目標を立てたのに、動けない理由
こんにちは、あなたらしく輝ける未来を共に創造して、キャリア形成や就活の支援をおこなっている【あおラボ】です。
昨日は、目標設定の4視点を紹介した。四つのマスは、埋まっただろうか。粗くてもいいので、書いてあれば十分だ。
ただ、目標は、書いただけでは動かない。ここが、多くの人がつまずくところだ。
目標設定というと、「期限を決めて、数値化する」と教わる。それは正しい。でも、それだけでは足りない。じつは、もっと大事なものがある。「なんのため」という動機の中身、その解像度だ。今日は、そこを一緒に見ていく。
Chapter 13 期限と数値だけでは、続かない
「いつまでに、どれだけ」。目標設定の基本として、必ず出てくる考え方だ。私も、これ自体は正しいと思っている。ただ、これだけを頼りにすると、途中で止まる。この章では、その理由を、やる気の仕組みから見ていこう。
13-1 「期限と数値化」は、正しいが足りない
目標の立て方を調べると、まずこう出てくる。「期限を決めなさい」「数値で書きなさい」。たしかに、これは有効だ。昨日の視点1でも、日付を入れてもらった。
ただ、この2つだけでは、目標は動き出さない。期限と数値は、目標の「形」を整えるものであって、動かす力ではないからだ。車でいえば、行き先と到着時刻を決めただけの状態に近い。行き先が決まっていても、燃料がなければ、車は1メートルも進まない。多くの人は、形を整えたところで満足してしまい、燃料のほうを積み忘れる。だから、動けない。
自分の目標を見て、「形は整っているが、燃料はあるか」と確かめてほしい。燃料にあたるのが、これから話す「なんのため」だ。形を整えるより、こちらのほうが時間はかかる。
13-2 やる気には、3つの種類がある
そもそも、人はどんなときに動くのだろう。研究の世界では、やる気を3つの段階に分けて考えることがある。むずかしい話ではないので、少しだけ紹介したい。
1つ目は、生きるために動く力。お腹がすいたから食べる、といったものだ。2つ目は、ごほうびと罰で動く力。褒められるから、叱られたくないから動く。3つ目が、自分の内側から出てくる力だ。面白いから、意味があると思うから、自分がそうしたいから動く。この3つ目を「内発的動機」と呼ぶ。順に1.0、2.0、3.0と呼ばれることもある。
自分が今、どの力で動いているかを、一度考えてみてほしい。3つのうちのどれかで、続けやすさは、まるでちがってくる。どれが偉い、という話ではない。ただ、持ちの良さがちがう。
13-3 ごほうびで動くと、ごほうびがないと動けない
2つ目の「ごほうびと罰」は、じつは、かなり効く。短期的には、いちばん手っ取り早い。
問題は、その後だ。ごほうびで動くくせがつくと、ごほうびがない場面で、動けなくなる。「褒められないなら、やらない」「怒られないなら、やらない」。就活でいえば、「親に言われたから」「まわりが始めたから」で動いている状態がこれにあたる。この動き方は、順調なうちは回る。でも、うまくいかない時期に入ると、ぱたりと止まる。外側から与えられていたものが、切れてしまうからだ。
自分の行動の理由が、外側にばかりないか、確かめてほしい。外からの理由が悪いわけではない。ただ、それだけだと、続かない。きっかけは外からでいい。理由を、内側にも足しておこう。
13-4 内側から出る力は、減らない
3つ目の内発的動機には、大きな特徴がある。使っても減らない、ということだ。
「自分は、こういうことがしたい」「これは、自分にとって意味がある」。この理由で動いている人は、褒められなくても続けられる。誰も見ていなくても、手を止めない。しかも、やればやるほど、その理由は太くなっていく。ごほうびは、もらうたびに効き目が薄れる。でも、内側の理由は、行動するほど確かになる。この差が、半年、1年と続くうちに、とんでもない開きになる。だから、内側の理由を持つ人は強いのだ。
