自己分析は、テストの結果ではない

その診断結果、どう使っていますか

こんにちは、あなたらしく輝ける未来を共に創造して、キャリア形成や就職活動の支援をおこなっている【あおラボ】です。

10月に入った。夏のインターンを終えて、いよいよ本格的な就活の準備に入る時期になる。

そして多くの学生が、ここで「自己分析」という言葉に出会う。ところが、この言葉ほど誤解されているものはない。

相談に来た学生に「自己分析はしましたか」と聞くと、こう返ってくることがある。「はい、診断を受けました」。結果の画面を見せてくれることもある。

その気持ちは、よくわかる。けれど、そこで止まってしまうと、これから先がずっと苦しくなる。今月は、その先を一緒に見ていく。

Chapter 1 自己分析を、テストだと思っていないか

まずは、いちばん多い誤解から確かめておきたい。自己分析は、受けて結果を見る作業ではない。ここを取りちがえたまま進むと、秋から冬にかけて、必ずどこかで手が止まる。この章では、その理由を4つに分けて見ていこう。

1-1 診断を受けて、終わっていないか

就活サイトには、性格診断や適性検査が用意されている。無料で受けられて、結果もすぐ出る。便利なものだ。

問題は、そのあとにある。結果を読んで「なるほど」と思い、そこで終わってしまう学生が本当に多い。実際、面接で「ご自身の強みは」と聞かれて、診断結果に書かれていた言葉をそのまま答える人がいる。面接官は、たいてい気づく。その言葉に、体温がないからだ。診断を受けること自体は悪くない。ただ、それは自己分析の入口ですらなく、入口の前に置かれた案内板のようなものだ。案内板を読んだだけでは、まだ1歩も歩いていない。

診断を受けたなら、結果の紙を開いて、自分の言葉で言い直してみてほしい。言い直せなければ、それはまだ自分のものになっていない。

1-2 結果は「材料」であって「答え」ではない

では、診断結果には価値がないのか。そうではない。使い方の問題である。

診断結果は、材料だ。料理でいえば、冷蔵庫に入っている食材にあたる。食材が揃っていても、それだけでは料理にならない。どう組み合わせて、誰に出すのかを決めるのは、自分の仕事だ。「協調性が高い」と出たとする。では、その協調性は、どの場面で、どんなふうに出たのか。それを思い出して書き出したとき、初めて材料が料理になる。逆に、結果の言葉だけを抱えていると、他の何万人もの学生と同じことを言うことになってしまう。

診断で出た言葉1つについて、それが出た場面を3つ思い出してほしい。思い出せた分だけ、その言葉はあなたのものになる。場面がなければ、その言葉はまだ使えない。

1-3 「当てはまる」で止まってしまう

診断結果を読むとき、私たちは自然と「当たっているかどうか」を判断している。ここにも落とし穴がある。

人は、書かれたことの中から自分に当てはまる部分を見つけるのが得意だ。だから、たいていの診断は「当たっている」と感じる。占いを読んで納得するのと、構造は似ている。ところが、当てはまったことと、自分を理解したことは別である。当てはまる、で止まると、そこから先に進めない。大事なのは、当たっているかどうかではなく、「なぜ自分はそうなのか」「それが出たのはどの場面か」を掘ることだ。掘って初めて、就活で使える形になる。

結果を読んだら、「当たっている」の次に「なぜだろう」と続けてほしい。この1語で、作業の質がまるで変わる。

1-4 受け身でやると、言葉が自分のものにならない

もう1つ、診断に頼ることの弱点がある。受け身の作業になってしまうことだ。

診断は、質問に答えていけば結果が出る。考える負荷が小さいので、進めやすい。けれど、負荷が小さいぶん、残るものも小さい。自分で言葉を探し、迷い、書き直した言葉だけが、面接の場で口から出てくる。9月の連載で、経験は放っておくと消えると書いた。同じことが言葉にも起きる。もらった言葉は消えるが、自分で絞り出した言葉は残る。だから自己分析は、手を動かす作業なのだ。

