今回は問いから始めます。
賢い人とそうでない人の違いはどこにあると思いますか?
この問いにも唯一の解はありませんが、私は「反省の仕方」にあると捉えています。
私たちは、大小さまざまなミスやエラーを起こしますし、失敗をします(今回はここが前提の話です)。
このミス・エラーを起こした事後にこそ、賢い人とどうでない人の差が現れるものだと思うのです。
そうではない人は、ミスやエラーを起こした後、その結果を見て反省しています。たとえば、営業先でのプレゼンがうまくいかず、受注を獲得することができず、営業目標が達成できなかったとき、「ライバルのS社に負けた」「自分は目標未達だった」と最終の結果だけをフォーカスして見る傾向があります。
そうなると、「商談でライバル社に負けた自分」「目標達成できなかった自分」というところだけを内省(見つめる)ことになりますので、気持ちも必要以上に落ち込んでしまうのです。
これでは反省しても次に活かす気づきや学びはなく、自己効力感や自己肯定感を自分で下げ切ってしまうことになるのです。
一方、賢い人は、結果に対しての反省はしない傾向にあります。いったい何を反省するのかと言うと、一連のプロセスを振り返り反省をしているのです。たとえば、前出の営業パーソンでは、「目標達成できなかった」ことを反省するのではなく、未達成になった理由にフォーカスするのです。「プレゼン資料が分かり難いつくりになっていた」「プレゼンで専門用語を多用したことで理解を深めていただくことができなかった」「準備にも不備があった」など、プロセスから課題を抽出するのです。そして課題解決することで、一つ自分が賢くなり、次の機会では改善された状況で臨むことができ、成果につなげることができるのです。
このように、賢い人とそうでない人の違いは、失敗から解決すべき課題をクリアして次の成果につなげるアクションを取る人かどうかではないかと思うのです。
結果として手にした失敗は、誰にとっても嬉しいものではありません。それでも揺れ動く情緒をセルフマネジメントして、そこから何らかの課題を見つけ、自らクリアすることで小さな成長を積んでいくことを当たり前のように実践する人こそ、賢い人と呼ぶにふさわしい人物だと考えるのですが、どう思われますか?
今回のテーマにちなみ良書をご紹介します。
たいへん有名な著作なのですでにお読みになった方もおられるでしょう。肯定的に利用することが失敗を活かすコツと説く【失敗学のすすめ/畑村洋太郎著】です。まだお読みになっていないようでしたら、夏休みの読み物としてお勧めします。