最近では日常的に使われるキャリア(career)ですが、この言葉の解釈は立場によって異なる場合があることを就活生にはよく理解しておいてほしい。
キャリアとは、一般的に仕事・経歴・就職・出世などのイメージで使われることが多い言葉です。しかし、厚生労働省が提唱しているキャリアの概念には、『時間的持続性ないしは継続性を持った概念』として定義されています。
本来は、就職・出世・現在の仕事などを指す言葉ではなく、働くことに関わる「継続的なプロセス」と働くことにまつわる「生き方」を示すものなのです。
余談になりますが、前述の働くことに関わるの部分が「生きること」に変わるとライフ・キャリアと言われていす。その部分に関わるライフコーチへの認知も広がってきました。
二つの側面
そこで、キャリアを考える際に憶えておきたいのが「内的キャリア」と「外的キャリア」の二つの側面からキャリアを思考することです。
外的キャリアとは、職業・地位・資格・年収など、外的視点から見えるキャリアのことです。一方で内的キャリアは、働く意義・哲学・働きがい・生きがいなど、働くこと、生きることについての価値観を指します。
内的キャリアは、仕事に満足しているか、やりがいを感じているか、といった本人にしかわからない基準で評価が決まります。外的キャリアからは、測り知ることができないものです。さらに、外的キャリアの成功と本人の満足度は必ずしも一致するものではないといった調査結果も幾つかありますが、羨むほどのキャリアの人であっても、幸せを実感できずに孤独で淋しさの中におられる人が存在するのも世の事実なのです。
仕事だけでなく生き方が含まれるものとなると、人様の生き方に良い生き方ですね、悪い生き方ですよ、などと評価することは少しはばかる気持ちにもなりますし、第三者が口を出すことが礼儀に反する行為になることもあります。しかし、採用人事の世界では、それぞれの組織において評価されるキャリアと残念なキャリアが明確に区分されているのも事実なのです。
就活生に求めるのはキャリアの計画
学生時代にアルバイトやインターンシップの経験のある人は少なくない。だからといって、就活学生に対して「あなたのキャリアは?」などと尋ねる面接官は皆無のはずです。聞きたいのは「あなた自身が考える自分のキャリアプラン」なのです。
就活生にキャリアプランを訊く意図は大別すると2つです。
- 「応募者のキャリアプラン」と「自社の戦略や業務内容」が一致しているかの確認のため
- 応募者の志望動機との一貫性を判断するため
もう少し詳しく解説すると、「あなたのキャリアプラン」と「自社の戦略や業務内容」が一致しているかの確認とは、つまり、あなたが「適切に企業理解ができているか」、「働く上での価値観が自社と合っているか」、を見極めているのです。
就活準備として取り組んだ企業研究がポイントです。実は、その会社の戦略や部署・業務内容を理解できていないと具体的なキャリアプランを描くことは難しいのです。
規模や大小や業種に限らず、多くの会社が社員を人財と捉えて、大切に育てています。そして、大きく成長することを願っているのです。そこで重要になってくるのが価値観が合っていることなのです。
しっかりした企業ほど、どんなに優秀な人材であろうとも価値観がそぐわない人を採用することはありません。それだけ働く一人ひとりの価値観が組織にとって重要なものであることを理解しておくといいでしょう。
ですので、先述した「内的キャリア」をじっくり考えておくことが何よりも大切なことになるのです。
志望動機との一貫性を判断するとは、つまり「あなたのキャリアプランが志望動機に紐づいているか」ということです。それは、応募者であるあなたの立場でいうならば「この会社でなければならない理由」ともつながる内容となります。
まとめると、就活生にキャリアプランを訊く理由は、
- あなたの働くことについての価値観
- どれくらい自社を理解し応募しているか
- 将来、仕事を通してどうしたいのか
をあなた自身の考え、それも本音として聴きたいと考えているからなのです。
ここに徹底的に自己分析を行うべき理由があるのです。採用担当者もプロです。サラッと流した程度の自己分析で終えている人なのか、しっかりと真摯に自分と向き合い、そこで悩み考えた人なのか、少し話を聞くだけでその資質は見抜けるものです。
あなたは、自分が本当にやりたいこと、自分が本当になりたい姿をリアリティを持って思い浮かべ、それを伝えることができるでしょうか? この問いに即「YES」といえないとしたら、そこにまだやり切れていない何かがあるはずです。
政府が決めた就活ルールでは3月1日に広報解禁となり、会社説明会や合同説明会などが一斉に開始されます。そうするとスケジュール被りが発生したりと、何かと時間が取れなくなります。特に23卒就活生にとっての2月は、就活前準備の仕上げと総点検の時間として取り組まれるとよろしいでしょう。