これから1ヶ月、手を動かす前提で取り組んでほしい。読むだけでは、残念ながら何も変わらない。ノートに1行書いたところから、自己分析は始まる。少しずつでいいので、必ず書いてほしい。

Chapter 2 自己分析は、何のためにやるのか

誤解が解けたところで、次の問いに進みたい。そもそも、自己分析は何のためにやるのか。ここが曖昧なまま始めると、途中で目的を見失う。この章では、3つの用途と、それらをつなぐ1本の軸について書いておく。

2-1 1つ目、志望企業を決めるため

秋から冬にかけて、志望企業を決めていくことになる。このとき、何を基準に選ぶのか。

ここで多くの学生がつまずく。業界で選ぶ、知名度で選ぶ、まわりが受けているから選ぶ。どれも基準として弱い。なぜなら、あなた自身が入っていないからだ。9月の連載で、インターンは「確かめるため」にあると書いた。あのとき確かめようとしたのは、企業のことだけではない。その場に置かれた自分がどう反応するかだった。自己分析は、その反応を集めて、自分が力を出せる条件を言葉にする作業である。条件がわかれば、企業は自然と絞れてくる。

企業を探す前に、自分が力を出せる条件を書き出してほしい。順番が逆になると、遠回りになる。条件がはっきりすれば、迷う時間も減っていく。

2-2 2つ目、エントリーシートを書くため

年明けからは、エントリーシートを何枚も書くことになる。ここでも自己分析が効いてくる。

ESで聞かれることは、企業がちがっても似ている。学生時代に力を入れたこと。自分の強み。志望動機。この3つが軸になる。そして、この3つはすべて「自分がどういう人間か」から出てくる。自己分析ができていれば、企業ごとに書き換えるのは表現の部分だけで済む。できていないと、毎回ゼロから絞り出すことになり、1社あたり何時間もかかってしまう。しかも、絞り出した言葉は浅くなりやすい。この差は、冬にはっきり出る。

ESを書き始める前に、土台をつくっておいてほしい。今つくった土台が、冬の何十時間かを助けてくれる。しかも、書ける中身の深さまで変わってくる。

2-3 3つ目、面接で語るため

そして面接だ。ここがいちばん、自己分析の有無が出る場面になる。

面接官は、書かれたことを確かめに来る。「なぜそう思ったのですか」「ほかにやり方はなかったのですか」。こうした質問が続く。用意した答えを暗記しているだけだと、2つ目か3つ目の質問で止まってしまう。一方、自分で掘った人は、掘った深さの分だけ答えられる。なぜなら、その場で考えて言葉にできるからだ。8月の連載で、企業が見ているのは成果の大きさではなく過程だと書いた。過程を語れるかどうかは、自己分析の深さにそのまま比例する。

面接対策を始める前に、掘る作業を先にしてほしい。掘っていない人に、答えられる質問は多くない。逆に掘った人は、想定外の質問にも落ち着いて答えられる。

2-4 3つとも、同じ1本の軸から出てくる

ここまで3つの用途を挙げたが、大事なのは、この3つがバラバラではないということだ。

志望企業を決めるのも、ESを書くのも、面接で語るのも、軸になるのは同じ1つのものである。それが、自分の強みだ。強みがはっきりしていれば、それが活きる企業を選び、その強みで何をしてきたかをESに書き、面接ではその過程を語ることになる。全部が1本でつながる。逆に、強みが曖昧なままだと、3つがバラバラになってしまう。志望動機と自己PRの内容が噛み合わない学生を、これまで何人も見てきた。原因は、たいていここにある。

3つを別々の対策だと思わないでほしい。1本の軸から出てくるものだと考えると、進め方が変わる。やることが減って、しかも深くなっていく。

Chapter 3 その軸が、自分の強みである

軸になるのは強みだ、と書いた。ところが、この「強み」という言葉もまた、大きく誤解されている。この章では、強みについての3つの誤解と、10月の進め方を書いておく。ここが今月の中心になる。

