中身があっても、伝わらなければ評価されない
こんにちは、あなたらしく輝ける未来を共に創造して、キャリア形成や就活の支援をおこなっている【あおラボ】です。
先週は、内側をつくる4つの力――自信、価値観・人間力、思考力、人間関係構築力を、一つずつ見てきた。土台は、これでそろった。
今週からは、その力を「外に出す」4つの要素に入る。今日はその一つ目、⑤文章力・面接力・センスだ。
厳しいことを言うようだが、就活では、どれだけ立派な中身を持っていても、伝わらなければ、持っていないのと同じ扱いになる。エントリーシートという文章と、面接という会話。この二つでしか、あなたは評価されないからだ。今日は、伝える力を、型として身につけていこう。
Chapter 21 なぜ「伝える力」で、これほど差がつくのか
伝える力は、就活で最も差がつく要素かもしれない。同じ経験を持つ二人でも、書き方と話し方で、まったくちがう評価になる。この章では、なぜそこまで差がつくのかを、確かめておこう。ここが腹落ちすると、伝える練習に、本気で時間を使う気になるはずだ。
21-1 中身があっても、伝わらなければゼロ
「自分は、しっかり考えている」「経験も積んできた」。そう思っているのに、書類で落ちる。面接で手ごたえがない。こういうとき、多くの人は自分の中身を疑ってしまう。
でも、原因は、たいてい中身ではない。伝え方だ。相手は、あなたの頭の中を、直接のぞくことができない。文章と言葉、それだけが窓口になる。だから、窓口が曇っていると、どれだけ立派な中身があっても、相手には届かない。厳しい言い方をすれば、伝わらないものは、無いのと同じに扱われる。これは、能力の問題ではなく、技術の問題だ。
うまくいかないとき、中身を疑う前に、伝え方を疑ってみてほしい。そこに、伸びしろが眠っていることが、とても多い。自分を責める必要はない。窓口を、少しだけ磨けばいいだけだ。
21-2 就活は、ほぼ「文章」と「話」で決まる
就活の選考を、順に思いうかべてみよう。エントリーシート、書類選考、面接、そしてまた面接。ほとんどが、文章か会話だ。
つまり、就活とは、文章力と面接力を測られる場だと言ってもいい。実技試験があるわけでも、実際に働いてみせるわけでもない。企業は、限られた文字と、限られた時間の会話から、あなたを判断するしかないのだ。だからこそ、この二つの力は、就活での「実力」に、直結する。逆に言えば、ここを磨けば、同じ中身でも、評価は大きく変わる。
「経験が足りない」と悩む前に、「今ある経験を、伝えきれているか」を点検してほしい。多くの人は、持っているものを出しきれていない。新しい経験を積むより、今あるものを伝えきるほうが、ずっと早い。
21-3 伝える力は、生まれつきではない
「自分は文章が苦手」「人前で話すのが苦手」。そう感じている人は多い。そして、これも才能の問題だと思いこんでしまう。
でも、伝える力ほど、型がはっきりしているものはない。一文を短くする。結論から書く。抽象的な言葉を、具体に置きかえる。どれも、覚えれば、その日から使える技術だ。作家になるわけではない。相手にわかってもらうだけなら、才能はいらない。実際、文章が苦手だった学生が、型を三つ覚えただけで、見ちがえるほど伝わる文章を書くようになる場面を、何度も見てきた。
「苦手だ」という自己評価を、いったん保留にしてほしい。まだ型を習っていないだけかもしれない。習えば、変わる。しかも、変化は早い。一週間もあれば、自分でも読みやすさのちがいに気づける。
21-4 「うまく書く」ではなく「わかりやすく書く」
文章を書こうとすると、つい、かっこいい表現を探してしまう。難しい言葉を使い、長い一文を書き、着飾ろうとする。
でも、就活で求められているのは、うまい文章ではない。わかりやすい文章だ。読み手である採用担当者は、何百枚ものシートを読んでいる。凝った表現より、一読して意味がわかる文章のほうが、はるかにありがたい。しかも、わかりやすく書くには、自分の考えが整理されていなければならない。つまり、わかりやすさは、思考の深さの証明でもある。飾らないほうが、じつは強いのだ。
