書き出した50個を、仕分けていく
こんにちは、あなたらしく輝ける未来を共に創造して、キャリア形成や就職活動の支援をおこなっている【あおラボ】です。
先週は、好きなことを動詞で書き出す作業を進めた。週末に読み返していただけただろうか。
今週は、いよいよ分析に入る。集めた動詞を、3つに分けていく作業だ。今月でいちばん面白いところだと思っている。
使うのは、刀の森岡毅氏が著書『苦しかったときの話をしようか』で示した区分だ。T・C・Lという3つに分ける。今日は、その分け方から始めたい。
Chapter 1 T・C・Lとは、何か
まずは、3つの区分を正確に知っておきたい。どれも、仕事で使う力の大きな分類にあたる。この章では、区分の全体像と、それぞれの中身を順に見ていく。
1-1 仕事で使う力は、大きく3つに分かれる
人が仕事で発揮する力を、大きく3つに分けるという考え方がある。これが、T・C・Lだ。
Tは Thinking、考える力。Cは Communication、人と関わる力。Lは Leadership、決めて導く力になる。ここで知っておいてほしいのは、この3つの割合が職種によってはっきり違うという点だ。経理の仕事は、1日の大半が数字と向き合う時間なのでTが大きい。一方で営業は、人と会う時間が長いのでCが大きくなる。同じ会社の中でも、ここまで違う。そして人間の側にも、どの力が出やすいかという傾向がある。つまり、仕事の側の割合と自分の側の傾向が近いほど、無理なく働けることになる。今日やるのは、自分の側の割合を数字にする作業だ。
まず、この3語を覚えてほしい。考える、関わる、導く。今週はこの3つで、すべてを整理していく。
1-2 T(Thinking)は、考える動き
1つ目のTには、頭を使う動きが入る。1人で対象に向き合う時間が長い動詞が、ここに集まる。
「調べる」「比べる」「分析する」「計算する」「整理する」「仮説を立てる」「原因を探す」「構成を考える」。こうしたものがTにあたる。ここで1つ、誤解を解いておきたい。Tは「机に向かっている動き」のことではない。たとえばコンビニのアルバイトで、「この時間帯はこの商品が動く」と気づいて並べ方を変えたなら、それは立派なTだ。身体は動いているが、働いているのは頭である。だから、デスクワークの経験がない人も、Tの動詞は必ず持っている。森岡氏は、Tが多い人には思考力を活かせる仕事、たとえば研究職やコンサルタントなどが向くという趣旨のことを書いている。
Tに入るものから、先に拾ってほしい。頭が動いていた場面を思い出すと、見つけやすい。
1-3 C(Communication)は、人と関わる動き
2つ目のCは、相手がいて初めて成立する動きになる。対人の場面で出てくる動詞が集まる。
「話す」「聞く」「伝える」「教える」「相談に乗る」「励ます」「紹介する」「つなぐ」「交渉する」。こうしたものがCになる。ここでも1つ、よくある勘違いを正しておきたい。Cは人数の話ではない。大勢の前で話すことだけがCではないのだ。喫茶店で友人の悩みを2時間聞いていたなら、それも同じようにCである。むしろ、静かに聞くほうが得意な人は、そこに強いCを持っていることが多い。人前で話すのが苦手だから自分はCではない、と判断してしまうのは早い。森岡氏は、Cが多い人には対人能力を活かせる仕事、たとえば営業やPRなどが向くという趣旨のことを書いている。
Cは、相手の有無で判断してほしい。相手がいて成り立つなら、人数は関係なくCになる。
1-4 L(Leadership)は、決めて導く動き
3つ目のLは、いちばん誤解されやすい区分だ。役職のことでも、性格のことでもない。
「決める」「選ぶ」「進める」「役割を割り振る」「段取りする」「巻きこむ」「責任を持つ」「方向を示す」。こうしたものがLになる。具体的な場面で考えてみたい。サークルの合宿で、宿を3軒調べて比べ、予約を取り、部屋割りを決めた人がいるとする。本人はたいてい「雑用をやっただけ」と思っている。けれど実際には、選んで、決めて、人の動きをつくっていた。これはLそのものだ。声の大きさや前に出るかどうかは、まったく関係がない。森岡氏は、Lが多い人には統率力を活かせる仕事、たとえば経営者や管理職などが向くという趣旨のことを書いている。
