リーダーシップは役職ではない――人とつながる力

「リーダー経験がない」は、弱みではない

こんにちは、あなたらしく輝ける未来を共に創造して、キャリア形成や就活の支援をおこなっている【あおラボ】です。

昨日は、8要素の3つ目「思考力」を見てきた。地頭ではなく型と回数で伸びる技術だ、という話だった。

今日は、内側の力の最後、4つ目の「人間関係構築力・リーダーシップ」だ。この二つを並べると、こう感じる人がいるかもしれない。「自分は部長でもキャプテンでもないし、語れる話がない」。

でも、そこが最大の誤解だ。企業が見ているリーダーシップは、役職や肩書きではない。人を前向きにし、まわりをまとめていく、日々の小さな働きかけのことだ。今日は、だれとでも良い関係を築く技術と、役職なしで発揮できるリーダーシップを、一緒に見ていく。

Chapter 17 なぜ「人とつながる力」が問われるのか

学生時代は、気の合う人とだけ付き合っていられた。でも、社会に出ると、そうはいかない。ここに、多くの人がとまどう。この章では、企業がなぜ人間関係構築力を重く見るのか、そして学生時代の人間関係と何がちがうのかを、確かめておこう。ちがいがわかると、準備の方向も、はっきり見えてくる。

17-1 仕事は、ひとりでは終わらない

学生時代の課題は、たいてい一人で完結した。レポートも、テストも、自分の力だけで仕上げられた。だから、人と組む練習を、あまりしないまま社会に出る人が多い。

でも、仕事は、まるでちがう。ほとんどの仕事は、だれかと組まなければ、前に進まない。自分の担当を終えても、次の人に渡らなければ、成果にはならない。つまり、どれだけ能力が高くても、人とつながれなければ、その力は、成果に変わらないのだ。だから企業は、能力と同じくらい、いや、時にはそれ以上に、人と組める力を見ている。仕事の成果は、いつも「人と人の間」で生まれる。

「自分の力を高める」と同じくらい、「人と組む力を高める」ことを、意識してほしい。この二つは、車の両輪だ。片方だけでは、前に進まない。

17-2 「だれとでも」が、いちばん難しい

「人付き合いは得意です」と言う人は多い。でも、よく聞くと、気の合う人とうまくやれる、という意味であることがほとんどだ。

企業が求めているのは、そこから一歩先だ。「だれとでも」良い関係を築けるか。年上の人、価値観のちがう人、苦手なタイプの人。職場は、自分で選べない人の集まりだからだ。好きな人とだけうまくやれる力は、残念ながら、あまり評価されない。逆に、合わない相手とも仕事上の関係をつくれる人は、どんな職場でも重宝される。この差は、思っている以上に大きい。

「気の合わない人とも、仕事はできるか」。この問いを、一度、自分に向けてみてほしい。ここに答えられる人は、それだけで強い。バイト先やゼミにも、必ず合わない人はいる。そこが、いちばんいい練習の場になる。

17-3 学生時代とは、関係のつくり方がちがう

学生時代の人間関係は、好き嫌いで選べた。合わない人とは、距離を置けばよかった。それで、大きな問題にはならなかった。

でも、社会の人間関係は、目的でつながる。好きかどうかではなく、「一緒に成果を出せるかどうか」が基準になる。だから、苦手な人とも、仕事の話はできる。感情と仕事を、切り分けるのだ。これは冷たいことではない。むしろ、相手を好きにならなくても協力できる、という技術は、あなた自身を、ずいぶん楽にしてくれる。無理に好きになろうとしなくていい、ということでもあるからだ。

「好きになる」と「仕事で組む」を、別のことだと考えてみてほしい。切り分けられると、人間関係の悩みは、ぐっと軽くなる。そして、この切り分けは、社会に出てからいちばん役に立つ技術のひとつになる。

17-4 人間関係構築力は、性格ではなく技術

「自分は人見知りだから」「口下手だから」。そう言って、この要素をあきらめてしまう人がいる。とてももったいない。

じつは、人間関係構築力は、性格ではなく技術だ。名前を呼ぶ。相手の話を最後まで聞く。感謝を具体的に伝える。約束を守る。どれも、性格に関係なく、実行できる行動だ。そして、この行動を積み重ねた人が、結果として「人付き合いが上手な人」と呼ばれる。明るいから信頼されるのではない。信頼される行動をしているから、信頼されるのだ。無口な人でも、まったく問題ない。