書いたあと、「これは一読でわかるか」と自分に問うてほしい。かっこよさではなく、わかりやすさ。基準を、そこに置こう。迷ったら、友だちに読んでもらうといい。一度で伝わるかどうかが、すぐわかる。

Chapter 22 伝わる文章を書く、四つの型
では、具体的にどう書けばいいのか。この章では、今日から使える四つの型を紹介する。むずかしい理論ではない。どれも、書いたあとに手を入れるだけで効く、実用的なものばかりだ。この四つを守るだけで、あなたの文章は、はっきり読みやすくなる。
22-1 一文を短くする、それだけで伝わる
伝わらない文章には、共通点がある。一文が長いのだ。「私は大学時代にサークル活動に力を入れ、その中で副代表を務め、メンバーの意見をまとめながら……」と続いていく。
一文が長くなると、読み手は、主語と述語を追いきれなくなる。そして、意味が入ってこない。だから、まず一文を切る。「私は、サークルで副代表を務めた」「そこでの役割は、意見をまとめることだった」。目安は、一文四十字から五十字だ。これだけで、読みやすさは劇的に変わる。中身を変えなくても、切るだけで伝わるようになる。もっとも手軽で、もっとも効く改善だ。
書き終えたら、長い一文を探して、切ってみてほしい。「、」が三つ以上ある文は、たいてい切れる。それだけで、見ちがえる。
22-2 抽象語を、具体に置きかえる
「私は責任感があります」「コミュニケーション能力に自信があります」。よく見る表現だ。でも、これらの言葉は、読み手の心に、何も映さない。
なぜなら、抽象的すぎるからだ。責任感という言葉は、人によって思いうかべる中身がちがう。だから、具体に置きかえる。「シフトに穴が空いたとき、三か月間、毎回代わりに入った」。こう書けば、責任感という言葉を使わずに、責任感が伝わる。しかも、あなただけの事実だから、他の人と重ならない。抽象語は、便利に見えて、じつは、あなたを埋もれさせてしまう言葉なのだ。
自分の文章から、抽象的な言葉を探してほしい。そして、「たとえば?」と自分に問う。その答えを、そのまま書けばいい。飾らなくていい。事実をそのまま置くほうが、ずっと強く伝わる。
22-3 「結論→理由→具体例→結論」の型を使う
何から書けばいいかわからず、時系列で書き始めてしまう。すると、読み手は最後まで読まないと、結局何が言いたいのかわからない。
だから、型に沿って書く。まず結論。「私の強みは、粘り強さです」。次に理由。「途中でやめない習慣が、身についているからです」。そして具体例。「三年間、週五日のバイトを一度も休まず続けました」。最後にもう一度結論。「この粘り強さを、御社でも活かします」。この四段の型に流しこむだけで、文章は整う。しかも、書きながら、自分の考えも整理されていく。
次に何か書くとき、この四段の型に当てはめてみてほしい。型があると、書き出しで悩む時間が、なくなる。そして、読み手も迷わない。書く側と読む側、両方が楽になる型だ。
22-4 心が動くのは、情景が見えたとき
わかりやすいだけの文章は、読まれはするが、記憶には残らない。何百枚も読む採用担当者の中で、あなたの文章だけが残るには、もう一つ必要なものがある。
それは、情景だ。人の心は、情報ではなく、映像で動く。「大変でした」ではなく、「閉店後の店内で、一人で在庫を数え直していた」。読み手の頭に、絵が浮かぶ。すると、感情が動く。感情が動いた文章は、忘れられない。むずかしい技術ではない。そのとき、どこで、何をしていたか。それを、そのまま書けばいい。飾らずに、見たままを書いたほうが、むしろ情景は立ち上がる。
自分の経験を、「そのとき目に映っていたもの」から書いてみてほしい。それだけで、文章に、体温が宿る。すごい経験である必要は、まったくない。細部が具体的なほど、読み手には本当らしく届く。
Chapter 23 面接力と、ビジネスの「センス」