Lは、決めたかどうかで見てほしい。目立たない場面にも、Lの動きは隠れている。

Chapter 2 実際に、分けてみる
区分がわかったところで、手を動かしたい。この章では、仕分けの手順を4つに分けてお伝えする。むずかしい判断は不要で、迷ったときの扱いもあらかじめ決めてある。
2-1 動詞の横に、記号を書き入れる
やり方は単純だ。書き出した動詞の右側に、T・C・Lのどれかを小さく書き入れていく。
新しい紙に書き写す必要はない。先週、番号を振ってもらったリストに、そのまま書き足すだけでいい。紙面はこういう形になる。「12 後輩に教える C」。番号、動詞、記号が横一列に並ぶ。50個あっても、20分ほどで終わる作業だ。ここで大事なのは、速さである。1つずつ考えこむと、20個あたりで疲れてしまう。1秒で判断して、次へ進んでほしい。この速さには理由がある。じっくり考えると、「こうありたい自分」が判断に混ざってくるからだ。リーダーに見られたい気持ちがあると、Cの動詞をLに寄せてしまう。直感で振ったほうが、素の傾向が出る。
直感で、速く振ってほしい。考えこむほど、理想の自分が混ざってくる。
2-2 迷ったら、両方に入れる
必ず、どちらに入れるか迷うものが出てくる。ここでの扱いを、先に決めておきたい。
結論は、両方に入れる。たとえば「後輩に教える」を考えてみたい。相手がいて成立するのでCだ。ただ、何をどの順で教えるかを自分で決めていたなら、Lの要素も入っている。この場合はCLと並べて書いておけばいい。「文化祭の出し物を決めた」も同じ形になる。話し合いながら決めたのなら、CとLの両方だ。無理に1つへ絞らないでほしい。じつは、またがる動詞が多いこと自体が意味を持っている。水曜日に、このまたがりを正面から扱う予定だ。今日の段階で絞ろうとすると、そこで手が止まってしまう。
迷ったら、2つ並べて書いてほしい。保留できる形にしておくと、手が止まらない。
2-3 どれにも入らないものは、残しておく
ときどき、3つのどれにも収まらない動詞が出てくる。これも、消さないでほしい。
「歩く」「食べる」「音楽を聴く」「体を動かす」「外に出る」。こうしたものは、仕事で使う力というより生活の好みに近い。だからT・C・Lには入らない。それでも、残しておく価値がある。たとえば「体を動かす」が何度も出てきた人は、1日中座り続ける仕事だと消耗する可能性が高い。逆に「静かな場所にいる」が多い人なら、人の出入りが絶えない職場では集中が切れやすい。どちらも能力の話ではないが、何年も続けられるかどうかを左右する。先週扱った3つの円でいえば、中心の価値観に近い部分にあたる。
収まらないものは、別に印をつけてほしい。働く場所を選ぶときに、必ず使うことになる。
2-4 分け終えたら、数を数える
全部に記号がついたら、数を数える。ここが、今日のいちばん大事な作業になる。
Tがいくつ、Cがいくつ、Lがいくつ。紙の隅に書いておいてほしい。2つにまたがるものは、それぞれの側に1つずつ数える。CLと書いたものは、Cに1つ、Lに1つだ。だから合計が50個を超えることになるが、それで構わない。数えると、はっきりした偏りが現れるはずだ。そして、ここで驚く人が多い。以前、自分は人づきあいが好きだと思っていた学生が、数えてみたらT22個・C12個だったことがある。本人がいちばん意外そうな顔をしていた。印象と、積み上げた事実が食い違っていたのだ。
3つの数を、紙の隅に書いてほしい。印象ではなく、事実が出てくる瞬間になる。
Chapter 3 数が出たら、何を見るか
数えて終わりではない。数には読み方がある。この章では、見るべき点を4つ紹介する。ただし今日は、読み解くところまで進めなくていい。
3-1 いちばん多い区分を、確かめる
