社会人には「別のものさし」がある、と知る夏

学生の「当たり前」が、社会では通じないことがある

こんにちは、あなたらしく輝ける未来を共に創造して、キャリア形成や就活の支援をおこなっている【あおラボ】です。

アルバイト先で、言われた通りにやったのに、なぜか注意された。ゼミやサークルで、まじめにコツコツやっている人より、少し生意気に意見を言う人のほうが、なぜか評価されている。そんな「あれ?」という経験は、ないだろうか。

それは、あなたが悪いのでも、まわりが理不尽なのでもない。じつは、学生の世界と、大人(社会人)の世界とでは、ものごとをはかる「ものさし」が、ちがうのだ。

このちがいを、社会人になってから初めて知る人は多い。でも、それだと少し遅い。入社してから戸惑い、落ち込む「リアリティショック」につながることもある。今週は5日間かけて、この「2つのものさし」を、ていねいに見ていく。今日はまず、その全体像からだ。

Chapter 1 「ものさし」って、何のこと?

「ものさし」と言われても、ピンとこないかもしれない。ここでいうものさしとは、「何が良くて、何がダメか」を決める基準のことだ。じつは、この基準が、学生の世界と大人の世界とでは、大きくちがう。しかも、ときには真逆になる。まずは、その正体を、ゆっくりほどいていこう。むずかしい話ではない。知れば「なるほど」と思えるはずだ。

1-1 学生社会と大人社会は、別のルールで動いている

学校では評価されていたのに、社会に出たら通用しない。そんな話を、先輩から聞いたことはないだろうか。「あんなに優秀だった人が、なぜ?」と、ふしぎに思うかもしれない。

じつは、学生の世界と大人の世界は、別のルールで動くスポーツのようなものだ。野球が上手な人が、そのままサッカーで活躍できるとは限らない。ルールがちがえば、求められる動きもちがう。学生時代に「良し」とされたことが、大人社会では「物足りない」とされることがあるのは、そういうことだ。能力がないのではなく、ルールが切りかわっただけなのだ。

だから、まず「2つの世界には、別のルールがある」と知っておいてほしい。それを知っているだけで、社会に出たときの戸惑いは、ぐっと小さくなる。

1-2 同じ行動が、真逆に評価されることがある

「言われたことを、きちんとやる」。学生のあいだは、これで先生にほめられてきた人が多いだろう。まじめで、いい生徒だ、と。

ところが、大人社会では、同じ行動が「言われたことしかできない人」と、逆に低く見られることがある。同じ「素直にやる」でも、評価が真逆になるのだ。これは、あなたの行動が悪いのではない。ものさしが変わったから、同じ行動のうつり方が変わっただけだ。この「評価の逆転」が、社会に出た人を、いちばん戸惑わせる。

今のうちに、「同じ行動でも、場所によって評価が変わることがある」と知っておこう。そうすれば、逆転が起きても「これがあの話か」と、落ち着いて受け止められる。逆転を知らないと、「自分は否定された」と感じてしまう。でも、知っていれば「ルールが変わっただけ」と受け取れる。この差は、とても大きい。

1-3 なぜ「就職してから」では、少し遅いのか

多くの会社は、新入社員研修で、この「学生と社会人のちがい」を教えてくれる。だから「入ってから知ればいい」と思うかもしれない。

でも、正直に言うと、それでは少し遅い、と私は感じている。入社してすぐは、ただでさえ新しいことだらけで、心に余裕がない。そこで初めて「今までのものさしは通用しない」と言われると、頭では分かっても、心が追いつかない。「思っていた社会人生活とちがう」というギャップに苦しむ、リアリティショックの一因にもなる。学生のうちに、心の準備だけでもしておけたほうが、ずっと楽なのだ。

就職してからではなく、時間のある今、知っておいてほしい。準備がある人とない人とでは、社会に出た最初の一年の景色が、まるでちがってくる。

1-4 でも、これは「こわい話」ではない

ここまで読んで、「社会って厳しそう」「自分にできるかな」と、不安になった人もいるかもしれない。まじめな人ほど、そう感じやすい。

でも、安心してほしい。これは、あなたを怖がらせるための話ではない。むしろ逆だ。ルールを先に知っておけば、あわてずにすむ。テストの範囲を、前もって知っているようなものだ。範囲がわかっていれば、こわくない。この連載は、社会という「次のステージ」を、少しでも楽しみにしてもらうための地図なのだ。