「性格を変えなきゃ」と思わなくていい。かわりに、行動を一つ変えてみてほしい。技術なら、練習で身につく。しかも、行動は今日から変えられる。性格を変えるより、ずっと現実的で、ずっと早い。

Chapter 18 だれとでも良い関係を築く、四つの技術

では、具体的にどうすればいいのか。この章では、だれとでも良い関係を築くための、四つの技術を紹介する。どれも、明るさや話のうまさとは関係がない。むしろ、静かな人ほど得意になれるものばかりだ。今日から、そのまま使えるものを選んだ。

18-1 好かれようとせず、まず相手を知る

人間関係で失敗する人の多くは、「どう思われるか」を気にしすぎている。自分をよく見せようと必死になり、かえってぎこちなくなる。

だから、向きを逆にしよう。「好かれよう」ではなく「相手を知ろう」とする。相手の名前、出身、好きなこと、大事にしていること。関心を向けられて、うれしくない人はいない。しかも、自分に矢印が向いていないぶん、緊張も減る。人間関係は、自分をアピールする場ではなく、相手を知る場だと考えると、うんと楽になる。そして不思議なことに、相手を知ろうとする人ほど、結果として好かれる。

次に人と会うとき、「相手について三つ知る」と決めてみてほしい。自分の話は、しなくていい。それだけで、会話が楽になる。

18-2 話すより、聞くほうが強い

「コミュニケーション能力」と聞くと、うまく話す力を想像する。だから、話下手な人ほど、自分には無理だと思ってしまう。

でも、実際に信頼されるのは、話がうまい人より、よく聞く人だ。人は、自分の話を聞いてくれた相手を、信頼する。しかも、聞く力は、明るさや話術がなくても身につく。うなずく。話をさえぎらない。「それで、どうなったんですか」と続きを促す。この三つだけで、相手は「この人は聞いてくれる」と感じる。話すのが苦手なことは、じつは、まったく不利ではないのだ。

会話で、「相手が話す時間のほうが長い」状態を目指してみてほしい。聞き役は、地味に見えて、いちばん信頼を集める。しかも、話さないぶん、緊張も減る。無理に盛り上げようとしなくて、いい。

18-3 苦手な人とも、仕事はできる

職場には、必ず苦手な人がいる。声が大きい人、細かい人、話が通じない気がする人。そのたびに悩んでいたら、身が持たない。

そこで役に立つのが、「感情」と「役割」を分ける考え方だ。相手を好きになる必要は、まったくない。ただ、その人が担っている役割と、自分の役割を、きちんとつなげばいい。「この件を、いつまでにお願いできますか」。これは、感情の話ではなく、仕事の話だ。この切り分けができる人は、人間関係のストレスが激減する。そして、こういう人こそ、職場で頼りにされる。

苦手な人がいたら、「好きにならなくていい」と、自分に許可を出してほしい。仕事の話だけ、まっすぐ通せばいい。それで十分だ。無理に距離を縮めようとすると、かえってこじれる。適度な距離感も、りっぱな技術だ。

18-4 小さな信頼を、先に渡す

信頼は、相手からもらうものだと思われがちだ。だから、「信頼されていない」と感じると、そこで止まってしまう。

でも、信頼は、先に渡した人のところに集まる。先に手伝う。先に情報を共有する。先にお礼を言う。見返りを求めずに渡すと、多くの場合、返ってくる。もちろん、返ってこないこともある。それでも構わない。渡した数だけ、あなたの信用は、静かに厚くなっていくからだ。損得で動く人より、先に渡せる人のまわりに、人は集まる。これは、学生時代でも社会でも、変わらない。

今週、だれかに小さく「先に渡す」ことを、一つやってみてほしい。手伝いでも、情報でも、感謝でもいい。返りは、期待しなくていい。渡した回数は、あなたの中に、確実に残っていく。それが、後から効いてくる。

