皆さん、こんにちは!
昨日の記事では、面接官が感じる「話が響かない学生の残念な特徴」として、「質問の意図とのズレ」や「企業軸と自分軸のズレ」についてお話ししました。読んだ人の中には、「もしかして、自分もやっちゃってるかも…」とドキッとした人もいるかもしれませんね。
さて、面接対策と聞いて、皆さんが真っ先に思い浮かべることの一つが「自己PR」ではないでしょうか? インターネットや就活本を開けば、「自己PRの書き方」「面接で使える自己PR例」といった情報が溢れかえっています。中には、「最強の自己PRテンプレート」「必ず受かる模範解答集」といった、魅力的な言葉が並んでいるものもありますよね。
しかし、残念ながら、そうした「模範解答」には大きな罠が潜んでいるんです。
僕自身も、面接官として、あるいはキャリアコンサルタントとして多くの学生さんと向き合ってきました。その中で強く感じるのは、「模範解答」を真似した自己PRは、どれもこれも「似たり寄ったり」で、あなたの魅力が全く伝わってこないということ。まるで感情のないAIが作ったような、味気ない自己PRになってしまうんです。
今日の記事では、なぜ「模範解答」が逆効果になるのか、その「罠」の正体を明らかにします。そして、面接官の心に深く響く、あなただけの「本音」が伝わる自己PRの作り方を、具体的なステップで解説していきます。
面接の目的は、あなたの個性と本質を知ること。表面的な言葉の羅列ではなく、あなたの「本音」をしっかり伝わる自己PRで、選考突破を目指しましょう!
1. なぜ『模範解答』は逆効果?面接官が感じている違和感
「優等生コメント」では個性は埋もれる
就活生が「模範解答」に頼ってしまう気持ちはよく分かります。不安だからこそ、みんなが「良い」と言うもの、つまり「正解」とされる型にはまりたくなるものです。
しかし、考えてみてください。全国に何万人といる就活生が、同じような「模範解答」をベースに自己PRを作ったらどうなるでしょうか?
面接官は、日々何十人、何百人もの学生と面接しています。その中で、「私の長所は傾聴力です。アルバイトでお客様の話を丁寧に聞きました…」といった定型文を聞くと、正直なところ「またこのパターンか」と感じてしまいます。
- 「傾聴力がある」という結論だけ
- エピソードはあっても、どこか抽象的で想像しにくい
- あなたがそこで何を感じ、どう考えたのか、その「本音」が見えない
これらの「優等生コメント」は、「誰でも言える自己PR」になってしまい、あなたの個性や魅力が埋もれてしまいます。面接官の記憶に残らないどころか、「この学生は、自分の言葉で話すことができないのかな?」という、残念な印象を与えかねないのです。
「本音」が隠れた自己PRは「嘘くさい」と感じられる
もう一つの大きな問題は、「模範解答」を真似ることで、あなたの「本音」が隠れてしまうことです。
たとえば、本当は地道な作業が好きでコツコツ取り組むタイプなのに、世間で「リーダーシップがある人が評価される」と聞けば、無理にリーダーシップを発揮したエピソードを語ろうとする。あるいは、そこまで強くないスキルを「長所」としてアピールしようとすると、どうなるでしょうか?
面接官はプロです。あなたの話し方、表情、視線、声のトーンといった非言語情報から、言葉の裏にある「本音」や「感情」を無意識に読み取ろうとしています。
- 言葉と表情が一致しない
- エピソードを話す時に、なぜか感情がこもっていない
- 質問を深掘りされると、途端に言葉に詰まる
このような状態だと、面接官は「この学生は、何か無理をしているな」「本当のことを言っていないのではないか」という違和感を抱きます。残念ながら、これは「嘘くさい」という印象に繋がりかねません。
面接官は、あなたが「完璧な人間」であることを求めているわけではありません。彼らは、あなたという人間がどんな人で、どんな価値観を持ち、入社後にどんな風に成長してくれそうかを知りたいのです。そのためには、飾らない「本音」で語ることが、何よりも大切になります。
企業が本当に知りたい「あなたらしさ」とは?
では、企業が自己PRで本当に知りたい「あなたらしさ」とは何でしょうか? それは、あなたが持っている「スキル」だけでなく、そのスキルを支える「人間性」、そして入社後に「どう貢献してくれるか」という期待値です。
- あなたの強み(スキル): 論理的思考力、コミュニケーション力、課題解決能力など。
- その強みを支える人間性(価値観・特性): なぜそのスキルを身につけようとしたのか? どんな時に喜びを感じ、どんなことに熱意を燃やすのか?
- 入社後の貢献イメージ: その強みと人間性が、入社後、具体的にどんな業務で活かされ、会社にどんなプラスをもたらすのか?