だから、不安になる必要はない。「へえ、そういう世界があるのか」と、軽い気持ちで読み進めてほしい。知ることは、こわさではなく、心の余裕をくれる。むしろ、今こうして知れているあなたは、ラッキーなくらいだ。多くの人が入社後に初めて気づくことを、時間のある学生のうちに、ゆっくり準備できるのだから。

Chapter 2 学生時代の「当たり前」が、通用しなくなる場面

では、学生時代の「当たり前」は、大人社会でどう変わるのか。この章では、代表的な3つの場面を、ざっと見ていく。この3つは、今週の連載で、一つずつくわしく掘り下げるテーマでもある。今日は「予告編」として、全体像をつかんでほしい。自分に当てはまるものがないか、思いうかべながら読んでみよう。

2-1 「言われたことをきちんとやる」の落とし穴

頼まれたことを、正確に、きちんとやる。学生のあいだは、これが「信頼できる人」の条件だった。実際、それはとても大切なことだ。

だが、大人社会では、それが「スタート地点」にすぎない。言われたことをやるのは当たり前で、その上で「言われていないけれど、必要なこと」に気づいて動けるかが問われる。ときには、「言われた通り」にやっただけでは、「自分で考えていない」と受け取られることさえある。指示をそのまま実行するだけの人と、指示の意図をくんで動く人とでは、評価が大きく分かれる。この話は、明日のDay2で、くわしく見ていく。

まずは「言われた通りにやる」ことの、その先に、もう一段あるらしい、と頭の片隅に置いておこう。明日、その「もう一段」を、一緒に確かめよう。

2-2 「目立たず、波風を立てない」が正解とは限らない

授業や集団の中で、あえて目立たず、和を乱さないようにしてきた人は多いだろう。先生や場の空気に逆らわないことが、無難で、安全だった。

だが、大人社会では、空気を読むだけの人は、「いてもいなくても同じ」と見られることがある。むしろ、相手を尊重しながらも、「こうしたら、もっと良くなるのでは」と、自分の考えをていねいに伝えられる人が求められる。学校では先生に煙たがられがちだった「意見を言う人」が、大人社会ではむしろ頼りにされる。ここにも、評価の逆転がある。もちろん、ただ反抗するのとは、まったくちがう。この話は、Day3で掘り下げる。

「意見を言うのは生意気」という思い込みを、少しだけゆるめてみてほしい。伝え方さえていねいなら、意見を持つことは、大人社会では強みになる。

2-3 「勉強ができる」は、大人社会では前提になる

テストでいい点を取る。知識をたくさん覚える。学生時代、これはとても高く評価されることだ。がんばってきた人ほど、そこに自信を持っている。

ところが、大人社会では、勉強ができることは「できて当たり前」の前提として扱われることが多い。その上で、人と上手に関わる力、意見を交わして着地させる力、自分で新しい考えを組み立てる力、そして人としての魅力(人間力)が問われる。覚えるだけの受け身の勉強は、大人社会では、いわばアルバイトレベルの評価にとどまってしまう。これも、Day3でくわしく扱う。

これまでの勉強がムダになるわけではない。それを土台にして、「その先の力」を、これから育てればいい。そう知っておこう。がんばって身につけた学力は、あなたの土台としてちゃんと生きる。ただ、それだけで勝負しようとすると足りない、というだけの話だ。安心してほしい。

2-4 3つに共通するのは「受け身から主体へ」

ここまでの3つの例を見て、「どれも自分に当てはまるかも」と、少し不安になったかもしれない。でも、共通点をつかめば、話はぐっとシンプルになる。

3つに共通しているのは、「受け身」から「主体」への転換だ。言われたことをやる、空気を読む、教わったことを覚える。どれも「与えられたことに応える」姿勢だ。大人社会では、そこに「自分から動く」「自分で考える」「自分から関わる」が加わる。ものさしの逆転とは、要するに、受け身の姿勢から、主体的な姿勢へと、評価の軸が移ることなのだ。

