偏りは、欠点ではない

3つが均等な人は、いない

こんにちは、あなたらしく輝ける未来を共に創造して、キャリア形成や就職活動の支援をおこなっている【あおラボ】です。

昨日、書き出した動詞をT・C・Lの3つに分けてもらった。数は出ただろうか。

数を見て、不安になった人がいるかもしれない。「Tばかりで、Lが2個しかない」「Cが30個を超えてしまった」。こんなふうに偏っていると、バランスが悪いように感じる。

今日は、そこを正面から扱いたい。結論から言えば、偏りは欠点ではない。むしろ、就活でいちばん役に立つものである。

Chapter 5 なぜ、偏りが良いのか

まずは、偏りの意味を考えたい。なぜ偏っているほうが強いのか。理由がわかると、見方が変わる。この章では、4つの角度から書いていく。

5-1 均等だと、何者でもなくなる

仮に、T・C・Lがぴったり均等だったとする。一見、理想的に見えるかもしれない。

ただ、採用する側の立場で考えると困ってしまう。面接を終えたあと、評価を書く欄に「この人に何を任せたいか」を記す会社は多い。均等な学生の場合、ここが埋まらないのだ。どの場面でも及第点は取れそうだが、どこで力を発揮するのかが浮かばない。そして実務の話をすると、本当に均等な人はほとんどいない。これまで数えてもらった中で、3つが完全に並んだ例は数えるほどしかなかった。均等に見えるときは、たいてい材料が足りていない。50個に届かず、散らばって見えているだけという場合が多い。

均等を目指さないでほしい。どこで力を出すかが見えるほうが、ずっと伝わる。

5-2 偏っているから、選べる

偏りの実用的な価値は、ここにある。選ぶときの基準になることだ。

同じ求人票を2人の学生が読んだとする。Tが多い学生は「市場データを分析し」という一文に目が留まる。Cが多い学生は「お客様の課題をうかがい」という部分に反応する。同じ紙を見ているのに、引っかかる場所が違う。この違いは、偏りがあるから生まれる。Lが多い学生なら、「少人数のチームで裁量を持って」という一文に反応する。同じ紙に、3人が別々の場所で引っかかるのだ。偏りが見えていないと、どの求人票も同じに見えてしまう。9月の連載で、比べる軸がないと最後は知名度で決めてしまうと書いた。その軸にあたるのが、まさにこの偏りだ。

偏りを、物差しとして使ってほしい。偏りがあるから、比べることができる。

5-3 偏りは、変えるものではない

ときどき、偏りを直そうとする学生がいる。これは慎重に考えてほしい。

以前、「Lが少ないので、これからリーダーの経験を積みます」と言った学生がいた。気持ちはよくわかる。ただ、先週書いたとおり、弱みを直す努力は報われにくい。しかも偏りは、これまでの生き方の結果として自然に形づくられたものだ。無理に均そうとすると、自分らしくない方向へ進んでしまう。もちろん、新しい経験をすることは良いことである。ただ、目的を変えてほしい。偏りを直すためではなく、強みを使う場面を増やすためにやる。同じ行動でも、目的が違えば得られるものが違ってくる。前者はやり切るのが苦しく、後者は手ごたえが残る。

偏りを直そうとしないでほしい。新しい経験は、強みを使うためにする。

5-4 尖っている人のほうが、記憶に残る

採用の現場で、長く学生を見てきた。そこで感じていることを書いておきたい。

印象に残るのは、尖っている学生だ。面接が終わったあと、頭に残るのは「この人は、とにかく人と話すのが好きなんだな」「この人は、調べ始めると止まらないんだな」という輪郭である。一方、まんべんなく話す学生の印象は残りにくい。欠点がないぶん、特徴もないからだ。しかも、尖っている人の話は自然と深くなる。好きな領域の話だから、聞かれていないことまで語れてしまう。1日に10人と面接して、顔が浮かぶのは2人か3人になる。この深さが、聞いている側を動かす。先週書いた、自分の型で語ることの意味がここにある。