自分の目標に、「自分の内側から出た理由」がついているか、確かめてほしい。ついていなければ、これから足せばいい。今日は、そのための日だ。理由は、後からでも足せる。

Chapter 14 「なんのため」の解像度とは
内発的動機が大事だ、という話は、よく聞くと思う。でも、そこで終わってしまうと、実際には使えない。大事なのは、その動機がどれだけはっきり見えているか。つまり解像度だ。この章では、その意味を具体的にしていく。
14-1 解像度とは、どれだけ細かく見えているか
解像度という言葉を、写真で考えてみるとわかりやすい。同じ景色を撮っても、粗い写真と、細かい写真がある。
粗い写真は、何が写っているかはわかるが、細部が見えない。人がいることはわかるが、表情まではわからない。動機も、これと同じだ。「人の役に立ちたい」は、粗い写真である。誰の、どんな場面で、どう役に立つのかが見えていない。一方で、「就職で悩んでいる後輩が、話した後に少し表情が明るくなる。あの瞬間に立ち会いたい」は、細かい写真だ。同じ内容でも、見えている情報量がまるでちがう。
自分の動機を、写真にたとえてみてほしい。粗いか、細かいか。粗いと感じたら、それを細かくしていくのが、今日の作業になる。中身を変えるのではなく、細かくするだけでいい。
14-2 ぼやけた動機は、行動を生まない
なぜ、解像度が大事なのか。理由は、はっきりしている。ぼやけた動機からは、次の行動が出てこないからだ。
「社会に貢献したい」と思っても、明日何をすればいいかは、わからない。行動につながらない。でも、「地元の小さな会社が、後継者不足で困っている。そこを支える仕事がしたい」まで見えていれば、次の行動が出てくる。地元企業の記事を読む、実際に1社訪ねてみる、その分野の資格を調べる。動機が細かくなると、行動は自然に出てくるのだ。動けない原因は、意志の弱さではなく、動機のぼやけにあることが多い。
「やる気が出ない」と感じたら、自分を責める前に、動機の解像度を疑ってほしい。ぼやけているだけかもしれない。性格の問題にすると、直しようがなくなってしまう。
14-3 解像度が上がると、選択が変わる
解像度が上がると、行動だけでなく、選び方も変わってくる。ここが、じつは大きい。
たとえば、「安定した会社に入りたい」だけの人は、企業を規模や知名度で選ぶ。でも、「人が育つ場面に関わりたい」まで見えている人は、規模ではなく、その会社の育成の仕組みを見る。同じ説明会に出ても、聞く質問がちがってくる。この差は、そのまま志望動機の説得力になる。しかも、選び方が変われば、入る会社が変わる。入る会社が変われば、人生が変わる。解像度は、それくらい先まで効いてくる。
説明会や企業研究の前に、自分の動機を読み返してほしい。動機がはっきりしているほど、その場で見えるものが、増えていく。同じ1時間でも、持ち帰る量がちがってくる。
14-4 目安は、「誰の、どんな顔が見えるか」
解像度が十分かどうかを、簡単に確かめる方法がある。私がよく使う目安だ。
それは、「誰の、どんな顔が見えるか」である。あなたの目標が実現したとき、誰かの表情が思いうかぶだろうか。ほっとした顔、笑っている顔、少し驚いた顔。具体的な人の、具体的な表情まで浮かぶなら、解像度は十分だ。逆に、「社会が良くなる」「みんなが喜ぶ」で止まっていて、誰の顔も浮かばないなら、まだ粗い。人の顔が浮かぶ動機は、疲れたときにも思い出せる。抽象的な言葉は、思い出せない。
自分の目標を読んで、誰かの顔が浮かぶか、確かめてみてほしい。浮かばなければ、もう少し具体的にしていこう。実在の人でも、これから出会う誰かでも、かまわない。顔が浮かぶまで、粘る価値がある。
Chapter 15 動機の解像度を上げる、四つの方法
では、実際にどうやって解像度を上げるのか。この章では、4つの具体的な方法を紹介する。どれも、今週のうちに試せるものだ。1つでいいので、実際に手を動かしてみてほしい。
