「人と一緒に何かをするのが苦手」
「グループワークになると、自分の役割が分からなくなる」
「意見が合わない人とどう接したらいいのか困る」
そんな経験はありませんか?
Z世代の学生にとって、“協働”は避けて通れないテーマ。
でも実は、それを苦手に感じている人こそ、この先の社会で大きな力を発揮できる可能性を秘めているのです。
経済産業省が『未来人材ビジョン』で掲げているもう一つの重要な視点。
それが、「多様性を受容し、他者と協働する能力」です。
これからの社会では、どんな仕事でも、どんな職場でも、「違う価値観を持つ人たち」とチームを組むことが前提になっていきます。
だからこそ、自分と異なる人を理解し、力を合わせて成果を生み出す能力は、未来人材にとって欠かせない資質なのです。
今回は、大学生活のなかでこの力をどう育てていけばよいのか、協働にまつわるリアルな悩みに寄り添いながら、具体的なヒントをお伝えしていきます。
多様性って、実はとても身近なこと
「多様性(ダイバーシティ)」と聞くと、性別や国籍、文化の違いをイメージする人が多いかもしれません。
けれど、多様性は決して遠い概念ではありません。
たとえば、
• グループワークで「意見が合わない」
• サークルで「価値観が違う」と感じる
• アルバイト先で「年齢の離れた人と話がかみ合わない」
これらも、すべて“多様性の現場”です。
そして、そこでどう振る舞うかが、社会に出たときのあなたの“協働力”に直結していきます。
なぜ今、「協働力」がこれほど重視されるのか?
今の社会は、もはや「一人で完結する時代」ではありません。
職場では、バックグラウンドや専門分野の異なる人と一緒にプロジェクトを進めるのが当たり前になっています。
• ITエンジニア × デザイナー × 企画職
• 高齢者 × 若者 × 子育て世代
• 国内市場 × 海外チーム × リモートワーク環境
つまり、「違う」からこそ、新しい価値が生まれる。
そしてその「違い」を活かせるかどうかが、リーダーシップやチーム力の核心になります。
協働力を育てる3つのステップ
① 「違いは迷惑」ではなく、「リソース」だと考える
人と違う意見や視点を持っている人に出会ったとき、
「めんどくさいな」「やりづらいな」と感じることがあるかもしれません。
でも、それは悪いことではありません。
むしろ、自分にはなかった視点がそこにあるというサインです。
• 積極的な人がいれば、チームにエネルギーが生まれる
• 慎重な人がいれば、ミスを防げる
• 発言が少ない人でも、意外と深い洞察を持っている
「違い=面倒」ではなく、「違い=資源」と捉えることで、あなたの見え方が大きく変わります。
② 「聴く力」と「補う姿勢」を意識する
チームで大事なのは、“自分の意見を通すこと”ではなく、
「お互いの得意・不得意を補い合うこと」です。
そのためには、まず「相手の話を最後まで聴く」「決めつけない」という姿勢が重要です。
• 「あの人、なんで何も発言しないんだろう」ではなく、
• 「発言しづらい空気かもしれないな。どうすれば話しやすいだろう?」
と考える視点が、協働の質を大きく左右します。
③ 「自分の役割」にこだわりすぎない
グループ活動の場で、「自分はリーダータイプじゃないから」「自分は裏方の方が向いてる」と決めつけていませんか?
もちろん、自分の得意を活かすのは大切です。
でも、チームで成果を出すためには、「役割にしばられない柔軟さ」も重要です。
• 必要があればサポート役にもまわる
• 苦手でも、必要なら一歩踏み出して提案してみる
• 他の人の役割にも関心を持ち、連携を意識する
こうした“視野の広さ”が、あなたの協働力を一段階引き上げてくれます。
大学生活で「協働力」を育てる具体的な行動例
▷ ゼミやグループワークで「全員発言型」の場を意識
• 進行役のときは、発言の少ない人にもやさしく問いかける
• 意見の対立があったときは、「どっちが正しい」ではなく「どうすれば両方の視点を活かせるか?」を考える
▷ サークル活動で「運営の裏側」に関わってみる
• イベント準備や広報、連絡係など、見えにくい仕事に挑戦してみる
• 多様なメンバーと関わることで、価値観の違いを実感しながら乗り越える経験になる
▷ 異なる学部・学年の人と関わる場に参加する
• 異分野の学生とディスカッションする場(例:学内プロジェクト、学生団体、ボランティアなど)に飛び込んでみる
• 共通点がないと思った人とも、対話を通して“意外なつながり”を発見することがある
協働経験は就活でも強いアピールになる
企業は、チームでの働き方ができる人を求めています。
つまり、「協働力」はESや面接でも評価されやすい資質のひとつです。
• 「ゼミでのプロジェクトで、メンバーの意見が対立したとき、どうまとめたか」
• 「サークルのイベントで、異なる役割の人をどう巻き込んだか」
こうしたエピソードは、あなたがどんな人と、どう関わり、何を得たのかを伝える材料になります。
協働の経験を言語化することで、自分自身の価値観や強みがはっきりしてくることも多いのです。
まとめ|違いを「壁」にせず、「橋」にする人になる
多様性と協働の本質は、「みんな違っていて当たり前」だという前提に立てるかどうかです。
そのうえで、違いを“ぶつける”のではなく、“掛け合わせる”ことができるか。
それができる人は、社会に出ても、チームにとって欠かせない存在になります。
「一人でできること」には限界がある。
「一緒にできること」には、無限の可能性がある。
その可能性を信じて、大学生活の中でたくさんの人と関わり、時にはぶつかりながらも、共につくる力を育てていってください。
それがきっと、あなたの未来を“チームと共に拓く”ための第一歩になります。