何を聞くかで、30分の価値が決まる

30分を、どう使いきるか

こんにちは、あなたらしく輝ける未来を共に創造して、キャリア形成や就活の支援をおこなっている【あおラボ】です。

一昨日は、なぜ人に会うと情報の質が変わるのかを見た。昨日は、依頼の仕方と当日までの段取りを扱った。

そして今日は、いよいよ本番の話だ。実際に会ってから、何を聞き、どう振る舞い、どう持ち帰るか。

30分という時間は、思っているより短い。そして、その30分の価値は、質問の質でほぼ決まる。今日は、そこを具体的に見ていく。第2週の最終回になる。

Chapter 9 質問の質が、収穫を決める

同じ相手に、同じ30分もらっても、持ち帰る量には大きな差が出る。差をつくるのは、質問だ。この章では、避けるべき質問と、良い質問の条件を確かめておこう。

9-1 調べればわかることは、聞かない

まず、いちばん避けたいのがこれだ。ホームページに書いてあることを、そのまま聞いてしまうこと。

「御社の事業内容を教えてください」「新卒の採用人数は何人ですか」。こうした質問をすると、相手はがっかりする。調べてきていない、と受け取られるからだ。しかも、貴重な時間を、調べればわかることに使ってしまう。これは、両方にとって損だ。逆に、下調べをしたうえで「サイトで〇〇と拝見しましたが、実際はどうですか」と聞けば、相手の姿勢が変わる。準備してきた学生には、相手も本気で応えてくれる。

会う前に、その会社のサイトは1通り読んでおいてほしい。30分で十分だ。この30分が、本番の30分を守ってくれる。準備してきたことは、質問の中身に必ず出る。

9-2 「はい・いいえ」で終わる質問を避ける

2つ目の落とし穴は、答えが一言で終わってしまう質問だ。

「残業は多いですか」「風通しはいいですか」。こう聞くと、「まあ、そこそこです」で終わってしまう。会話が続かず、こちらも次に困る。同じことを聞くなら、開いた形にする。「先週は、だいたい何時ごろに退社されましたか」「意見が分かれたとき、どんなふうに決まっていきますか」。具体的な場面を聞くと、相手も答えやすく、こちらも情報が増える。質問の形を変えるだけで、返ってくる量が何倍にもなる。

質問を書いたら、「一言で答えられないか」を確かめてほしい。答えられるなら、場面を聞く形に変えよう。「どうですか」ではなく「どんなときですか」。この置きかえだけで効く。

9-3 自分の前提を、先に置く

一昨日も少し触れたが、質問には自分の状況を添えるといい。これだけで、答えの中身が変わる。

「人と話す仕事に関心があるのですが」「体力にはあまり自信がないのですが」。こうした前提を先に置くと、相手はあなたに合わせて答えてくれる。前提がないと、誰にでも当てはまる一般論が返ってきてしまう。そして、一般論は、ネットにも書いてある。せっかく会っているのだから、あなたのために答えてもらったほうがいい。恥ずかしがらず、自分の状況を開示することだ。

質問の頭に、「私は〇〇なのですが」を足してみてほしい。一言足すだけで、答えの精度が上がる。しかも、あなたのことを知ってもらう機会にもなる。相手も、そのほうが話しやすい。

9-4 用意した質問に、しばられない

準備は大切だ。ただ、用意したリストを消化することが目的になると、かえって収穫が減る。

面白いのは、たいてい会話の途中で出てくる話だ。相手が少し身を乗り出した話題、思い出したように語り始めた話。そこには、準備した質問より深い情報が入っていることが多い。そういうときは、リストを離れて、その話を追いかけてほしい。「今の話、もう少し聞かせてもらえますか」。これで十分だ。質問リストは、道に迷わないための地図であって、線路ではない。外れてもいい。

用意した質問は、半分使えれば十分だと考えてほしい。残りの半分は、その場の話を追いかけるために空けておこう。消化しきることが、目的ではない。予定外の話ほど、後で効いてくることが多い。