15-1 「なぜ」を5回、掘り下げる
いちばん基本になる方法だ。自分の目標に、「なぜ」を5回ぶつけていく。
やり方は簡単だ。「〇〇社に入りたい」→なぜ?→「人と関わる仕事がしたいから」→なぜ?→「人が変わる瞬間を見るのが好きだから」→なぜ?→「自分も、誰かのおかげで変われた経験があるから」→なぜ?→「あのとき、話を聞いてくれた先生がいたから」→なぜ?→「今度は、自分がその役をやりたいから」。5回掘ると、表面の答えから、自分の原点にたどりつく。ここまで来ると、動機はもう借りものではない。
ノートに、目標を書いて、その下に「なぜ」を5回書き下ろしてみてほしい。10分もかからない。でも、5段目に出てくる言葉は、驚くほど自分らしい。途中で止まったら、そこから先が伸びしろだ。
15-2 達成した日の情景を、一場面書く
2つ目は、未来の場面を書く方法だ。頭の中の映像を、言葉にして固定する。
目標が実現した日を想像して、その一場面を書く。「入社3年目の秋。担当した企業の採用がうまくいって、担当者から電話で礼を言われている。窓の外はもう暗い。少し疲れているけれど、席に戻る足が軽い」。こういう具合に、時間、場所、天気、まわりの人、自分の気持ちまで書く。書けるほど、その未来は自分の中で現実味を帯びる。そして、現実味のある未来は、日々の行動を引っぱる力を持つ。
今日、5分だけとって、達成した日の一場面を書いてみてほしい。細かいほどいい。書けない部分があれば、そこが、まだ見えていない部分だ。小説を書くつもりで、気楽にやろう。
15-3 その動機を、人に話してみる
3つ目は、少し勇気がいる方法だ。書いた動機を、誰かに話してみる。
話すと、2つのことが起きる。1つは、相手に伝えようとする過程で、自分の中の言葉が整理されること。もう1つは、話しながら「自分でも、あまりピンときていないな」と気づくことだ。この気づきが、とても大切になる。頭の中では通っていた理屈が、口に出すと通らない。そこが、解像度の足りない場所だ。相手の反応より、話している自分の感覚のほうに、注目してほしい。
信頼できる人を一人選んで、自分の動機を話してみてほしい。うまく話せなくていい。詰まった場所が、次に掘るところになる。相手は、否定しない人を選ぶといい。まだ育っている途中だからだ。批評より、聞いてもらうことが目的だ。
15-4 現場を、一度見に行く
4つ目は、いちばん効く方法だ。想像だけで解像度を上げるには、限界がある。だから、実際に見に行く。
「人が育つ場面に関わりたい」と思っているなら、その現場を見に行く。塾でアルバイトをする。企業の研修担当者に話を聞く。学童保育のボランティアに参加する。一度でも現場を見ると、想像だけだったものが、具体的な景色に変わる。そして、「思っていたのとちがう」と気づくこともある。それも、大きな収穫だ。動機は、机の上だけでは育たない。現場に触れることで、はっきりしていく。
この夏か秋のうちに、自分の動機に近い現場へ、一度だけ足を運んでみてほしい。半日でいい。想像と現実の差が、あなたの解像度を上げる。しかも、この経験は、そのまま面接で語れる材料になる。

Chapter 16 その動機が、本物かどうか
解像度を上げたら、最後に確かめておきたいことがある。その動機が、本当に自分のものかどうかだ。この章では、簡単な2つの確認方法と、私がこの考え方を学んだ背景について書いておきたい。
16-1 疲れた日に、思い出せるか
1つ目の確認方法は、とても現実的だ。「疲れた日に、その動機を思い出せるか」である。
元気なときは、どんな目標でも輝いて見える。差が出るのは、疲れているときだ。眠くて、うまくいかなくて、何もしたくない日。そういう日に、ふっと思い出せる動機は、本物である。逆に、疲れた日にまったく浮かばないなら、その言葉は、まだ自分の奥まで入っていない。もっと具体的にするか、そもそも中身を見直したほうがいい。動機の強さは、調子のいい日ではなく、悪い日に試される。
