やる気も能力もあるのに、なぜ入社後に苦しむのか?

「就活、なんとかなるだろう」――その意識が、入社後の苦しみを生んでいる

こんにちは、あなたらしく輝けるキャリア形成や就活支援をおこなっている【あおラボ】です。

先週の連載では、「就活は人生の分水嶺だ」というメッセージをお届けしました。今週からは、その深化版です。「就活をあなどるな」――これが今週の核心テーマです。やる気がある。能力もある。でも「自分が何をやりたいのか」が明確でないまま、なんとなく就活の流れに乗って内定を得て就職した結果、入社後に「これは自分のやりたかったことじゃない」と気づいて苦しむ人は、決して少なくありません。今日はその現実を、正直にお伝えします。なぜ、やる気も能力もある人が入社後に苦しむのか。その構造を知ることが、あなたの就活を変える第一歩になります。

Chapter 1 「流れで就職」した人たちが直面した現実

就活の現場では、毎年多くの学生が「なんとなく」就活を進め、「なんとなく」内定を取り、「なんとなく」入社していきます。問題は、その「なんとなく」の代償が、入社してから重くのしかかってくることです。この章では、流れに乗った就活がどんな現実を生み出しているかを見ていきましょう。

1-1 「内定が出たから、ここでいいや」の罠

就活をしていると、最初に内定が出た会社にどっと安堵してしまうことがあります。「やっと内定が出た」という解放感から、その会社が自分に本当に合っているかどうかを深く考えずに承諾してしまうケース――これは、就活支援の現場で非常によく目にする光景です。

なぜこうなるのでしょうか。就活は精神的に消耗する活動です。落選が続けばメンタルが削られていきます。そこに「あなたに来てほしい」という内定通知が届いたとき、人は「もうここでいい」という気持ちになりやすいのです。「ここが自分に合っているか」より「もう就活を終わらせたい」という気持ちが上回ってしまう。キャリアカウンセラーとして多くの学生を見てきた経験から、これは珍しいことではなく、むしろ非常によくある心理的なパターンです。

「内定が出た会社に入社する」ことと「自分にとって心から納得できる会社に入社する」ことは、まったく別のことです。特に最初の就職先は、あなたのその後の10年・20年に大きく影響します。「内定が出たからここでいいや」という選択がのちのち大きな後悔につながることを、今のうちに知っておいてください。

1-2 「入社して3ヶ月で気づく現実」の正体

入社後3ヶ月は、多くの若者にとって「現実との格闘」の時期です。研修が終わり、実際の業務が始まったとき、「思っていたのと全然違う」という感覚を持つ人が出てきます。それ自体は正常なことです。しかし問題は、その「違和感」の質と深さです。

「業務が思ったより地味だった」「残業が多い」――これらはどんな会社でも少なからずあることで、慣れや工夫で乗り越えられることが多い。しかし「この仕事は、自分がやりたかったことと根本的に違う」「この会社の価値観と自分の価値観が合わない」という気づきは、慣れで解決できるものではありません。あおラボのキャリア支援の中で、入社後1年以内に転職相談に来る若者の多くが口にするのは、後者の言葉です。

この「根本的なズレ」の多くは、就活の段階で「何をやりたいか」「どんな環境で働きたいか」を深く考えずに進めてきた結果として現れます。つまり、入社後の苦しみの種は、就活の時点にすでに蒔かれているのです。

1-3 「勢い」と「流れ」で動く就活の危うさ

就活には「周りの空気」があります。「○月までにどこかに決めなければ」「みんなが内定を決め始めた」「就活イベントに行って、その場の雰囲気に流された」――こういう「勢い」や「流れ」に乗って動いてしまうことが、就活では起きやすいのです。

勢いや流れで動くことが悪いわけではありません。行動力があることは大切です。しかし問題は、「自分の頭と心で考えて動いているか」という点です。まわりが動いているから自分も動く、という就活は、ともすれば「自分が何を求めているか」を考える時間を奪ってしまいます。就活の行動量は多いのに、自己分析の深さが足りない――これが「流れで就職」してしまう学生の典型的なパターンです。

今、あなたは就活を「自分の頭で考えながら」進めていますか?それとも「周りに合わせながら」進めていますか?この問いに正直に答えることが、今日の記事の出発点になります。