これら3つの要素が繋がった「あなただけのストーリー」こそが、「あなたらしさ」であり、面接官の心を掴む自己PRになるのです。
2. 『本音』が面接官に響く自己PRの作り方:3つのステップ
ここからは、あなたの「本音」が面接官に響く自己PRを、具体的なステップで作成していきましょう。
ステップ1:徹底的な「自己深掘り」で本音を見つける
「本音」を伝えるためには、まず自分自身の「本音」を知ることからです。
⒈ 「感情が動いた出来事」を書き出す:
- 楽しかったこと、悔しかったこと、頑張ったこと、感動したこと、失敗したこと、腹が立ったこと…何でも構いません。感情が強く動いた出来事を、学生時代だけでなく、幼少期から振り返って、できるだけたくさん書き出しましょう。
- これは、あなたの価値観や行動原理を見つけるヒントになります。
⒉ 「なぜ?」を5回繰り返す:
- 書き出した出来事や、そこで取った行動に対して、「なぜそうしたの?」「なぜそう感じたの?」「なぜその結果になったの?」と、最低5回は自問自答を繰り返してください。
- 例: 「アルバイトで売上目標を達成した」
- なぜ目標達成しようと思った? → 「店長が困っていたから」
- なぜ店長を助けたかった? → 「チームで目標を達成することにやりがいを感じるから」
- なぜやりがいを感じる? → 「みんなで協力して何かを成し遂げるのが好きだから」
- なぜそれが好きなの? → 「一人ではできない大きなことを実現できるから」
- なぜそう思う? → 「…(ここにあなたの根源的な価値観が隠れている)」
- 例: 「アルバイトで売上目標を達成した」
- この「なぜなぜ分析」を通じて、表面的な行動の裏にあるあなたの本音、価値観、強みが明確になります。
⒊ 強みを「エピソード」で裏付ける:
- 自己深掘りで発見した強みや価値観に対し、それを具体的に示すエピソードを複数(2~3個)準備しましょう。
- ポイント: どんな状況で(Situation)、どんな目標があり(Task)、あなたはどう行動し(Action)、どんな結果になったか(Result)、そしてそこから何を学び、それが今の自分にどう繋がっているか(Learning & Link to Future)を明確にします。これが、あなたの「本音」が詰まったオリジナルのストーリーです。

ステップ2:企業の「求める人物像」と「本音」を重ねる
あなたの「本音」を見つけたら、次に重要なのは、それを企業の「求める人物像」とどう重ね合わせるかです。
⒈ 企業研究を「求める人物像」視点で深掘り:
- 企業のウェブサイト、採用ページ、IR情報、SNSなどを徹底的にチェック。
- 特に、「企業理念」「行動指針」「社員インタビュー」を読み込みましょう。
- 「この企業が大切にしている価値観は何か?」「どんなタイプの人が活躍しているか?」「どんな働き方をしているか?」といった、企業が本当に求めている人物像の「本音」を探ります。
⒉ 自分の「本音」と企業の「本音」の接点を見つける:
- ステップ1で見つけたあなたの強み・価値観と、ステップ2で見つけた企業の求める人物像との間に、どんな共通点や接点があるかを探します。
- 例えば、あなたの「チームで協力して大きなことを成し遂げたい」という本音と、企業の「チームワークを重視し、全員で目標達成を目指す」という文化が一致するなら、それがあなたの「本音」が響くポイントになります。
⒊ 自己PRの「結論」を最適化する:
- 企業が求める人物像とあなたの本音の接点を踏まえて、自己PRの冒頭に来る「結論」を調整します。
- 例: 「私の強みは、困難な状況でもチームで課題解決に粘り強く取り組めることです。貴社の『顧客の課題に真摯に向き合う』という理念に強く共感しており、この強みを活かして貢献したいと考えています。」
ステップ3:面接官に「伝わる」構成と話し方で表現する
最後に、見つけた「本音」を、面接官に最も効果的に「伝わる」形にアウトプットする準備をします。
⒈ 簡潔な「結論」から始める:
- 「私の強みは〇〇です。」や「学生時代に力を入れたことは〇〇です。」のように、まずは結論から伝えましょう。面接官は、まず何の話をするのかを知りたいからです。
⒉ 具体的な「エピソード」で裏付ける:
- 結論の後に、ステップ1で深掘りした具体的なエピソード(STARメソッド+感情・学び)を簡潔に話します。
- ポイント: だらだらと長く話さず、最も伝えたい核となる部分に絞り込みます。必要に応じて、面接官が深掘りする余地を残すくらいのイメージで。
⒊ 「入社後の貢献」に繋げる:
- エピソードの最後に、「この経験で培った〇〇という強みを、貴社で働く上で△△という形で活かし、貢献していきたいと考えております。」のように、入社後の貢献イメージを明確に伝えましょう。これが、面接官にとって最も知りたい「未来」の部分です。
⒋ 「自分の言葉」で話す練習:
- テンプレートや模範解答を覚えるのではなく、自分の言葉でスムーズに話せるようになるまで、何度も練習してください。鏡の前で話す、動画を撮って見返す、友人や家族に聞いてもらうなど、アウトプットの練習が重要です。
- 自然な笑顔、アイコンタクト、はっきりとした声のトーンも意識しましょう。これら非言語情報は、あなたの「本音」や「熱意」を伝える上で非常に大きな力になります。
まとめ:あなたの「本音」が、唯一無二の「正解」だ!
26卒の皆さん、面接における「自己PR」に、「唯一無二の正解」はありません。しかし、唯一無二の「正解」があるとすれば、それは「あなた自身の本音が詰まった、あなただけのストーリー」です。
ネットや書籍に溢れる「模範解答」は、あくまでヒントの一つに過ぎません。それに囚われず、徹底的な自己深掘りを通じて、あなたの「本音」を見つけてください。そして、その「本音」を企業の「求める人物像」と重ね合わせ、面接官に「伝わる」言葉と話し方で表現する。これこそが、面接官の心を掴み、あなたらしい内定を掴むための、最もパワフルな自己PR術です。
面接は、あなたの個性を輝かせるチャンスです。自信を持って、あなた自身のストーリーを語り、納得のいく未来を拓いてください!あおもりHRラボは、あなたの「本音」を見つける旅を全力で応援しています。