文章の次は、話す力だ。そして、この要素にはもう一つ、「センス」という項目が含まれている。ここで言うセンスとは、おしゃれさのことではない。ビジネスの採算感覚のことだ。この章では、面接での話し方と、学生のうちから持てる採算感覚を、一緒に見ていこう。
23-1 面接は、発表ではなく会話
面接を、準備した内容を発表する場だと思っている人は多い。だから、暗記した答えを、途中で止まらずに言い切ろうとする。
でも、面接は、会話だ。相手の質問を受け、それに答える。相手の反応を見て、話す量を調整する。この往復ができるかどうかを、面接官は見ている。実際、完璧な自己PRを暗唱する人より、少したどたどしくても、こちらの質問にきちんと向き合う人のほうが、評価される。なぜなら、仕事は、発表ではなく会話でできているからだ。会話ができる人と、一緒に働きたいと思うのは、自然なことだ。
面接の準備では、「話す内容」だけでなく、「聞く姿勢」も整えてほしい。質問を最後まで聞く。それだけで、印象は変わる。答えを言い切ることより、相手とかみ合うことを、優先しよう。
23-2 沈黙と、聞き返しを、こわがらない
面接で、答えに詰まる。頭が真っ白になる。多くの人が、この瞬間を恐れて、必要以上に緊張してしまう。
でも、少しの沈黙は、まったく問題ない。むしろ、「少し考えさせてください」と言って、三秒黙るほうが、あわてて的外れなことを言うより、ずっと印象がいい。質問の意味がわからないときも同じだ。「それは、~という意味でしょうか」と聞き返していい。仕事でも、わからないまま進める人より、確認する人のほうが信頼される。面接での振る舞いは、そのまま働き方として見られている。
沈黙も聞き返しも、失点ではない。そう思っておくだけで、面接での緊張は、ずいぶん軽くなる。完璧に答えようとするから、こわくなる。ちゃんと向き合おう、と思えば、肩の力は抜ける。
23-3 「センス」とは、採算の感覚
この要素に含まれる「センス」を、服装や見た目のことだと思う人がいる。でも、ここで言うセンスは、まったくちがう。ビジネスの採算感覚のことだ。
つまり、「これは、いくらかかって、いくら生むのか」という感覚だ。会社は、利益がなければ続かない。だから、どんな仕事にも、コストと売上の裏側がある。この感覚を持っている学生は、面接での話に、現実味が出る。「お客様を喜ばせたい」だけでなく、「その施策は、どれくらいのコストで、どれくらいのリピートを生むか」まで考えられる。ここまで見ている学生は、正直、多くない。だから、差がつく。
自分のアイデアに、「それは、いくらかかるだろう」と問いを足してみてほしい。この一問が、あなたの話を、現実的にする。
23-4 採算感覚は、学生のうちから持てる
「会社に入ったことがないのに、採算なんてわかるはずがない」。そう思うかもしれない。たしかに、実務の細かいところはわからない。
でも、感覚を持つことは、今日からできる。バイト先で、自分の時給と、店の客単価を比べてみる。「自分が一時間で生んでいる売上は、いくらだろう」と考えてみる。ラーメン一杯の値段のうち、材料費はどれくらいだろう、と調べてみる。こうした問いを持つだけで、お金の流れが見えてくる。そして、この視点を持った学生の言葉は、面接で明らかに厚みがちがう。数字の話ができる学生は、それだけで印象に残る。
次のバイトで、「この店は、どこで利益を出しているのか」を考えてみてほしい。答えが出なくても、考えた経験が残る。

Chapter 24 今日から始める、伝える力の鍛え方
最後に、伝える力を鍛える具体的なアクションを紹介する。文章も面接も、知識では伸びない。書いた回数、話した回数だけ、うまくなる。どれも、一日十分あればできるものばかりだ。気楽に、一つ選んでみてほしい。
24-1 自分の文章を、声に出して読む
書いた文章を、目で読み返すだけでは、変なところに気づけない。自分の書いたものは、意味がわかっているぶん、すらすら読めてしまうからだ。