尖っている部分を、隠さないでほしい。そこが、いちばん記憶に残る部分になる。

Chapter 6 偏りのパターン別に、読んでみる

偏りが良いとわかったところで、自分の型を読んでいきたい。この章では、T・C・Lそれぞれが多い場合と、2つが並んだ場合の読み方を紹介する。自分の数と照らし合わせてほしい。

6-1 Tが多い人の読み方

Tが最多だった人は、考えること、情報を扱うことに力が出るタイプになる。

ここで大事なのは、職種名に飛ばないことだ。「研究職かコンサルタント」と聞いて、そこで止まってしまう人がいる。もっと広く読んでほしい。Tが多い人に向くのは、調べたり整理したりする時間が確保されている仕事である。これは、業界を問わず存在する。企画、商品開発、品質管理、経理、生産管理、ITの設計、公務員の政策担当。並べてみると、ずいぶん幅が広い。業界で絞っていたら、この半分も見つからないはずだ。しかも、Tが強い人は入社後に信頼を得やすい。任された仕事を、途中で投げずに詰めてくるからだ。

Tが多いなら、考える時間がある仕事を探してほしい。業界は、どこでも構わない。

6-2 Cが多い人の読み方

Cが最多だった人は、人と関わる場面で力が出るタイプになる。学生ではいちばん多い型だ。

ここでも職種名に飛ばないでほしい。ただ、Cの人には、もう一段深く見てもらいたいことがある。同じ営業でも、2つに分かれるのだ。はじめて会う人に話しかけるのが得意な人と、同じ相手と長く関係を続けるのが得意な人。これは別の力である。どちらかは、動詞の中身を見ればわかる。「声をかける」「紹介する」「切り出す」が多ければ前者だ。「続ける」「覚えておく」「気にかける」が多ければ後者になる。前者は新規開拓、後者は既存のお客様を担当する仕事で力が出る。

Cが多いなら、動詞の中身をもう一段見てほしい。はじめてか、続けるかで分かれていく。

6-3 Lが多い人の読み方

Lが最多だった人は、決めること、人が動く方向をつくることに力が出るタイプになる。

ただし、ここはいちばん注意が必要だ。学生のうちは、Lを発揮できる場がそのまま用意されていない。そして新卒で管理職になることもない。だから「経営者か管理職」という職種名をそのまま受け取ると、行き場がなくなってしまう。正しい読み方は、環境で選ぶことだ。若手にも裁量を渡す会社、任せるのが早い会社、自分で進め方を決められる仕事。こういう条件で探す。規模の大きな会社より、地方の中小企業のほうがこの環境は多い。9月の連載で、知らない企業に良い会社があると書いたが、Lの人にはとくに当てはまる。

Lが多いなら、職種ではなく環境で探してほしい。任せてくれる会社を、条件にしよう。

6-4 2つが並んだ人の読み方

TとCが同じくらい、CとLが同じくらい。こういう人もいる。これは弱点ではない。

むしろ、組み合わせが強みになる。TとCが並ぶなら、考えたことを人に伝えられる人だ。企画や広報、研修、提案営業で活きる。CとLが並ぶなら、人を巻きこんで進められる人になる。プロジェクトの推進や、店舗の運営で力を出す。TとLが並ぶなら、筋道を立てて決められる人だ。これは、分析して判断する仕事に向く。仕入れの判断や、与信の審査がその例になる。並べてみるとわかるが、組み合わせのほうが像が具体的になる。「Tが強い人」ではぼんやりしているが、「考えたことを人に伝えられる人」なら姿が浮かぶ。