Chapter 10 聞くべき、4つの問い

では、具体的に何を聞くか。この章では、どんな相手にも使える4つの問いを紹介する。この4つを押さえておけば、30分は十分に持つ。そのまま使ってもらって構わない。

10-1 1つ目、「1日の流れを教えてください」

最初に聞いてほしいのが、これだ。「差し支えなければ、昨日1日の流れを教えていただけますか」。

なぜこの質問がいいのか。理由は3つある。1つは、答えやすいこと。事実を思い出すだけなので、相手が身構えない。2つ目は、仕事の実態が具体的に見えること。何時に出社し、誰と話し、何に時間を使っているか。3つ目は、あなたが「自分だったら」を想像しやすくなることだ。抽象的な事業説明より、1日の流れのほうが、はるかに現実味がある。最初の1問として、これ以上のものはない。

最初の質問は、「昨日1日の流れ」にしてほしい。相手も答えやすく、会話が自然に温まっていく。緊張していても、この1問なら口に出せるはずだ。最初さえ越えれば、あとは流れていく。

10-2 2つ目、「手ごたえを感じた瞬間は」

2つ目は、仕事の喜びを聞く問いだ。「これまでで、いちばん手ごたえを感じたのは、どんなときでしたか」。

この質問には、2つの効果がある。1つは、相手が気持ちよく話せること。うれしかった記憶を語るのは、誰にとっても心地よい。もう1つは、その仕事の本質が見えることだ。人は、いちばん大事にしているものが満たされたときに、手ごたえを感じる。だから、この答えを聞けば、その仕事が何によって成り立っているかがわかる。しかも、あなた自身が同じことに喜びを感じるかどうかも、確かめられる。

「手ごたえを感じた瞬間」を、必ず聞いてほしい。その答えに、あなたの心が動くかどうかを、静かに確かめよう。動かなければ、それも大事な情報になる。

10-3 3つ目、「正直、大変なことは何ですか」

3つ目は、少し勇気がいる質問だ。でも、これを聞かないと、判断を誤る。

「差し支えなければ、正直に大変だと感じることも、うかがえますか」。この聞き方なら、失礼にはならない。「正直」という言葉を添えるのがコツだ。返ってきた答えは、そのまま入社後のあなたが向き合うものになる。しかも、大事なのは中身より、「その大変さを、自分は引き受けられそうか」である。楽しい話だけを聞いて決めると、後で必ずずれが出る。両面を聞いて、初めて判断できるようになる。

良い面と大変な面を、必ずセットで聞いてほしい。片側だけの情報で決めるのが、いちばん危うい。正直に話してくれた相手は、信頼していい相手でもある。良いことしか言わない場合は、少し注意したい。

10-4 4つ目、「どんな人が活躍していますか」

4つ目は、あなた自身との相性を確かめる問いだ。「この会社では、どんな方が活躍されている印象ですか」。

この質問には、2つの情報が含まれている。1つは、その組織が何を評価しているか。数字を出す人か、人をつなぐ人か、粘り強く続ける人か。ここには、文化がそのまま出る。もう1つは、あなたが「自分もそこに近づけそうか」を考える材料になることだ。先月の連載で扱った「社風との相性」を、いちばん直接的に確かめられる質問でもある。優劣ではなく、合うかどうかの話として聞いてほしい。

「どんな人が活躍しているか」を聞いて、自分と重ねてみてほしい。近いと感じるか、遠いと感じるか。それが、大事な情報になる。遠いと感じても、落ちこむ必要はまったくない。

Chapter 11 会話中の、振る舞い

質問を用意しても、当日の振る舞いで台無しになることがある。この章では、話を聞いている最中に気をつけたいことを、4つ紹介する。どれも、意識するだけでできることだ。

11-1 メモは取る、でも下ばかり向かない

メモを取るのは、良いことだ。真剣さが伝わるし、後で役に立つ。ただ、やりすぎには注意がいる。

書くことに集中しすぎると、ずっと下を向くことになる。相手からすると、反応が見えないので、話しにくい。そして、話しにくい相手には、深い話をしてくれない。だから、書くのは要点だけにして、顔を上げる時間をつくる。目安は、話を聞いている時間の8割は相手を見て、2割で書く。全部書き取ろうとせず、単語だけ残す。細かい部分は、帰り道の十分で補えばいい。