3つの例を、バラバラに覚える必要はない。「受け身から主体へ」という、一本の線でつかんでおこう。それが、今週ずっと出てくる、いちばん大事なキーワードだ。

Chapter 3 なぜ、ものさしは逆転するのか

では、なぜ、大人社会では、ものさしが逆転するのだろうか。理不尽に思えるルールにも、じつはちゃんとした理由がある。理由がわかると、逆転は「意地悪」ではなく「当然のこと」に見えてくる。この章では、ものさしが変わる4つの理由を、身近な例で見ていこう。

3-1 学校は「教わる場所」、会社は「価値を生む場所」

学校と会社は、どちらも人が集まる場所だ。だから、同じような感覚で通用すると思いがちだ。でも、根っこの目的が、まるでちがう。

学校は、あなたが「教わり、成長するため」の場所だ。あなたが主役で、まわりはあなたを育てようとしてくれる。一方、会社は、「だれかの役に立つ価値を生み出すため」の場所だ。あなたは、価値を生み出す側になる。教わる立場から、生み出す立場へ。この立場の逆転が、ものさしが変わる、いちばん大きな理由だ。

「自分は、何を教われるか」だけでなく、「自分は、だれに何を返せるか」という視点を、少しずつ持ってみてほしい。その視点が、大人社会のものさしに、あなたを近づけていく。この視点は、アルバイトでも練習できる。「自分は今、だれの役に立てているだろう」と考えるだけで、同じ仕事の見え方が変わってくる。

3-2 学生は「お金を払う側」、社会人は「お金をもらう側」

あまり意識しないかもしれないが、学生と社会人では、お金の流れが、まるで逆だ。ここを見落とすと、大人社会のきびしさが、うまく理解できない。

学生は、授業料を「払って」学んでいる。お客さんの立場だから、多少できないことがあっても、手厚く面倒をみてもらえる。一方、社会人は、給料を「もらって」働く。お金をもらう以上、それに見合う価値を出すことが求められる。「まだ新人だから」は、いつまでも通用しない。この「払う側から、もらう側へ」の変化が、求められる基準を、一気に引き上げる。

きびしく聞こえるかもしれないが、これは「対等な大人として扱われる」ということでもある。お客さん扱いされない代わりに、一人前として信頼される。そう捉えると、少し前向きになれるはずだ。

3-3 「正解のある問題」から「正解のない問題」へ

テストには、たいてい正解がある。決められた答えを、正確に出せば、点がもらえた。その練習を、私たちは長いあいだ、してきた。

ところが、大人社会で出会う問題の多くには、決まった正解がない。「どうすればお客さんに喜んでもらえるか」「この状況で、何を優先すべきか」。答えは一つではなく、自分で考えて、つくり出すしかない。だから、「正解を教えてください」と待っているだけの人は、動けなくなってしまう。正解を覚える力より、正解のない中で、自分なりの答えを組み立てる力が問われるのだ。

日ごろから、「これに正解はあるのかな」と考えるくせを、つけてみてほしい。正解のない問いに、自分なりの答えを出す練習は、今からでも始められる。

3-4 評価するのは、先生ではなく「お客さんと仲間」

学生時代、あなたを評価するのは、主に先生だった。先生の求める基準に応えれば、良い成績がもらえた。評価する人が、はっきりしていた。

大人社会では、あなたを評価するのは、先生のような一人の存在ではない。お客さん、一緒に働く仲間、取引先。いろいろな人が、いろいろな角度から、あなたを見る。求められるものも、人によってちがう。だからこそ、決まった正解に応えるより、相手が何を求めているかを感じ取り、それに応える力が大切になる。評価する人が変わると、ものさしも変わるのだ。

「今、相手は何を求めているだろう」と想像するくせを、つけてみてほしい。アルバイトでも、部活でも、練習の場はたくさんある。相手の期待を読む力は、大人社会で、大きな武器になる。

Chapter 4 この夏、何を持ち帰ってほしいか

ここまで、2つのものさしのちがいと、その理由を見てきた。最後に、この連載を通して、いちばん持ち帰ってほしいことを伝えておきたい。それは「だから今から必死に自分を変えなさい」という話ではない。むしろ逆だ。まじめな人ほど、ここを誤解して、苦しくなってしまう。今日のしめくくりとして、大切な心がまえを4つ、確かめておこう。