1-4 流れに乗った就活と、自分軸の就活の違い

「流れに乗った就活」と「自分軸の就活」――この2つの違いはどこにあるのでしょうか。簡単に言うと、「行動の根拠が自分の外にあるか、内にあるか」です。

流れに乗った就活をしている学生は、「みんなが受けているから」「説明会で印象が良かったから」「知名度が高いから」という理由で企業を選びがちです。一方、自分軸の就活をしている学生は、「自分はどんな仕事をしているときに充実を感じるか」「どんな組織・文化の中で力が発揮できるか」という問いを自分に向けながら企業を見ていきます。同じ就活をしているように見えて、その根っこにある問いがまったく違うのです。

入社後の満足感は、多くの場合この「根っこにある問いの違い」から生まれます。自分軸を持って選んだ会社であれば、入社後に困難があっても「自分が選んだ」という納得感が支えになります。流れで選んだ会社では、その支えがありません。就活は、あなたが「自分軸」を育てる場でもあるのです。

Chapter 2 「何をやりたいかわからない」まま就活を進める危うさ

「正直、やりたいことがわからない」――これは、就活を始めた多くの学生が抱える本音です。やりたいことがわからないこと自体は、決して恥ずかしいことではありません。問題は、わからないまま「とにかく就活を進める」ことへの危うさを理解しているかどうかです。

2-1 「やりたいことがわからない」は、普通のことだ

まず、安心してほしいことがあります。大学3・4年生の時点で「自分が何をやりたいか」がはっきりわかっている学生は、実は少数派です。多くの学生が「なんとなく興味があること」は持っていても、「これが自分の仕事にしたいことだ」と確信を持っているわけではありません。

あおラボでの支援経験を通じて見えてくるのは、「やりたいことがわからない」という悩みを持つ学生の多くが、実は十分な自己探索をする前に「わからない」と結論づけてしまっているケースが多いということです。自分の過去の経験を振り返り、どんなときにエネルギーが湧いたか、何に熱中したか、どんな瞬間に達成感を感じたか――こういった問いに深く向き合ったことがないまま「わからない」と言っている。

「やりたいことがわからない」は出発点として正常です。ただ、その状態をそのままにして就活を進めることと、「わからないなりに深く考え続けながら」就活を進めることでは、到達する場所がまったく違います。

2-2 「興味があること」と「仕事にしたいこと」の違い

「旅行が好きだから旅行会社に入りたい」「食べることが好きだから食品会社に入りたい」――こういう動機で業界を選ぶ学生は多くいます。もちろん、好きなことを仕事の出発点にすることは悪くありません。しかし「好きなこと・興味があること」と「仕事にして充実感を感じられること」は、必ずしも一致しないことがあります。

旅行が好きな人が旅行会社に入社して、営業やバックオフィス業務をこなすうちに「旅行を楽しむこと」と「旅行に関わる仕事をすること」の違いに直面する――これは珍しいケースではありません。「業界への興味」と「その業界の仕事内容への適性や充実感」は別物なのです。就活で大切なのは「何の業界に興味があるか」だけでなく、「どんな種類の仕事をしているときに自分が活き活きとするか」を理解することです。

「自分はどんな仕事の仕方が好きか」――人と話すのが好きか、じっくり考えるのが好きか、何かを作り上げるのが好きか、数字を扱うのが得意か。こういった「仕事の質」への理解が、業界研究よりも先に必要な自己分析です。

2-3 「なんとかなる」という楽観主義の限界

就活に対して「なんとかなるだろう」という楽観的な気持ちで臨む学生は少なくありません。楽観的であること自体は、精神的な健康のために大切です。しかし就活における楽観主義には、一つ大きな落とし穴があります。「なんとかなる」と思っているうちに、深く考えることをやめてしまうことです。

「どこかに入れれば、あとはなんとかなる」「入社してから考えればいい」――こういう考え方で就活を終えた人が、入社後に「こんなはずじゃなかった」という現実にぶつかることがあります。入社してから「なんとかなる」ことも確かにあります。しかし、入社後に「方向性の根本的なズレ」に気づいたとき、それを修正するコストは大きくなります。転職という選択肢もありますが、最初の就職から数年で転職を繰り返すことは、スキルの積み上げや専門性の構築の観点から見てもリスクを伴います。

「なんとかなる」の楽観主義を持ちながらも、就活に真剣に向き合う――この両方のバランスが大切です。楽観的に行動しながら、考えることをやめない。それが「流れに乗らない就活」の姿勢です。

2-4 「わからない」を深めるための問いかけ

では、「やりたいことがわからない」状態から抜け出すために、何をすればいいでしょうか。あおラボでは、学生に「自分の過去を丁寧に振り返る」ことから始めることをすすめています。