メモは単語だけにして、顔を上げる時間を増やしてほしい。聞く姿勢のほうが、結果的に多くを引き出す。書くのは、帰り道でいくらでもできる。その場でしかできないのは、聞くことのほうだ。

11-2 「なるほど」より、もう一段掘る

学生の相づちで、いちばん多いのが「なるほど」だ。悪くはないが、これで終わると、話がそこで止まる。

一段掘る言葉を、いくつか持っておくといい。「それは、どういう場面でしたか」「そのとき、どう思われましたか」「もう少し詳しくうかがえますか」。この3つがあれば十分だ。掘られると、相手はもう一歩深いところを話してくれる。しかも、掘る学生は「ちゃんと聞いている」と伝わるので、印象もよくなる。先月扱った「なぜを掘る」と、同じ考え方が、会話でも使える。

相づちの後に、掘る一言を足してみてほしい。3つ覚えておけば、どんな話にも対応できる。難しい言葉は、いっさい必要ない。短い一言のほうが、かえって効く。慣れるまでは、1つだけ使えれば十分だ。

11-3 沈黙を、こわがらない

会話が途切れると、多くの学生はあせる。何か話さなければ、と焦って、次の質問を急いでしまう。

でも、沈黙は悪いものではない。相手が考えている時間かもしれないからだ。ここで待てるかどうかで、返ってくる答えの深さが変わる。急かされた相手は、無難な答えを返す。待ってもらえた相手は、本音に近いところを探して答えてくれる。だから、3秒は待つ。先月の面接の回でも書いたが、沈黙をこわがらない姿勢は、そのまま聞く力になる。

相手が黙ったら、3秒だけ待ってみてほしい。その3秒の先に、いちばん聞きたかった言葉があることが多い。待つことも、聞く技術のひとつだ。話すより、待つほうが難しい。だからこそ、練習する価値がある。心の中で、3つ数えればいい。

11-4 時間は、こちらから終わらせる

最後は、終わり方の話だ。ここは、意外と印象を左右する。

30分と約束したなら、25分を過ぎたあたりで、こちらから区切る。「そろそろお時間ですので、最後に1つだけよろしいでしょうか」。この一言があると、相手は「時間を守る学生だ」と感じる。逆に、こちらが延々と続けると、相手は切り出しにくくなる。もし相手が「まだ大丈夫ですよ」と言ってくれたら、そのときは続ければいい。判断を相手に渡す形が、いちばんていねいだ。

約束の5分前に、こちらから区切ってほしい。この一手間が、次につながる関係をつくる。名残惜しいくらいで終わるのが、ちょうどいい。次に会う口実にも、なってくれる。時間を守る姿勢は、必ず伝わる。細部にこそ、人柄は出る。

Chapter 12 持ち帰った話を、どう使うか

会って終わり、では先週と同じ失敗になる。この章では、聞いた話をどう整理し、次にどうつなげるかを扱う。そして最後に、この3日間をまとめておきたい。

12-1 帰り道に、3つだけ書く

先週も書いたが、記録は帰り道の10分で書く。ここでは、人に会った場合に何を書くかを、具体的に示しておく。

書くのは3つだ。1つ目は、印象に残った言葉。できるだけ、相手が言ったとおりの言い回しで残す。2つ目は、そのときの相手の様子。「この話をするとき、いちばん早口だった」。3つ目は、自分がどう感じたか。「自分もこういう場面に立ち会いたいと思った」。この3つがあれば、半年後に読み返しても、その場が立ち上がってくる。多く書く必要はない。3つで十分だ。

会った帰り道に、言葉・様子・自分の感情の3つを書いてほしい。10分で終わる。それが、生きた材料になる。細かく書こうとせず、3つに絞るのがコツだ。絞るほど、続けやすくなる。