最初に見るのは、単純にいちばん多い区分だ。ここが、あなたの中心にある力になる。
たとえばTが25個、Cが15個、Lが10個だったとする。この場合、中心はTだ。考えること、情報を扱うことが自然に出る動きだということになる。逆にCが30個を超える人もいる。この人は、人と関わる場面でいちばん力が出る。どちらが優れているという話ではまったくない。ただ、1つ知っておいてほしいことがある。求人の文面を眺めると、Cを強く求めるものが目立つ。「コミュニケーション能力」と書かれた募集が、とにかく多いのだ。それを見てTの人が不安になることがある。けれど、Tを必要とする仕事も同じだけ存在している。目立たないだけだ。
いちばん多い区分に、丸をつけてほしい。そこが、来週の物差しになっていく。
3-2 印のついた動詞が、どこに集まっているか
次に見てほしいのは、先週つけた印の位置になる。3種類の印をつけてもらった。
感情が強く動いた動詞。3回以上くり返し出てきた動詞。そして、好きでしかもうまくいった動詞。この印がどこに集まっているかを見る。ここが、数の多さと食い違うことがある。理由がある。レポートや課題の動詞は、同じ作業を何度も繰り返すので量が出やすい。一方、人に喜ばれた場面は回数そのものが少ない。だから数は少ないのに、印はそちらに集まる。Tが25個で最多でも、印のついた10個のうち8個がCにあるなら、本当の中心はCかもしれない。数は思い出しやすさを表し、印は手ごたえのあった場所を表す。
印の位置を、数とは別に確かめてほしい。食い違ったら、それも大事な情報になる。
3-3 少ない区分にも、意味がある
多い区分だけを見て終わらせないでほしい。少ない側からも、読み取れることがある。
たとえばLが3個しかない人がいる。これは「リーダーに向いていない」という意味ではない。学生のうちは、決める立場に立つ機会そのものが限られているからだ。一方で、こういう人もいる。部活の副部長をやっていたのに、Lの動詞がほとんど出てこなかった。これは別の意味を持つ。やってはみたが、自分にとって自然な動きではなかったのかもしれない。そしてもう1つ、役職はなかったのにLが10個を超える人もいる。この人は、肩書きなしで決めてきたことになる。じつは、こちらのほうが強い。
少ない区分の理由を、考えてみてほしい。機会がなかったのか、合わなかったのか。
3-4 この区分は、職種の方向を示す
最後に、職種との関係に触れておきたい。ただし、受け取り方に注意がいる。
森岡氏は、Tが多い人には思考力を活かせる仕事、Cが多い人には対人能力を活かせる仕事、Lが多い人には統率力を活かせる仕事が向くという趣旨のことを書いている。方向としては、とても参考になる。ただ、職種名をそのまま受け取ると行き場がなくなる場合がある。Lが多い学生に「経営者か管理職が向いている」と伝えても、新卒でそこには就けない。この場合に必要なのは、読み替えだ。若手にも裁量を渡す会社、任せるのが早い会社を探す。そういう条件に変換する。方向は示してくれるが、答えそのものではない。
職種名ではなく、方向として受け取ってほしい。読み替えは、来週一緒に考えたい。

Chapter 4 今日の作業と、今週の流れ
ここまでで、分け方と読み方は見えたと思う。最後に、今日の作業量と今週の進み方を確かめておきたい。手を動かすのは、今日がいちばん多くなる。
4-1 今日は、分けて数えるところまで
今日の作業は、はっきりしている。50個に記号を振って、数を数える。ここまでだ。
目安の時間は30分になる。内訳は、記号を振るのに20分、数えて書き出すのに5分、余裕を見て5分というところだ。まとまった時間が取れないなら、10分ずつ3回に分けても構わない。ただ、できれば一気に進めてほしい。日をまたぐと、判断の基準がずれてくるからだ。月曜の自分と火曜の自分では、同じ動詞をCに入れるかLに入れるかが変わることがある。そして、やるなら午前中を勧めたい。疲れているときは、判断がCに寄る傾向がある。人と話した記憶のほうが、頭に浮かびやすくなるからだ。
