今や人事に携わる人にとっては周知のことなのですが、キャリア自律は組織の生産性向上に寄与する共通認識があり、特に20~30代の世代からの関心が増加しています。主体的に考え、学び、行動する従業員が増えることは組織の生産性向上につながるという考えが多数派となっているのです。
そのような背景から、最近では採用選考時においても応募者のキャリア自律性を鑑みるようになっています。その一例として、提出されたESや面接では、書き言葉や話し言葉の遣い方や基本的なビジネスマナーの習熟度などをチェックしていることが多いものです。
昨日もお伝えしたように、新卒者を採用した企業のほとんどは、入社後の新入社員研修で、自社の理念や事業の理解、求められる(期待されている)社員像、業務遂行の在り方、社内ルールやホウレンソウなど、職務に当たる事前教養に関わるレクチャーを受けることになるでしょう。同時に、ビジネスマナーについても外部の専門家を招聘して実施されることが多いものです。
だから入社後に学べばいい、と考えてしまうと就活では大きな壁や穴を自ら作ってしまう行為につながりかねないのです。
事前教養に関わる部分については、入社後にしっかり学ぶことでいいかもしれませんが、少なくとも就活時に企業研究で、ある程度は理解できていると考えられる内容を「知りません」では笑われてしまうでしょうし、スタート時点で評価を少し落としてしまうことになるかもしれません。
また、ビジネスマナーについては、学生であってもその気になれば学ぶことができるソースが豊富にある時代ですから、主体的に考え、学び、行動するといった自律性の観点から残念な評価につながるのです。
マナーや言葉遣いにフォーカスにフォーカスしましたが、本当はそれだけではありません。大切なことは、あなたが自分のキャリアについてどのような考えを持っているか、ということです。ここを出発点として“いまここ”での、姿勢、態度、振る舞い、所作、視線の動かし方、歩き方、話の癖や言葉遣いが随伴しているかどうかが、試されると考えておくといいでしょう。
就活は推し活ではありません。「御社にどうしての入りたいんです」というだけの人を企業は採用しません。人気企業では、そういう就活生は掃いて捨てるほど応募してくると言われています。大事なことは「あなたのどんな能力や資質を発揮して、自社でどういうことをしてくれるのか」ということを企業は応募者に問い、その応答内容を慎重に精査しているのです。
学生の間にキャリアデザインのフレームワークを活用したり、キャリア教育に熱心な先生に相談し指導を受けたりするといいでしょう。そうして、現時点における自分のキャリアについて、きちんと言語化できるようにしておくことをお奨めします。1、2年生頃から一定の時間をかけて自分と向き合いながら進めることで、就活準備や実際の活動で力を発揮してくれるでしょう。