12-2 「聞けなかったこと」も、記録する

もう1つ、書き残してほしいものがある。聞こうと思っていたのに、聞けなかったことだ。

時間が足りなかった。流れが変わって聞きそびれた。緊張して飛んでしまった。理由は何でもいい。それを書いておくと、次に会うときの質問リストになる。しかも、何を聞き逃したかを見ていくと、自分の癖が見えてくる。「自分は、いつも大変なことを聞きそびれるな」。この気づきは、次の準備に直接効く。聞けたことと同じくらい、聞けなかったことにも価値がある。

「聞けなかったこと」を、その日のうちに書いてほしい。それが、そのまま次の一歩になる。心残りは、記録に変えてしまえばいい。次の機会に、必ず生きてくる。悔しさは、材料に変えてしまおう。

12-3 2人目の質問に、反映させる

1人目に会ったら、その経験を2人目に生かす。ここまでやって、1回が完全に生きてくる。

具体的には、2つある。1つは、聞けなかった質問を、次の相手にぶつけること。もう1つは、1人目の話を材料にして聞くことだ。「別の方から〇〇とうかがったのですが、〇〇さんはどう感じておられますか」。この聞き方をすると、比較の情報が手に入る。一昨日書いた「3人目から見え方が変わる」というのは、こういう積み重ねのことだ。1回ずつ、精度が上がっていく。

2人目に会うときは、1人目の話を持って行ってほしい。比べて聞くと、情報の質が一段上がる。回を重ねるほど、質問は鋭くなっていく。最初がうまくいかなくても、心配はいらない。誰でも、1人目はぎこちないものだ。

12-4 3日間を、つなぎ直す

今週も、これで最終回だ。3日分を、1本につないでおきたい。

初日は、なぜ人に会うのかを見た。公開情報は全員向けなので、あなたの疑問には答えてくれない、という話だった。2日目は、どう約束を取るか。5つの要素だけで依頼文は書ける、という実務だった。そして今日、何を聞き、どう持ち帰るかを扱った。会う理由、会う手順、会ってからの技術。この3つがそろって、初めて「社会人に会いに行く」が完成する。どれか1つ抜けると、途中で止まってしまう。

3日分を通して読み返し、今月中に1人、会いに行ってほしい。読んだだけでは、何も変わらない。1人会えば、2人目はずっと楽になる。いちばん重いのは、最初の1人だけだ。そこさえ越えれば、道は開けていく。

今日のまとめ

30分の価値は、質問の質でほぼ決まる。まず、調べればわかることは聞かない。会う前に、サイトを30分読んでおく。この30分が、本番の30分を守ってくれる。

「はい・いいえ」で終わる質問は、場面を聞く形に変える。そして、質問の頭に「私は〇〇なのですが」と自分の前提を置く。それだけで、答えがあなた向けになる。

聞くべき問いは、4つ。「昨日1日の流れ」「いちばん手ごたえを感じた瞬間」「正直、大変なこと」「どんな人が活躍しているか」。この4つで、30分は十分に持つ。良い面と大変な面は、必ずセットで聞いてほしい。

会話中は、メモを単語だけにして顔を上げる。「なるほど」の後に、掘る一言を足す。沈黙は3秒待つ。そして、約束の5分前に、こちらから区切る。

持ち帰るのは3つ。印象に残った言葉、相手の様子、自分の感情。そして「聞けなかったこと」も書いておく。それが、次の質問リストになる。

1人目の話は、2人目に持って行く。比べて聞くと、情報の質が一段上がる。3人目から、見え方が変わってくる。

来週は、テーマが変わる。「秋冬インターンを、選ぶ」だ。インターンの目的をはき違えないこと、知名度ではない選び方、そして参加中と参加後に差がつくこと。3年生には直近の、2年生には来年の話になる。火曜日に、またお会いできることを楽しみにしています。

聞き方を変えれば、同じ30分から持ち帰るものが変わると、あおラボは信じている。あなたの挑戦を、いつも全力で応援している。

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