3-1 強みがないと、全部が借り物になる

強みが定まらないまま就活を進めると、何が起きるか。すべての言葉が、借り物になる。

就活サイトに載っている自己PRの例文を写し、先輩のESを参考にし、面接の模範解答を覚える。どれも一見うまくいきそうに見える。けれど、面接で少し角度を変えて聞かれると、答えられない。借り物の言葉には、背景がないからだ。しかも、本人がいちばんつらい。自分ではない何かを演じ続けることになり、内定が出ても「この会社でよかったのか」という気持ちが残ってしまう。これは、あまりに惜しい。

借りた言葉で埋めるのを、いったんやめてほしい。時間はかかるが、自分の言葉のほうが、結局は早く着く。そして、納得して働き始められる。遠回りに見えて、いちばん確かな道だ。

3-2 「強みが思いつかない」の正体

「自分には強みがない」と言う学生に、毎年何人も会う。そして、そのほとんどが誤解をしている。

彼らが想像している強みは、たいてい「人より優れていること」だ。全国大会に出た、資格をたくさん持っている、留学した。こういうものを探して、見つからず、ないと結論づけてしまう。でも、強みとは他人との比較ではない。自分の中で、自然に力が出る型のことだ。人と比べる必要はまったくない。むしろ、比べている限り見つからない。地味でいい。「頼まれると断れない」も、見方を変えれば強みの入口になる。

人より優れているものを探すのを、やめてほしい。探す場所がちがうから、見つからないだけである。強みは、あなたの中にもう埋まっている。

3-3 強みは、探すのではなく掘り出すもの

では、強みはどこにあるのか。外ではなく、自分の中にある。すでにある。

だから、正確に言えば「探す」のではなく「掘り出す」作業になる。自分ではあたりまえにやっているので、気づいていないだけだ。周りから「よくやるね」と言われることや、時間を忘れて没頭したこと、うまくいったときの自分の動き方。こういうものの中に埋まっている。9月に書いてきた記録があるなら、それがそのまま材料になる。記録していなかった人も心配はいらない。今月、掘る方法を順を追って紹介していく。

自分の中にすでにある、という前提で取り組んでほしい。ないものを探すのと、あるものを掘るのでは、作業がまるで変わってくる。掘る道具は、今月すべてお渡しする。

3-4 10月の4週間で、掘り出していく

最後に、今月の進め方を先にお伝えしておきたい。見通しがあると、取り組みやすくなる。

明日までの2日で、なぜ自己分析が必要かをはっきりさせる。来週は、強みとは何かを正確に知る。「スキル」と「強み」がどう違うのかを扱う。再来週は、実際に手を動かして書き出す。ここが山場になる。その次の週で、書き出したものを分類して読み解く。そして最終週に、そこから企業選びやESにつなげていく。全部で22日。毎日10分でも進めれば、10月の終わりには、自分の軸を1行で言えるようになっているはずだ。

今日から、毎日少しずつ進めてほしい。1ヶ月あれば、十分に間に合う。焦って一気にやる必要は、まったくない。むしろ、毎日続けたほうが深く掘れる。

Chapter 4 今日から、始められること

考え方がわかったら、次は手を動かす番だ。この章では、今日のうちにできることを4つ紹介する。どれも10分あれば終わる。始めてしまえば、あとは続くものだ。

4-1 診断結果があるなら、いったん脇に置く

すでに診断を受けている人は、その結果をどうするか迷うと思う。捨てる必要はない。ただ、いったん脇に置いてほしい。

理由は単純で、先に結果を見てしまうと、その枠の中で考えてしまうからだ。「協調性が高い」と書かれていれば、協調性に関わる経験ばかり思い出そうとする。そうやって視野が狭くなる。だから、まずは何も見ない状態で自分を掘る。そのあとで診断結果を開いて、答え合わせをする。この順番なら、診断は役に立つ道具になる。順番が逆になると、枠にはめる道具になってしまう。