4-1 まずは「違いがある」と知るだけでいい

「大人社会のものさしはこうだ」と聞くと、まじめな人ほど「今すぐ全部できるようにならなきゃ」と、あせってしまう。でも、それは必要ない。

今日の段階では、「2つのものさしには、ちがいがある」と知るだけで、十分だ。知っているだけで、社会に出たときの受け止め方が、まるで変わる。いきなり全部を身につける必要はない。まず地図を手に入れる。歩き出すのは、それからでいい。知ることと、できるようになることは、別のステップなのだ。

今日は「へえ、そうなんだ」と知るだけでいい。あせらなくていい。知ったという、その一歩だけで、あなたはもう前に進んでいる。あせりは、たいてい「全部を今すぐ」と思うところから生まれる。一つずつでいい。今日は知る、明日はまた一つ。その積み重ねが、いちばん確実だ。

4-2 自分を、否定しなくていい

大人社会のものさしを知ると、まじめな人ほど「自分はここができていない」と、弱みばかりに目が向いてしまう。そして、落ち込む。

でも、そこで自分を否定する必要は、まったくない。ちがいを知って落ち込み、小さくまとまってしまっては、もったいない。弱みは、だれにでもある。あって当たり前だ。大切なのは、弱みにおびえて縮こまることではなく、「そういう自分」を認めたうえで、どう進むかを考えることだ。この「弱みとのつき合い方」は、Day4で、じっくり扱う。

弱みが見つかっても、自分を責めないでほしい。「なるほど、ここが伸びしろか」くらいに、軽く受け止めておこう。否定ではなく、発見として。むしろ、弱みに気づけたことは、成長のチャンスだ。見えていない弱みは直せないが、見えた弱みは、これから向き合える。気づきは、こわさではなく、味方なのだ。

4-3 「強みを武器にする」という発想

弱みばかり気にしていると、人はどんどん自信をなくす。そして「自分には、できることがない」と思い込んでしまう。これは、いちばんもったいない状態だ。

大切なのは、弱みを人並みに直すことに必死になるより、自分の「強み」を、思いきり伸ばして武器にすることだ。人は、苦手を平均点にするより、得意を飛びぬけさせるほうが、ずっと輝ける。あなたにも、必ず強みがある。まだ気づいていないだけかもしれない。強みを見つけて、それを武器にする。この考え方を、連載の最終日、Day5で一緒に深めていく。

「自分の得意なことは何だろう」と、今日から少し意識してみてほしい。小さなことでいい。その一つひとつが、大人社会で戦うための、あなたの武器になる。

4-4 今知れた人から、就活は楽しくなる

就活と聞くと、「大変そう」「こわい」というイメージを持つ人が多い。まだ先のことなのに、なんとなく気が重い、という人もいるだろう。

でも、2つのものさしのちがいを、学生のうちに知り、少しずつ準備できた人にとって、就活は、意外なほど楽しい活動になる。なぜなら、社会が何を求めているかがわかっていれば、あわてなくてすむからだ。自分の強みを、相手のものさしに合わせて伝えられる。就活は「ふるいにかけられる場」ではなく、「自分を知ってもらう場」に変わる。早く知った人ほど、有利で、そして楽しい。

この夏を、あせって自分を変える夏ではなく、「社会のものさしを知る夏」にしてほしい。知ることから、すべてが始まる。その一歩を、今日、踏み出せたことを、大切にしてほしい。

今日のまとめ

今日は、学生の世界と大人の世界には、別の「ものさし」があることを見てきた。同じ行動が、真逆に評価されることもある。それは、あなたが悪いのではなく、評価する場所とルールが変わるからだ。

そして、いちばん伝えたかったのは、これを知っても、自分を否定しなくていい、ということだ。弱みは、あって当たり前。大切なのは、ちがいを知ったうえで、自分の強みを、武器にしていくことだ。

明日は、その第一歩として、「言われた通りにやる」だけでは通用しない、という話をくわしく見ていく。指示待ちから、どう一歩ぬけ出すか。一緒に考えよう。あせらなくて大丈夫。今日、知れたあなたは、もう前に進み始めている。あなたのこれからの一歩を、あおラボはいつも全力で応援している。

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