企業から探すと、遠回りになる

入りたい会社から探すと、なぜ苦しくなるのか

こんにちは、あなたらしく輝ける未来を共に創造して、キャリア形成や就活の支援をおこなっている【あおラボ】です。

今週は、強みの正体を5日にわたって扱ってきた。今日が最終回になる。

扱うのは、順番の話だ。多くの学生が、まず企業を探す。業界を調べ、企業を並べ、そこから絞っていく。とても自然な流れに見える。

けれど、この順番だと、たいていどこかで苦しくなる。志望動機が書けない。面接で言葉に詰まる。内定が出ても迷う。今日は、その理由と、王道と考える順番を書いていきたい。

Chapter 17 なぜ、企業から探すと苦しくなるのか

まずは、いま多くの学生がやっている順番を確かめたい。企業を先に決めて、そこに自分を合わせていく。この形には、はっきりした弱点が4つある。この章で、順に見ていこう。

17-1 志望動機が、あとづけになる

いちばん最初に出る症状が、これだ。志望動機が書けない。

企業を先に決めると、志望動機はあとから探すことになる。会社のサイトを開いて、理念を読み、事業内容を調べ、「共感しました」と書く。ここで手が止まる学生が多い。なぜなら、本当は共感が先にあったわけではないからだ。あとづけの言葉は、書いている本人がいちばんわかっている。しかも、面接で「どこに共感したのですか」と掘られると、続かない。読んだ情報の範囲でしか答えられないからだ。土台がないまま、上に屋根を載せている状態になる。

志望動機を、探しに行かないでほしい。探しに行く時点で、順番が逆になっている。土台がないまま、屋根を載せている状態だ。それは書いている本人が、いちばん感じている。

17-2 選ぶ基準が、相手の側にある

2つ目は、基準の置き場所の問題だ。昨日も少し触れたところになる。

企業から探すと、基準はどうしても相手の側に寄る。人気があるか、有名か、待遇がいいか、受かりやすいか。どれも相手の情報であって、自分の情報ではない。この基準で進むと、選考の結果がそのまま自分の評価に感じられてしまう。落ちれば否定されたように感じ、受かれば安心する。けれど、それは相手の都合で決まっている部分が大きい。9月の連載でも書いたが、定員10人のところに200人が応募すれば、多くの人が落ちる。それだけのことだ。

基準が相手の側にないか、確かめてほしい。自分の側に基準があれば、結果に振り回されずに済む。落ちることと、価値がないことは別なのである。

17-3 入ったあとに、迷いが残る

3つ目は、就職してからの話になる。ここを想像する学生は、あまり多くない。

企業を先に決めて、そこに自分を合わせて入社したとする。しばらくすると、「本当にここでよかったのか」という気持ちが出てくることがある。合わせて入ったので、もともと自分との接点が薄いからだ。仕事が大変なときに、戻る場所がない。一方、自分の強みで選んだ人は、「この力を使いたくて来た」という原点がある。大変なときにそこへ戻れる。これは、働き始めてからの大きなちがいになる。昨日書いた、選んだ理由が支えになるという話だ。

入社してからの自分を、少し想像してみてほしい。迷ったときに戻る場所を、いま用意しておきたい。「この力を使いたくて来た」という原点があると強い。

17-4 候補が、絞れなくなる

4つ目は、実務的な問題だ。企業から探すと、候補が減らない。

世の中には膨大な数の企業がある。そこから条件で絞っても、まだ何百社と残る。しかも、どの会社のページを読んでも、書いてあることは似ている。人を大切にする、挑戦を歓迎する、成長できる。この状態で比べても、決め手が出てこない。9月の連載で、知名度で選ぶと後悔しやすいと書いたが、原因はここにもあるのだ。比べる軸を持たないまま並べているから、最後は知名度や収入で決めてしまうのだ。軸がないと、情報が増えるほど迷いも増える。

候補を増やす前に、軸を定めてほしい。軸があれば、情報が増えても迷わなくなる。軸がないと、情報が増えるほど迷いも増えていく。まず、比べるための物差しを持つべし。

Chapter 18 王道の順番は、こうなる

では、どういう順番がよいのか。答えはすでに出ている。強みが先で、企業が後だ。この章では、その順番を4つの段階に分けて示しておきたい。今月から来月にかけて、この順で進んでいくことになる。

18-1 まず、自分の強みを知る

出発点は、自分の側になる。これが、今月やっていることだ。

刀の森岡毅氏も、著書の中で同じ順番を示している。まず自分の強みを知り、それを最大限に発揮できる企業を選ぶ。決して、入りたい企業から先に探すのではない、と。これは、マーケティングの発想でもある。商品を先につくってから売り先を探すのではなく、自分という商品の特性を理解してから、それが活きる市場を選ぶ。就活も同じ構造をしている。しかも、自分の特性は、あとから都合よく変えられるものではない。だから、先に知る必要がある。