具体的には、「小学生のころ、夢中になっていたことは何か」「高校・大学で、最も頑張ったことは何か」「その経験の中で、どんな瞬間に達成感・充実感・喜びを感じたか」という問いに、できる限り具体的に答えていく作業です。この振り返りを丁寧にやっていくと、「自分がどんなことに本質的な喜びを感じるか」のパターンが見えてきます。それが、「やりたいこと」を見つける手がかりになります。「やりたいことは、探すものではなく、気づくもの」です。ぜひ、自分の過去の中にある「喜びのパターン」を掘り起こしてみてください。

Chapter 3 やる気も能力も、「方向性」がなければ力を発揮できない

「やる気はある。能力もある。でも入社後に苦しんでいる」――このパターンを持つ若者と、キャリア支援の場でたくさん向き合ってきました。なぜこういうことが起きるのでしょうか。この章では、やる気と能力だけでは足りない「方向性」の重要性について考えます。

3-1 エンジンが強くても、方向が間違えば遠ざかるだけ

やる気は「エンジン」です。能力は「車の性能」です。しかし、エンジンが強くて車の性能が高くても、向かう方向が間違っていれば、目的地からは遠ざかるだけです。これが、「やる気も能力もあるのに苦しんでいる」人に起きていることの本質です。

就活支援の現場で出会ったAさん(※プライバシー保護のためフィクション化)というケースをご紹介します。Aさんは行動力があり、コミュニケーション能力も高く、大学でのサークル活動でもリーダーを務めていました。そのやる気と社交性を活かして、就活では勢いよく大手メーカーの営業職に内定をもらいました。しかしAさんには、「ものを作る」「仕組みを考える」ことへの強い興味があり、本来は企画やマーケティング的な仕事に向いていたのです。入社後、営業の数字を追う日々の中で「これは自分が本当にやりたいことじゃない」という苦しさを感じ、2年目に転職相談に来ました。やる気があり、能力もある。でも方向性が自分に合っていなかった――これが問題だったのです。

この事例が示しているのは、「やる気×能力」に「方向性」が加わって初めて、人は本当の力を発揮できるということです。就活はその「方向性」を定める場でもあります。

3-2 「できること」と「やりたいこと」と「向いていること」の三角形

就活で自分に合った仕事を見つけるためには、「できること」「やりたいこと」「向いていること」の三つの視点から自分を見ることが大切です。この三つが重なる領域こそが、あなたが最も力を発揮できる仕事の領域です。

「できること」だけで仕事を選ぶと、能力を活かせても充実感がない場合があります。「やりたいこと」だけで選ぶと、実際の業務との乖離に苦しむ場合があります。「向いていること」だけで選ぶと、自分では望んでいない方向に進んでしまうことがあります。三つが重なる領域を探すことが、就活の自己分析の本当の目的です。あおラボでは、この三角形の重なりを学生と一緒に探していく作業をキャリア支援の核心に置いています。

「自分の強み・興味・価値観を理解した上で、それを活かせる環境を選ぶ」――これが、入社後の苦しみを防ぐための最も根本的な対策です。就活の早い段階から、この三角形を意識した自己分析を始めることをおすすめします。

3-3 「方向性」は、就活が終わってからでは遅すぎる

「入社してから方向性を見つければいい」という考え方もあります。確かに、働く中で新たな興味や可能性に気づくことはあります。しかし、入社後の最初の数年間は、仕事を覚え、組織に慣れ、人間関係を構築するだけで精一杯になることが多いものです。その時間的・精神的な余裕のない中で「自分の方向性を探す」ことは、かなり難しい。

さらに、入社後に「この仕事は自分の方向性と合っていない」と気づいても、簡単には変えられないのが現実です。部署異動には時間がかかりますし、転職には勇気とリスクが伴います。最初の選択で「大きく外さない」ことが、長い目で見たキャリアの効率を高めます。だからこそ、就活の段階で方向性を考えることに、時間と労力を惜しまないでほしいのです。

就活は「内定を取るための活動」ではなく、「方向性を定めるための活動」でもあることを忘れないでください。その認識の違いが、就活の質そのものを変えていきます。

3-4 「方向性」を見つけるためにできる3つのこと

では具体的に、就活中に「自分の方向性」を見つけるために何ができるでしょうか。あおラボがすすめる3つのアクションをお伝えします。

一つ目は「OB/OG訪問を深掘りする」こと。ただ話を聞くのではなく、「どんなときに仕事が面白いと感じるか」「入社前と後でギャップを感じたことは何か」「この仕事が向いていると思う人はどんな人か」という踏み込んだ質問をしてみてください。二つ目は「インターンシップを活用する」こと。説明会で聞くよりも、実際に仕事の一端に触れることで、「自分がこの環境で活き活きできるか」がわかります。三つ目は「キャリアカウンセラーに相談する」こと。客観的な視点から自分を見てもらうことで、自分では気づけない強みや方向性が見えてくることがあります。方向性は一人で考えるより、対話の中から見えてくることが多いものです。