Chapter 19 リーダーシップは、役職ではない

ここからは、リーダーシップの話だ。「自分には縁がない」と感じている人にこそ、読んでほしい。この章で伝えたいのは、リーダーシップとは肩書きではなく、だれもが今日から発揮できる働きかけだ、ということだ。誤解を解けば、語れる経験は、あなたの中にもう十分ある。

19-1 リーダーシップは、リーダーだけのものではない

「リーダーシップ」と聞くと、部長やキャプテンを思いうかべる。だから、役職についたことがない人は、自分には関係ないと考えてしまう。

でも、リーダーシップとは、地位ではなく働きかけのことだ。だれも動かないときに、最初に手を挙げる。空気が重いときに、場を明るくする。話がまとまらないときに、論点を整理する。どれも、役職とは無関係にできることだ。実際、職場で「あの人がいると助かる」と言われる人は、役職者とは限らない。むしろ、肩書きのない人が発揮するリーダーシップこそ、まわりはよく見ている。

「リーダーだったか」ではなく、「チームのために何をしたか」を、思い返してみてほしい。そこに、あなたのリーダーシップがある。

19-2 人を前向きにする、という力

リーダーシップの中身を、もう少し分けてみよう。一つ目は、人を前向きにする力だ。これは、声が大きいことや、引っぱることとは、まったくちがう。

人を前向きにするのは、たいてい、小さな言葉だ。「それ、いいと思う」「助かった、ありがとう」「大丈夫、まだ間に合う」。落ちこんでいる人に、一言かける。うまくいった人を、素直に喜ぶ。こうした働きかけが、チームの空気を変える。そして、空気が変わると、人の動きも変わる。派手さはないが、これは確実にリーダーシップだ。まわりの人の力を、少しだけ引き出しているのだから。

まわりが沈んでいるときに、一言かける役を、引き受けてみてほしい。その一言が、チームの温度を変えることがある。

19-3 まとめる力は、引っぱる力ではない

「まとめる」と聞くと、先頭に立って引っぱる姿を想像する。カリスマ的な人物像だ。そして、自分には無理だ、と思ってしまう。

でも、実際にチームをまとめているのは、多くの場合、そういう人ではない。話がばらけたときに「つまり、こういうことですよね」と整理する人。意見が出ていない人に「◯◯さんは、どう思いますか」と話をふる人。決まったことを「じゃあ、こうしましょう」と言葉にする人。まとめる力とは、引っぱる力ではなく、つなぐ力なのだ。だから、静かな人でも、十分に発揮できる。

会議やミーティングで、「整理する役」を、一度やってみてほしい。目立たないが、これはまぎれもなく、まとめる力だ。そして、この役をこなせる人は、社会に出てから、驚くほど重宝される。

19-4 「実績がないと語れない」は誤解

「リーダーシップを発揮した経験を教えてください」。この質問に、多くの学生が固まる。大きな成果がないと、語ってはいけない気がするからだ。

でも、面接官が知りたいのは、成果の大きさではない。あなたが、どんな状況で、何を考え、どう働きかけたか。その中身だ。「みんなが黙っているとき、最初に意見を言った」。それで十分、答えになる。むしろ、全国大会優勝のような大きな話より、日常の小さな働きかけのほうが、その人らしさが伝わることも多い。役職の有無ではなく、行動の中身を語ればいい。

「たいしたことない」と切り捨てた経験を、もう一度、拾い直してみてほしい。そこに、あなたのリーダーシップは、ちゃんと写っている。小さくていい。大事なのは、そのとき何を考えて動いたかだ。

Chapter 20 今日から始める、関係づくりの練習

最後に、人間関係構築力とリーダーシップを育てる、具体的なアクションを紹介する。どれも、大きな決意はいらない。むしろ、明日のバイトやゼミで、そのまま試せることばかりだ。気楽に、一つ選んでみてほしい。積み重ねが、確実にあなたを変えていく。