だから、声に出して読む。音読すると、息が続かない一文が見つかる。同じ言葉のくり返しが、耳障りに感じられる。つながりの悪いところで、口が止まる。目では見つからなかった問題が、耳では一発でわかる。プロの書き手も、この方法を使っている。しかも、道具はいらない。今日から、その場でできる。エントリーシートを出す前に、必ずやってほしい作業だ。
書いた文章を、一度だけ音読してみてほしい。つまずいた箇所が、直すべき場所だ。それだけで、文章は整う。声に出すのが恥ずかしければ、小さな声でいい。口を動かすことに、意味がある。
24-2 一日一つ、百四十字にまとめる
長く書くことより、短くまとめるほうが、じつはずっと難しい。そして、就活で求められるのは、短くまとめる力のほうだ。
だから、練習しよう。今日あったことでも、読んだ本でも、見たニュースでもいい。それを、百四十字にまとめる。書いてみると、たいてい二百字を超える。そこから削る。この「削る」作業が、いちばんの訓練になる。何が本当に大事かを、選ばなければならないからだ。これを続けると、エントリーシートの文字数制限が、こわくなくなる。むしろ、限られた字数で勝負するのが、楽しくなってくる。
今日から、一日一つ、百四十字にまとめてみてほしい。SNSに投稿してもいいし、メモでもいい。削る力が、確実につく。しかも、この練習は、話すときにも効いてくる。要点を選ぶ力は、共通だからだ。
24-3 話す練習は、スマホで録画する
面接の練習を、頭の中でやっている人が多い。でも、頭の中の自分は、いつも上手に話す。だから、本番とのギャップに驚くことになる。
そこで、スマホで録画してみてほしい。想定質問に、一分で答える。それを撮って、見返す。最初は、自分の姿を見るのが恥ずかしい。それでも、得られるものは大きい。話が長すぎる、目線が下を向いている、「えー」が多い。自分では気づけなかったことが、はっきり見える。しかも、他人に頼まなくていいので、何度でもできる。面接練習で、これほど費用対効果の高い方法はない。
今週、一問だけでいいので、録画して見返してみてほしい。一回で、直すべき点が三つは見つかる。そして、二回目に撮ると、もう直っている。この手ごたえが、練習を続ける力になる。
24-4 身のまわりの「原価」を、調べてみる
採算感覚を身につけたくても、会社に入っていない学生には、練習の場がないように思える。でも、じつは日常が、そのまま教材になる。
やり方は、簡単だ。身のまわりのものの原価を、調べてみる。カフェのコーヒー一杯、コンビニのおにぎり、自分の使っているアプリ。売値のうち、材料費はどれくらいか。人件費や家賃は、どこから出ているのか。調べていくと、「この店は、これで儲けているのか」と見えてくる。この視点は、業界研究にも直結する。志望企業が、どこでお金を生んでいるかを、自然と考えられるようになる。
今週、一つでいい。身近な商品の原価を、調べてみてほしい。ビジネスの見え方が、少し変わるはずだ。そして、その変化は、面接での言葉にも、静かににじみ出てくる。
今日のまとめ
どれだけ立派な中身があっても、伝わらなければ、無いのと同じに扱われる。就活は、文章と会話でしか評価されないからだ。
伝わる文章の型は、四つ。一文を短くする。抽象語を具体に置きかえる。「結論→理由→具体例→結論」で組み立てる。そして、情景が見えるように書く。どれも、才能ではなく技術だ。
面接は、発表ではなく会話だ。沈黙も、聞き返しも、失点ではない。相手の質問に、まっすぐ向き合う姿勢のほうが、暗記した答えより、ずっと評価される。
そして、ここで言うセンスとは、採算の感覚だ。「いくらかかって、いくら生むのか」。この視点を持つ学生は、多くない。だから、持てば差がつく。
明日は、⑥容姿・雰囲気を扱う。「顔で判断されるのか」と身構えるかもしれないが、まったくちがう。存在感と印象は、整えられるものだ。そのあたりを、一緒に見ていこう。
伝える力は、練習した分だけ確実に伸びると、あおラボは信じている。あなたの挑戦を、いつも全力で応援している。