今日のうちに、30分を取ってほしい。できれば、頭が元気な時間帯にお願いしたい。
4-2 結論は、まだ出さない
数が出ると、すぐ結論を出したくなる。「自分はCだから営業だ」というふうに。
ここは、まだ早い。今日は数を出すだけでいい。読み解き方は、明日から4日かけて扱っていく。偏りの意味、またがる場合の考え方、数と実感が食い違うときの判断、そして型を一行にする方法。この4つを順に押さえてから結論を出せば、浅いところで止まらずに済む。急いで決めた学生は、冬の面接で崩れる。「なぜそう言えるのですか」と聞かれたときに、「30個あったので」では答えにならないからだ。実際に、「Cが多いので人と関わる仕事を志望します」と答えた学生がいた。面接官が「どんな関わり方ですか」と重ねたところ、そこで止まってしまった。その30個が何だったのか、どの場面から出てきたのかを語れる状態にしておきたい。
今日は、数を出すだけにしてほしい。結論は、金曜日まで取っておこう。
4-3 数が偏っていても、心配はいらない
数えたとき、極端に偏ることがある。「Tが35個でLが2個しかない」というように。
この偏りを見て、不安になる人がいる。「バランスが悪いのではないか」と。けれど、偏りは良いことだ。明日くわしく扱うが、偏りがはっきりしているほど、自分の型も活きる場所も見えやすくなる。逆に3つが均等に散らばっていると、どこで力を出すのかが見えない。採用の現場から言えば、尖っている学生のほうが記憶に残る。1日に10人と面接すると、終わったあとに顔が浮かぶのは2人か3人になる。残るのは、輪郭がはっきりしていた人だ。「この人は調べ始めると止まらないんだな」という印象が残った人である。
偏りを見つけたら、安心してほしい。はっきりした傾向は、それだけで武器になる。
4-4 明日は、偏りの読み方を扱う
最後に、明日の予告をしておきたい。今日出した数を、明日から読んでいく。
明日扱うのは、偏りの読み方だ。なぜ偏りが欠点ではないのか。偏った力を、どういう場所で使うのか。そして、少ない区分とどう付き合うのか。この3つを中心に書いていく。T・C・Lそれぞれが多い場合の読み方も、具体的に示す予定だ。どの型の人が読んでも当てはまる形にする。たとえばLが2個しかなかった人にも、読む場所がある。少ない区分の扱いを、後半でまとめて取り上げるからだ。ここで1つお願いがある。今日のうちに数を出しておいてほしい。数が手元にあると、明日の内容が自分の話として読める。数がないと、知識を眺めるだけで終わってしまう。
今日のうちに、数を出しておいてほしい。明日の話が、自分のことになる。
今日のまとめ
仕事で発揮する力は、考える力のT、人と関わる力のC、決めて導く力のLに分かれる。この割合は職種によって違い、経理はTが大きく、営業はCが大きい。人の側にも出やすい力があり、両者が近いほど無理なく働ける。
Tは机に向かう動きだけを指さない。売れ方の法則に気づいて並べ方を変えたなら、身体は動いていても働いていたのは頭である。Cは人数と無関係で、友人の悩みを2時間聞いた時間も含まれる。Lは肩書きと無関係で、合宿の部屋割りを決めた人もここに入る。
仕分けは、リストの右に記号を書き入れるだけでいい。1秒で判断して進む。考えこむと、こうありたい自分が混ざってくるからだ。迷ったものは2つ並べ、収まらないものは別の印にして残す。
数えるときは、またがるものを両方に数える。合計が50を超えてかまわない。数字を見て印象とのずれに驚く人は多い。人づきあいが好きだと思っていた学生が、T22個・C12個だったこともある。
読むときは、最多の区分、印の位置、少ない区分の理由、そして職種名ではなく方向として受け取ること。この4点を押さえたい。
今日は、分けて数えるところまでで終わりだ。明日から、読み解きに入っていく。一緒に見ていこう。
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