2つ並んだら、組み合わせで考えてほしい。単独より、はっきりした像になる。

Chapter 7 少ない区分と、どう付き合うか

多い区分の話が済んだので、少ない側を見たい。ここを気にする学生が多いので、ていねいに扱っておきたい。この章では、読み方と付き合い方を4つに分けて書いていく。

7-1 まず、経験の有無を確かめる

少ない区分を見たら、最初に確かめることがある。そもそも、経験があったかどうかだ。

Lが2個しかない人がいる。思い返すと、何かを決める立場に立ったことがほとんどなかった。これなら、少ないのは当然だ。合わないのではなく、機会がなかっただけである。一方で、まったく違う場合もある。昨日も触れたが、部活で副部長をやっていたのにLが少ない人だ。経験はあった。それでもLの動詞が出てこなかったということは、その動きが自分にとって自然ではなかった可能性がある。同じ「Lが2個」でも、この2つは正反対の意味を持っている。前者は伸びる余地、後者は避ける条件になる。

少ない区分に、経験があったかを確かめてほしい。機会がないのと、合わないのは別だ。

7-2 機会がなかったなら、試す価値がある

経験がなくて少ないなら、話は簡単だ。これから試してみればいい。

卒業まで、まだ半年以上の時間が残っている。試す場も、探せばいくつもある。ゼミで進行役を引き受ける。アルバイトで新人の指導を申し出る。サークルの行事をまとめる役を取る。どれも小さなことで構わない。やってみて手ごたえがあるなら、それは隠れていた強みだったということになる。手ごたえがなければ、合わないことがわかる。どちらにしても情報が増えるので、損がない。1か月やってみれば、だいたいの感触はつかめる。9月の連載で書いたとおり、学生のうちは失敗の損が小さい。試すのに、いまはいちばんよい時期だ。

機会がなかった区分を、1つ試してほしい。手ごたえの有無が、そのまま答えになる。

7-3 合わないとわかったら、避けていい

経験があったのに少なかった場合は、別の対応になる。これは、避けてよい領域だ。

先週書いたとおり、合わない場所で頑張り続けると消耗する。だから、無理に伸ばそうとしなくていい。それより、就職先を選ぶときの条件として使ってほしい。具体的には、こう書いておく。「Lが少ないので、入社してすぐ人をまとめる役割を求められる環境は避ける」。これだけで、立派な選択基準になる。苦手を隠して入社すると、入ってから苦しくなる。自分で避けられるなら、避けたほうがいい。ただし、先週書いた土台の部分だけは例外になる。時間を守る、報告するといった部分だ。

少ない区分を、避ける条件として使ってほしい。自分で避けられるのは、強みでもある。

7-4 足りない部分は、人に補ってもらえる

最後に、知っておいてほしいことがある。仕事は、1人でするものではない。

自分にLが少なくても、チームには必ずLが強い人がいる。Tが少なくても、調べるのが得意な人がいる。仕事は、互いの強みを持ち寄って進むものだ。だから、全部を自分で持つ必要はまったくない。むしろ、現場で重宝されるのは別のタイプの人である。自分に何がなくて、誰に頼ればよいかを知っている人だ。これができる新入社員は、早い段階から仕事が回り始める。先週扱ったコンピテンシーの話でいえば、自分の強みが活きる状況をつくれることが大事だった。人に頼ることも、その状況づくりの1つになる。

足りない部分は、人に頼る前提で考えてほしい。全部を自分で持つ必要はない。

Chapter 8 今日の作業と、明日の予告

最後に、今日やってほしいことをお伝えする。昨日出した数を、今日は読み解いていく作業になる。

8-1 自分の型を、仮に決めてみる

今日は、自分の型を仮に言葉にしてほしい。あくまで仮でいい。

形は決まっている。数の多い順に、3つのアルファベットを並べるだけだ。Tが25個、Cが15個、Lが10個なら「TCL型」になる。Cがいちばん多くてTが最少なら「CLT型」だ。Tが18個、Lが14個、Cが9個なら「TLC型」だ。並べ方は6通りあるので、どれかに必ず当てはまる。ここで同数が出たら、今日は両方を書いておけばいい。この順番が、あなたの型の輪郭になる。書く場所も決めておきたい。ノートの新しいページに、大きく書いてほしい。小さくメモに書くと、あとで探すことになる。見える場所にあると、金曜日の作業で使いやすい。