順番を、きっちり把握しておいてほしい。自分が先で、企業が後になる。自分の特性は、あとから都合よく変えられるものではない。だから、先に知る必要がある。

18-2 次に、その強みが活きる条件を言葉にする

強みがわかったら、すぐ企業を探すわけではない。あいだに1つ、工程が入る。

自分の強みが活きる条件を、言葉にする作業だ。たとえば「相手の話を引き出して整理する」という型を持っているなら、それが活きるのはどういう場面かを考える。人と直接会う機会が多い仕事。1人の相手とじっくり関われる仕事。裁量があって、自分で進め方を決められる環境。こうした条件が並ぶ。この条件が、企業を見るときの物差しになる。業界名ではなく、条件で見る。ここが、最終週に扱う内容の中心になる。

強みから、条件を導き出してほしい。条件が物差しになり、企業が比べられるようになる。業界名ではなく、条件で見る。この工程は、最終週に詳しく扱う。条件が並ぶと、探し方が変わってくる。

18-3 そのうえで、企業を探す

条件が決まって、ようやく企業を探す段階に入る。ここまで来ると、探し方が変わる。

業界で絞るのではなく、条件に合う仕事を探すことになる。この点をフォーカスして、「就社ではなく就職が重要」と機会あるたびにお伝えしている。そこで就職に意識が向くと、思ってもみなかった業界が候補に入ってくる。「自分には関係ない」と思っていた分野に、条件がぴったり合う仕事があった。こういうことが、実際によく起きる。9月の連載で、知らない企業のなかに良い会社があると書いたが、条件で探すと、その会社にたどり着ける。しかも、候補が自然と絞れる。数百社が、数十社になる。ここまで来れば、1社ずつ調べる時間も取れるはずだ。

条件に合う仕事を、探してほしい。業界名から入ると、見える範囲が狭くなってしまう。条件で探すと、思わぬ分野が候補に入ってくる。

18-4 最後に、志望動機が自然に出てくる

この順番で進むと、最後に起きることがある。志望動機を、探さなくてよくなる。

自分の強みがあり、それが活きる条件があり、その条件に合う会社を見つけた。ここまで来ていれば、志望動機はすでにできている。「私はこういう力を使って働きたい。御社はその条件が揃っている」。これが志望動機だ。あとづけで探した言葉ではないので、掘られても崩れない。なぜなら、自分の中から出てきたものだからだ。順番を守るだけで、いちばん書けないと言われる欄が、いちばん書きやすい欄に変わるのだ。

志望動機は、最後に自然に出てくるものだと考えてほしい。今は、その手前の作業に集中しよう。順番を守るだけで、いちばん書けない欄が、いちばん書きやすい欄に変わる。

Chapter 19 それでも企業を見たくなったら

とはいえ、まわりが動いていると不安になる。企業研究を始めたくなる気持ちも、よくわかる。この章では、今月のあいだ企業とどう付き合えばよいかを書いておきたい。やめる必要はない。使い方を変えるだけでいい。

19-1 見るのはいい。絞るのは、まだ早い

まず、はっきりさせておきたい。企業を見ること自体は、悪くない。

説明会に出る。ページを読む。社会人の話を聞く。こうした行動は、続けてかまわない。むしろ、材料が増えるのでよいことだ。問題は、この段階で「ここに決める」と絞ってしまうことである。軸がないまま絞ると、あとで軸ができたときに合わなくなる。そして、決めたあとだと引き返しにくい。だから、今月は見るだけにしておく。気になった会社をメモしておいて、条件が決まってから比べればいい。

19-2 企業を見た日も、材料が増える

もう1つ、うれしい効果がある。企業を見ることが、自己分析の材料にもなる。

説明会に出たとき、自分がどこに反応したかを覚えておいてほしい。ある会社の話で前のめりになった。別の会社の話は、内容は立派なのに心が動かなかった。この反応そのものが材料になる。8月の連載で、感情は価値観が反応した証拠だと書いた。まさにそれだ。だから、企業を見た日も、ノートに1行書いておく。「どこで心が動いたか」。これを集めると、自分の条件がだんだん見えてくる。

企業を見た日も、自分の反応を書いてほしい。そちらのほうが、じつは大事な情報になる。心が動いた場所と、動かなかった場所。どちらも材料になる。

19-3 まわりの進み具合は、気にしなくていい

秋になると、まわりの話が耳に入ってくる。「もう10社エントリーした」「あの子は面接まで進んだ」。

焦る気持ちはよくわかる。ただ、数の多さと、準備の深さは別のものだ。軸がないまま数を増やした人は、冬になってESを書くときに、また最初から考えることになる。今月しっかり掘った人は、そのときに一気に進める。どちらが早いかは、冬になればはっきりする。しかも、焦って動いた時期の記憶は、あまり残らない。急いで通り過ぎた場所のことを、人は覚えていないものだ。

まわりの数を、気にしないでほしい。今は、自分の土台をつくる時期だと決めておこう。数の多さと、準備の深さは別のものだ。どちらが早いかは、冬になればはっきりする。

19-4 今週の内容を、1枚にまとめておく

最後に、今週のふり返りをしておきたい。5日分の内容が、1つにつながっている。

月曜に、できることと強みはちがうと書いた。火曜に、スキルは消えるがコンピテンシーは残ると書いた。水曜に、3つの円で自分を捉える図を紹介した。木曜に、キャリアの成功は強みからしか生まれないと書いた。そして今日、企業から探すと遠回りになると書いた。全部を1行にすると、こうなる。「持ち運べる自分の型を先に知り、それが活きる場所を選ぶ」。今週の話は、これに尽きる。