疲れた日の夜に、自分の動機を思い出せるか、試してみてほしい。思い出せたら、それは本物に近い。浮かばなければ、書き直す合図だ。落ちこむ必要は、まったくない。試したこと自体が、一歩前進だ。
16-2 誰にも見られなくても、やるか
2つ目の確認方法は、こうだ。「誰にも見られていなくても、それをやるか」。
人は、見られていると、けっこう頑張れる。でも、それは外からの力で動いている状態でもある。誰も見ていない部屋で、記録もつけず、報告もしない。それでも手が動くなら、その動機は内側から来ている。就活でいえば、「エントリーシートの締め切りがないのに、自己分析を進められるか」といった場面だ。ここで動ける人は、そう多くない。だからこそ、動ける人は、確実に差をつけていく。
誰にも言わずに、1つだけ小さく続けてみてほしい。1週間続いたら、それは本物の動機に支えられている証拠だ。続かなければ、動機のほうを、もう1段掘ればいい。意志ではなく、理由を疑うのがコツだ。
16-3 この考え方を、私はどこで学んだか
ここまで話してきた考え方は、私が独自に思いついたものではない。出典を、はっきり書いておきたい。
30代後半の頃、原田隆史先生のメソッドを学ぶ機会があった。原田先生の方法は、多くの経営者やアスリートが取り入れ、確かな結果を出してきたことで知られている。近年では、メジャーリーグで活躍する大谷翔平選手が、学生時代にこのメソッドを真摯に取り組んでいたことが、広く伝えられている。今連載でお伝えしているノウハウは、私が自分なりに解釈し直して使ってきたものだ。だから、この4視点も、「なんのため」に比重をおくのも、私のオリジナルではなく、学んだものの上に立っている。
良い方法は、素直に真似して、使い直せばいい。この姿勢自体も、覚えておいてほしい。学ぶことは、恥ずかしいことではない、と思っているがどうだろうか。
16-4 動機は、見つけるものではなく育てるもの
最後に、いちばん誤解されやすいところを書いておく。多くの人は、動機を「見つけるもの」だと思っている。
でも、そうではない。動機は、育てるものだ。最初は、ぼんやりした1行でいい。そこに「なぜ」を掘り、情景を足し、人に話し、現場を見る。そのたびに、少しずつ濃くなっていく。3か月前に書いた自分の言葉を読んで、「ずいぶん薄いな」と感じたら、それは育っている証拠だ。だから、今日の時点で頼りなくても、まったく問題ない。書き始めた人だけが、育てられる。見つからないと嘆く前に、育て始めてほしい。
今日書いた動機を、3ヶ月か月後にもう一度読み返す予定を、カレンダーに入れてほしい。育っているかどうかは、そのとき確かめればいい。
今日のまとめ
「期限を決めて数値化する」は正しい。でも、それだけでは足りない。期限と数値は目標の形を整えるもので、動かす力ではないからだ。
動かす力は、「なんのため」という動機のほうにある。しかも、外から与えられたごほうびや罰で動くくせがつくと、それがない場面で止まってしまう。内側から出た理由は、使っても減らない。
そして、大事なのは動機の有無ではなく、解像度だ。「人の役に立ちたい」は粗い写真。「誰の、どんな顔が見えるか」まで細かくなって、初めて行動につながる。
解像度を上げる方法は、4つある。「なぜ」を5回掘る。達成した日の情景を一場面書く。人に話してみる。そして、現場を一度見に行く。想像だけでは、限界がある。
本物かどうかの確認は、簡単だ。疲れた日に思い出せるか。誰にも見られなくても、やるか。この2つを通れば、その動機は、あなたを長く支えてくれる。
明日はいよいよ最終回。ここまで立ててきた目標を、毎日の行動につなげる話をする。長期の目標と、今日という1日を結ぶのが、リフレクションという習慣だ。一緒に見ていこう。
動機は、見つけるものではなく育てるものだと、あおラボは信じている。あなたの挑戦を、いつも全力で応援している。