Chapter 4 入社後の苦しみを防ぐために、今できること

ここまで「流れで就職することの危うさ」「やりたいことがわからないまま進む危うさ」「方向性のない就活の限界」を見てきました。最後の章では、入社後の苦しみを防ぐために、今あなたにできることを具体的にお伝えします。

4-1 就活を「急いで終わらせる活動」にしない

就活には終わりがあります。内定を取れば「就活終了」です。だからこそ、多くの学生が「早く終わらせたい」という気持ちになりやすいのです。しかしその「早く終わらせたい」気持ちが、深く考えることへのブレーキになってしまいます。

就活を急いで終わらせることへの焦りは、精神的に理解できることです。しかし、10年後・20年後の自分への影響を考えると、就活に使う数ヶ月間は非常に価値ある時間です。「早く就活を終わらせること」より「納得できる選択をすること」を優先する勇気を持ってください。周りが内定を取り始めても、焦らずに自分のペースで「自分にとって心から納得できる選択」を探し続けることが大切です。

「就活は、終わらせるものではなく、完結させるもの」です。内定を取ることがゴールではなく、「自分が心から納得できる選択」に到達することがゴールだという意識を持ってください。

4-2 「心から納得できるか」を判断軸にする

就活で企業を選ぶとき、何を判断軸にしていますか?給与?知名度?安定性?もちろんこれらも大切な要素です。しかし最終的に最も重要な判断軸は、「自分がこの会社に入ることに、心から納得できるか」という問いへの答えです。

「心から納得できるか」という問いは、漠然としているように感じるかもしれません。しかし具体的には、「この会社の事業や価値観に共感できるか」「ここで働く自分を素直にイメージできるか」「ここで5年後の自分が成長していると思えるか」という問いを通じて確かめることができます。この問いに「はい」と言えない選択は、入社後に後悔する可能性が高い。逆に「はい」と言える選択であれば、入社後に困難があっても「自分が選んだ」という納得感が支えになります。

「完璧な会社」は存在しません。しかし「自分が納得できる会社」は必ずあります。その違いを理解することが、就活の質を大きく変えます。この「完璧な会社」については、今週の連載Day3で詳しくお伝えします。

4-3 就活の「量」より「質」を高める

「就活は数を打たなければ」という考え方があります。確かに、多くの企業を見ることは視野を広げます。しかし、闇雲に数を増やすことよりも、一社一社に対して「自分とのマッチングを深く考える」質の高い就活の方が、最終的に良い結果につながります。

あおラボの支援経験から見えてくるのは、「たくさんの会社を受けたが、どこが自分に合うのかわからなくなった」という状態になってしまう学生が多いという現実です。就活の量を追うよりも、「なぜこの会社を受けるのか」「この会社の何が自分の価値観と合っているのか」を言語化できる状態で選考に臨む方が、面接でも本来の自分が出せます。就活の「量」から「質」への転換――それが今日からできる最初の一歩です。

4-4 今日から始める「入社後後悔しない就活」の一歩

今日の記事を読んで、「就活に対する向き合い方を変えてみよう」と思ってくれた方に、一つお願いがあります。今日、ノートを一冊用意して、「自分がどんな仕事をしているときに充実感を感じるか」を10個書き出してみてください。学生時代のアルバイト、サークル活動、授業、日常生活の中での経験――なんでも構いません。

この小さな一歩が、「何をやりたいかわからない」から「自分の方向性が少し見えてきた」への第一歩になります。就活は、内定を取るための競争ではなく、自分を深く知るためのプロセスです。やる気があり、能力があるあなたが、正しい方向性を持って就活に向き合えば、入社後に「この選択をしてよかった」と思える未来を手にできます。明日の記事では、「どんな仕事も本気でやれば面白くなる」という言葉の真実と嘘について、率直にお伝えします。

今日のまとめ

就活を「流れ」や「勢い」で進めてしまうと、やる気も能力もある人でも入社後に苦しむ可能性があります。「何をやりたいかわからない」まま進む危うさを知り、「方向性」という視点を持って就活に向き合うことが、入社後の充実した生き方につながります。今日から、「心から納得できる選択」を目指す就活を始めましょう。

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