今日、自分の型を3文字で書いてほしい。多い順に並べるだけでいい。

8-2 少ない区分に、理由を書く

次に、いちばん少なかった区分について、理由を1行書いてほしい。

書き方は、2通りのどちらかになる。機会がなかった場合は、こう書く。「Lが少ない。決める立場に立った経験が、ほとんどなかった」。やってみて合わなかった場合は、こうだ。「Lが少ない。副部長はやったが、人をまとめるのは正直しんどかった」。どちらでも構わない。大事なのは、どちらなのかを自分で言葉にしておくことだ。書いてみると、自分でもどちらか迷っていたことに気づく場合がある。来週の企業選びで、この1行がそのまま使える。しかも、面接で短所を聞かれたときの材料にもなる。これは短所探しではなく、条件の整理である。

少ない区分の理由を、1行書いてほしい。来週の企業選びで、そのまま使える。

8-3 2つ並んでいる人は、順番を決める

TとCがほぼ同数、という人も多い。この場合、今日は無理に決めなくていい。

ただ、1つだけ試してほしいことがある。印のついた動詞がどちらに多いかを見ることだ。先週つけた印のうち、とくに「好きでしかもうまくいった」の印がどちらに寄っているかを数える。そちらを先に置く。数は同じでも、質で差が出ることがあるからだ。Tが20個でCが19個でも、印の8個がCに集まっていればCを先にする。それでも決まらなければ、明日と明後日の内容で判断できるようになる。明日はまたがり方そのものを、明後日は数と実感が食い違うときの読み方を扱う。今日の時点では、保留でまったく構わない。

印の位置で、順番を考えてみてほしい。決まらなければ、保留で問題ない。

8-4 明日は、2つにまたがる人を扱う

最後に、明日の予告をしておきたい。明日は、今日の最後に触れた話を深めていく。

扱うのは、2つの区分にまたがる人の強みだ。じつは、またがっている人のほうが多い。1つに決まらないことを気にしている人がいるが、心配はいらない。またがり方には、それぞれ意味がある。TとCなら、どういう仕事で活きるのか。CとLなら、ESや面接でどう語ればいいのか。組み合わせごとに具体的に書いていく。あわせて、3つすべてが同じくらいという人への読み方も扱う予定だ。この場合は、印のついた動詞だけで数え直すという方法を使う。順番がつけられなかった人は、明日がいちばん役に立つ回になると思う。

今日の3つを終えてから、明日を迎えてほしい。型が仮でも決まっていると、話が自分のものとして入ってくる。

今日のまとめ

偏りは、就活でいちばん役に立つものになる。採用側は「この人に何を任せたいか」を書く場面があり、均等な学生はそこが埋まらない。そして実際、3つが完全に並ぶ人はほとんどいない。

同じ求人票を読んでも、Tの人は「分析」の一文に、Cの人は「お客様の課題をうかがい」に目が留まる。引っかかる場所が違うのは、偏りがあるからだ。偏りが見えないと、どの求人票も同じに見えてしまう。

職種名に飛ばないことが大切になる。Tなら調べる時間が確保されている仕事、Cなら人とやりとりする時間が長い仕事。Lの場合は職種ではなく、任せるのが早い環境を条件にする。

少ない区分は、まず経験の有無を分ける。機会がなかったなら試す価値があり、やってみて合わなかったなら避ける条件にしていい。そして足りない部分は、人に頼る前提で考える。

今日の作業は3つ。型を3文字で書く。少ない区分の理由を1行書く。2つ並んでいる人は、印の位置で順番を考える。

明日は、2つにまたがる人の強みを扱う。1つに決まらないことを、気にしなくてよくなる回だ。一緒に見ていこう。

尖っていることは隠すものではなく、いちばん先に伝えるものだと、あおラボは信じている。あなたの挑戦を、いつも全力で応援している。

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