかと思います。自分を大切にするということの一丁目一番地が、上述したコトを自分の中で明確にすることではないかとも思います。
就活準備から活動中、内定後にあっても、自己分析を重要視される背景がここにあると思います。あなた自身の生きる姿勢、働く姿勢、他者との関係性構築についての価値観などなどを正しく知りたいと考える企業が多いからです。企業では「こういう人と一緒に働きたい」という人物像が明確に存在しているものです。そういった求める人材像と照らし合わせる際には、学業や能力よりもその人の内側にある人間力にフォーカスする傾向があります。
選択肢に多くの意識を向けてしまう傾向があるとお気づきの方は、自分の周りにある基軸を認識することから始めてみましょう。すると、本当は基軸も自分で主体的に意思決定していることに気づくこともできるでしょう。
基軸と選択肢という分類で日常の言動を振り返ることも役に立つことだと思います。一日を振り返るなかで、何が基軸だったのか、どんな選択肢があったのかとリフレクションを積むことで、自然と思考や言動にプラスの影響が現れてきます。人的成長を望まれる方は、まずリフレクションの習慣にチャレンジされてみてはいかがでしょうか。