結果の紙は、引き出しにしまっておいてほしい。開くのは、今月の終わりでいい。そのときには、見え方がすっかり変わっているはずだ。まだ受けていない人は、今は受けなくていい。

4-2 ノートを1冊、用意する

次に、書く場所を決めたい。スマホのメモでもいいが、今月に限っては紙のノートを勧めたい。

理由は2つある。1つは、書き出す量が多いからだ。今月は、最終的に50個以上の項目を並べることになる。一覧で見渡せる紙のほうが、分類や比較がしやすい。もう1つは、手で書くと考える速度が落ちることだ。落ちるのは欠点ではなく、利点になる。速く打てるほど、考えずに言葉が出てしまう。ゆっくり書くほうが、自分の中を探る時間が生まれる。新品でなくていい。余っているノートで十分だ。

今日のうちに、ノートを1冊決めてほしい。決めるだけなら1分で終わる。今月のあいだは、そのノートだけに書きためていこう。1ヶ所にまとまっていることが、あとで効いてくる。

4-3 1日10分でいい

続けるためには、負荷を下げておくことが大事になる。ここは9月の連載でも扱ったところだ。

自己分析というと、休日に半日かけて向き合うものだと思われがちだ。けれど、それでは続かない。しかも、一気にやると考えが浅いまま埋めてしまう。おすすめは、1日10分。夜でも、通学の電車でもいい。10分なら、疲れている日でもできる。そして、毎日少しずつ考え続けることに意味がある。寝ているあいだにも頭は働いていて、翌日ふと言葉が浮かぶことがある。これは、一気にやった人には起きない。

今日から、1日10分と決めてほしい。この10分が、22日後にはかなりの量になっている。時間を決めておくと、さらに続きやすくなる。寝る前の10分に固定するのが、いちばん無理がない。

4-4 まず「うまくいった場面」を3つ書く

最後に、今日やってほしいことを1つだけお伝えする。むずかしいことではない。

ノートを開いて、「これまでにうまくいったと感じた場面」を3つ書く。それだけでいい。大きな成功でなくてかまわない。アルバイトで常連のお客さんに名前を覚えてもらった。ゼミの発表で、後輩の質問にうまく答えられた。サークルの予定調整が、自分がやったら早く決まった。こういう小さなことこそ材料になる。なぜなら、そこにあなたの自然な動き方が出ているからだ。来週、この3つを深く掘っていくことになる。

今日、3つだけ書いてほしい。書いたら、今日の分は終わりでいい。思い出せなければ、明日でもかまわない。小さいことほど、いい材料になる。大きな成果を探そうとしなくていい。

今日のまとめ

自己分析は、診断を受けて結果を知る作業ではない。結果は材料であって、答えではない。冷蔵庫の食材と同じで、それだけでは料理にならない。

「当たっている」で止まると、そこから先に進めない。大事なのは、なぜ自分はそうなのか、それが出たのはどの場面かを掘ることだ。もらった言葉は消えるが、自分で絞り出した言葉は残る。

自己分析には3つの用途がある。志望企業を決めるため。ESを書くため。面接で語るため。そして、この3つはバラバラではなく、同じ1本の軸から出てくる。その軸が、自分の強みだ。

ただし、強みとは人より優れていることではない。自分の中で自然に力が出る型のことだ。しかも外を探すのではなく、すでに自分の中にあるものを掘り出す作業になる。

今日からできることは4つ。診断結果はいったん脇に置く。ノートを1冊決める。1日10分と決める。そして、うまくいった場面を3つ書く。

明日は、この連載の導入の最終回になる。志望企業もESも面接も、なぜ軸が1本でいいのか。そこをもう少し具体的に扱っていく。一緒に見ていこう。

自己分析は、受けるものではなく、自分で掘るものだと、あおラボは信じている。あなたの挑戦を、いつも全力で応援している。

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