20-1 まず、「名前を呼ぶ」から始める

人間関係を良くしたいと思っても、何から手をつければいいかわからない。いきなり深い話をするのも、気が引ける。だから、動けないまま時間が過ぎる。

そこで、いちばん簡単な一歩を紹介する。相手の名前を呼ぶことだ。「おはようございます」ではなく「田中さん、おはようございます」。たったこれだけで、相手の受け取り方は、はっきり変わる。人は、名前を呼ばれると、自分が認識されていると感じる。しかも、これは性格も話術も関係なく、今日からできる。関係づくりの入り口として、これ以上に手軽で、効果の高い方法はない。

明日、三人でいいので、名前をつけてあいさつしてみてほしい。相手の反応が、いつもと少しちがうことに気づくはずだ。

20-2 一日一回、だれかに質問する

「相手を知ろう」と言われても、何を聞けばいいかわからない。話しかけるきっかけがつかめず、結局、当たりさわりのない会話で終わってしまう。

だから、一日一回、だれかに質問する、と決めてしまおう。内容は、なんでもいい。「その本、面白いですか」「休みの日って、何してるんですか」。答えが返ってきたら、「へえ、それはどうしてですか」と、もう一歩だけ深く聞く。この二段構えが、会話を「やりとり」に変える。一日一人でも、一年で三百人ぶんの練習になる。質問は、いちばん手軽な関係づくりの道具だ。

今日、だれか一人に、質問を一つしてみてほしい。相手が話し始めたら、聞くことに集中する。それだけで十分だ。うまい質問でなくていい。関心を向けたという事実が、相手にはちゃんと伝わる。

20-3 小さな役割を、引き受けてみる

リーダーシップを鍛えたくても、リーダーになる機会は、めったに回ってこない。待っていると、いつまでも練習できない。

だから、小さな役割を、自分から引き受ける。ゼミの資料をまとめる役。飲み会の日程を調整する役。バイトのシフト表を整理する役。どれも、リーダーとは呼ばれない仕事だ。でも、人と調整し、まとめ、決める練習としては、これ以上ないほど実践的だ。しかも、こういう役を引き受ける人は、まわりから自然と信頼される。地味な役割ほど、じつは、力がつく。

この夏、何か一つ、小さな役割を引き受けてみてほしい。「やります」と言うところから、リーダーシップの練習は始まる。うまくやれなくても、まったく構わない。引き受けた経験そのものが、面接で語れる材料になる。

20-4 「ありがとう」を、具体的に伝える

感謝は、伝えているつもりでも、案外、伝わっていない。「ありがとう」だけでは、社交辞令に聞こえてしまうことがあるからだ。

そこで、具体的に伝える。「ありがとう」ではなく、「あのとき代わってくれて、本当に助かりました」。何が、どう助かったかを添える。すると、相手は「ちゃんと見てくれていた」と感じる。この一手間が、信頼を大きく育てる。しかも、具体的に伝えようとすると、相手の行動をよく見るようになる。つまり、感謝の練習は、そのまま観察の練習にもなるのだ。一石二鳥である。

今日、だれか一人に、具体的な感謝を伝えてみてほしい。一文でいい。その一文が、関係を、静かに変えていく。照れくさければ、メッセージでもいい。伝える形は、なんでも構わない。

今日のまとめ

人間関係構築力もリーダーシップも、性格ではなく技術だ。明るくなくても、話がうまくなくても、役職がなくても、十分に発揮できる。

だれとでも良い関係を築く鍵は、好かれようとせず、相手を知ろうとすること。話すより聞くこと。苦手な人とは、感情と役割を切り分けること。そして、信頼は、先に渡した人のところに集まる。

リーダーシップは、肩書きではなく働きかけだ。人を前向きにする一言。話をつなぐ整理。「やります」と手を挙げる一歩。どれも、今日からできる。

これで、内側をつくる4つの力――①自信、②価値観・人間力、③思考力、④人間関係構築力を、一周した。土台は、そろった。

来週(8月17日~21日)からは、外に発揮する4つの力に入る。⑤文章力・面接力・センス、⑥容姿・雰囲気、⑦実績、⑧スペック。せっかく育てた内側の力を、どう相手に届けるか。その技術の話になる。

来週も、一緒に進んでいこう。人とつながる力は、いくつからでも育てられると、あおラボは信じている。あなたの挑戦を、いつも全力で応援している。

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