今週の内容を、1行でメモしておいてほしい。1行にしておくと、迷ったときに戻れる。5日分の話が、この1行に収まっている。ノートの表紙の裏にでも、書いておこう。迷ったときに開く場所を、決めておきたい。

Chapter 20 来週から、手を動かす週に入る

今週は考え方の週だった。来週は、実際に書き出す週になる。この章では、週末の過ごし方と、来週の内容をお伝えしておきたい。

20-1 今週の材料を、数えておく

まず、今週の成果を確認しておきたい。月曜から1日4つを目安にしてきた。

5日分で20個が目安になる。数えてみてほしい。届いていれば十分だ。届いていなくても、10個あれば来週は始められる。ここで大事なのは、数よりも書き方のほうである。左に場面、右に自分がしたことを動詞で、そして3行目に「そのとき、どう動いたか」。この形になっているかを確かめてほしい。特に、動詞で書けているかどうかが、来週の作業を左右する。

動詞で書けているかを、確かめてほしい。ここが、来週の土台になる。数が足りなくても、10個あれば来週は始められる。大事なのは、数より書き方のほうだ。書けていない項目があれば、今日のうちに直しておこう。

20-2 週末に、30分の見返しを

昨日もお伝えしたが、もう一度書いておきたい。週末に30分、読み返す時間を取ってほしい。

やることは、今週書いたものを最初から読むだけだ。書き足さなくていい。読みながら、気になったところに印をつける。「同じような場面が多いな」「この言葉、何度も出てくるな」。こうした気づきが出てくれば、それが来週の入口になる。9月の連載で扱った、点を線にする作業と同じである。読み返さずに来週を迎えると、材料はただの断片のまま残ってしまう。

土曜か日曜に、30分だけ取ってほしい。先に予定として決めておくと、実行できる。読み返さずに来週を迎えると、材料は断片のまま残ってしまう。点を、線にしておきたい。読むだけで、見えてくるものがある。

20-3 来週は、書き出す週になる

来週の内容を、先にお伝えしておきたい。いよいよ、今月の山場に入る。

扱うのは、自分の好きなことを動詞で50個書き出す方法だ。50個と聞くと多く感じると思う。けれど、書き方のコツがあり、それを知っていれば出せる。月曜から金曜まで、書き出し方、行き詰まったときの対処、うまくいった経験からの拾い方を、順に扱っていく。この50個が、その次の週の分析の材料になる。今月のすべてが、ここにかかっていると言っていい。

来週は、手を動かす週になる。ノートと、10分の時間を用意しておいてほしい。50個と聞くと多く感じるが、書き方のコツがある。それを知っていれば、必ず出せる。この50個が、その次の週の材料になる。今月のすべてが、ここにかかっている。

20-4 月曜は祝日になる

最後に、1つお知らせがある。来週の月曜、10月12日はスポーツの日で祝日にあたる。

授業のない日だろう。これは、むしろ好都合だと思っている。50個を書き出すには、まとまった時間があったほうがいい。その日に、書き出し方の記事をお届けする。朝でも昼でも、30分から1時間ほど取れるなら、一気に進められるはずだ。もちろん、予定がある人は無理をしなくていい。いつもどおり10分ずつ進めても、5日あれば十分に届く。大事なのは、始めることのほうだ。

祝日の時間を、少しだけ使ってみてほしい。まとまった時間があると、思いのほか進む。予定がある人は、無理をしなくていい。いつもどおり10分ずつでも、5日あれば届く。大事なのは、始めることのほうだ。

今日のまとめ

企業から先に探すと、4つの問題が出る。志望動機があとづけになる。選ぶ基準が相手の側に寄る。入社後に迷いが残る。そして、候補が絞れなくなる。

王道の順番は、逆になる。まず自分の強みを知る。次に、その強みが活きる条件を言葉にする。そのうえで、条件に合う仕事を探す。すると最後に、志望動機が自然に出てくる。

この順番だと、志望動機を探さなくてよくなる。自分の中から出てきた言葉なので、掘られても崩れない。いちばん書けない欄が、いちばん書きやすい欄に変わる。

とはいえ、企業を見ること自体はやめなくていい。今月は、見るだけにしておく。そして企業を見た日は、自分がどこで心が動いたかを1行書いておく。その反応が、条件を見つける材料になる。

今週の5日間を、1行にまとめるとこうなる。「持ち運べる自分の型を先に知り、それが活きる場所を選ぶ」。迷ったら、ここに戻ってほしい。

来週は、今月の山場になる。好きなことを動詞で50個書き出す。月曜は祝日なので、まとまった時間が取りやすいはずだ。月曜日に、またお会いできることを楽しみにしています。

自分という商品の特性を知ってから市場を選ぶ。その順番がいちばん確かだと、あおラボは信じている。あなたの挑戦を、いつも全力で応援している。

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